福井県の空き家調査|空き家と空き地を同時に押さえる判断基準

福井県の空き家は5万3,100戸。前回調査の4万5,000戸から8,100戸、18.0%増えて過去最多になりました。空き家率も15.6%と1.8ポイント上昇しています。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は2万8,900戸で、5,100戸の増加。総住宅数に対する割合は8.5%です。
ここまでは、空き家が増えている他県と同じ構図です。福井県が違うのは、土地の持ち方にあります。現住居の敷地以外に宅地を所有している世帯の割合は15.5%で、47都道府県のうち最も高い数字です。全国平均は8.0%ですから、およそ2倍にあたります。
さらに、その所有地の87.1%は自分が住んでいる市区町村と同じ場所にあります。これも全国1位です。調査対象になる土地が多く、しかもその所有者が近くに住んでいる。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが福井県で何を押さえるべきかを整理します。
この記事の結論
- 福井県の空き家は5万3,100戸で18.0%増、空き家率15.6%も1.8ポイント上昇して過去最多(令和5年)
- 放置型は2万8,900戸で総住宅数の8.5%。空き家の54.4%を占める
- 現住居の敷地以外に宅地を所有する世帯は15.5%で全国1位。全国平均8.0%の約2倍
- その所有地の87.1%が同じ市区町村内(全国70.9%)。所有者が近くにいる
- 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。空き家と空き地を同時に指定できる
記事の目次
福井県の空き家を数字で確認する
福井県が公表した令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。
| 項目 | 福井県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 34万1,400戸(+1万6,000戸・+4.9%) | 6,504万7,000戸(+4.2%) |
| 空き家数 | 5万3,100戸(+8,100戸・+18.0%) | 900万2,000戸(+6.0%) |
| 空き家率 | 15.6%(+1.8pt) | 13.8% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 2万8,900戸(8.5%・+5,100戸) | 385万6,000戸(5.9%) |
| 同上が空き家に占める割合 | 54.4% | 42.8% |
| 一戸建率 | 74.7%(全国4位) | 52.7% |
| 持ち家住宅率 | 73.5%(全国7位) | 60.9% |
出典:福井県「令和5年住宅・土地統計調査 住宅および世帯に関する基本集計・土地集計 福井県の結果」、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」。
空き家の54.4%が放置型
空き家5万3,100戸のうち、放置型が2万8,900戸で54.4%を占めます。全国では42.8%ですから、11ポイント以上高い水準です。福井県で空き家を調査すると、その半分以上が市場に出てこない住宅になります。
一戸建率74.7%は秋田・山形・青森に次ぐ全国4位、持ち家住宅率73.5%も全国7位。外観からの判定が効きやすい構成が揃っています。
増え方は全国有数のペース
空き家数の増加率18.0%は、全国平均6.0%の3倍にあたります。総住宅数も4.9%増えており、世帯の増加を上回るペースで住宅が供給された結果、空き家として残る住宅が増えた形です。
5年前の感覚がそのままでは使えない県だといえます。前回調査の時点で少なかった地区でも、現状は変わっている可能性があります。
土地を持っている世帯が全国で最も多い
福井県の最大の特徴は、住宅ではなく土地の側にあります。
| 項目 | 福井県 | 全国 |
|---|---|---|
| 現住居の敷地を所有している世帯 | 58.5% | 47.1% |
| 現住居の敷地以外の土地を所有している世帯 | 22.5% | 11.8% |
| 現住居の敷地以外の宅地などを所有している世帯 | 15.5%(全国1位) | 8.0% |
| その所有地が現住居と同じ市区町村にある割合 | 87.1%(全国1位) | 70.9% |
自分が住んでいる家の敷地とは別に宅地を持っている世帯が、15.5%。全国平均の約2倍で、47都道府県のうち最も高い割合です。
所有地の87.1%が同じ市区町村内
そしてもう一つ重要なのが、その土地の場所です。福井県では所有地の87.1%が、所有者自身が住んでいる市区町村内にあります。全国平均は70.9%、東京都では39.5%です。
実務上の意味は明確です。空き地の所有者を特定できれば、その人は同じ市町内にいる可能性が非常に高いということになります。所有者が県外に出ているケースが多い県と比べ、接触してから話が進むまでの距離が短くなります。
空き家と空き地を同時に指定する
土地調査では、調査項目として空き家(戸建て)だけでなく空き地(更地)も指定できます。追加する場合の料金は1項目につき200円(税別)です。
福井県では、空き家だけを対象にすると調査で拾える件数を取りこぼします。同じ範囲を歩くのであれば、空き地も同時に記録したほうが面積あたりの成果が上がります。地図上では調査項目ごとに色分けして納品するため、後から用途別に分けることもできます。
目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる
| 立場 | 主な目的 | 優先して見る数字 | 調査で指定するとよい条件 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件・用地の発掘 | 放置型の分布と空き地の集積 | 戸建ての空き家に「空き地(更地)」を追加する |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工需要のある住宅の発掘 | 1980年以前の持ち家 | 「古家(居住中)」を調査項目に追加する |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 放置型の分布と建物の状態 | 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する |
空き家になっているのは1980年以前の住宅
県の資料によると、世帯が所有している空き家を建築時期別に見ると、1970年以前が最も多く、次いで1971〜1980年となっています。つまり空き家として残っているのは、その大半が築40年以上の住宅だということです。
調査範囲を決めるときは、空き家率の高い地区を漠然と選ぶより、古い住宅がまとまって建っている地区を選ぶほうが効率が上がります。造成の時期がそろっている住宅地は、この条件に当てはまりやすい場所です。
取得方法の50.0%が相続・贈与
世帯が所有する空き家の取得方法を見ると、相続・贈与が50.0%で最も高くなっています。全国平均の61.6%と比べると低い数字で、相続以外の経緯で取得した空き家も半分を占めるということです。
所有者が同じ市町内にいる比率の高さとあわせて考えると、福井県では所有者本人が土地や建物の状況を把握しているケースが相対的に多いと見込まれます。接触の際も、状況説明から入るより具体的な提案から入るほうが噛み合いやすい可能性があります。
空き家と空き地、同じ調査でまとめて押さえられます。
所有者情報の取得から、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただけます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
制度の変化が所有者に届いているか
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。
福井県は世帯が所有する土地が多く、そのほとんどが同じ市町内にあります。相続で動く不動産の件数も、それに比例して多くなります。登記名義と実際の所有者が一致するケースは今後増えると見込まれますが、過去分が行き渡るには時間がかかります。調査で特定した地番から所有者事項を取得し、現況とあわせて確認する手順が確実です。
なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。福井県では空き家と空き地の組み合わせが特に有効です。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
福井県で空き家調査を進めるときの注意点
よくあるつまずき
- 空き家だけを調査項目に指定する/敷地以外に宅地を持つ世帯が全国1位の県です。空き地を外すと拾える件数を取りこぼします
- 5年前の感覚でエリアを選ぶ/空き家は18.0%増えました。前回調査時点の判断は当てになりません
- 建築時期を条件に入れない/空き家になっているのは1970年以前と1971〜1980年の住宅が中心です
- 積雪期に初回調査を入れる/雪に覆われると外観から得られる情報が減ります。初回は雪のない時期をおすすめしています
- リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
福井県の対応エリア
県内は全9市を中心に対応しています。町についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。
福井市/敦賀市/小浜市/大野市/勝山市/鯖江市/あわら市/越前市/坂井市
よくあるご質問
空き地も同時に調査できますか?
できます。「空き地(更地)」を調査項目として指定いただければ、空き家と同時に調査し、地図上で色分けして納品します。福井県は敷地以外に宅地を所有する世帯が全国で最も多いため、この組み合わせをおすすめしています。
調べた土地の所有者にDMを送るところまで頼めますか?
対応しています。調査で特定した地番から登記情報を取得し、そのままDMの印刷・封入・発送まで一括でご依頼いただけます。件数と内容を伺ったうえでご提案します。
積雪期でも調査は実施できますか?
実施自体は可能ですが、積雪により外観から判断できる情報が大きく減ります。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。
福井市内の一部エリアだけでも依頼できますか?
可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。
居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?
できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。
まとめ
福井県の空き家は5年で18.0%増えて5万3,100戸、空き家率も15.6%まで上がりました。放置型は2万8,900戸で空き家の54.4%を占め、全国平均を11ポイント以上上回ります。一戸建率74.7%、持ち家住宅率73.5%と、実地調査に向いた構成も揃っています。
ただしこの県で本当に効くのは、空き地を同時に押さえることです。現住居の敷地以外に宅地を持つ世帯は15.5%で全国1位、その所有地の87.1%は同じ市区町村内にあります。調査対象が多く、所有者が近くにいる。この2つが同時に成立している県は多くありません。空き家と空き地を同じ調査で指定し、所有者情報の取得からDM発送までを一本の流れにする。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。
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