愛媛県の空き家調査|放置型が全国4位に上がった県での絞り方

愛媛県の空き家調査|放置型が全国4位に上がった県での絞り方

愛媛県の空き家は14万5,600戸で過去最多。空き家率19.8%も過去最高で、前回から1.6ポイント上昇しました。

注目すべきは順位の動きです。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は9万100戸。総住宅数に占める割合は12.2%で、前回の全国6位から4位へ上がりました。全国平均5.9%のおよそ2倍です。

順位が上がったということは、全国のどの県よりも速いペースで積み上がっているということです。しかも空き家全体に占める放置型の割合は61.9%。愛媛県で空き家を調査すると、6割以上が市場に出てこない住宅になります。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが愛媛県で対象をどう絞るべきかを整理します。

この記事の結論

  • 愛媛県の空き家は14万5,600戸で過去最多、空き家率19.8%も過去最高(令和5年)
  • 放置型は9万100戸、総住宅数の12.2%で全国6位から4位へ上昇
  • 空き家に占める放置型は61.9%。全国平均42.8%を大きく上回る
  • 市町別では西予市の放置型率が24.7%と県平均の2倍。宇和島市は5年で6.5ポイント上昇
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

愛媛県の空き家を数字で確認する

愛媛県が公表した令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。

項目 愛媛県 全国
総住宅数 73万6,800戸(+3.2%) 6,504万7,000戸(+4.2%)
空き家数 14万5,600戸(+1万5,800戸・過去最多) 900万2,000戸
空き家率 19.8%(+1.6pt・過去最高) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 9万100戸(12.2%・全国4位) 385万6,000戸(5.9%)
同上の全国順位 4位(前回6位)
同上が空き家に占める割合 61.9% 42.8%
住宅に占める共同住宅の割合 30.6%(過去最高) 44.9%

出典:愛媛県「令和5年住宅・土地統計調査結果の概要」。人口1万5千人未満の5町(上島町・久万高原町・伊方町・松野町・鬼北町)は結果が表章されていません。

空き家の61.9%が放置型

空き家14万5,600戸のうち、放置型が9万100戸。空き家全体の61.9%を占めます。全国では42.8%ですから、19ポイント以上高い水準です。

共同住宅の割合は30.6%で過去最高になりましたが、全国平均44.9%と比べればまだ低い水準です。賃貸の空室が空き家の大半を占める都市部とは、調査で得られるリストの性格が根本的に違います

順位が6位から4位へ上がった

放置型の割合が全国4位へ上がったという事実は、単に数字が増えたということ以上の意味を持ちます。全国のどの県も放置型を増やしているなかで、愛媛県はそれを上回るペースで増やしたということだからです。

空き家率19.8%の順位は前回・今回とも全国7位で変わっていません。しかし中身に絞ると順位が上がる。実態はより深く進んでいます。

市町別では県平均の2倍の差がある

県が公表している市町別の数字を見ると、県内の差がはっきりします。

市町 空き家率 放置型の割合
西予市 28.4%(県内1位) 24.7%(県内1位)
宇和島市 27.3%(県内2位) 5年で6.5ポイント上昇(県内最大)
愛媛県平均 19.8% 12.2%

西予市の放置型率24.7%は、県平均12.2%のちょうど2倍。空き家率でも28.4%と県平均を8.6ポイント上回ります。

宇和島市は5年で6.5ポイント上昇

県内で放置型の割合が最も大きく上昇したのは宇和島市で、5年間に6.5ポイント。県全体の上昇幅を大きく超える動きです。

5年前のデータで宇和島市を判断していた場合、現状とは相当ずれます。市町単位で数字を確認し直してから範囲を決めてください。

状態は現地で確認する必要がある

愛媛県では、高齢者が住む住宅の一定のバリアフリー化率が42.3%で全国42位。全国平均45.5%を下回ります。高度のバリアフリー化率8.0%も全国43位です。

設備面での手入れが全国平均に届いていない県では、世帯がいなくなった後の住宅の状態にも影響が出ます。統計上は同じ「空き家」でも、そのまま流通に乗せられるものと、解体を前提に話をするものが混ざります。この違いは外観を見なければ判断できません。土地調査では、調査員が対象エリアを歩いて一軒ずつ状態を記録します。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の割合が高い市町 戸建てに限定し、状態別の記録を依頼する
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 居住中の持ち家と設備の状況 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の上昇幅が大きい地区 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォームは未施工層が厚い

バリアフリー化率が全国42位ということは、裏を返せば設備面での提案余地が全国でも大きい県だということです。島根県のように改修が行き渡った県では未施工層を探すこと自体が難しくなりますが、愛媛県はその逆にあたります。

対象は空き家ではなく、居住中の築古住宅です。空き家率や放置型の割合はこの用途では判断材料になりません。「古家(居住中)」を調査項目として指定し、外観の状態を記録しておけば、優先順位もそのままつけられます。

県内は都市部・平野部・南予で分かれる

松山市を中心とする都市圏、今治市・新居浜市・西条市・四国中央市といった東予の工業都市、そして宇和島市・西予市を含む南予地域。1つの県に性格の違う市場が並んでいます

調査費用は面積に対する従量制のため、住宅がまばらな地域を市全域で発注すると割高になります。南予や島しょ部を対象にする場合は、集落単位まで範囲を絞り込むほうが費用対効果が上がります。

市町を指定して、1地区からお出しできます。

放置型の割合が高い地域を選べば、条件指定を減らしても歩留まりが上がります。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

愛媛県では放置型が9万100戸、総住宅数の12.2%にのぼります。全国平均のおよそ2倍の密度で、制度の影響を受けうる住宅が存在しているということです。所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

愛媛県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 5年前のデータで市町を判断する/宇和島市は放置型の割合が5年で6.5ポイント上昇しました。順位も動いています
  • 県平均12.2%でエリアを判断する/西予市は24.7%と県平均の2倍です。市町単位で確認してください
  • 建物の状態を記録項目に入れない/設備面での手入れが全国平均を下回る県です。状態にばらつきが出ます
  • 市全域をまとめて発注する/南予や島しょ部は面積あたりの住宅数が少なくなります。集落単位で切ってください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

愛媛県の対応エリア

県内は全11市を中心に対応しています。町についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。島しょ部も対応可能です。

松山市/今治市/宇和島市/八幡浜市/新居浜市/西条市/大洲市/伊予市/四国中央市/西予市/東温市

よくあるご質問

建物の傷み具合まで記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で状態を記録します。屋根や外壁の劣化といった項目に分けて記録することも可能です。どの粒度が必要かはヒアリング時にお伺いします。

市町を指定して依頼できますか?

可能です。市町単位はもちろん、町丁目や集落の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

島しょ部も調査対象にできますか?

対応しています。渡航を伴う場合は日程の組み方が本土とは異なります。対象範囲と件数を伺ったうえで実施方法をご提案します。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

まとめ

愛媛県の空き家は14万5,600戸で過去最多、空き家率19.8%も過去最高です。そして放置型は9万100戸、総住宅数の12.2%で全国6位から4位へ上がりました。他県も増えているなかで順位が上がったということは、それを上回る速さで積み上がっているということです。

空き家に占める放置型の割合は61.9%。条件を付けずに調査しても6割以上が対象になりうる県です。ただし市町の差は大きく、西予市は県平均の2倍、宇和島市は5年で6.5ポイント上昇しました。県平均ではなく市町単位の数字を見て、建物の状態を記録項目に入れる。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、愛媛県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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