和歌山県の空き家調査|貸すという出口が細い県での対象の絞り方

和歌山県の空き家調査|貸すという出口が細い県での対象の絞り方

和歌山県の空き家率は21.2%で、徳島県と並んで全国1位。別荘などの二次的住宅を除いた空き家率19.6%も全国3位です。前回調査では18.8%で全国1位でした。

なぜこれほど高いのか。理由の一つは、家賃の水準にあります。県内の借家の1畳当たり家賃は2,152円で全国44位。全国平均3,403円の6割強にとどまります。1か月当たりの家賃も4万2,110円で全国40位です。

貸しても得られる収入が全国平均の6割から7割にしかならないということです。空き家を賃貸に出すという選択肢が働きにくく、その結果として市場に出ないまま残る住宅が積み上がります。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが和歌山県で何を対象にすべきかを整理します。

この記事の結論

  • 和歌山県の空き家率は21.2%で徳島県と並び全国1位(令和5年)
  • 1畳当たり家賃は2,152円で全国44位。全国平均3,403円の6割強
  • 賃貸という出口が細いため、空き家の約57%が放置型(約5万9,500戸)
  • ただし所有地の83.1%は同じ市区町村内。所有者への接触は比較的しやすい
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

和歌山県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数値です。

項目 和歌山県 全国
総住宅数 49万5,600戸(+2.1%) 6,504万7,000戸(+4.2%)
空き家数 10万5,300戸(+6,900戸・+7.0%) 900万2,000戸(+6.0%)
空き家率 21.2%(全国1位・前回20.3%) 13.8%
二次的住宅を除く空き家率 19.6%(全国3位・前回18.8%で全国1位) 13.2%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率 12.0%(全国5位) 5.9%
同上の戸数(推計) 約5万9,500戸 385万6,000戸
1か月当たり家賃・間代 4万2,110円(全国40位) 5万9,656円
1畳当たり家賃・間代 2,152円(全国44位) 3,403円

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計・土地集計(確報集計)結果」。放置型の戸数は総住宅数と割合から算出した概数です。

空き家の約57%が放置型

空き家10万5,300戸のうち、賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は約5万9,500戸。空き家全体のおよそ57%を占めます。全国では42.8%ですから、14ポイント以上高い水準です。

総住宅数に対する割合は12.0%で全国5位。住宅8戸に1戸が放置型という計算になります。

賃貸の出口が細い

1畳当たり家賃2,152円という数字は、全国平均の63%にあたります。東京都の5,699円と比べれば4割弱です。1か月当たりで見ても4万2,110円で、全国平均を1万7,500円あまり下回ります。

空き家を賃貸に出すには、通常なんらかの改修が必要になります。しかし工事の費用は全国どこでも大きくは変わりません。一方、得られる家賃は全国平均の6割から7割。「貸す」という選択肢を取る動機が働きにくい構造だといえます。

出口が細いことが、調査の意味を変える

空き家の出口は大きく4つあります。貸す、売る、自分で使う、解体する。和歌山県では、このうち「貸す」が機能しにくくなっています。

出口 和歌山県での成立しやすさ 調査で押さえるべきこと
貸す 家賃水準が低く動機が働きにくい 賃貸用の空き家は対象から外してよい
売る・買い取る 放置型が5万9,500戸あり母数は厚い 戸建ての放置型を優先して押さえる
解体する 更地にした後の土地活用が論点になる 空き地も同時に調査して周辺状況を把握

実務上の意味は明確です。賃貸転用を前提にした提案は、この県では通りにくいということ。仕入れや買取、あるいは解体を含めた提案のほうが、所有者の状況と噛み合います。

所有者は近くにいる

もう一つ、和歌山県には有利な条件があります。県内世帯が持っている宅地のうち、83.1%は自分が住んでいる市区町村内にあります。全国平均は70.9%です。現住居の敷地を所有している世帯の割合も60.8%で全国9位。

調査で所有者を特定できれば、その人が近くにいる可能性が高いということです。所有者が遠方にいる県と比べ、接触してから話が進むまでの距離が短くなります。出口が細い一方で、話を持ち込む相手には会いやすい。この組み合わせが和歌山県の条件です。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の分布と建物の状態 戸建てに限定し、空き地も対象に含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 居住中の持ち家の築年数 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の割合が高い市町 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォームは賃貸向けではなく持ち家を見る

家賃水準が低い県では、賃貸物件の原状回復や設備更新にかけられる予算も限られます。施工需要を探すなら、賃貸ではなく居住中の持ち家が本命です。

県内の1住宅当たり延べ面積は105.63㎡で全国22位、居住室数4.99室は全国19位。全国平均を上回る規模の住宅が中心です。屋根や外壁の施工面積も相応にあります。空き家率の高さはこの用途では判断材料になりません。「古家(居住中)」を調査項目として指定し、築年数相当の住宅を町丁目単位で押さえる形が実務に合います。

県内は南北で条件が変わる

和歌山市を中心とする県北部と、田辺市・新宮市などを含む県南部では、住宅の集まり方も空き家の性格も異なります。県平均21.2%という数字は、その両方を平均したものです。

調査費用は面積に対する従量制のため、住宅がまばらな地域を市全域で発注すると割高になります。南部や山間部を対象にする場合は、市全域ではなく集落単位まで範囲を絞り込むほうが、費用対効果が上がります。

戸建てと空き地に絞った和歌山県のリスト、お出しできます。

賃貸用の空き家を除き、放置型の戸建てと空き地に限定した調査に対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

和歌山県では放置型が約5万9,500戸、住宅8戸に1戸の水準です。貸すという出口が細く、動かないまま保有され続けてきた住宅が多いぶん、制度の変化は判断を動かす材料になりえます。所有者が同じ市区町村内にいる比率が高いことも、情報を届けやすい条件です。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。和歌山県では空き家と空き地の組み合わせが有効です。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

和歌山県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 賃貸転用を前提に提案する/1畳当たり家賃は全国44位です。貸すという選択肢の動機が働きにくい県です
  • 賃貸用の空き家を調査対象に含める/放置型が空き家の約57%を占めます。仕入れが目的なら戸建てに絞ってください
  • 県平均21.2%でエリアを判断する/県北部と南部では条件が変わります。市町単位まで下げて確認してください
  • 市全域をまとめて発注する/住宅がまばらな地域では面積あたりの件数が落ちます。集落単位で切ってください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

和歌山県の対応エリア

県内は全9市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

和歌山市/海南市/橋本市/有田市/御坊市/田辺市/新宮市/紀の川市/岩出市

よくあるご質問

賃貸用の空き家を除いて調査できますか?

できます。調査項目を戸建ての空き家に限定すれば、募集中の賃貸物件を拾う量を抑えられます。和歌山県は空き家の約57%が放置型のため、この指定で歩留まりが上がります。

空き地も同時に調査できますか?

できます。「空き地(更地)」を調査項目として指定いただければ、空き家と同時に調査し、地図上で色分けして納品します。解体後の土地活用を検討する場合にも使えます。

集落単位でも依頼できますか?

可能です。市全域ではなく町丁目や字の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。県南部や山間部を対象にする場合は、この切り方をおすすめしています。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

大阪府や奈良県とまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、府県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。

まとめ

和歌山県の空き家率21.2%は徳島県と並んで全国1位。放置型も総住宅数の12.0%で全国5位、空き家の約57%を占めます。

その背景にあるのが、家賃水準の低さです。1畳当たり2,152円は全国平均の6割強。貸しても得られる収入が限られるため、賃貸という出口が働きにくい県です。だからこそ、賃貸転用を前提にした提案ではなく、売却・買取や解体を含めた話のほうが所有者の状況と噛み合います。

一方で、所有地の83.1%は同じ市区町村内にあります。出口は細いが、話を持ち込む相手には会いやすい。この条件を踏まえて、戸建ての放置型と空き地に絞った調査から始めてください。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げる進め方をおすすめします。

まず1地区から、和歌山県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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