埼玉県の空き家調査|市町で12倍差がつく放置型の見極め方と費用

埼玉県の空き家調査|市町で12倍差がつく放置型の見極め方と費用

埼玉県の空き家率は9.3%で全国最低。しかも空き家数は5年間で1万5,800戸減り、減少率4.6%は47都道府県で最も大きい数字です。この2つだけを見れば、調査の対象になる県には見えません。

ところが内訳を開くと逆の動きが出てきます。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型の空き家は、12万4,100戸から13万5,800戸へ増加。実数で全国8位の規模です。減ったのは賃貸用の空き家であって、営業対象になりうる層は増えています。

さらに県内の市町を比べると、放置型が住宅総数に占める割合は最大で約12倍の開きがあります。県平均の9.3%という数字は、どの市町にも当てはまりません。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが埼玉県のどこを見るべきかを整理します。

この記事の結論

  • 埼玉県の空き家率は9.3%で全国最低。空き家数の減少率4.6%も全国で最大(令和5年)
  • ただし放置型の空き家は13万5,800戸へ増加し、実数は全国8位。減ったのは賃貸用の空き家
  • 一戸建ての空き家に限れば79.2%が放置型。戸建てを対象にすれば歩留まりは高い
  • 放置型の比率は市町で約12倍の差。県平均で判断するとエリア選定を誤る
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。住宅が密集する県では面積あたりの件数が多くなる

埼玉県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」の埼玉県結果による数値です。

項目 埼玉県 全国
総住宅数 355万5,100戸(全国5位) 6,504万6,700戸
2018年からの増減率 +5.0% +4.2%
空き家数 33万400戸(1万5,800戸減) 900万1,600戸
空き家率 9.3%(全国47位) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 13万5,800戸(3.8%) 385万6,000戸(5.9%)
同上の2018年からの増減 +1万1,700戸(増加) +36万9,000戸
1世帯当たりの住宅数 1.10戸(全国最低) 1.16戸

出典:埼玉県総務部統計課「令和5年住宅・土地統計調査結果 埼玉県分の概要」(2024年12月公表)。

減ったのは賃貸用、増えたのは放置型

県内の空き家33万400戸の内訳は、賃貸用が16万6,800戸(50.5%)、放置型が13万5,800戸(41.1%)、売却用が2万1,400戸(6.5%)、二次的住宅が6,300戸(1.9%)です。

この5年間で賃貸用は19万9,400戸から16万6,800戸へ3万2,600戸減りました。一方、放置型は12万4,100戸から13万5,800戸へ1万1,700戸増えています。空き家全体が減ったというニュースの中身は、賃貸市場の空室が埋まったという話であり、放置された住宅の問題はむしろ進んでいます。

一戸建ての空き家は、79.2%が放置型

空き家を建て方別に見ると、共同住宅が19万4,100戸(58.7%)、一戸建てが12万4,600戸(37.7%)です。ここまでは都市部の典型的な構成ですが、種類別に分けると様相が変わります。

共同住宅の空き家は78.1%が賃貸用ですが、一戸建ての空き家は79.2%にあたる9万8,700戸が放置型です。つまり調査対象を戸建てに限定すれば、拾った空き家のうち約8割が営業対象になりうる計算になります。外観からの判定が効きやすいのも一戸建てです。

県内で約12倍の差がついている

放置型の空き家が住宅総数に占める割合を市町別に見ると、県内の差は極端です。

順位 高い市町 割合 低い市町 割合
1 川島町 12.1% 川口市 1.0%
2 秩父市 10.8% 戸田市 1.5%
3 小川町 9.8% 八潮市 1.8%

上位と下位で約12倍の開きがあります。県平均の3.8%はこの中間を示すだけで、実際の調査計画には使えません。なお放置型の割合が3%以上となっている市町は28市13町にのぼり、前回調査から1市増えています。

一方、実数で見ると順位は入れ替わります。放置型の空き家数はさいたま市が2万100戸で最多、次いで川越市8,840戸、熊谷市7,530戸。率で選ぶか実数で選ぶかによって、候補エリアはまったく別のものになります

面積あたりの件数が、費用対効果を決める

土地調査の料金は調査面積に対する従量制です。つまり同じ費用でも、住宅が密集しているエリアほど拾える件数が多くなります。埼玉県は1世帯当たりの住宅数が1.10戸で全国最低、住宅の密度は全国有数です。

率が低いからと県ごと候補から外すのではなく、放置型の実数が厚い市の中で、密度の高い町丁目を切る。この順番で考えると、面積あたりの成果は地方部より高くなり得ます。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の実数が厚い市 戸建ての空き家に限定し、町丁目単位で範囲を切る
リフォーム・外壁塗装・太陽光 施工需要のある住宅の発掘 持ち家の築年数と設備の設置状況 「古家(居住中)」「太陽光未設置住宅」を調査項目に追加
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の比率が高い地区 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

太陽光の未設置住宅が大量に残っている

埼玉県で太陽光を利用した発電機器がある住宅は15万100戸。実数では愛知県に次いで全国2位で、5年間に3万3,100戸増えました。数字だけ見れば普及が進んでいるように読めます。

ところが設置割合で見ると4.7%で全国33位。持ち家に限っても6.8%にとどまります。実数が多いのは母数が大きいからであって、未設置の住宅は圧倒的多数として残っています。土地調査では「太陽光未設置住宅」を調査項目として指定でき、設置余地がありそうな住宅を現地で確認できます。統計では市町村単位までしか分からない情報を、町丁目単位まで落とせる領域です。

自治体は、率の高い町村部を優先する

県内で放置型の比率が高いのは川島町、秩父市、小川町など、県北部・西部の市町です。一方、昭和55年以前に建てられた住宅は県全体で50万2,900戸(15.7%)あり、前回調査の94.8%まで減少しています。古い住宅ストックは着実に取り壊されている一方で、残ったものに放置型が集中していく流れです。実態把握を目的とするなら、率の高い市町を町丁目単位で全域押さえる形が合います。

埼玉県のどの市町から調べるべきか、ご相談ください。

率で選ぶか実数で選ぶかによって候補は変わります。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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2023年の法改正で所有者の状況が変わった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

県内では65歳以上の単身世帯が38万7,700世帯(全国5位)で、5年間に7万7,900世帯増えました。そのうち70.3%が持ち家に住んでいます。相続が発生する住宅の母数が厚く、制度の影響を受ける物件も今後増えていくと考えられます。ただし所有者本人が改正内容を知っているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場、太陽光未設置住宅などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、都県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

埼玉県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 「空き家率が全国最低だから対象がない」と判断する/減っているのは賃貸用の空き家です。放置型は増えており、実数は全国8位です
  • 県平均の数字でエリアを決める/放置型の比率は市町で約12倍の差があります。県平均はどの市町の実態も表していません
  • 率だけで候補地を選ぶ/実数ではさいたま市・川越市・熊谷市が上位です。目的が仕入れなら実数も併せて見てください
  • 共同住宅を含めて発注する/一戸建ての空き家は79.2%が放置型ですが、共同住宅は78.1%が賃貸用です。戸建てに絞ったほうが歩留まりは上がります
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

埼玉県の対応エリア

県内は全40市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

さいたま市/川越市/熊谷市/川口市/行田市/秩父市/所沢市/飯能市/加須市/本庄市/東松山市/春日部市/狭山市/羽生市/鴻巣市/深谷市/上尾市/草加市/越谷市/蕨市/戸田市/入間市/朝霞市/志木市/和光市/新座市/桶川市/久喜市/北本市/八潮市/富士見市/三郷市/蓮田市/坂戸市/幸手市/鶴ヶ島市/日高市/吉川市/ふじみ野市/白岡市

よくあるご質問

さいたま市内の一部の区だけでも依頼できますか?

可能です。区単位はもちろん、町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

調査対象を戸建てだけに限定できますか?

できます。埼玉県では一戸建ての空き家の約8割が放置型のため、仕入れが目的の場合は戸建てに限定したほうが歩留まりが上がります。条件はヒアリング時にお伺いします。

太陽光の設置余地がある住宅も調べられますか?

「太陽光未設置住宅」を調査項目として指定いただければ、設置余地がありそうな住宅を現地で確認・報告します。他の調査項目と同時に指定することも可能です。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

都内と埼玉県をまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、都県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。

まとめ

埼玉県の空き家率9.3%は全国最低で、空き家数の減少率も全国で最大です。しかし減ったのは賃貸用の空き家であり、放置型は13万5,800戸まで増えました。実数は全国8位。一戸建てに限れば空き家の79.2%が放置型で、戸建てを対象にすれば歩留まりの高いリストになります。

問題は、県平均が使えないことです。放置型の比率は市町で約12倍の差があり、率で見るか実数で見るかによって候補も入れ替わります。調査費用は面積に対する従量制なので、住宅が密集する埼玉県では範囲の切り方次第で面積あたりの成果が大きく変わります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、埼玉県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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