47都道府県の空き家率一覧|率だけで調査エリアを選べない理由

47都道府県の空き家率一覧|率だけで調査エリアを選べない理由

空き家調査のエリアを決めるとき、多くの方がまず見るのが都道府県別の空き家率です。「空き家率が高い県から手をつける」という判断は、一見すると合理的に見えます。

しかし47都道府県の数字を一つずつ確認していくと、空き家率だけでエリアを選ぶと判断を誤る場面が繰り返し出てきます。別荘が混ざる県、住宅の供給で率が薄まる県、賃貸の空室が空き家の大半を占める県。理由はそれぞれ違いますが、いずれも「率が高い=調査対象が多い」とはならない県です。

この記事では、令和5年住宅・土地統計調査をもとに47都道府県の空き家率を一覧にしたうえで、率だけでは判断できない理由と、代わりに見るべき数字を整理します。

この記事の結論

  • 空き家率が最も高いのは徳島県21.3%、最も低いのは埼玉県9.3%(令和5年)
  • 別荘などの二次的住宅を除くと順位が入れ替わる。長野県は6位から27位へ下がる
  • 率が下がった県でも、実質的な空き家は増えていることがある(分母が増えたため)
  • 見るべきは「二次的住宅を除く空き家率」「実数」「増減の中身」の3つ
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。47都道府県すべてで調査に対応

空き家率が高い10県・低い10都府県

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による、総住宅数に占める空き家の割合です。全国平均は13.8%。

順位 空き家率が高い県 空き家率 順位 空き家率が低い都府県 空き家率
1 徳島県 21.3% 47 埼玉県 9.3%
2 和歌山県 21.2% 46 沖縄県 9.4%
3 鹿児島県 20.5% 45 神奈川県 9.8%
4 山梨県 20.4% 44 東京都 10.9%
5 高知県 20.3% 43 愛知県 11.8%
6 長野県 20.1% 41 千葉県・滋賀県 12.3%
7 愛媛県 19.8% 39 宮城県・福岡県 12.4%
8 山口県 19.4% 38 京都府 13.1%
9 大分県 19.1% 37 山形県 13.5%
10 香川県 18.6% 36 兵庫県 13.8%

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024年9月公表)。

この一覧を見て「上位10県から調査を始めよう」と考えるのは自然です。しかし、この順位のままでは対象を選べません。理由を4つに分けて説明します。

率だけでは判断できない4つの理由

①別荘が空き家に数えられている

住宅・土地統計調査は、普段人が住んでいない住宅をすべて空き家として数えます。別荘やセカンドハウスも例外ではありません。

別荘などの二次的住宅を除いて順位をつけ直すと、顔ぶれが変わります。

空き家率(順位) 二次的住宅を除く空き家率(順位) 順位の変化
長野県 20.1%(6位) 14.7%(27位) 21位下落
山梨県 20.4%(4位) 16.4%(12位) 8位下落
栃木県 16.9%(14位) 14.9%(25位) 11位下落
静岡県 16.7%(15位) 14.5%(28位) 13位下落
群馬県 16.7%(15位) 15.0%(23位) 8位下落

長野県は6位から27位へ、21位も下がります。長野県の二次的住宅は5万6,000戸で全国最多。空き家の26.9%を占めます。山梨県、栃木県、静岡県、群馬県も別荘が多く、いずれも順位を大きく落とします。

逆に、別荘がほとんどない県は順位が上がります。高知県は5位から3位へ、鹿児島県は3位から2位へ、山口県は8位から6位へ。引き算をしても順位が落ちない県こそ、実質的な空き家が厚い県だといえます。

②分母が増えると率は下がる

空き家率は「空き家数 ÷ 総住宅数」で計算します。分子が増えても、分母がそれ以上に増えれば率は下がります。

栃木県がその例です。空き家率は17.3%から16.9%へ0.4ポイント下がりましたが、空き家数そのものは3,000戸増えて過去最多を更新しました。総住宅数が4.78%増えたためです。率の低下は改善を意味しません

逆に、住宅がほとんど増えていない県では、率の上昇がそのまま空き家の増加を表します。山口県は総住宅数の伸びが0.9%で全国41位。空き家率17.6%から19.4%への上昇は、実数の増加をそのまま反映しています。

③賃貸の空室が大半を占める県がある

空き家には、募集中の賃貸物件も含まれます。都市部では、これが空き家の大半を占めることがあります。

空き家の中身
大阪府 空き家の62.1%が賃貸用。共同住宅が空き家全体の73.0%を占める
宮城県 5年間で空き家は9,500戸増えたが、そのうち放置型は1,400戸のみ
広島県 広島市中区では空き家の82.3%が賃貸用の共同住宅

これらの県で条件を付けずに空き家を調査すると、募集中の物件を大量に拾うことになります。全国的にも、共同住宅の空き家は約8割が賃貸用、一戸建ての空き家は約8割が賃貸・売却用や別荘を除く空き家です。戸建てに限定するだけで、リストの中身が変わります。

④率が同じでも中身は入れ替わる

群馬県の空き家率は16.7%で、5年前とまったく同じでした。数字が動かないと何も起きていないように見えますが、内訳は大きく変わっています。

賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家は6万2,600戸から7万3,100戸へ1万500戸(16.8%)増加。一方で賃貸用・売却用が約7,500戸減り、差し引きで空き家全体は3,000戸増にとどまりました。増えたものと減ったものが打ち消し合った結果、率が動かなかっただけです。

率の代わりに見るべき3つの数字

  • 二次的住宅を除く空き家率/別荘の影響を取り除いた水準。県をまたいで比較するならこちら
  • 実数/率が低くても母数の大きい都府県では量が残る。埼玉県は率が全国最低でも放置型は13万5,800戸
  • 増減の中身/空き家全体ではなく、賃貸用と放置型を分けて見る。方向が逆になっている県がある

この3つは、いずれも分母の増減や賃貸市場の動きに左右されません。

二次的住宅を除くと、順位はこう変わる

別荘などを除いた空き家率で並べ直すと、上位10県は次のようになります。全国平均は13.2%です。

順位 二次的住宅を除く空き家率 空き家率での順位
1 徳島県 20.8% 1位
2 鹿児島県 20.0% 3位
3 和歌山県・高知県 19.6% 2位・5位
5 愛媛県 19.2% 7位
6 山口県 19.0% 8位
7 大分県 18.1% 9位
8 香川県 17.9% 10位
9 岩手県・長崎県 16.8% 11位
11 島根県 16.6% 13位

山梨県と長野県が上位から外れ、代わりに愛媛県・山口県・大分県・香川県が繰り上がりました。四国4県はこの並びでも上位に残ります

目的によって、見るべき数字は変わる

ここまでは「調査対象になる空き家をどう見つけるか」の話です。ただし目的が変われば、見るべき数字も変わります。

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 二次的住宅を除く空き家の実数 戸建てに限定し、共同住宅と別荘地を範囲から外す
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 持ち家の築年数と改修の実施率 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 腐朽・破損のある空き家の分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォームや外壁塗装が目的の場合、対象は空き家ではありません。人が住んでいる築古の住宅が本命であり、空き家率の順位はエリア選定の根拠になりません。この場合は持ち家住宅率や改修の実施率のほうが判断材料になります。

参考までに、持ち家の改修実施率は島根県32.6%が全国1位、愛媛県は42位のバリアフリー化率にとどまります。同じ「地方県」でも、リフォーム市場の成熟度はまったく違います

費用は面積で決まる。率とは別の話

もう一つ、率とは無関係に効いてくるのが面積です。土地調査の費用は調査面積に対する従量制のため、同じ費用で確認できる建物の数は、面積あたりの住宅の密度で決まります

1㎢あたりの住宅数(単純計算) 空き家率 意味
香川県 約263戸 18.6% 率も密度も高い。広い範囲を一度に押さえやすい
徳島県 約94戸 21.3% 率は全国1位だが密度は低い。集落単位で切る必要がある
岐阜県 約87戸 16.1% 高山市1市で香川県より広い。市の指定では範囲が決まらない
鳥取県 約75戸 15.7% 総住宅数は全国最小だが面積は広い

面積の出典は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」。住宅数を面積で割った単純計算です。全国平均は約172戸となります。

空き家率が高い県は、面積が広く密度が低いことが少なくありません。率の高さがそのまま費用対効果につながるとは限らないため、範囲は行政区分ではなく住宅の集まり方で切るのが基本になります。

都道府県をまたいだ調査も、同一の基準で実施します。

47都道府県に自社ネットワークがあります。複数県の件数と中身を同じフォーマットで比較できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

都道府県別の解説記事

47都道府県それぞれについて、県ごとのデータと調査エリアの選び方をまとめています。県によって着目すべき数字が異なります。

地方 都道府県と、その県で押さえるべき論点
北海道・東北 北海道(放置型は全国平均以下)/青森(一戸建て比率)/岩手(総住宅数が横ばい)/宮城(増えたのは賃貸用)/秋田(高齢世帯の予備軍)/山形(同居世帯の減少)/福島(住宅総数が動かない)
関東 茨城(放置型の86%が戸建て)/栃木(率の低下は分母の問題)/群馬(率が動かず中身が入れ替わる)/埼玉(率は全国最低でも放置型は増加)/千葉(建築時期で絞る)/東京(戸建てが26%しかない)/神奈川(所有者が県外にいる)
北陸・甲信越 新潟(増加スピードとデータの鮮度)/富山(初めて全国平均超え)/石川(増加分の95%が別荘以外)/福井(空き家と空き地を同時に)/山梨(率が下がった県)/長野(別荘を除いて選ぶ)
東海 岐阜(市の指定では範囲が決まらない)/静岡(率を分解すると全国平均)/愛知(戸建てに絞る)/三重(優先順位のつけ方)
近畿 滋賀(率は低いが放置型は高い)/京都(府は増・市は減)/大阪(長屋建と全国最多の放置型)/兵庫(県平均が使えない)/奈良(賃貸が空き家を吸収)/和歌山(貸すという出口が細い)
中国 鳥取(住宅数が全国最小)/島根(改修が進んでも空き家は増える)/岡山(住宅が増える県)/広島(区で中身が正反対)/山口(数字をそのまま読める)
四国 徳島(歩留まりと密度)/香川(面積が全国最小)/愛媛(放置型が全国4位に上昇)/高知(放置型が横ばい)
九州・沖縄 福岡(九州で唯一の例外)/佐賀(急増が止まった)/長崎(住宅は減るのに空き家は増加)/熊本(住宅が余る地域と足りない地域)/大分(腐朽・破損で優先順位)/宮崎(手が入る年代と空き家になる年代)/鹿児島(放置型率が全国1位)/沖縄(空き家が20年ぶりに減少)

制度の変化は全国共通で進んでいる

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

全国で見ると、世帯が所有する空き家の47.5%は賃貸・売却用や別荘を除く空き家です。取得方法では相続・贈与が61.6%を占めます。制度の影響を直接受ける層が、世帯所有空き家の半数近くにのぼるということです。ただし所有者本人が改正内容を把握しているとは限りません。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市区町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の都道府県・市区町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。別荘地を範囲から外す設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

都道府県を選ぶときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率のランキング順に着手する/別荘を除くと順位が21位下がる県もあります。二次的住宅を除く数字で比較してください
  • 率が低い都府県を候補から外す/埼玉県は空き家率が全国最低ですが、放置型は13万5,800戸で実数は全国8位です
  • 率が下がった県を「改善した」と読む/分母が増えて率が薄まっただけの県があります。実数を確認してください
  • 県単位で発注条件を決める/県内の市町村で数倍から数十倍の差がつく県があります。市区町村、できれば町丁目まで下げてください
  • 率の高さと費用対効果を同一視する/費用は面積に対する従量制です。率が高い県は密度が低いことが少なくありません

よくあるご質問

複数の都道府県をまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。県ごとの件数と中身を比較したうえで配分を決めたい場合にもご利用いただけます。

別荘を除いて調査することはできますか?

可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。長野県・山梨県・静岡県・栃木県・群馬県など二次的住宅の多い県では特におすすめしています。

共同住宅を除いて調査できますか?

できます。全国的に共同住宅の空き家は約8割が賃貸用です。仕入れが目的の場合は戸建てに限定したほうが歩留まりが上がります。条件はヒアリング時にお伺いします。

まずどこから調べるとよいですか?

目的とすでにお持ちの営業エリアによります。一般的には、対象エリアのなかで1〜2地区を選んで実施し、件数と中身を確認してから範囲を広げる進め方をおすすめしています。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

まとめ

空き家率が最も高いのは徳島県21.3%、最も低いのは埼玉県9.3%。この差は12ポイントあります。しかしこの順位のままで調査エリアを決めることはできません

別荘が混ざる県では順位が最大21位下がり、住宅が供給された県では率が薄まり、都市部では賃貸の空室が空き家の大半を占めます。率が5年間まったく動かなかったのに、中身は1万戸単位で入れ替わっていた県もあります。

代わりに見るべきは、二次的住宅を除く空き家率、実数、そして増減の中身の3つです。そのうえで、県平均ではなく市区町村・町丁目まで下げて範囲を決める。費用は面積に対する従量制なので、住宅の集まり方に合わせて切ることが最終的な費用対効果を決めます。

どの都道府県からでも、まず1地区でお試しいただけます。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

反響を生む配布設計をプロがご提案します

反響を生む配布設計

プロがご提案します

お気軽にご相談ください

お気軽にどうぞ 無料見積もり相談