山形県の空き家調査|同居世帯の減少が生む空き家の押さえ方

山形県の空き家調査|同居世帯の減少が生む空き家の押さえ方

山形県の空き家率は13.5%。全国平均13.8%をわずかに下回り、順位でも中位です。持ち家住宅率75.0%は全国2位、一戸建ての割合76.1%も全国2位。持ち家の一戸建てに長く住み続ける県だという印象を持たれるかもしれません。

その印象を支えてきたのが、同居です。県内で65歳以上の世帯員がいる世帯は22万800世帯、主世帯の56.4%を占めます。全国の42.7%を13.7ポイント上回る水準です。そしてそのうち54.3%は、高齢者が子や孫と同居している世帯。全国では39.0%ですから、大きな差があります。

しかしこの構造は動き始めています。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型の空き家は、2万9,600戸から3万5,900戸へ5年間で21.3%増加しました。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが山形県で何を押さえるべきかを整理します。

この記事の結論

  • 山形県の空き家率は13.5%で過去最高。ただし全国平均13.8%をわずかに下回る(令和5年)
  • 放置型は3万5,900戸へ21.3%増。空き家に占める割合は58.2%で全国42.8%を大きく上回る
  • 高齢者のいる世帯は主世帯の56.4%、うち54.3%が同居世帯(全国39.0%)
  • ただし高齢単身・夫婦のみの割合は41.0%から45.7%へ上昇。同居が解け始めている
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

山形県の空き家を数字で確認する

山形県みらい企画創造部統計企画課「山形県の住宅・土地」(令和5年住宅・土地統計調査結果報告書)による数値です。

項目 山形県 全国
総住宅数 45万5,400戸(+1.4%) 6,504万7,000戸(+4.2%)
総世帯数 39万5,400世帯(+100世帯) +4.1%
空き家数 6万1,700戸(+7,500戸) 900万2,000戸
空き家率 13.5%(前回12.1%) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 3万5,900戸(7.9%・+21.3%) 385万6,000戸(5.9%)
同上が空き家に占める割合 58.2% 42.8%
住宅に占める一戸建ての割合 76.1%(全国2位) 52.7%
持ち家住宅率 75.0%(全国2位) 60.9%

出典:山形県みらい企画創造部統計企画課「山形県の住宅・土地 — 令和5年住宅・土地統計調査結果報告書」(2026年2月発行)。

世帯は増えていないのに、住宅は増えた

総住宅数は6,400戸増えて45万5,400戸。一方、総世帯数の増加はわずか100世帯にとどまりました。ほぼ横ばいの世帯数に対して、住宅だけが増えているという関係です。

その結果、空き家は7,500戸増えて6万1,700戸となり、空き家率13.5%は過去最高。前回の12.1%から1.4ポイント上昇しました。

空き家の58.2%が放置型

空き家6万1,700戸の内訳は、放置型が3万5,900戸(58.2%)、賃貸用または売却用が2万4,100戸(39.1%)、別荘などの二次的住宅が1,600戸(2.6%)です。

全国では空き家に占める放置型の割合が42.8%なので、山形県はこれを15ポイント以上上回ります。しかも増加率は21.3%。空き家率が全国平均を下回っていることに安心はできない数字です。

同居が空き家化を遅らせてきた

山形県で最も特徴的なのは、高齢者の住まい方です。

項目 山形県 全国
主世帯に占める高齢者のいる世帯 56.4%(22万800世帯) 42.7%
高齢者のいる世帯のうち単身・夫婦のみ 45.7% 61.0%
高齢者のいる世帯のうち同居世帯 54.3% 39.0%

高齢者のいる世帯の半数以上が、子や孫と同居しています。全国では逆に、単身と夫婦のみで6割を超えます。同居している限り、その住宅は空き家になりません。山形県の空き家率が全国平均を下回ってきた理由の一つは、この構造にあります。

その同居が解け始めている

ただし数字は動いています。高齢単身世帯は4万8,000世帯で5年間に14.6%増、高齢者のいる夫婦のみの世帯は5万2,800世帯で8.6%増。両者を合わせた割合は、平成30年の41.0%から45.7%へ4.7ポイント上昇しました。

同居が解ける経路はいくつかあります。子の世帯が転出する、高齢者が施設に入る、相続が発生する。いずれの場合も、それまで空き家にならなかった住宅が、短期間で空き家になります。放置型が5年で21.3%増えたのは、この転換が始まっているためだと読めます。

山形県の空き家は、大きくて敷地も広い

1住宅当たりの延べ面積は134.4㎡で全国3位、居住室数5.6室は全国2位。一戸建ての1住宅当たり敷地面積は392㎡で、前回の374㎡から18㎡広がりました。全国平均は262㎡です。

同居を前提に建てられた住宅は、世帯人数に合わせて大きくなります。その家が空くと、解体費用も改修面積も全国平均を大きく上回ります。所有者が判断を先送りしやすく、放置期間が長くなりやすい条件です。

目的によって、押さえるべき対象が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の比率が高い地域 空き家に加えて「古家(居住中)」も対象に含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 築古の持ち家と屋根・外壁の状態 「古家(居住中)」を主軸に、施工面積の大きい住宅を記録
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の比率が高い地区と建物の状態 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

4地域で放置型の比率が1.65倍違う

山形県は村山・最上・置賜・庄内の4地域に分かれます。県の報告書によると、放置型が住宅数に占める割合は次のとおりです。

地域 住宅数(県内シェア) 放置型の割合 持ち家世帯率
村山 22万8,630戸(50.2%) 6.6% 71.1%
最上 2万7,180戸(6.0%) 8.2% 79.7%
置賜 8万8,330戸(19.4%) 7.3% 76.1%
庄内 11万1,270戸(24.4%) 10.9% 81.2%

庄内地域の10.9%は、村山地域6.6%の1.65倍です。一方、実数では村山地域が1万5,120戸と最多。率で選ぶか実数で選ぶかで、候補地は入れ替わります。持ち家世帯率も村山71.1%と庄内81.2%で10.1ポイントの差があります。

リフォームは施工面積が武器になる

令和元年以降に増改築・改修工事を行った持ち家は9万2,300戸で、持ち家全体の31.4%。内訳では水回りの改修が17.0%(4万9,800戸)、屋根・外壁等の改修が12.8%(3万7,700戸)でした。

山形県は住宅が大きいぶん、屋根や外壁の施工面積も全国平均より大きくなります。1件あたりの受注規模で見れば有利な市場です。なお省エネタイプの窓がある住宅は55.5%(全国31.9%)と普及が進んでおり、この分野の未施工層は他県より薄いと考えたほうがよいでしょう。

空き家と「古家」、両方を地図に落とせます。

今の空き家だけでなく、同居世帯が住む築古の大きな戸建ても同じ調査で押さえられます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

山形県では、現住居の敷地を所有している世帯が65.3%(全国47.1%)、敷地以外の土地を所有している世帯も24.4%(全国11.8%)と、いずれも全国を大きく上回ります。土地を持っている世帯が多いということは、相続で動く不動産も多いということです。制度の変化を所有者が把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。山形県では空き家と古家を同時に指定しておくと、現在と将来の両方を一度の調査で押さえられます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

山形県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率が全国平均以下だから対象が薄いと考える/空き家の58.2%が放置型で、5年間に21.3%増えています
  • 今ある空き家だけを対象にする/高齢者のいる世帯の54.3%はまだ同居中です。この層が動くと一気に空きます
  • 県平均でエリアを決める/放置型の割合は庄内10.9%と村山6.6%で1.65倍の差があります
  • 積雪期に初回調査を入れる/雪に覆われると外観から得られる情報が減ります。初回は雪のない時期をおすすめしています
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

山形県の対応エリア

県内は全13市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

山形市/米沢市/鶴岡市/酒田市/新庄市/寒河江市/上山市/村山市/長井市/天童市/東根市/尾花沢市/南陽市

よくあるご質問

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。空き家と同時に指定すれば、両方を色分けした地図で納品できます。

積雪期でも調査は実施できますか?

実施自体は可能ですが、積雪により外観から判断できる情報が大きく減ります。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。

庄内地域や最上地域だけでも依頼できますか?

可能です。地域単位はもちろん、町丁目や集落の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

建物の大きさや外壁の状態も記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で状態を記録します。どの程度の粒度が必要かはヒアリング時にお伺いし、調査項目に反映します。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。

まとめ

山形県の空き家率13.5%は全国平均をわずかに下回りますが、空き家の58.2%が放置型で、その数は5年間に21.3%増えました。総世帯数がほぼ横ばいのなかで住宅だけが増え、空き家率は過去最高を更新しています。

この県の特徴は、高齢者のいる世帯の54.3%がまだ同居していることです。全国の39.0%を大きく上回ります。同居が続く限り住宅は空きませんが、解けた瞬間に大きな持ち家が一度に空く。しかも山形県の住宅は延べ面積134.4㎡で全国3位、敷地は392㎡です。今ある空き家と、同居世帯が住む築古の戸建て。この両方を同じ調査で地図に落とせるかどうかが、数年後の差になります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、山形県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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