宮崎県の空き家調査|手が入る年代と空き家になる年代の見分け方

宮崎県の空き家は9万700戸で過去最多。空き家率16.3%も過去最高で、前回から0.9ポイント上昇しました。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は5万5,000戸、総住宅数の9.9%です。全国平均5.9%のおよそ1.7倍にあたります。
ここまでは他の地方県と同じ構図です。宮崎県の資料で目を引くのは、改修工事のデータです。2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家を建築時期別に見ると、「昭和56年〜平成2年」が38.3%で最も高い。1981年から1990年に建てられた住宅、つまり築33年から42年の層です。
一方、空き家として残っているのは、それより古い年代の住宅が中心になります。築40年前後で「手を入れて住み続ける」か「使われなくなる」かが分かれているということです。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが宮崎県で対象をどう絞るべきかを整理します。
この記事の結論
- 宮崎県の空き家は9万700戸で過去最多、空き家率16.3%も過去最高(令和5年)
- 放置型は5万5,000戸で総住宅数の9.9%。全国平均5.9%の約1.7倍
- 改修工事が最も多い年代は昭和56年〜平成2年築で38.3%。築40年前後が分岐点になる
- 所有されている宅地のうち15.5%は「利用していない空き地」。空き家だけが対象ではない
- 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる
記事の目次
宮崎県の空き家を数字で確認する
宮崎県総合政策部統計調査課が公表した令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。
| 項目 | 宮崎県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 55万6,800戸(+1.9%) | 6,504万7,000戸(+4.2%) |
| 空き家数 | 9万700戸(+6,500戸・過去最多) | 900万2,000戸 |
| 空き家率 | 16.3%(前回15.4%・過去最高) | 13.8% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 5万5,000戸(9.9%・+5,100戸) | 385万6,000戸(5.9%) |
| 同上が空き家に占める割合 | 約61% | 42.8% |
| 改修工事を行った持ち家 | 8万9,300戸(持ち家の29.3%) | 28.8% |
| 現住居の敷地以外の土地を所有する世帯 | 8万7,000世帯(18.5%) | 11.8% |
出典:宮崎県総合政策部統計調査課「令和5年住宅・土地統計調査結果(住宅及び世帯に関する基本集計・住宅の構造等に関する集計・土地集計)」。
空き家は30年間で2倍以上
県の資料によると、宮崎県の空き家数は平成5年から令和5年までの30年間で2倍以上になりました。増加は一貫して続いており、今回も6,500戸増えています。
放置型も4万9,900戸から5万5,000戸へ5,100戸、10.2%増加しました。空き家全体の増加率7.7%を上回ります。市場に出てこない住宅のほうが速く増えているということです。
改修が最も多いのは昭和56年〜平成2年築
2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家は8万9,300戸、持ち家全体の29.3%です。全国平均28.8%をやや上回ります。
注目すべきは建築時期別の内訳です。改修を行った割合が最も高いのは「昭和56年〜平成2年」に建てられた住宅で38.3%。工事の内容では「台所・トイレ・浴室・洗面所の改修」が16.4%で最も多くなっています。
| 建築時期 | 2023年時点の築年数 | 起きていること |
|---|---|---|
| 昭和55年以前 | 築43年以上 | 空き家として残っている層が中心 |
| 昭和56年〜平成2年 | 築33〜42年 | 改修工事が最も行われている(38.3%) |
| 平成3年以降 | 築32年以下 | まだ改修の時期に入っていない |
築40年前後が、手を入れて住み続けるか、使われなくなるかの分岐点になっているという構図です。
調査で押さえるべきは、分岐点の前後
この構造が分かると、調査対象の選び方が変わります。
リフォームや外壁塗装が目的なら、狙うのは昭和56年〜平成2年築の持ち家です。すでに38.3%が動いており、残る6割強が未施工層として残っています。年代が特定できているぶん、地区の造成時期から対象を絞り込めます。
仕入れが目的なら、その一つ前の年代です。昭和55年以前に建てられ、手が入らないまま残っている住宅が、空き家として積み上がっています。土地調査では「空き家(戸建て)」と「古家(居住中)」を同時に指定できるため、両方を1回の調査で地図に落とせます。
所有されている宅地の15.5%は空き地のまま
宮崎県の土地集計によると、主世帯47万1,000世帯のうち、現住居の敷地以外に土地を所有している世帯は8万7,000世帯(18.5%)。全国平均11.8%を大きく上回ります。
さらに、所有されている宅地などの利用現況を見ると、「主に建物の敷地として利用」が69.0%、「主に建物の敷地以外に利用」が15.5%、そして「利用していない(空き地)」が15.5%を占めます。
つまり空き家とは別に、使われていない土地も相当数あるということです。仕入れや用地確保が目的であれば、「空き地(更地)」を調査項目に加えると拾える件数が増えます。
目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる
| 立場 | 主な目的 | 優先して見る条件 | 調査で指定するとよい条件 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件・用地の発掘 | 昭和55年以前に造成された住宅地 | 戸建ての空き家に「空き地(更地)」を追加する |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工需要のある住宅の発掘 | 昭和56年〜平成2年築の持ち家 | 「古家(居住中)」を調査項目に追加する |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 放置型の割合が高い市町 | 集落単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する |
県内の差は大きい
県平均は16.3%ですが、同調査の市区町村別データによると、県内で空き家率が最も高いのは串間市で約29%。県平均の1.8倍近くにあたります。宮崎市・都城市を中心とする都市部と、県南部や山間地区では条件が変わります。
調査費用は面積に対する従量制のため、住宅がまばらな地域を市全域で発注すると割高になります。県南部や山間部を対象にする場合は、集落単位まで範囲を絞り込むほうが費用対効果が上がります。
賃貸への転用は動機が働きにくい
宮崎県の1か月当たり家賃は4万1,373円、1畳当たりは2,117円で、いずれも全国45位です。空き家を賃貸に出して回収する見込みが立ちにくい水準にあります。
賃貸転用を前提にした提案は、この県では通りにくいと考えたほうがよいでしょう。売却・買取や、解体を含めた土地としての活用のほうが、所有者の状況と噛み合います。所有者の8割以上が同じ市町村内に土地を持っている点も、話を進めやすい条件です。
空き家・古家・空き地を、同じ調査で押さえられます。
築年代の違う3つの層を、地図上で色分けして納品できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
制度の変化が所有者に届いているか
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。
宮崎県では現住居の敷地以外に土地を持つ世帯が18.5%と全国平均を大きく上回ります。相続で動く不動産の件数も、それに比例して多くなります。所有者本人が制度の変化を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。
なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。宮崎県では空き家・古家・空き地の3つを組み合わせると、築年代の違う層をまとめて押さえられます。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
宮崎県で空き家調査を進めるときの注意点
よくあるつまずき
- 築年代を条件に入れない/改修が最も多いのは昭和56年〜平成2年築です。狙う層によって対象の年代が変わります
- 空き家だけを調査項目に指定する/所有されている宅地の15.5%は空き地のままです。組み合わせると件数が増えます
- 賃貸転用を前提に提案する/家賃は1か月・1畳ともに全国45位です。回収の見込みが立ちにくい水準です
- 市全域をまとめて発注する/県南部や山間部は面積あたりの住宅数が少なくなります。集落単位で切ってください
- リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
宮崎県の対応エリア
県内は全9市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。
宮崎市/都城市/延岡市/日南市/小林市/日向市/串間市/西都市/えびの市
よくあるご質問
築年代を条件にした調査はできますか?
外観から築年数そのものを断定することはできませんが、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる住宅を対象として調査・報告します。どの程度の年代を想定するかはヒアリング時にお伺いします。
空き地も同時に調査できますか?
できます。「空き地(更地)」を調査項目として指定いただければ、空き家と同時に調査し、地図上で色分けして納品します。宮崎県は土地を所有する世帯が多いため、この組み合わせが有効です。
集落単位でも依頼できますか?
可能です。市全域ではなく町丁目や字の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。県南部や山間部を対象にする場合は、この切り方をおすすめしています。
居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?
できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。
所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?
調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。
まとめ
宮崎県の空き家は9万700戸で過去最多、放置型は5万5,000戸で総住宅数の9.9%。全国平均の約1.7倍です。空き家は30年間で2倍以上に増えました。
絞り込みの手がかりは築年代にあります。改修工事が最も行われているのは昭和56年〜平成2年築で38.3%。その一つ前の年代が、手が入らないまま空き家として残っています。リフォームなら前者、仕入れなら後者。狙う層によって、選ぶべき地区の造成時期が変わります。
加えて、所有されている宅地の15.5%は「利用していない空き地」です。空き家・古家・空き地の3つを同じ調査で押さえれば、築年代の違う層をまとめて地図に落とせます。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。
関連記事
まず1地区から、宮崎県の現地データをお出しします。
不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休