東京都の空き家調査|戸建てが26%しかない都での対象の作り方

東京都の空き家調査|戸建てが26%しかない都での対象の作り方

東京都の空き家率は10.9%で全国44位。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型に至っては、総住宅数の2.6%で47都道府県中最も低い数字です。統計だけを見れば、空き家と最も縁遠い地域に見えます。

ところが増え方は違います。都内の空き家は5年間で約8万6,600戸増えました。同じ期間の全国の増加分は約51万戸ですから、その約6分の1が東京都で発生している計算になります。放置型も約18万戸から約21万戸へ増加しました。

そしてもう一つ、他県と決定的に違う条件があります。都内の住宅のうち一戸建ては26.3%。全国で最も低い比率です。他県で使える「戸建てに絞る」という定石が、東京では最も効きにくいということです。この記事では、東京都で調査対象をどう作るかを整理します。

この記事の結論

  • 東京都の空き家率は10.9%で全国44位、放置型は2.6%で全国最下位(令和5年)
  • ただし空き家は5年で約8万6,600戸増加し、全国の増加分の約6分の1を占める。放置型も約21万戸へ
  • 一戸建ての割合は26.3%で全国最下位。戸建てだけを対象にすると母数が急に細くなる
  • 二次的住宅は0.1%で全国最下位。別荘が混ざらないため、他県で必要な引き算が要らない
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。住宅が密集するため面積あたりの件数は多い

東京都の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」および東京都の公表資料による数値です。

項目 東京都 全国
総住宅数 820万1,400戸 6,504万6,700戸
2018年からの増減 +53万戸(+6.9%) +261万戸(+4.2%)
空き家数 約89万6,500戸 900万1,600戸
空き家率 10.9%(全国44位) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 約21万4,200戸(2.6%・全国最下位) 385万6,000戸(5.9%)
住宅に占める一戸建ての割合 26.3%(全国最下位) 52.7%
住宅に占める共同住宅の割合 71.6%(全国1位) 44.9%
二次的住宅(別荘など)の割合 0.1%(全国最下位) 0.6%

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024年9月公表)、東京都住宅政策本部の公表資料。

率は最下位でも、増えた量は全国の6分の1

都内の空き家は平成30年の約81万戸から約90万戸へ、5年間で約8万6,600戸増えました。全国の増加分が約51万戸ですから、およそ6分の1が東京都だけで生じたことになります。

総住宅数も53万戸増えて全国最大の伸びですが、空き家はそれを上回るペースで増えています。空き家率が10.6%から10.9%へ上昇したのはこのためです。率の低さは母数の大きさによるもので、対象が少ないことを意味しません。

放置型は約18万戸から約21万戸へ

長期不在や取壊し予定にあたる放置型の空き家も、平成30年の約18万戸から約21万戸へ増えました。総住宅数に対する割合は2.6%と全国最下位ですが、実数21万4,200戸は徳島県の総住宅数の半分を超える規模です。

比率で全国と比べるかぎり、東京都は常に最下位付近に並びます。判断材料になるのは実数のほうです。

戸建てが26.3%しかないという条件

東京都の住宅820万1,400戸のうち、一戸建ては190万1,000戸で26.3%。共同住宅が518万1,000戸で71.6%を占めます。全国では一戸建てが52.7%ですから、構成がまったく違います。

他県では「共同住宅の空き家は募集中の賃貸が大半なので、戸建てに絞れば歩留まりが上がる」という話が成立します。東京都でもこの理屈自体は変わりませんが、絞った結果として残る母数が4分の1になる点が違います。戸建てだけを追うなら、どこで探すかがより重要になります。

区部は共同住宅中心、多摩部は戸建てが残る

都内の空き家数を区市町村別に見ると、区部では世田谷区が5.9万戸で最多、大田区4.9万戸、足立区4.4万戸と続きます。空き家率では豊島区13.9%、港区13.7%、荒川区12.9%が上位です。

多摩部では八王子市が3.4万戸で最多、町田市2.0万戸、府中市1.8万戸。空き家率は清瀬市13.6%、国立市13.5%、府中市13.0%となっています。

エリア 住宅の構成 調査で狙える対象
都心部・城東の高密度地区 共同住宅が圧倒的 古アパート、空き地、駐車場
城南・城西の住宅地 戸建てが一定量残る 戸建ての空き家、古家(居住中)
多摩部 戸建ての比率が相対的に高い 戸建ての空き家、空き地

「東京都で戸建ての空き家リストを」という依頼は、どのエリアを指すかで実現性が変わります。区部の中心部で戸建てだけを条件にすると件数が伸びず、多摩部なら他県に近い感覚で拾えます。

東京都では「引き算」が要らない

他県では、空き家率から別荘(二次的住宅)を差し引いて実態を見る必要があります。長野県では空き家の26.9%、静岡県でも総住宅数の2.2%が別荘でした。

東京都の二次的住宅は9,600戸で、総住宅数に占める割合は0.1%。全国最下位です。調査で拾った空き家に別荘が混ざる心配がほぼないため、種類別の引き算をせずに済みます。判断すべきは賃貸用かどうかの一点になります。

目的によって、対象の作り方が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 戸建てが残るエリアかどうか 多摩部・城南西では戸建て限定、区部中心では空き地も含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 持ち家の築年数と外観の傷み 「古家(居住中)」「古アパート」を調査項目に追加
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 木造住宅の分布と建物の状態 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

持ち家住宅率は44.7%で全国46位。木造住宅は211万6,000戸で29.2%にとどまります。持ち家も木造も少数派である都市なので、他県向けの前提をそのまま持ち込まず、調査項目の指定段階で条件を明確にしておく必要があります。

区・市を指定して、1地区からお出しできます。

戸建て限定、空き地・古アパート込みなど、エリアの性格に合わせて条件を組めます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

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2023年の法改正で所有者の状況が変わった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

東京都の場合、地価が高いぶん住宅用地特例の有無が保有コストに与える影響も大きくなります。放置型が約21万戸まで増えているなかで、この改正は所有者の判断を動かす材料になりうるということです。ただし所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する区市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。東京都は面積あたりの住宅数が多いため、同じ費用で確認できる建物の数は他県より多くなります。調査期間は対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。区部では空き家単独ではなく空き地や古アパートと組み合わせると、1回の調査で拾える件数が増えます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、都県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の区市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

東京都で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率の全国順位で優先度を下げる/東京都は率では44位ですが、5年間の増加量は全国の約6分の1です
  • 区部で戸建て限定の条件にする/一戸建ては26.3%しかありません。区部中心では空き地や古アパートと組み合わせてください
  • 都全域で1回の見積りを取る/区部と多摩部では住宅の構成が違います。1〜2地区で実施し、結果を見て広げるほうが判断しやすくなります
  • 他県の歩留まり感覚をそのまま持ち込む/持ち家44.7%、木造29.2%と全国とは前提が異なります。条件は発注時に明確にしてください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

東京都の対応エリア

都内は23区および多摩地域の26市を中心に対応しています。町村部についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

23区/千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・台東区・墨田区・江東区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・中野区・杉並区・豊島区・北区・荒川区・板橋区・練馬区・足立区・葛飾区・江戸川区

多摩地域/八王子市・立川市・武蔵野市・三鷹市・青梅市・府中市・昭島市・調布市・町田市・小金井市・小平市・日野市・東村山市・国分寺市・国立市・福生市・狛江市・東大和市・清瀬市・東久留米市・武蔵村山市・多摩市・稲城市・羽村市・あきる野市・西東京市

よくあるご質問

特定の区や市だけでも依頼できますか?

可能です。区市単位はもちろん、町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

区部でも戸建ての空き家は見つかりますか?

エリアによります。都心部や高密度地区では一戸建ての比率が低いため件数は限られますが、城南・城西の住宅地や多摩部では相応に拾えます。目的をお伺いしたうえで、エリアの選び方からご提案します。

空き家以外も調査対象にできますか?

できます。空き地(更地)、古アパート、駐車場、古家(居住中)、倉庫・工場などを調査項目として指定いただけます。区部では複数を組み合わせる形が有効です。

神奈川県や埼玉県とまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、都県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。

自治体の実態把握にも使えますか?

ご利用いただいています。町丁目単位で調査し、状態別に分類したうえで地図上に可視化する形での納品に対応しています。

まとめ

東京都は空き家率10.9%で全国44位、放置型の割合は2.6%で全国最下位。比率で他県と比べるかぎり、常に最下位付近に並びます。しかし5年間で空き家は約8万6,600戸増え、全国の増加分の約6分の1を占めました。放置型も約21万戸まで増えています。

難しいのは対象の作り方です。一戸建ては26.3%しかなく、戸建てに絞ると母数が4分の1になります。区部中心なら空き地や古アパートと組み合わせ、多摩部なら戸建て限定でも成立する。エリアごとに条件を変えることが前提になります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、東京都の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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受付 10:00〜20:00/年中無休

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