福島県の空き家調査|住宅総数が動かない県での対象の絞り込み方

福島県の空き家調査|住宅総数が動かない県での対象の絞り込み方

福島県の総住宅数は86万2,900戸。5年前の86万1,300戸から1,600戸、率にして0.19%しか増えていません。増加率は47都道府県で46番目です。全国が4.2%増えているなかで、住宅の総量がほぼ動いていない県だといえます。

ところが空き家は12万3,500戸から13万1,000戸へ、7,500戸(6.1%)増えました。空き家率も14.3%から15.2%へ0.9ポイント上昇しています。

総住宅数が変わらないのに空き家が増えたということは、その分だけ人が住んでいる住宅が減ったということです。実際、居住世帯のある住宅は73万1,100戸から72万6,800戸へ4,300戸減っています。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが福島県で対象をどう絞るべきかを整理します。

この記事の結論

  • 福島県の総住宅数は5年でわずか0.19%増。増加率は全国46位(令和5年)
  • それでも空き家は7,500戸(6.1%)増え、空き家率は15.2%へ0.9ポイント上昇
  • 居住世帯のある住宅は4,300戸減少。住宅の総量ではなく中身が入れ替わっている
  • 放置型は総住宅数の6.8%、約5万8,700戸で全国平均5.9%を上回る
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

福島県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数値です。

項目 令和5年 平成30年 増減
総住宅数 86万2,900戸 86万1,300戸 +1,600戸(+0.19%)
居住世帯のある住宅 72万6,800戸 73万1,100戸 ▲4,300戸
空き家数 13万1,000戸 12万3,500戸 +7,500戸(+6.1%)
空き家率 15.2% 14.3% +0.9pt
二次的住宅を除く空き家 12万7,300戸 11万8,000戸 +9,300戸(+7.9%)
二次的住宅(別荘など) 3,700戸 5,500戸 ▲1,800戸

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計・住宅の構造等に関する集計(確報集計)結果」。全国の総住宅数の増加率は4.2%、空き家率は13.8%。

住宅は増えていないのに、空き家は増えた

総住宅数の増加率0.19%は、実質的に横ばいです。新築の供給と取り壊しがほぼ釣り合っている状態だと考えられます。

それでも空き家が7,500戸増えたのは、もともとあった住宅が使われなくなったからにほかなりません。他県では「新築が供給され、そのうち一部が空き家として残る」という説明ができますが、福島県ではその説明が成り立ちません。

居住中の住宅が4,300戸減った

居住世帯のある住宅は73万1,100戸から72万6,800戸へ減りました。同じ期間に空き家は7,500戸増えています。住宅の総量は変わらず、居住中から空き家へと中身が移動しているという構図です。

別荘などの二次的住宅も5,500戸から3,700戸へ1,800戸減りました。その結果、二次的住宅を除いた空き家は9,300戸(7.9%)増えており、空き家全体の増加率6.1%を上回ります。

中身の入れ替わりが意味すること

住宅が増えている県と、増えていない県では、調査の考え方が変わります。

県の状態 空き家が増える理由 調査での意味
住宅が増えている県 供給された住宅の一部が埋まらない 新しい住宅地にも空き家が出る
福島県(横ばい) 既存の住宅が使われなくなる 古い住宅地に対象が集中する

実務上の意味は明確です。福島県では、新しく造成された住宅地を調査しても対象はほとんど出ません。既存の住宅ストックが積み上がっている地区、つまり古い住宅がまとまって建っている地区を選ぶほうが、拾える件数が変わります。

賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は、総住宅数の6.8%。戸数にすると約5万8,700戸で、空き家全体のおよそ45%を占めます。全国平均は5.9%ですから、母数は十分にあります。

建物の安全性への関心が全国上位

2019年以降に耐震改修工事を行った持ち家の割合は3.7%で、全国2位です。全国平均1.9%のおよそ2倍。耐震診断を行った持ち家も10.8%で全国15位となっています。

手を入れて住み続ける層と、使われなくなって空き家に転じる層。この2つが同じ県内で並行して動いているということです。調査で対象を選ぶ際も、建物の状態を記録項目に含めておけば、扱いを分けやすくなります。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 古い住宅地の分布 戸建てに限定し、状態別の記録を依頼する
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 居住中の築古住宅 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 居住中から空き家へ転じている地区 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォームは「その手前」を押さえる

居住中の住宅が4,300戸減ったということは、その手前にある築古の持ち家が今も相当数あるということでもあります。1住宅当たりの延べ面積は112.27㎡で全国15位、居住室数5.04室は全国16位。全国平均を大きく上回る規模です。

屋根や外壁の施工面積も相応にあり、1件あたりの受注規模は大きくなります。「古家(居住中)」を調査項目として指定し、外観の状態を記録しておけば、施工提案の優先順位もつけられます。空き家と同時に指定すれば、現在と将来の両方を一度の調査で地図に落とせます。

県内は3つの地方に分かれる

福島県は会津・中通り・浜通りの3地方に分かれ、それぞれ住宅の集まり方も生活圏も異なります。県面積は全国3位の広さで、1つの県として一律に扱える規模ではありません。

調査費用は面積に対する従量制のため、住宅がまばらな地域を市全域で発注すると割高になります。会津の中山間部などを対象にする場合は、集落単位まで範囲を絞り込むほうが費用対効果が上がります。

古い住宅地から、優先して調べられます。

空き家と居住中の築古住宅を同時に調査し、地図上で色分けして納品できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

福島県では、現住居の敷地以外に土地を持っている世帯が20.1%(全国11.8%)、宅地に限っても12.5%(全国8.0%)と、いずれも全国を上回ります。相続で動く不動産の件数も、それに比例して多くなります。所有者本人が制度の変化を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。福島県では空き家と古家を同時に指定しておくと、現在と将来の両方を一度の調査で押さえられます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

福島県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 新しい住宅地を調査範囲に含める/総住宅数はほぼ横ばいです。増えた空き家は既存の住宅から出ています
  • 空き家率15.2%をそのまま期待値にする/別荘を除いた空き家の増加率7.9%のほうが実態に近い数字です
  • 県全域で1回の見積りを取る/会津・中通り・浜通りで条件が変わります。1〜2地区で実施し、結果を見て広げてください
  • 積雪期に初回調査を入れる/会津地方などでは積雪により外観から得られる情報が減ります。初回は雪のない時期をおすすめしています
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

福島県の対応エリア

県内は全13市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

福島市/会津若松市/郡山市/いわき市/白河市/須賀川市/喜多方市/相馬市/二本松市/田村市/南相馬市/伊達市/本宮市

よくあるご質問

古い住宅が集まる地区を指定して調査できますか?

できます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しているため、造成年代のそろった住宅地を対象にした調査が可能です。ヒアリング時にご相談ください。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。空き家と同時に指定すれば、両方を色分けした地図で納品できます。

積雪期でも調査は実施できますか?

地域によります。会津地方などでは積雪により外観から判断できる情報が減るため、初回は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。

集落単位でも依頼できますか?

可能です。市全域ではなく町丁目や字の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。中山間地区を対象にする場合は、この切り方をおすすめしています。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

まとめ

福島県の総住宅数は5年で0.19%しか増えていません。増加率は全国46位。それでも空き家は7,500戸増え、居住世帯のある住宅は4,300戸減りました。住宅の総量は変わらず、居住中から空き家へと中身が移動しているという構図です。

実務上の意味は明確です。新しく造成された住宅地を調査しても対象はほとんど出ません。既存の住宅ストックが積み上がっている地区、つまり古い住宅がまとまって建っている地区を選ぶことが、そのまま歩留まりにつながります。放置型は約5万8,700戸、全国平均を上回る密度で存在しています。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、福島県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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