大分県の空き家調査|5年で18%増えた県での優先順位のつけ方

大分県の空き家調査|5年で18%増えた県での優先順位のつけ方

大分県の空き家率は19.1%。平成30年の16.8%から2.3ポイント上昇しました。この上昇幅は47都道府県で最も大きい数字です。空き家数も9万7,700戸から11万5,500戸へ、1万7,800戸(18.2%)増えています。全国の増加率は6.0%ですから、3倍のペースです。

賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型も、4万8,700戸から5万6,300戸へ7,600戸(15.6%)増加。総住宅数に対する割合は9.3%で、全国平均5.9%を大きく上回ります。

ただし、増えた分をすべて追うことはできません。判断材料になるのは建物の状態です。県内の空き家のうち腐朽・破損があるものは2万1,600戸、放置型に限れば1万3,800戸。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが大分県で優先順位をどうつけるべきかを整理します。

この記事の結論

  • 大分県の空き家率は19.1%。5年で2.3ポイント上昇し、上昇幅は全国最大(令和5年)
  • 空き家数は18.2%増の11万5,500戸。全国の増加率6.0%の3倍のペース
  • 放置型も15.6%増の5万6,300戸。総住宅数の9.3%で全国平均の約1.6倍
  • 放置型のうち1万3,800戸(24.5%)に腐朽・破損あり。状態が優先順位の軸になる
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

大分県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」および大分県の公表資料による数値です。

項目 大分県 全国
総住宅数 60万3,300戸 6,504万6,700戸
空き家数 11万5,500戸(+1万7,800戸・+18.2%) 900万1,600戸(+6.0%)
空き家率 19.1%(前回16.8%・上昇幅は全国最大) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 5万6,300戸(9.3%・+15.6%) 385万6,000戸(5.9%)
同上が空き家に占める割合 48.7% 42.8%
腐朽・破損のある空き家 2万1,600戸
うち放置型 1万3,800戸(放置型の24.5%) 放置型の23.2%
持ち家住宅率 50.2%(全国41位) 60.9%

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」、大分県公表資料。

上昇幅は全国で最も大きい

空き家率の上昇幅を都道府県で比べると、大分県の2.3ポイントが最大です。次いで秋田県の2.2ポイント、長崎県の1.9ポイントと続きます。

実務上の意味は明確です。前回調査の時点で持っていた感覚が、最も通用しなくなっている県だということになります。5年前に「この地区はまだ少ない」と判断したエリアでも、現状は変わっている可能性が高いといえます。

増えたのは放置型だけではない

空き家全体は1万7,800戸増え、そのうち放置型は7,600戸。残る約1万戸は賃貸用や別荘などです。二次的住宅も4,800戸から6,500戸へ増えました。持ち家住宅率が50.2%と全国41位である点も踏まえると、賃貸市場の規模が大きい県だといえます。

つまり調査で条件を付けずに空き家を拾うと、募集中の物件や別荘が相当数混ざります。増加率の高さをそのまま歩留まりの高さと考えると、期待とずれます。

優先順位は「腐朽・破損」で決める

放置型5万6,300戸をすべて追うことは現実的ではありません。絞り込みの軸として使えるのが、建物の状態です。

区分 戸数 腐朽・破損あり 割合
空き家全体 11万5,500戸 2万1,600戸 18.7%
うち放置型 5万6,300戸 1万3,800戸 24.5%

放置型の腐朽・破損率24.5%は、全国平均の23.2%を上回ります。放置型5万6,300戸のうち、4戸に1戸は目に見えて傷んでいるということです。

建物の状態は、所有者の状況とも相関しやすい情報です。傷みが進んでいるほど管理が行き届いておらず、費用の負担も重くなっていきます。2023年の法改正で新設された「管理不全空家等」の対象になりうる層も、ここに集中します。

腐朽・破損は、現地でしか分からない

統計で分かるのは市区町村単位の集計までです。どの町丁目のどの建物が傷んでいるかは、実地調査でしか把握できません

土地調査では、調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を記録します。どの程度の粒度で記録するかは事前に指定でき、「外壁の劣化」「屋根の破損」といった項目に分けることも可能です。5万6,300戸という母数を、扱える件数まで絞り込むための工程になります。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の分布と腐朽・破損の有無 戸建てに限定し、状態別の記録を依頼する
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 居住中の築古住宅と外壁の状態 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 腐朽・破損のある空き家の分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

県内の差は3倍以上

県平均は19.1%ですが、同調査の市区町村別データによると、県内で空き家率が最も高いのは竹田市で約30%。一方、大分市や別府市を中心とする都市部では数字が下がります。

3倍近い差がある以上、県平均でエリアを選ぶことはできません。中山間地区を対象にする場合は市全域ではなく集落単位まで、都市部なら町丁目単位まで範囲を絞り込むほうが、面積あたりの費用対効果が上がります。

リフォームは持ち家の実数で見る

持ち家住宅率50.2%は全国41位と低い数字ですが、これは賃貸市場の大きさを反映したものです。施工需要を探す場合、対象は空き家ではなく居住中の築古住宅になります。

この用途では、空き家率の高さも上昇幅の大きさも、エリア選定の根拠になりません。「古家(居住中)」を調査項目として指定し、築年数相当の住宅を町丁目単位で地図に落とす形が実務に合います。外壁の状態を記録項目に含めておけば、提案の優先順位もそのままつけられます。

建物の状態まで記録したリストをお出しします。

外観から確認できる傷みの状況を、調査項目として指定できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査範囲と費用感をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

大分県では放置型のうち1万3,800戸に腐朽・破損があります。この層は制度上の区分の対象になりうる一方、所有者本人が改正内容を把握しているとは限りません。状況を正確に伝える相手が現れたときに、はじめて判断が動きます。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

大分県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 5年前の感覚でエリアを選ぶ/空き家率の上昇幅は全国最大の2.3ポイントです。前回調査時点の判断は当てになりません
  • 増加率の高さを歩留まりの高さと考える/増えた1万7,800戸のうち放置型は7,600戸です。賃貸用や別荘も増えています
  • 建物の状態を記録項目に入れない/放置型の4戸に1戸に腐朽・破損があります。優先順位の軸として使えます
  • 県平均でエリアを判断する/県内には約30%の市もあります。市の指定だけでは足りません
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

大分県の対応エリア

県内は全14市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

大分市/別府市/中津市/日田市/佐伯市/臼杵市/津久見市/竹田市/豊後高田市/杵築市/宇佐市/豊後大野市/由布市/国東市

よくあるご質問

建物の傷み具合まで記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で状態を記録します。外壁の劣化、屋根の破損といった項目に分けて記録することも可能です。どの粒度が必要かはヒアリング時にお伺いします。

集落単位でも依頼できますか?

可能です。市全域ではなく町丁目や字の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。中山間地区を対象にする場合は、この切り方をおすすめしています。

別荘を除いて調査することはできますか?

可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

自治体の実態把握にも使えますか?

ご利用いただいています。町丁目単位で調査し、状態別に分類したうえで地図上に可視化する形での納品に対応しています。継続的に同じ範囲を調査すれば、前回との比較もできます。

まとめ

大分県の空き家率19.1%は、5年間で2.3ポイント上昇しました。上昇幅は全国最大です。空き家数の増加率18.2%も、全国の6.0%と比べて3倍のペース。放置型も15.6%増えて5万6,300戸になりました。

ただし増えた分をすべて追うことはできません。放置型のうち1万3,800戸、4戸に1戸には腐朽・破損があります。どの建物が傷んでいるかは統計では分からず、現地を歩いて記録するしかありません。母数の大きさではなく、状態で優先順位を決める。この順序で進めれば、5万6,300戸は扱える大きさになります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、大分県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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