長野県の空き家調査はどこから|別荘を除く9万2千戸の絞り込み方

長野県の空き家調査はどこから|別荘を除く9万2千戸の絞り込み方

長野県の空き家率は20.1%。全国平均13.8%を6ポイント以上上回り、47都道府県で6番目の高さです。この数字を見て「長野県は調べれば対象が出てくる県だ」と考えるのは、半分正しく、半分は危険です。

長野県の空き家20万7千戸のうち、26.9%にあたる5万6千戸は別荘などの二次的住宅です。二次的住宅の戸数は全国で最も多く、しかもその半分以上が軽井沢町と茅野市の2市町に集中しています。県全体の空き家率だけを根拠に調査エリアを決めると、営業対象にならない別荘地を歩くことになりかねません。

この記事では、令和5年住宅・土地統計調査をもとに長野県の空き家の中身を分解したうえで、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが見るべき数字と、調査範囲の絞り込み方を整理します。

この記事の結論

  • 長野県の空き家率は20.1%で全国6位。ただし空き家の26.9%は別荘などの二次的住宅(令和5年)
  • 二次的住宅の戸数は全国最多の5万6千戸。うち半分以上が軽井沢町・茅野市の2市町に集中している
  • 一方で放置型の空き家は9万2千戸、5年で約10%増。総住宅数に対する比率は全国平均を大きく上回る
  • つまり「空き家率が高い市町村」と「調査対象が多い市町村」は一致しない。別荘を除いて見る必要がある
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

長野県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査(住宅及び世帯に関する基本集計・確報集計)」による数値です。

項目 長野県 全国
総住宅数 約103万8千戸 約6,504万7千戸
2018年からの増減率 約+3% +4.2%
空き家数 約20万7千戸 約900万2千戸
空き家率 20.1%(全国6位) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 約9万2千戸 約385万6千戸
同上が総住宅数に占める割合 約8.9% 5.9%
空き家に占める二次的住宅の割合 26.9%(5万6千戸・全国最多)

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024年9月公表)。県内の二次的住宅の内訳は、茅野市「令和5年住宅・土地統計調査結果の概要」による集計。

空き家率20.1%の4分の1以上は別荘

住宅・土地統計調査は、普段人が住んでいない住宅をすべて「空き家」として数えます。別荘やセカンドハウスも例外ではありません。軽井沢、蓼科、白馬といった別荘地を抱える長野県では、この定義がそのまま空き家率を押し上げます。

県内の二次的住宅5万6千戸は、2位の静岡県3万8千5百戸、3位の千葉県2万1千9百戸を大きく引き離す全国最多です。長野県の空き家率が全国上位に並ぶ理由の相当部分は、別荘の多さで説明できます。全国平均との差をそのまま「放置空き家の多さ」と読み替えると、判断を誤ります。

それでも放置型の空き家は9万2千戸ある

ただし、別荘を除いた後の数字が小さいわけではありません。賃貸にも売却にも出ておらず、別荘でもない、いわゆる放置型の空き家は約9万2千戸。2018年から約10%増えています。

総住宅数に対する比率は約8.9%で、全国平均の5.9%を3ポイント上回ります。別荘の影響を差し引いてもなお、長野県は放置型の空き家が全国平均より厚く積み上がっている県です。対象がないのではなく、対象と対象でないものが同じ「空き家」という言葉の中に混在している、というのが正確な理解になります。

長野県で最初に切り分けるべき2つの数字

  • 空き家率:別荘を含む。県の順位や市町村ランキングはこの数字で作られていることが多い
  • 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家:営業対象になりうる放置型。エリア選定はこちらで見る

市町村別の資料を見るときも、どちらの数字なのかを必ず確認してください。長野県では、この2つで市町村の並び順が入れ替わります。

「空き家が多い市町村」と「調査対象が多い市町村」は一致しない

県内で空き家率が最も高いのは軽井沢町で、約70%に達します。数字だけを見れば県内で最も空き家が多い自治体ですが、その空き家の89.6%は二次的住宅です。茅野市も空き家率41.5%と高い一方、二次的住宅の割合は74.6%を占めます。

この2市町の二次的住宅を合わせると3万戸を超え、県全体の二次的住宅の54.7%に相当します。県内の別荘の半分以上が、この2市町に集まっているということです。

一方、放置型の空き家の比率で並べ替えると、上位に来る顔ぶれは変わります。同調査の市区町村別データでは、放置空き家の比率が最も高いのは辰野町で約18%です。空き家率のランキングでは目立たない自治体が、放置型で見ると上位に来る。長野県ではこの入れ替わりが特に大きく起こります。

見る数字 上位に来る自治体の性格 調査した場合に出てくるもの
空き家率 別荘地を抱える市町村 管理された別荘が多く、営業対象は限られる
放置型の空き家比率 人口減少が先行した中山間・旧市街 所有者が県外にいる相続物件などが中心

調査を発注する前に、候補エリアをどちらの数字で選んだのかを確認しておくと、リストの中身に対する見込み違いを防げます。

目的によって、長野県で見るべき数字は変わる

空き家調査の使い道は一つではありません。同じ長野県内でも、目的が違えば選ぶエリアも、調査で指定すべき条件も変わります。

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の空き家の実数 戸建てに限定し、二次的住宅の多い地区を範囲から外す
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 居住中の住宅の築年数と外観の傷み 空き家に加えて「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 腐朽・破損のある空き家の分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォームや外壁塗装が目的の場合、対象は空き家ではありません。人が住んでいる築古の戸建てこそが本命であり、統計上の空き家率とはほぼ関係がなくなります。この場合は空き家調査ではなく、居住中の古家を対象にした調査項目を組む形になります。

自治体の場合は、そもそも網羅性が求められます。営業効率のためにエリアを絞るのではなく、町丁目単位で全域を押さえたうえで、状態別に分類して地図に落とす形が実務に合います。

長野県のどの地区から調べるべきか、ご相談ください。

別荘の多い地区を除いた範囲設定にも対応しています。
目的とエリアを伺ったうえで、調査範囲と費用感をご提案します。

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2023年の法改正で所有者の状況が変わった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

長野県の場合、放置型の空き家の所有者が県外に住んでいるケースが少なくありません。相続したものの現地に戻る予定がなく、管理が行き届かないまま年数が経つという流れです。遠方にいる所有者ほど、建物の劣化も制度の変化も把握していないと考えたほうが実態に近いでしょう。

裏を返せば、状況を正確に伝える相手が現れたときに動きやすい所有者でもあります。ただし制度の適用は個別の判断によるため、具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。別荘地を範囲から外す設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

長野県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 県の空き家率を根拠にエリアを決めてしまう/長野県では別荘の影響が大きく、率の高い地区ほど営業対象が少ないことがあります
  • 市町村ランキングをそのまま使う/どの数字で作られた順位かを確認しないと、別荘地を上位として選んでしまいます
  • 市全体をまとめて発注する/従量制のため範囲が広がるほど費用が増えます。まず1〜2地区で実施し、結果を見て広げるほうが判断しやすくなります
  • 積雪期に初回調査を入れる/雪が積もると外観から得られる情報が減ります。初回は雪のない時期をおすすめしています
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

長野県の対応エリア

県内は全19市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

長野市/松本市/上田市/岡谷市/飯田市/諏訪市/須坂市/小諸市/伊那市/駒ヶ根市/中野市/大町市/飯山市/茅野市/塩尻市/佐久市/千曲市/東御市/安曇野市

よくあるご質問

別荘を除いて調査することはできますか?

可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。目的をお伺いしたうえでご提案します。

町村単位でも依頼できますか?

対応しています。市単位はもちろん、町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定が可能です。「この集落だけ」といった指定にもご相談ください。

冬季でも調査は実施できますか?

実施自体は可能ですが、積雪により外観から得られる情報が減ります。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

自治体の実態把握にも使えますか?

ご利用いただいています。町丁目単位で空き家を調査し、状態別に分類したうえで地図上に可視化する形での納品に対応しています。

まとめ

長野県の空き家率20.1%という数字は、そのままでは調査エリアの判断材料になりません。空き家の26.9%が別荘であり、その半分以上が軽井沢町と茅野市に集中しているためです。率の高さを根拠に発注すると、管理された別荘のリストが手元に残ることになります。

見るべきは、賃貸にも売却にも出ていない放置型の空き家9万2千戸のほうです。総住宅数に対する比率は全国平均を3ポイント上回っており、対象そのものは十分にあります。まずは目的をはっきりさせ、1〜2地区に絞って実施し、出てきたリストの中身を見てから範囲を広げる。長野県ではこの順序が特に効きます。

別荘を除いた長野県の空き家データ、1地区からお出しできます。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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