高知県の空き家調査|放置型が増えていない県での対象の選び方

高知県の空き家調査|放置型が増えていない県での対象の選び方

高知県の空き家率は20.3%で全国5位。前回調査から1.2ポイント上昇しました。数字だけを見れば、他の上位県と同じように空き家が増えている県に見えます。

ところが中身は違います。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は5万100戸。前回調査からほぼ横ばいで、総住宅数に対する割合も12.8%から12.9%へ0.1ポイント動いただけです。全国では同じ5年間に放置型が10.6%増えており、鹿児島県は1.6ポイント、徳島県にいたっては1.9ポイント上昇しています。

その結果、高知県は放置型の割合で前回の全国1位から今回は2位へ後退しました。順位が下がったのは高知が改善したからではなく、他県が追いついてきたからです。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが高知県で何を対象にすべきかを整理します。

この記事の結論

  • 高知県の空き家率は20.3%で全国5位。ただし放置型は5万100戸でほぼ横ばい(令和5年)
  • 放置型の割合は12.8%→12.9%。前回全国1位から2位へ後退したのは、他県が増えたため
  • 総住宅数は4,100戸減(▲1.0%)。住宅そのものが減っている県
  • 空き家率が上がったのは賃貸用などが増えたため。「増えるのを待つ」戦略が効かない
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。集落単位の範囲指定にも対応

高知県の空き家を数字で確認する

高知県統計分析課の公表資料および総務省統計局の全国結果による数値です。

項目 高知県 全国
総住宅数 約38万7,500戸(▲4,100戸・▲1.0%) 6,504万6,700戸(+4.2%)
空き家数 7万8,700戸(+4,100戸) 900万1,600戸(+51万戸)
空き家率 20.3%(+1.2pt・全国5位) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 5万100戸(増減なし) 385万6,000戸(+36万9,000戸)
同上の割合 12.9%(+0.1pt・全国2位) 5.9%(+0.5pt)
住宅に占める一戸建ての割合 約68% 52.7%

出典:高知県産業振興推進部統計分析課の公表資料、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」。

放置型だけが動いていない

総住宅数が4,100戸減り、空き家が4,100戸増えました。合計するとちょうど打ち消し合う形です。しかし放置型は増減なし。つまり増えたのは、賃貸用・売却用・二次的住宅のほうだということになります。

空き家率20.3%という数字は全国5位ですが、その上昇分は市場に出ている在庫や別荘で説明できます。営業対象になりうる層は、この5年で増えていません。

順位が下がったのは、他県が追いついたから

放置型の割合を都道府県で並べると、順位が入れ替わっています。

平成30年 令和5年
鹿児島県 12.0%(2位) 13.6%(1位) +1.6pt
高知県 12.8%(1位) 12.9%(2位) +0.1pt
愛媛県 12.2%(3位)
徳島県 10.3%(5位) 12.2%(4位) +1.9pt
和歌山県 11.2%(3位) 12.0%(5位) +0.8pt

高知県の上昇幅0.1ポイントは、上位5県のなかで突出して小さい数字です。高知県が改善したのではなく、他県が高知県に追いついてきたというのが正確な読み方になります。

住宅そのものが減っている、ということ

高知県の総住宅数は5年間で4,100戸減りました。増減率▲1.0%は、全国が4.2%増えるなかでの数字です。取り壊しや除却が、新築の供給を上回って進んでいることを意味します。

この点は、リストの扱い方に直結します。数年前に作った空き家リストには、すでに現存しない物件が混ざっている可能性があるということです。放置型が増えていない県では、新しく発生した物件を追うより、既存の5万100戸のうちどれが今も残っているかを確認するほうが実務的です。

「増えるのを待つ」戦略が効かない

空き家が毎年増え続ける県であれば、定期的に調査すれば新しい対象が積み上がります。高知県ではこの前提が成り立ちません。

放置型5万100戸は総住宅数の12.9%にあたり、全国平均5.9%の2倍以上です。母数はすでに十分にありますが、そこから増える見込みは薄い。とすれば、やるべきことは待つことではなく、5万100戸の中身を把握して優先順位をつけることになります。

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 現存する放置型の分布と建物の状態 戸建てに限定し、空き地も対象に含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 居住中の築古住宅 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 腐朽・破損のある空き家と除却済みの区画 集落単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

共同住宅を含めると、増えた層を拾ってしまう

この5年で増えたのは賃貸用などの空き家です。調査で共同住宅を範囲に含めると、募集中の部屋を大量に拾うことになります。

高知県は住宅の約68%が一戸建てで、全国の52.7%を大きく上回ります。戸建てに限定するだけで、拾ったもののほとんどが放置型になる構造です。仕入れが目的であれば、共同住宅は範囲から外してください。

県内の差は極端に大きい

県平均は20.3%ですが、同調査の市区町村別データによると、県内で空き家率が最も高いのは土佐清水市で約39%。県平均の約2倍にあたります。

一方、高知市を中心とする都市部では数字が下がります。県平均でエリアを選ぶと、どの市町の実態とも合いません。中山間地区や沿岸部の集落を対象にする場合は、市全域ではなく集落単位まで範囲を絞り込むほうが、面積あたりの費用対効果が上がります。

いま現存している物件を、現地で確認します。

取り壊し済みかどうかも含めて、外観から一件ずつ状態を記録します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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2023年の法改正で所有者の状況が変わった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

高知県は放置型の割合が全国2位である一方、住宅そのものは減っています。除却が進んでいる県であり、制度の変化が所有者の判断を後押しする余地は大きいと考えられます。ただし所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。高知県では除却が進んでいるため、空き家と空き地を同時に指定しておくと、取り壊し後の区画まで把握できます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

高知県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率の上昇分をそのまま期待値にする/増えたのは賃貸用などです。放置型は5年間ほぼ横ばいでした
  • 定期調査で対象が積み上がると考える/放置型が増えていない県では、待っても新しい対象は増えません
  • 数年前のリストをそのまま使う/総住宅数が1.0%減っています。すでに取り壊された物件が混ざっている可能性があります
  • 共同住宅を含めて発注する/この5年で増えた層を拾うことになります。仕入れが目的なら戸建てに絞ってください
  • 市全域をまとめて発注する/中山間地区や沿岸部は面積あたりの住宅数が少なくなります。集落単位で切ってください

高知県の対応エリア

県内は全11市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

高知市/室戸市/安芸市/南国市/土佐市/須崎市/宿毛市/土佐清水市/四万十市/香南市/香美市

よくあるご質問

すでに取り壊された物件かどうかも分かりますか?

現地を歩いて外観を確認するため、建物が現存しているかどうかを含めて記録します。取り壊し後の区画を把握したい場合は、「空き地(更地)」を調査項目に追加していただくと地図上で区別できます。

集落単位でも依頼できますか?

可能です。市全域ではなく町丁目や字の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。中山間地区や沿岸部を対象にする場合は、この切り方をおすすめしています。

調査対象を戸建てだけに限定できますか?

できます。高知県は住宅の約68%が一戸建てで、戸建てに絞ると拾ったもののほとんどが放置型になります。仕入れが目的の場合はこの指定が有効です。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。

まとめ

高知県の空き家率20.3%は全国5位ですが、上昇したのは賃貸用などの部分です。放置型は5万100戸でほぼ横ばい、割合も12.8%から12.9%へ0.1ポイント動いただけでした。前回の全国1位から2位へ下がったのは、鹿児島県や徳島県が急増して追いついてきたためです。

総住宅数も1.0%減っており、除却が新築を上回って進んでいます。放置型が増えず、住宅が減っていく県では、待つ戦略も古いリストも機能しません。いま現存している5万100戸のどれが、どの状態で残っているか。それを現地で確認することが出発点になります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、高知県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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