佐賀県の空き家調査|急増が止まった県での対象の絞り込み方

佐賀県は、前回調査の時点で「空き家が急増している県」として知られていました。平成25年から平成30年にかけて空き家は16.2%増加。同じ期間の全国の増加率3.2%と比べて5倍のペースでした。空き家率も12.8%から14.3%へ、1.5ポイント上昇しています。
ところが今回の調査では、様子が変わりました。空き家は5万500戸から5万3,300戸へ2,800戸、5.5%の増加。空き家率も14.3%から14.5%へ、0.2ポイントしか上がっていません。全国の上昇幅と同じ水準です。
背景にあるのは住宅の供給です。総住宅数は5年間で4.49%増えており、全国平均4.2%を上回ります。供給された住宅がほぼ埋まっているため、空き家率が押し上げられていないという構図です。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが佐賀県で対象をどう絞るべきかを整理します。
この記事の結論
- 佐賀県の空き家率は14.5%。前回からの上昇は0.2ポイントにとどまる(令和5年)
- 前回調査では空き家が16.2%増だったが、今回は5.5%増に減速した
- 総住宅数は4.49%増と全国平均を上回る。供給された住宅が埋まっている
- それでも放置型は総住宅数の7.7%で全国平均5.9%を上回り、空き家の約53%を占める
- 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる
記事の目次
佐賀県の空き家を数字で確認する
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数値です。
| 項目 | 佐賀県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 36万7,900戸(+4.49%) | 6,504万7,000戸(+4.2%) |
| 空き家数 | 5万3,300戸(+2,800戸・+5.5%) | 900万2,000戸(+6.0%) |
| 空き家率 | 14.5%(前回14.3%・+0.2pt) | 13.8%(+0.2pt) |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 約2万8,300戸(7.7%) | 385万6,000戸(5.9%) |
| 同上が空き家に占める割合 | 約53% | 42.8% |
| 二次的住宅(別荘など) | 1,000戸(0.3%) | 38万3,500戸(0.6%) |
| 1住宅当たり延べ面積 | 112.37㎡(全国13位) | 90.86㎡ |
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計・住宅の構造等に関する集計(確報集計)結果」。放置型の戸数は総住宅数と割合から算出した概数です。
増加のペースが3分の1に落ちた
3つの調査時点を並べると、変化がはっきりします。
| 期間 | 空き家の増加率 | 空き家率の変化 | 全国の増加率 |
|---|---|---|---|
| 平成25年→平成30年 | +16.2% | 12.8%→14.3%(+1.5pt) | +3.2% |
| 平成30年→令和5年 | +5.5% | 14.3%→14.5%(+0.2pt) | +6.0% |
前回は全国の5倍のペースで増えていたものが、今回は全国を下回りました。「佐賀県は空き家が急増している県」という前回調査時点の認識は、すでに更新が必要です。
供給された住宅が埋まっている
総住宅数は5年間で1万5,800戸、4.49%増えました。全国平均4.2%を上回る伸びです。それでも空き家率がほとんど動かなかったということは、新しく供給された住宅の大半に入居があったということになります。
別荘などの二次的住宅は1,000戸、総住宅数の0.3%にとどまります。別荘の増減が数字を左右する県ではありません。
それでも放置型は全国平均を上回る
増加が止まったことと、量が少ないことは別の話です。
賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は、総住宅数の7.7%。戸数にすると約2万8,300戸で、空き家全体の約53%を占めます。全国平均は5.9%、空き家に占める割合は42.8%ですから、いずれも上回ります。
九州7県のなかで見ると、佐賀県の空き家率14.5%は福岡県12.4%に次いで2番目に低い数字です。しかし放置型の割合7.7%は、福岡県の4.6%を3ポイント以上上回ります。空き家率の順位だけで九州内の位置づけを判断すると、実態を見誤ります。
増えるのを待つ戦略が効かない
空き家が毎年増え続ける県であれば、定期的に調査すれば新しい対象が積み上がります。佐賀県では、この前提が成り立ちにくくなりました。
やるべきことは待つことではなく、すでにある約2万8,300戸の中身を把握して優先順位をつけることです。どの建物がどの状態で残っているか。これは統計では分からず、現地を歩いて記録するしかありません。
目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる
| 立場 | 主な目的 | 優先して見る数字 | 調査で指定するとよい条件 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件の発掘 | 放置型の分布と建物の状態 | 戸建てに限定し、状態別の記録を依頼する |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工需要のある住宅の発掘 | 持ち家の築年数と施工面積 | 「古家(居住中)」を調査項目に追加する |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 放置型の割合が高い市町 | 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する |
リフォームは1件あたりの規模が大きい
佐賀県の1住宅当たり延べ面積は112.37㎡で全国13位、居住室数5.01室は全国17位。全国平均を大きく上回る規模です。屋根や外壁の施工面積も相応にあり、1件あたりの受注規模で見れば有利な市場だといえます。
一方、高齢者が住む住宅の一定のバリアフリー化率は49.9%で全国6位。設備面での工事はすでに広く行われています。未施工層を探すより、前回工事からの経過年数で優先順位をつけるほうが実務に合います。
県内の差は市町単位で確認する
県平均は14.5%ですが、同調査の市区町村別データによると、県内で空き家率が最も高いのは吉野ヶ里町で約20%。県平均を5ポイント以上上回ります。
佐賀市・鳥栖市など人口が増えている地域と、中山間部や離島を抱える地域では条件が変わります。県平均でエリアを判断せず、市町単位、さらに町丁目単位まで下げて確認してください。
いま残っている物件を、現地で確認します。
建物の状態まで記録した形で納品できます。所有者情報の取得からDM発送まで一括対応。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
制度の変化が所有者に届いているか
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。
佐賀県では放置型が約2万8,300戸で横ばいに近い状態です。横ばいということは、新しく発生した分と解消した分が拮抗しているということ。制度の変化が所有者に届けば、このバランスは動きます。伝える役割はこちら側にあります。
なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
佐賀県で空き家調査を進めるときの注意点
よくあるつまずき
- 前回調査時の「急増している県」という認識で計画する/増加率は16.2%から5.5%へ落ちました。前提が変わっています
- 定期調査で対象が積み上がると考える/増加が止まった県では、待っても新しい対象は大きく増えません
- 空き家率の低さで対象が薄いと判断する/放置型は7.7%で全国平均を上回り、空き家の約53%を占めます
- 県平均でエリアを判断する/県内には約20%の町もあります。市町単位で確認してください
- リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
佐賀県の対応エリア
県内は全10市を中心に対応しています。町についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。
佐賀市/唐津市/鳥栖市/多久市/伊万里市/武雄市/鹿島市/小城市/嬉野市/神埼市
よくあるご質問
建物の傷み具合まで記録してもらえますか?
外観から確認できる範囲で状態を記録します。屋根や外壁の劣化といった項目に分けて記録することも可能です。どの粒度が必要かはヒアリング時にお伺いします。
市町を指定して依頼できますか?
可能です。市町単位はもちろん、町丁目や集落の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。
居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?
できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。
福岡県や長崎県とまたいで調査できますか?
対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。九州の複数県を同じ条件で比較したい場合にもご利用いただけます。
所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?
調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。
まとめ
佐賀県の空き家は5万3,300戸、空き家率14.5%。前回調査では16.2%増と全国の5倍のペースで増えていましたが、今回は5.5%増、空き家率の上昇も0.2ポイントにとどまりました。総住宅数が4.49%増えるなかで供給された住宅が埋まっており、急増局面はいったん収まっています。
ただし放置型は総住宅数の7.7%、空き家の約53%を占め、いずれも全国平均を上回ります。増えていないだけで、量はすでに積み上がっているということです。増えるのを待つのではなく、いまある約2万8,300戸のどれがどの状態で残っているかを現地で確認する。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。
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