宮城県の空き家調査|増えたのは賃貸用という県での絞り込み方

宮城県の空き家調査|増えたのは賃貸用という県での絞り込み方

宮城県の空き家は14万戸。前回調査から9,500戸、7.3%増えて過去最高になりました。空き家率も12.4%へ0.4ポイント上昇しています。

ところが賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は、5万1,800戸で1,400戸の増加にとどまりました。増加率は2.8%。同じ5年間に全国の放置型は10.6%増えていますから、およそ4分の1のペースです。

つまり宮城県で増えた空き家の大半は、賃貸用など市場に出ている住宅だということになります。空き家に占める放置型の割合も37.0%で、全国の42.8%を下回ります。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが宮城県で対象をどう絞るべきかを整理します。

この記事の結論

  • 宮城県の空き家は14万戸で過去最高。空き家率12.4%は全国13.8%を1.4ポイント下回る(令和5年)
  • 放置型は5万1,800戸で増加率2.8%。全国10.6%のおよそ4分の1のペース
  • 空き家に占める放置型の割合は37.0%で全国42.8%を下回る。増えたのは賃貸用など
  • 一戸建ての割合55.2%、持ち家住宅率60.0%はいずれも東北6県で最も低い
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

宮城県の空き家を数字で確認する

宮城県が公表した令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。

項目 宮城県 全国
総住宅数 112万9,200戸(+3.7%) 6,504万6,700戸(+4.2%)
総世帯数 99万2,800世帯
1世帯当たりの住宅数 1.14戸 1.16戸
空き家数 14万戸(+9,500戸・+7.3%) 900万2,000戸(+6.0%)
空き家率 12.4%(+0.4pt) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 5万1,800戸(4.6%・+2.8%) 385万6,000戸(5.9%・+10.6%)
同上が空き家に占める割合 37.0% 42.8%
住宅に占める一戸建ての割合 55.2% 52.7%

出典:宮城県「令和5年住宅・土地統計調査 宮城県の結果概要」、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」。

増えた9,500戸のうち、放置型は1,400戸

空き家全体は9,500戸増えましたが、そのうち放置型は1,400戸。残る約8,100戸は賃貸用や売却用など、市場に出ている住宅です。総住宅数も3.7%増えており、供給された住宅の一部がそのまま空室になっている構図が読み取れます。

この違いは実務に直結します。空き家率の上昇を「調査対象が増えた」と読むと、実態から外れます。増えているのは募集中の物件であって、放置された住宅ではないということです。

統計の時系列に注意が必要な県でもある

宮城県の空き家数は、平成20年調査まで一貫して増加していましたが、平成25年調査では東日本大震災の影響で大幅に減少しました。その後、平成30年調査から再び増加に転じ、今回過去最高を更新しています。

県の資料もこの経緯を明記しています。他県のように「一貫して増え続けてきた」という前提で長期の推移を読むと、判断を誤る県だということです。過去との比較を行う場合は、どの調査年を起点にするかで結論が変わります。

東北6県のなかで、宮城だけ構造が違う

宮城県の住宅の構成は、周囲の県とはっきり異なります。

一戸建ての割合 持ち家住宅率 空き家率
秋田県 79.4% 77.1% 15.8%
山形県 76.1% 75.0% 13.5%
青森県 75.3% 71.4% 15.0%
岩手県 72.2% 70.3% 16.7%
福島県 70.6% 68.3% 15.2%
宮城県 55.2% 60.0% 12.4%

一戸建ての割合は、東北の他5県がいずれも70%を超えるなかで、宮城県だけ55.2%。持ち家住宅率60.0%も、次に低い福島県より8ポイント以上低い数字です。東北で唯一、全国平均に近い都市型の構成だといえます。

放置型の割合でも同様です。宮城県の4.6%に対し、秋田県10.0%、青森県9.9%、岩手県9.4%、山形県7.9%、福島県6.8%。東北全域に営業エリアを持つ企業が、宮城県の数字を基準にすると、他県の件数を大きく見誤ります

宮城県では、絞り込みの優先度が最も高い

空き家14万戸のうち、放置型は37.0%。逆にいえば、条件を付けずに空き家を調査すると、拾ったもののおよそ6割は募集中の賃貸物件などになります。

一戸建ての割合が55.2%と東北で最も低いことも重なります。調査項目を戸建てに限定する必要が、東北のどの県よりも高いのが宮城県です。共同住宅を範囲に含めるかどうかで、リストの中身が大きく変わります。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の分布と一戸建ての集積 戸建てに限定し、共同住宅を範囲から外す
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 持ち家の築年数と外観の傷み 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 腐朽・破損のある空き家の分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

県内も一様ではない

県全体では都市型の数字が出ていますが、これは県人口の多くが仙台市に集中していることの反映でもあります。県北部や沿岸部、内陸の市町では、住宅の構成も空き家の性格も変わります。

「宮城県で」あるいは「仙台市で」という単位では、発注条件としてまだ粗すぎます。仙台市は5つの区に分かれており、区によって住宅の集まり方が異なります。町丁目単位まで下げた範囲指定が、結果の精度を左右します。

リフォームは持ち家の実数で見る

持ち家住宅率60.0%は東北で最も低い数字ですが、総住宅数が112万9,200戸と東北最大であるため、持ち家の実数そのものは十分にあります。率の低さを「対象が薄い」と読むのは正確ではありません。

施工需要を探す場合、対象は空き家ではなく居住中の築古住宅です。空き家率も放置型の割合も、この用途ではエリア選定の根拠になりません。「古家(居住中)」を調査項目として指定し、築年数相当の住宅を町丁目単位で地図に落とす形が実務に合います。

共同住宅を除いた宮城県のリスト、お出しできます。

戸建てに限定した調査や、居住中の築古住宅を対象にした調査にも対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

宮城県は放置型の増加が緩やかですが、実数では5万1,800戸あり過去最高です。増え方が穏やかであることと、既存のストックが少ないことは別の話です。調査で特定した地番から所有者事項を取得し、現況とあわせて確認する手順が確実です。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。宮城県では共同住宅の比率が高いため、対象を指定する段階で条件を明確にしておくと歩留まりが変わります。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

宮城県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家の増加分をそのまま期待値にする/9,500戸増えたうち放置型は1,400戸です。増えたのは賃貸用などです
  • 共同住宅を含めて発注する/空き家の6割超は放置型以外です。戸建てに絞る必要が東北で最も高い県です
  • 宮城県の数字で東北全域を見積もる/放置型の割合は他5県の半分以下です。県ごとに条件が違います
  • 長期の推移をそのまま読む/平成25年調査は震災の影響で数値が大きく動いています。起点の取り方で結論が変わります
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

宮城県の対応エリア

県内は全14市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

仙台市/石巻市/塩竈市/気仙沼市/白石市/名取市/角田市/多賀城市/岩沼市/登米市/栗原市/東松島市/大崎市/富谷市

よくあるご質問

共同住宅を除いて調査できますか?

できます。宮城県は空き家に占める放置型の割合が37.0%にとどまるため、仕入れが目的の場合は戸建てに限定したほうが歩留まりが上がります。条件はヒアリング時にお伺いします。

仙台市の特定の区だけでも依頼できますか?

可能です。区単位はもちろん、町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

積雪期でも調査は実施できますか?

地域によります。内陸部や山沿いでは積雪により外観から得られる情報が減るため、初回は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

東北の複数県をまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。県ごとの件数と中身を比較したい場合にもご利用いただけます。

まとめ

宮城県の空き家は14万戸で過去最高になりましたが、増えた9,500戸のうち放置型は1,400戸にとどまります。増加率2.8%は全国10.6%のおよそ4分の1。空き家に占める放置型の割合も37.0%で全国を下回ります。

加えて一戸建ての割合55.2%、持ち家住宅率60.0%は、いずれも東北6県で最も低い数字です。条件を付けずに空き家を調査すれば、拾ったもののおよそ6割は募集中の賃貸物件などになります。戸建てに限定する、町丁目まで範囲を下げる。この2つを先に決めておくかどうかで、リストの使いやすさが変わります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、宮城県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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