沖縄県の空き家調査|空き家が20年ぶりに減った県での対象の選び方

沖縄県の空き家調査|空き家が20年ぶりに減った県での対象の選び方

沖縄県の空き家率は9.4%。埼玉県に次いで全国で2番目に低い数字です。しかも2018年から空き家数そのものが2,500戸減っており、空き家率の低下は20年ぶりでした。全国の空き家が過去最多を更新するなかでの動きです。

この数字を見て「沖縄県では空き家調査は成り立たない」と考えるのは早いのですが、他県と同じ発想で発注すると空振りするのも事実です。沖縄県は持ち家住宅率42.6%で全国最低、共同住宅の割合60.9%で全国2位、非木造が96.5%。住宅の持ち方も建て方も、全国の平均像とは別物です。

この記事では、令和5年住宅・土地統計調査の県内結果をもとに、沖縄県で土地調査を使うなら何を対象にすべきかを、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれの立場から整理します。

この記事の結論

  • 沖縄県の空き家率は9.4%で全国46位。空き家数・空き家率とも2018年から減少し、低下は20年ぶり(令和5年)
  • 総住宅数は5年で7.2%増と全国1位。ただし総世帯数は9.5%増で、住宅の伸びを上回っている
  • 持ち家住宅率42.6%は全国最低。現住居の敷地を所有している世帯も26.9%(全国47.1%)にとどまる
  • そのため沖縄県では空き家より、空き地・古アパート・古家(居住中)のほうが対象として成立しやすい
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

沖縄県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」の沖縄県結果による数値です。

項目 沖縄県 全国
総住宅数 69万9,400戸 6,504万7千戸
2018年からの増減率 +7.2%(全国1位) +4.2%
総世帯数の増減率 +9.5%
空き家数 6万5,400戸(2,500戸減) 900万2千戸
空き家率 9.4%(全国46位) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 約2万8千戸(4.0%) 約385万6千戸(5.9%)
持ち家住宅率 42.6%(全国最低) 60.9%
住宅に占める共同住宅の割合 60.9%(全国2位) 44.9%
非木造の割合 96.5% 46.0%

出典:沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」(2025年3月公表)。

空き家が減ったのは20年ぶり

沖縄県の空き家率は1998年に11.1%まで上がり、当時は全国とほぼ同じ水準でした。その後、全国が上昇を続けたのに対して沖縄県は横ばいに転じ、令和5年は9.4%まで下がっています。

放置型に絞っても、総住宅数に対する割合は4.0%で、2018年の4.1%からわずかに下がりました。空き家の増加を前提にした話が、この県では成り立ちません

住宅は増えているが、世帯はもっと増えている

総住宅数は5年間で4万6,800戸増え、増加率7.2%は全国1位です。しかし総世帯数は5万4,800世帯増えており、伸び率9.5%は住宅を上回ります。

その結果、1世帯当たりの住宅数は1.10戸で、全国の1.16戸を下回りました。供給が需要に追いついていない状態であり、空き家が積み上がる余地が構造的に小さいということです。裏を返せば、住宅を建てる場所への需要は続いています。

全国と最も違うのは、土地と建物の持ち方

沖縄県の特徴が最もはっきり出るのは、空き家の数字ではなく所有の数字です。

項目 沖縄県 全国
持ち家住宅率 42.6% 60.9%
借家住宅率 50.7% 35.0%
現住居の敷地を所有している世帯 26.9% 47.1%
住宅に占める一戸建ての割合 37.4% 52.7%

持ち家住宅率は1973年の68.2%から50年間で25.6ポイント下がり、令和5年は全国最低の42.6%です。さらに、住んでいる家の敷地を所有している世帯は26.9%にとどまり、全国平均を20.2ポイント下回ります。

実務上の意味は明確です。建物の所有者と土地の所有者が別であるケースが、他県より相当に多いということになります。調査で地番を割り出して所有者情報を取得する際も、この前提を織り込んでおく必要があります。

高齢単身世帯が5年で45%増えている

県内の高齢単身世帯は8万世帯。2018年の5万5,200世帯から2万4,800世帯増えました。増加率にすると約45%です。高齢者のいる世帯に占める割合も34.9%と過去最高になっています。

ただし、そのうち47.4%は借家に住んでいます。高齢単身世帯の増加が、そのまま持ち家の空き家予備軍にはならないのが沖縄県の特徴です。他県で通用する「高齢世帯の持ち家=将来の空き家」という読み方は、ここでは半分しか当たりません。

では、沖縄県で何を調べるか

空き家が減り、持ち家が少なく、共同住宅が6割を占める。この条件下で成果につながる調査対象は、他県とは変わります。

立場 主な目的 優先すべき調査対象 指定するとよい条件
不動産会社 用地の確保、収益物件の発掘 空き地(更地)、古アパート 空き家より空き地・古アパートを主軸に、駐車場も含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある建物の発掘 古家(居住中)、古アパート 非木造前提で、外壁の状態を記録する条件を指定
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 腐朽・破損のある建物、離島部の実態 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

不動産会社は、空き家より空き地と古アパート

世帯の伸びが住宅の伸びを上回っている以上、用地の需要は続いています。空き家を探すより、まだ建物が建っていない土地や、低利用のまま残っている区画を地図に落とすほうが実務に合います。土地調査では空き地(更地)や駐車場を調査項目に指定できます。

もう一つが古アパートです。県内の共同住宅は38万1,800戸で、30年間で約2.4倍に増えました。このうち1971年から1980年に建てられた共同住宅が2万9,100戸あります。築45年前後に差しかかった賃貸ストックが、まとまった規模で存在するということです。建替えやオーナーチェンジの提案先として、現地で状態を確認する価値があります。

リフォーム・外壁塗装は、非木造が前提になる

沖縄県の住宅の96.5%は非木造で、その大半が鉄筋・鉄骨コンクリート造です。全国の非木造比率は46.0%なので、まったく別の市場だと考えたほうがよいでしょう。

外観から劣化を判断する際の着眼点も、木造とは変わります。調査を依頼する側が「何を見て記録してほしいか」を先に伝えておく必要があるのはこのためです。屋根の状態なのか、外壁の塗膜なのか、共用部なのか。目的に応じて記録項目を決めてから発注してください。

空き家以外の対象も、同じ調査で押さえられます。

空き地、古アパート、駐車場、古家(居住中)などを組み合わせて指定できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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2023年の法改正と、県内の地域差

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

県全体では空き家が減っていますが、地域差はあります。同調査の市区町村別データでは、県内で空き家率が最も高いのは宮古島市で約15%。那覇都市圏と離島部では、住宅市場の動き方が異なります。

県全体の数字だけで市町村を判断しないという点は、空き家が少ない県でも変わりません。なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれるため、具体的な課税や勧告の可否については所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。沖縄県の場合、空き家単独ではなく空き地や古アパートと組み合わせて指定すると、1回の調査で拾える件数が増えます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、離島を含む調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(用地確保/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する土地・建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

沖縄県で土地調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家だけを調査項目に指定する/空き家率9.4%の県では件数が伸びません。空き地・古アパートと組み合わせてください
  • 建物の所有者=土地の所有者だと想定する/現住居の敷地を所有している世帯は26.9%です。所有関係の確認手順を先に決めておいてください
  • 木造前提の判断基準で外観を見る/県内の96.5%は非木造です。何を劣化のサインとして記録するかを事前に指定してください
  • 離島部を本島と同じ感覚で見積もる/実施は可能ですが、渡航や日程の組み方が変わります。範囲に含める場合は早めにご相談ください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

沖縄県の対応エリア

県内は全11市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。離島部も対応可能です。

那覇市/宜野湾市/石垣市/浦添市/名護市/糸満市/沖縄市/豊見城市/うるま市/宮古島市/南城市

よくあるご質問

空き家以外も調査対象にできますか?

できます。空き地(更地)、古アパート、駐車場、古家(居住中)、倉庫・工場などを調査項目として指定いただけます。複数を同時に指定し、地図上で色分けして納品することも可能です。

離島も調査対象にできますか?

対応しています。渡航を伴うため日程の組み方が本島とは異なります。対象範囲と件数を伺ったうえで実施方法をご提案します。

那覇市内の一部エリアだけでも依頼できますか?

可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

建物と土地の所有者が違う場合も調べられますか?

調査で特定した地番をもとに登記情報から所有者事項を取得します。建物と土地で所有者が異なる場合の扱いについては、必要な情報をヒアリング時にご相談ください。

自治体の実態把握にも使えますか?

ご利用いただいています。町丁目単位で調査し、状態別に分類したうえで地図上に可視化する形での納品に対応しています。

まとめ

沖縄県は、空き家が20年ぶりに減った県です。空き家率9.4%は全国46位で、放置型に絞っても4.0%と全国平均を下回ります。他県で使っている「空き家が増えているから調べる」という前提は、この県では通用しません。

一方で、世帯の伸びが住宅の伸びを上回り、共同住宅が6割を占め、持ち家住宅率と敷地所有率はいずれも全国最低水準。つまり動いているのは空き家ではなく、土地と賃貸ストックのほうです。空き地、古アパート、古家(居住中)を組み合わせて指定すれば、1回の調査で拾える件数は大きく変わります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、沖縄県の現地データをお出しします。

用地の確保、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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