次に空き家になる住宅をどう見つけるか|発生の7割は高齢期の変化

次に空き家になる住宅をどう見つけるか|発生の7割は高齢期の変化

空き家はどこから発生するのか。国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査によれば、空き家になった原因は死亡58.3%、老人ホームなどの施設へ入居11.3%。あわせて約7割が高齢期の変化によるものです。

つまりいま高齢の方が住んでいる持ち家が、数年後の空き家になりうるということになります。この層を先に把握できれば、空き家になってから探すより早く動けます。

ただし、ここには明確な限界があります。現地調査で、その家に誰が住んでいるかは分かりません。この記事では、何が分かって何が分からないのかを整理したうえで、現実的な進め方をお伝えします。

この記事の結論

  • 空き家発生の約7割は死亡・施設入居によるもの
  • 65歳以上の世帯員がいる世帯の81.6%が持ち家に住んでいる
  • ただし現地調査で居住者の状況は分からない。外観からは判断できない
  • 分かるのはエリアの傾向(統計)と築古の居住中住宅(現地)まで
  • この2つを掛け合わせて、将来の対象を地図に落としておく

空き家はどう発生するか

令和6年空き家所有者実態調査による、空き家の発生原因です。

原因 割合
死亡 58.3%
転居 26.9%
老人ホームなどの施設へ入居 11.3%

また、空き家の取得方法は相続57.9%が最も多くなっています。

約6割が所有者の死亡を契機に空き家になり、約6割が相続で引き継がれている。この2つはほぼ同じ現象を、別の角度から見た数字です。

高齢世帯の多くは持ち家に住んでいる

住宅・土地統計調査によると、全国で65歳以上の世帯員がいる世帯の81.6%が持ち家に住んでいます。

都市部でも傾向は同じです。大阪市の持ち家住宅率は40.1%ですが、高齢者のいる世帯に限れば58.0%。主世帯全体より17.9ポイント高い水準です

京都市では、一戸建・長屋建に居住する65歳以上のみの世帯の割合がいずれも30%を超えます。共同住宅は16.0%です。戸建てほど、この傾向が強くなります

ただし、個別の住宅は分からない

ここが最も重要な点です。現地調査では、その家に誰が住んでいるかを判断できません

調査は公道から外観を確認する形で行います。表札を見ても、そこに何人が住んでいるか、年齢がどうかは分かりません。敷地に立ち入ることも、聞き込みを行うこともありません

統計で分かるのは市区町村単位の傾向まで。「この地区に高齢世帯が多い」までは分かっても、「この家がそうだ」とは分かりません

したがって現実的な進め方は、統計でエリアの傾向をつかみ、現地で築古の居住中住宅を記録するという組み合わせになります。

統計で分かること

市区町村単位であれば、次のような数字が使えます。

指標 読み取れること
高齢者のいる世帯の割合 その地域の世帯構成
高齢者のいる世帯の持ち家率 持ち家に住んでいる割合
高齢単身世帯数と推移 今後の変化の方向
建築時期別の住宅数 築古住宅がどれだけあるか
建て方別の構成 戸建てが中心か共同住宅が中心か

高齢単身世帯は増えている

神戸市の資料では、高齢単身世帯が9万7,500世帯から12万7,700世帯へ、5年間で31.0%増加しました。所有関係別では持ち家の高齢単身世帯が48.1%増と最も伸びています。

持ち家に住む高齢単身世帯が増えるということは、相続や住み替えが起きたときに空き家になりうる住宅が積み上がっているということです。

同居の解け方には地域差がある

山形県では、高齢者のいる世帯の54.3%がまだ同居しています。全国平均は39.0%です。

同居が続いている間は、空き家になりません。世帯が分かれた時点で、空き家化のリスクが生じます。山形県では放置型の空き家が5年で21.3%増えており、この構造が解け始めていると読めます。

逆にいえば、同居率が高い地域では、これから発生する量が大きくなる可能性があります

現地調査で分かること

個別の世帯の状況は分かりませんが、建物については記録できます

記録できること 記録できないこと
人が住んでいるか(居住の実態) 誰が住んでいるか
築古と判断できる建物か 正確な築年数
外壁・屋根の状態 世帯の人数や年齢
庭木・敷地の手入れの状況 今後の予定
建て方(戸建て/共同住宅) 所有か賃貸か

弊社の土地調査では「古家(居住中)」を調査項目として指定できます。人が住んでいる築古の戸建てを対象とした調査です。

手入れの状況は手がかりになる

断定はできませんが、庭木の手入れが行き届かなくなっている住宅は、管理の負担が生じている可能性があります。

ただしこれは推測です。忙しくて手が回らないだけかもしれませんし、業者に頼んでいないだけかもしれません。記録として残しておく意味はありますが、断定の材料にはなりません。

掛け合わせて使う

統計と現地調査を組み合わせると、次のようになります。

段階 使うもの 分かること
1. 地域の選定 統計 高齢世帯が多く、持ち家率も高い市区町村
2. 範囲の絞り込み 地図 造成年代のそろった住宅地
3. 対象の記録 現地調査 築古の居住中戸建てがどこに何軒あるか
4. 接触 ポスティング等

3までで得られるのは「将来の候補」です。実際にいつ空き家になるかは分かりません。

今の需要と将来の需要を両方拾う

「古家(居住中)」を調査すれば、リフォーム・外壁塗装の提案先としては今すぐ使えます。人が住んでいるので、施工の相談ができるためです。

同時に、この層は将来の仕入れ対象でもあります。1回の調査で、今の需要と将来の需要を両方地図に落とせるということになります。

「空き家(戸建て)」と同時に指定すれば、現在の空き家と、これから空き家になりうる住宅を色分けして比較できます。調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。

今の空き家と、築古の居住中住宅を同じ地図に落とせます。

1回の調査で、施工の提案先と将来の仕入れ対象の両方を記録します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

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接触するときに気をつけること

この層への接触には、配慮が必要です。

避けたいこと 理由
将来の相続を前提にした話をする 居住者本人に向ける内容として適切でない
年齢や世帯構成を推測して伝える 調査では分からないことを断定することになる
「空き家になる前に」と切り出す 受け取り方によっては不快に感じられる
繰り返し接触する 居住中の住宅であり、迷惑になりうる

居住中の住宅に対しては、その住宅に住んでいる方に向けた内容であるべきです。屋根や外壁の状態、住まいの維持といった、いま役に立つ話から始めてください。

相続の相談は所有者側の求めに応じて

相続や将来の扱いについては、所有者側から相談があったときに対応するのが適切です。

令和6年の調査では、相続前に対策を実施していた世帯は23.0%。内容は「被相続人との話し合い」が16.7%で最多でした。そして相続前に対策をしていない空き家は、していた空き家より放置される割合が約1.5倍という結果が出ています。

相談の受け皿があること自体には意味があります。ただし、こちらから将来の話を持ちかけるのとは別の話です

目的によって、使い方が変わる

立場 この層の位置づけ 調査で指定するとよい条件
リフォーム・外壁塗装会社 今すぐの提案先 「古家(居住中)」+外壁・屋根の状態
不動産会社 数年後の仕入れ対象 「古家(居住中)」+「空き家(戸建て)」
士業 相続の相談先になりうる層 「古家(居住中)」+地番を含むリスト
自治体 今後の発生を見込む材料 町丁目単位で全域を対象にし、建て方も記録

自治体は予防的な把握に使う

空き家対策は、発生してから対応するより発生する前に把握しておくほうが選択肢が広がります

築古住宅の分布が分かれば、重点地区の想定に使えます。継続的に同じ範囲を調査すれば、居住中から空き家へ移った物件も追えます

福島県では総住宅数がほぼ横ばいのなか、居住世帯のある住宅が4,300戸減って空き家が7,500戸増えました。居住中から空き家へ、中身が移動しているという構図です。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。造成年代のそろった住宅地に絞り込むほど、費用あたりの成果は上がります。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。空き家と古家を同時に指定すれば、両方を色分けした地図で納品します

ポスティングやDMの発送までご依頼いただくこともできます。弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(施工提案/将来の仕入れ/実態把握)を確認し、どの程度の築年数を想定するかも含めて決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。造成年代のそろった住宅地を指定した範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、公道から確認できる範囲で外観と状態を記録します。居住しているかどうかもこの工程で確認します。
地番の特定と集計
調査結果をもとに地番を割り出し、地区別に件数を集計します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。ポスティングやDMの発送までご依頼いただくこともできます。

進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 現地調査で居住者の状況が分かると期待する/誰が住んでいるかは判断できません
  • 統計の傾向を個別の住宅に当てはめる/市区町村単位の数字は、その家の状況を示すものではありません
  • 将来の相続を前提にした内容で接触する/居住中の住宅です。いま役に立つ話から始めてください
  • 空き家率でエリアを選ぶ/対象は住んでいる家です。この用途では判断材料になりません
  • 庭木の状態から居住者の状況を断定する/推測にすぎません

よくあるご質問

高齢の方が住んでいる住宅だけを抽出できますか?

できません。現地調査は公道から外観を確認する形で行うため、誰が住んでいるかは判断できません。記録できるのは、人が住んでいる築古の戸建てがどこにあるかまでです。

築年数を条件にした調査はできますか?

外観から築年数そのものを断定することはできませんが、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる住宅を対象として調査・報告します。どの程度の年代を想定するかはヒアリング時にお伺いします。

空き家と同時に調査できますか?

できます。「空き家(戸建て)」と「古家(居住中)」を同時に指定していただければ、現在の空き家とこれから空き家になりうる住宅を色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。

統計で地域の傾向を調べる方法はありますか?

住宅・土地統計調査で、市区町村別に高齢者のいる世帯の割合や持ち家率、建築時期別の住宅数が公表されています。自治体が独自に資料をまとめている場合もあります。範囲の絞り込みからご相談いただくことも可能です。

ポスティングまで依頼できますか?

ご相談ください。調査結果をもとにした配布についても対応しています。件数とエリアを伺ったうえでご提案します。

まとめ

空き家の発生原因は、死亡58.3%、施設入居11.3%。約7割が高齢期の変化によるものです。そして65歳以上の世帯員がいる世帯の81.6%は持ち家に住んでいます。

この構造から、いま高齢の方が住んでいる持ち家が数年後の空き家になりうると言えます。ただし、そこから先には限界があります。

現地調査では、その家に誰が住んでいるかは分かりません。公道から外観を見るだけなので、世帯の構成も年齢も判断できません。統計で分かるのも市区町村単位の傾向までです。

現実的な進め方は、統計でエリアの傾向をつかみ、現地で築古の居住中住宅を記録するという組み合わせです。得られるのは「将来の候補」まで。

そしてこの層は、リフォーム・外壁塗装の提案先としては今すぐ使えます。1回の調査で、今の需要と将来の需要を両方地図に落とせる。そう考えるのが実務的です。

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