富山県の空き家調査|空き家率が初めて全国平均を超えた県の判断基準

富山県の空き家率は14.7%。前回調査の13.3%から1.4ポイント上がり、過去最高を更新しました。県の発表によれば、富山県の空き家率が全国平均を上回るのは、比較可能な1958年以降ではじめてのことです。
長らく富山県は、全国と比べて空き家の少ない県でした。持ち家住宅率は74.9%で全国3位、一戸建率も74.0%で全国7位。持ち家の戸建てに長く住み続ける県だったからです。その構造が、この5年で変わり始めています。
さらに空き家の内訳を見ると、賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型が57.1%を占めます。全国平均は42.8%ですから、14ポイント以上高い水準です。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが富山県で何を対象にすべきかを整理します。
この記事の結論
- 富山県の空き家率は14.7%。全国平均13.8%を上回るのは1958年以降ではじめて(令和5年)
- 空き家6万9,700戸のうち57.1%が放置型。全国平均42.8%を14ポイント以上上回る
- 1住宅当たりの延べ面積は138.77㎡で全国1位。全国平均90.86㎡の約1.5倍
- 持ち家住宅率74.9%、一戸建率74.0%。空き家になるのは持ち家の大きな戸建てという構造
- 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる
記事の目次
富山県の空き家を数字で確認する
富山県が公表した令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。
| 項目 | 富山県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 47万3,900戸(+4.7%) | 6,504万6,700戸(+4.2%) |
| 総世帯数の増減率 | +2.9% | +4.1% |
| 空き家数 | 6万9,700戸(+9,700戸) | 900万1,600戸 |
| 空き家率 | 14.7%(前回13.3%) | 13.8% |
| 空き家に占める放置型の割合 | 57.1% | 42.8% |
| 住宅に占める一戸建ての割合 | 74.0%(全国7位) | 52.7% |
| 持ち家住宅率 | 74.9%(全国3位) | 60.9% |
| 1住宅当たり延べ面積 | 138.77㎡(全国1位) | 90.86㎡ |
出典:富山県「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計結果(確定値)(富山県分)の概要」および県統計課の公表資料。
空き家の57.1%が放置型
空き家6万9,700戸のうち、最も多いのが放置型で57.1%。戸数にすると約3万9,800戸です。総住宅数に対する割合はおよそ8.4%で、全国平均5.9%を2.5ポイント上回ります。
空き家率そのものは全国31位と中位ですが、中身に絞ると全国上位の水準になります。富山県には賃貸市場の空室や別荘が少なく、空き家といえば放置されたものを指す、という構造です。
空き家は昭和33年から一貫して増え続けている
県内の空き家数は、昭和33年の調査以来一度も減ったことがありません。この5年でも9,700戸増えました。総住宅数は4.7%増えましたが、総世帯数の伸びは2.9%にとどまっています。
持ち家住宅率も動いています。平成30年の76.8%から74.9%へ1.9ポイント下がり、順位は全国2位から3位になりました。持ち家の戸建てに住み続けるという県の標準形が、少しずつ崩れ始めていることを示す数字です。
1軒が日本一大きいという条件
富山県で最も特徴的な数字は、住宅の規模です。専用住宅の1住宅当たり延べ面積は138.77㎡で全国1位。全国平均の90.86㎡と比べると約1.5倍にあたります。1住宅当たりの居住室の畳数44.89畳も全国1位でした。
この数字は、空き家対策の実務に二方向で効いてきます。
| 立場 | 1軒が大きいことの意味 |
|---|---|
| 不動産会社 | 解体や改修にかかる費用も規模に比例する。所有者が判断を先送りしやすく、放置期間が長くなりやすい |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 屋根・外壁の施工面積が大きい。1件あたりの受注規模が全国平均より大きくなる |
| 自治体 | 建物が大きいぶん、老朽化したときの周辺への影響範囲も広がる |
特にリフォーム・外壁塗装の立場では、同じ件数のリストでも1件あたりの単価が変わるという点が重要です。持ち家住宅率74.9%、一戸建率74.0%と、施工対象になりやすい住宅の比率も高くなっています。
調査範囲を決めるときの見方
土地調査の料金は調査面積に対する従量制です。1軒あたりの延べ面積が大きいということは、敷地にもある程度の広さがあるということでもあり、同じ面積を歩いたときに確認できる軒数は都市部より少なくなります。
一方で、拾った1件が放置型である確率は高く(空き家の57.1%)、リフォーム目的なら1件あたりの規模も大きい。件数ではなく、1件あたりの価値で費用対効果を測るのが富山県に合った考え方です。
目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる
| 立場 | 主な目的 | 優先して見る数字 | 調査で指定するとよい条件 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件の発掘 | 放置型の分布と建物の状態 | 戸建てに限定し、空き地も対象に含める |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工需要のある住宅の発掘 | 持ち家の築年数と屋根・外壁の状態 | 「古家(居住中)」を調査項目に追加する |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 放置型の比率が高い地区と建物の腐朽・破損 | 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する |
県内でも数字は一様ではない
県平均は14.7%ですが、同調査の市区町村別データによると、県内で空き家率が最も高いのは黒部市で約19%です。市街地と中山間地区では、住宅の集まり方も空き家の性格も変わります。
県平均でエリアを選ばず、市町村単位、さらに町丁目単位まで下げて判断してください。富山県は通勤時間が「30分未満」の世帯が約7割(全国は約5割)と、生活圏がまとまっている県です。そのぶん、市街地から少し外れた地区で条件が急に変わることがあります。
豪雪地帯であることの実務上の影響
積雪期には、外観から確認できる情報が大きく減ります。屋根や外壁の状態、敷地の様子、建物の傷み具合。いずれも雪に覆われると判定できません。
初回の調査は、雪のない時期に実施することをおすすめします。また、管理されていない大きな建物ほど積雪の影響を受けやすいため、自治体の実態把握を目的とする場合は、調査時期そのものが結果の精度を左右します。
富山県の現地データ、1地区からお出しできます。
戸建てに限定した調査や、居住中の築古住宅を対象にした調査にも対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
2023年の法改正で所有者の状況が変わった
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。
従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
富山県のように1軒あたりの規模が大きい県では、解体費用が判断を止める要因になりやすいと考えられます。制度の変化を知らないまま年数だけが経過し、建物の状態も悪化していく。この流れを止められるのは、正確な情報が所有者に届いたときです。
なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
富山県で空き家調査を進めるときの注意点
よくあるつまずき
- 「空き家が少ない県」という前提のまま計画する/空き家率が全国平均を上回ったのは今回がはじめてです。前提そのものが変わりました
- 件数だけで費用対効果を判断する/1軒あたりの延べ面積は全国1位です。件数ではなく1件あたりの価値で見てください
- 積雪期に初回調査を入れる/雪に覆われると外観から得られる情報が大きく減ります。初回は雪のない時期をおすすめします
- 県平均の空き家率でエリアを決める/市町村別では約19%の市もあります。町丁目単位まで下げて判断してください
- リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
富山県の対応エリア
県内は全10市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。
富山市/高岡市/魚津市/氷見市/滑川市/黒部市/砺波市/小矢部市/南砺市/射水市
よくあるご質問
積雪期でも調査は実施できますか?
実施自体は可能ですが、積雪により外観から判断できる情報が大きく減ります。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。
富山市内の一部エリアだけでも依頼できますか?
可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。
居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?
できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。
建物の傷み具合まで記録してもらえますか?
外観から確認できる範囲で状態を記録します。どの程度の粒度が必要かはヒアリング時にお伺いし、調査項目に反映します。
石川県や新潟県とまたいで調査できますか?
対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。
まとめ
富山県の空き家率14.7%は全国31位で、順位としては中位です。しかし全国平均を上回ったのは1958年以降ではじめてであり、空き家の57.1%が放置型という内訳は全国平均を14ポイント以上上回ります。持ち家住宅率も全国2位から3位へ下がりました。「空き家の少ない県」という前提が、この5年で通用しなくなっています。
加えて、1住宅当たりの延べ面積138.77㎡は全国1位。空き家になるのは持ち家の大きな戸建てで、解体費用も施工面積も全国平均を大きく上回ります。件数の多さではなく、1件あたりの規模で判断するのが富山県に合った見方です。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。
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まず1地区から、富山県の現地データをお出しします。
不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。
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