栃木県の空き家調査|空き家率の低下をどう読むかと範囲の決め方

栃木県の空き家調査|空き家率の低下をどう読むかと範囲の決め方

栃木県の空き家率は16.9%。前回調査の17.3%から0.4ポイント下がりました。全国が上昇するなかでの低下です。

ところが空き家数そのものは16万3,700戸で、3,000戸増えて過去最多を更新しています。率が下がったのは、総住宅数が4万4,300戸(4.78%)増えて分母が大きくなったためです。空き家は減っていません。割合が薄まっただけです。

さらに増えた3,000戸の内訳を見ると、別荘などの二次的住宅が2,600戸を占めます。二次的住宅を除いた空き家は14万4,400戸から14万4,800戸へ、5年間でわずか400戸の増加。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが栃木県で数字をどう読み、範囲をどう決めるべきかを整理します。

この記事の結論

  • 栃木県の空き家率は16.9%へ0.4ポイント低下。ただし空き家数は3,000戸増えて過去最多(令和5年)
  • 率が下がったのは総住宅数が4.78%増えたため。分母が大きくなっただけで空き家は減っていない
  • 増えた3,000戸のうち2,600戸は別荘などの二次的住宅。二次的住宅を除くと5年で400戸増にとどまる
  • それでも放置型は約6万4,000戸、総住宅数の6.6%で全国平均5.9%を上回る
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。別荘地を範囲から外す設定にも対応

栃木県の空き家を数字で確認する

栃木県が公表した令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。

項目 令和5年 平成30年 増減
総住宅数 97万1,000戸 92万6,700戸 +4万4,300戸(+4.78%)
空き家数 16万3,700戸 16万700戸 +3,000戸(+1.9%)
空き家率 16.9% 17.3% ▲0.4pt
二次的住宅(別荘など) 1万8,900戸 1万6,300戸 +2,600戸
二次的住宅を除く空き家 14万4,800戸 14万4,400戸 +400戸
二次的住宅を除く空き家率 14.9% 15.6% ▲0.7pt
持ち家住宅率 69.1% 横ばい

出典:栃木県「令和5年住宅・土地統計調査 栃木県結果の概要」、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」。全国平均の空き家率は13.8%。

率が下がったのは、分母が増えたから

空き家率は「空き家数 ÷ 総住宅数」で計算します。栃木県では分子の空き家が1.9%増えた一方、分母の総住宅数は4.78%増えました。分母のほうが速く増えれば、空き家が増えていても率は下がります

持ち家の取得方法を見ると「新築(建て替えを除く)」が37.3%で最も多くなっています。新しい住宅が供給され続けている県だということです。この供給が続くかぎり、空き家率という指標は実態より小さく見えます。

増えた3,000戸の大半は別荘

もう一段分解します。空き家は3,000戸増えましたが、そのうち2,600戸は別荘などの二次的住宅です。栃木県の二次的住宅は1万8,900戸で、総住宅数に占める割合1.9%は全国4位。長野・山梨・静岡に次ぐ水準です。

二次的住宅を除いた空き家は、14万4,400戸から14万4,800戸へ400戸の増加。実質的な空き家は、5年間でほとんど動いていません

それでも放置型は6万4,000戸ある

ここまでの数字だけを見ると「栃木県は空き家が増えていない県」と読めますが、量そのものは十分にあります。

賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は約6万4,000戸。総住宅数に占める割合は6.6%で、全国平均5.9%を上回ります。空き家全体に占める割合は約39%です。

増えていないことと、少ないことは別の話です。栃木県は「増加が止まっている」のではなく「すでに一定の量が積み上がった状態で横ばいになっている」と読むほうが正確です。

空き家率で県を比較しない

栃木県の例は、空き家率という指標の限界を示しています。率が下がった理由は3つ考えられます。空き家が減った、総住宅数が増えた、その両方。栃木県は2つ目でした。

調査エリアを検討するときは、率ではなく「二次的住宅を除く空き家の実数」と「放置型の実数」で見てください。この2つは分母の影響を受けません。県をまたいで比較する場合は特に重要になります。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の実数と別荘の少ない地区 戸建てに限定し、別荘地を範囲から外す
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 持ち家の築年数と外観の傷み 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の分布と建物の状態 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

別荘地と住宅地を分けて考える

栃木県の二次的住宅1万8,900戸は、県北の高原地帯を中心に分布しています。この地域を候補に入れると、調査結果に管理された別荘が混ざります。しかも5年間で2,600戸増えており、混入する量も増えています。

土地調査では、調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった調整が可能です。県北を対象にする場合は、この設定を先に決めておいてください。

リフォームは持ち家住宅率69.1%が土台

持ち家住宅率69.1%は全国の60.9%を上回り、前回から横ばいで推移しています。借家住宅率は26.8%で1.6ポイント下がりました。持ち家が中心で、その比率が安定している県だということです。

施工需要を探す場合、対象は空き家ではなく居住中の築古住宅になります。この用途では空き家率も別荘の話も関係ありません。「古家(居住中)」を調査項目として指定し、築年数相当の住宅を町丁目単位で地図に落とす形が実務に合います。

別荘を除いた栃木県のリスト、お出しできます。

別荘地を範囲から外した調査や、戸建てに限定した調査に対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

栃木県の放置型は増えていませんが、約6万4,000戸が動かないまま残っています。横ばいということは、新しく発生した分と解消した分が拮抗している状態です。制度の変化が所有者に届けば、このバランスは動きます。所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。別荘地を範囲から外す設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

栃木県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率の低下を「改善」と読む/空き家数は3,000戸増えて過去最多です。率が下がったのは分母が4.78%増えたためです
  • 増加分をそのまま調査対象と考える/増えた3,000戸のうち2,600戸は別荘です。二次的住宅を除くと400戸増にとどまります
  • 県北を空き家率の高さだけで選ぶ/二次的住宅が集中する地域です。別荘地を範囲に含めるかを先に決めてください
  • 率で他県と比較する/分母の増え方が県ごとに違います。比較するなら放置型の実数を見てください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

栃木県の対応エリア

県内は全14市を中心に対応しています。町についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

宇都宮市/足利市/栃木市/佐野市/鹿沼市/日光市/小山市/真岡市/大田原市/矢板市/那須塩原市/さくら市/那須烏山市/下野市

よくあるご質問

別荘を除いて調査することはできますか?

可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。県北を対象にする場合は特におすすめしています。

宇都宮市内の一部エリアだけでも依頼できますか?

可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

群馬県や茨城県とまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。

まとめ

栃木県の空き家率16.9%は、前回から0.4ポイント下がりました。しかし空き家数は3,000戸増えて16万3,700戸と過去最多です。率が下がった理由は、総住宅数が4.78%増えて分母が大きくなったこと。空き家率の低下は、この県では改善を意味しません

さらに増えた3,000戸のうち2,600戸は別荘です。二次的住宅を除いた空き家は5年で400戸増にとどまり、実質的にはほぼ横ばい。それでも放置型は約6万4,000戸、総住宅数の6.6%で全国平均を上回ります。増えていないだけで、量はすでに積み上がっています。率ではなく実数で見て、別荘地を範囲から外し、戸建てに絞る。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、栃木県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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