静岡県の空き家調査|空き家率16.7%を分解して対象を絞る手順

静岡県の空き家調査|空き家率16.7%を分解して対象を絞る手順

静岡県の空き家率は16.7%。全国平均13.8%を約3ポイント上回り、47都道府県で16番目の高さです。この数字だけを見れば、調査対象が豊富な県に見えます。

ところが空き家29万6,300戸の中身を分解すると、印象が変わります。別荘などの二次的住宅が3万8,500戸で全国2位の規模、賃貸用の空き家は14万4,400戸で総住宅数の8.1%と全国3位。これらを差し引いて残る放置型は10万4,800戸、総住宅数の5.9%。全国平均の5.9%とまったく同じ数字です。

空き家率は上位でも、営業対象になりうる層の厚さは全国並み。この記事では、静岡県の空き家率を段階的に分解したうえで、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが県内のどこを見るべきかを整理します。

この記事の結論

  • 静岡県の空き家率は16.7%で全国16位。ただし放置型に絞ると5.9%で全国平均とぴったり同じ(令和5年)
  • 差の正体は二次的住宅(別荘)が実数で全国2位、賃貸用空き家率が全国3位という二重構造
  • ただし放置型は5年間で約1万6千戸増加し、割合も5.1%から5.9%へ上昇。全国平均に追いついた形
  • 県内は伊豆・東部・中部・西部で性格が違う。県平均ではエリア選定の判断ができない
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

静岡県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数値です。

項目 静岡県 全国
総住宅数 177万4,100戸 6,504万6,700戸
2018年からの増減率 +3.5% +4.2%
空き家数 29万6,300戸 900万1,600戸
空き家率 16.7%(全国16位) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 10万4,800戸(5.9%・全国37位) 385万6,000戸(5.9%)
二次的住宅(別荘など) 3万8,500戸(2.2%・実数全国2位) 38万3,500戸(0.6%)
賃貸用の空き家 14万4,400戸(8.1%・全国3位) 443万5,800戸(6.8%)
住宅に占める一戸建ての割合 65.7% 52.7%

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024年9月公表)。

空き家率16.7%を分解する

静岡県で調査エリアを検討するなら、空き家率をそのまま使わず、種類ごとに引き算してください。

段階 総住宅数に対する割合 全国
空き家率 16.7% 13.8%
− 二次的住宅(別荘など) ▲2.2% ▲0.6%
− 賃貸用の空き家 ▲8.1% ▲6.8%
− 売却用の空き家 ▲0.5% ▲0.5%
= 放置型の空き家 5.9% 5.9%

差がついているのは引かれる側です。静岡県が全国平均を上回っているのは、別荘と賃貸空室の部分であって、放置型ではありません

別荘の実数は全国2位

二次的住宅3万8,500戸は、長野県の5万6,000戸に次いで全国2位の規模です。総住宅数に占める割合2.2%も、長野県5.4%、山梨県4.0%に続く全国3位。伊豆・箱根周辺を中心に、別荘やセカンドハウスがまとまって存在しています。

住宅・土地統計調査は、普段人が住んでいない住宅をすべて空き家として数えます。別荘は統計上の空き家ですが、管理された住宅であり営業対象にはなりません。県東部・伊豆方面を候補エリアに入れる場合、この層が混ざる前提で件数を見積もる必要があります。

賃貸用の空き家率も全国3位

もう一つの差は賃貸用です。総住宅数に対する賃貸用空き家の割合は8.1%で、北海道9.0%、大阪府8.8%に次ぐ全国3位。空き家29万6,300戸のうち、およそ半数が募集中の賃貸物件です。

調査で共同住宅を対象に含めると、この層を大量に拾うことになります。仕入れが目的なら、調査項目を戸建てに限定するだけで歩留まりが大きく変わります

残った5.9%は「全国平均」だが、増え方は速い

静岡県の放置型は、2018年の約8万8千戸から10万4,800戸へ、5年間で約1万6千戸増えました。総住宅数に対する割合も5.1%から5.9%へ0.8ポイント上昇しています。

つまり今は全国平均と同水準ですが、そこへ追いついてきた過程にあるということです。実数10万4,800戸は全国12位にあたり、規模としては十分にあります。「全国平均だから対象が薄い」という読み方は正確ではありません。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の実数と、別荘の少ない地区 戸建てに限定し、共同住宅と別荘地を範囲から外す
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 持ち家の築年数と外観の傷み 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の分布と建物の状態 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

県内は4つの性格に分かれる

静岡県は東西に長く、地域によって住宅市場の性格がはっきり分かれます。県平均でエリアを判断すると、どの地域の実態とも合いません。

エリア 空き家の主な性格 調査での扱い
伊豆・東部 二次的住宅(別荘)の比率が高い 別荘地を範囲から外すか、戸建ての放置型に限定する
中部(静岡市周辺) 賃貸用の空き家が多い都市型 共同住宅を除外して戸建てに絞る
西部(浜松市周辺) 住宅が密集し、面積あたりの件数が出やすい 初回の試行に向く。町丁目単位で切る
山間部・中山間地区 放置型の比率が高い 集落単位で範囲を区切る

リフォームは太陽光より断熱に余地がある

静岡県で太陽光を利用した発電機器がある住宅は13万戸で全国3位、設置割合8.9%も全国6位と、すでに普及が進んでいる県です。この分野の未設置層は他県より薄いと考えたほうがよいでしょう。

一方、二重サッシまたは複層ガラスの窓がある住宅は29.7%で、全国平均31.9%を下回ります。持ち家は99万戸で持ち家住宅率67.4%、一戸建ての割合も65.7%と高く、断熱・開口部まわりの施工提案先はまとまった規模で残っています。統計では市区町村単位までしか分からないため、築年数相当の住宅を町丁目単位で押さえる調査が有効な領域です。

別荘と賃貸を除いた静岡県のリスト、お出しできます。

戸建てに限定した調査や、別荘地を範囲から外す設定にも対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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2023年の法改正で所有者の状況が変わった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

静岡県のように放置型が短期間で増えている県では、この改正の対象になりうる物件も同じ速度で増えていきます。所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。別荘地を範囲から外す設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

静岡県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率16.7%をそのまま期待値にする/別荘と賃貸用を引くと放置型は5.9%です。種類ごとに分解してから見積もってください
  • 伊豆・東部を空き家率の高さだけで選ぶ/二次的住宅の比率が高い地域です。別荘地を範囲に含めるかどうかを先に決めてください
  • 共同住宅を含めて発注する/賃貸用の空き家率が全国3位のため、募集中の物件を大量に拾うことになります
  • 県全域で1回の見積りを取る/東西に長く地域差が大きい県です。1〜2地区で実施し、結果を見て広げるほうが判断しやすくなります
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

静岡県の対応エリア

県内は全23市を中心に対応しています。町についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

静岡市/浜松市/沼津市/熱海市/三島市/富士宮市/伊東市/島田市/富士市/磐田市/焼津市/掛川市/藤枝市/御殿場市/袋井市/下田市/裾野市/湖西市/伊豆市/御前崎市/菊川市/伊豆の国市/牧之原市

よくあるご質問

別荘を除いて調査することはできますか?

可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。目的をお伺いしたうえでご提案します。

静岡市や浜松市の一部の区だけでも依頼できますか?

可能です。区単位はもちろん、町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

共同住宅を除いて調査できますか?

できます。静岡県は賃貸用の空き家率が全国3位のため、仕入れが目的の場合は戸建てに限定したほうが歩留まりが上がります。条件はヒアリング時にお伺いします。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

愛知県や神奈川県とまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。

まとめ

静岡県の空き家率16.7%は全国16位ですが、その差の大半は別荘と賃貸空室によるものです。二次的住宅は実数で全国2位、賃貸用の空き家率は全国3位。これらを引くと、放置型は5.9%で全国平均とまったく同じ水準になります。

ただし実数は10万4,800戸あり、5年間で約1万6千戸増えました。母数は十分にあり、増え方も速い。問題は、県平均でも空き家率でもエリアを選べないことです。伊豆・中部・西部・山間部で性格が分かれるため、目的を決めたうえで1〜2地区に絞って実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、静岡県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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