山梨県の空き家調査|空き家率が下がった県での対象の絞り込み方

山梨県の空き家調査|空き家率が下がった県での対象の絞り込み方

山梨県は長く「空き家率日本一」と言われてきました。平成30年の調査では21.3%で全国1位。この認識のまま止まっている方も多いと思います。

ところが令和5年の調査では20.4%。0.9ポイント下がり、順位も全国4位になりました。空き家数そのものも8万7,200戸へ、2,800戸(3.1%)減っています。全国の空き家が6.0%増えて過去最多を更新するなかで、実際に減った数少ない県です。

では対象が減ったのかというと、そうではありません。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は3万7,200戸あり、総住宅数に対する割合は8.7%。全国平均5.9%のおよそ1.5倍です。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが山梨県で対象をどう絞るべきかを整理します。

この記事の結論

  • 山梨県の空き家率は20.4%で全国4位。平成30年の21.3%(全国1位)から低下した(令和5年)
  • 空き家数も2,800戸(3.1%)減少。全国が6.0%増えるなかでの減少
  • ただし別荘などの二次的住宅は1万7,100戸へ増加し、総住宅数の4.0%で全国2位
  • 放置型は3万7,200戸、総住宅数の8.7%で全国平均の約1.5倍。対象そのものは厚い
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。別荘地を範囲から外す設定にも対応

山梨県の空き家を数字で確認する

山梨県新価値・地域創造推進局統計調査課「令和5年住宅・土地統計調査 結果報告書 — 山梨県の概要 —」による数値です。

項目 山梨県 全国
総住宅数 42万7,000戸(+1.2%) 6,504万7,000戸(+4.2%)
1世帯当たりの住宅数 1.25戸 1.16戸
空き家数 8万7,200戸(▲2,800戸・▲3.1%) 900万2,000戸(+6.0%)
空き家率 20.4%(全国4位・前回21.3%で1位) 13.8%
二次的住宅(別荘など) 1万7,100戸(4.0%・全国2位) 38万3,500戸(0.6%)
二次的住宅を除く空き家率 16.4%(全国12位・前回17.4%で7位) 13.2%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 3万7,200戸(8.7%) 385万6,000戸(5.9%)
持ち家住宅率 68.6%(▲1.6pt) 60.9%

出典:山梨県新価値・地域創造推進局統計調査課「令和5年住宅・土地統計調査 結果報告書 — 山梨県の概要 —」(2025年7月公表)。

減ったのは、別荘以外の空き家

空き家全体は2,800戸減りましたが、別荘などの二次的住宅は1万6,500戸から1万7,100戸へ600戸増えています。総住宅数に占める割合4.0%は、長野県の5.4%に次ぐ全国2位です。

つまり減ったのは別荘ではありません。二次的住宅を除く空き家は7万3,500戸から7万100戸へ、3,400戸減少しました。別荘の存在感はむしろ強まり、それ以外の空き家が減ったというのが正確な読み方です。

それでも放置型は全国平均の1.5倍

空き家の内訳は、賃貸用が3万1,000戸(総住宅数比7.3%)、放置型が3万7,200戸(同8.7%)、二次的住宅が1万7,100戸(同4.0%)、売却用が1,900戸(同0.4%)です。

放置型の8.7%は、全国平均5.9%を2.8ポイント上回ります。「率が下がったから対象が薄い」という読み方は成り立ちません。空き家率という総合的な指標が下がっただけで、営業対象になりうる層は依然として全国平均を大きく超えています。

別荘を除く設定は、山梨県でも必要

二次的住宅1万7,100戸は、空き家8万7,200戸のおよそ2割にあたります。しかも増加傾向です。空き家率が下がったからといって、別荘が調査結果に混ざる問題が解消したわけではありません。

土地調査では、調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった調整が可能です。県東部や富士山麓、八ヶ岳周辺を候補に入れる場合は、この設定を先に決めておいてください。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の分布と別荘の少ない地区 戸建てに限定し、空き地も対象に含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 1980年以前の持ち家と改修の未実施層 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の比率が高い市町と建物の状態 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

古い住宅ほど一戸建ての比率が高い

建築の時期別に建て方を見ると、1970年以前に建てられた住宅は95.2%が一戸建て、1971〜1980年でも84.6%が一戸建てです。県全体では一戸建ての割合が71.9%ですから、古い住宅ほど戸建ての比率が高いという関係になります。

放置型の空き家は築古の住宅に偏ります。この2つを重ねると、古い住宅がまとまって建っている地区で戸建てに絞れば、拾える件数が上がるという条件が立ちます。1980年以前に建てられた持ち家は5万6,900戸あります。

改修の未実施層が全国より厚い

2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家は6万2,500戸で、持ち家全体の27.0%。全国平均の28.8%を下回ります。内訳では台所・トイレ・浴室などの水回りが14.5%、屋根・外壁等の改修が11.3%(全国12.4%)でした。

耐震診断を行った持ち家も10.5%で、全国12.0%を下回っています。持ち家の比率は全国より高いのに、手を入れた住宅の割合は全国より低いという構図です。施工提案先という観点では、未実施層がまとまって残っていることになります。

敷地以外の土地を持つ世帯が全国の1.7倍

現住居の敷地を所有している世帯は56.6%(全国47.1%)、現住居の敷地以外の土地を所有している世帯は20.4%(全国11.8%)。いずれも全国を大きく上回ります。

土地を持っている世帯が多いということは、空き地の調査対象も厚いということです。仕入れが目的の場合、空き家に空き地を組み合わせて指定すると、1回の調査で拾える件数が増えます。

別荘を除いた山梨県のリスト、お出しできます。

別荘地を範囲から外した調査や、空き地を含めた調査にも対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

山梨県では高齢単身世帯が4万3,600世帯で、平成30年の3万9,200世帯から11.2%増えました。一方、高齢者が子や孫と同居している世帯は7万1,900世帯から6万5,600世帯へ減っています。同居が解けていく流れが進んでおり、相続で動く住宅も今後増えていくと考えられます。所有者本人が制度の変化を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。山梨県では空き家と空き地を組み合わせて指定すると、1回の調査で拾える件数が増えます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。別荘地を範囲から外す設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

山梨県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 「空き家率日本一」の前提で計画する/全国1位は平成30年の話です。令和5年は20.4%で全国4位に下がりました
  • 率が下がったから対象も減ったと読む/放置型は8.7%で全国平均の約1.5倍です。減ったのは別荘以外の空き家全体です
  • 別荘地を範囲に含めたまま発注する/二次的住宅は空き家の約2割を占め、しかも増えています。除外設定を先に決めてください
  • 市全域をまとめて発注する/従量制のため範囲が広がるほど費用が増えます。1〜2地区で実施し、結果を見て広げるほうが判断しやすくなります
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

山梨県の対応エリア

県内は全13市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

甲府市/富士吉田市/都留市/山梨市/大月市/韮崎市/南アルプス市/北杜市/甲斐市/笛吹市/上野原市/甲州市/中央市

よくあるご質問

別荘を除いて調査することはできますか?

可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。目的をお伺いしたうえでご提案します。

空き地も同時に調査できますか?

できます。「空き地(更地)」を調査項目として指定いただければ、空き家と同時に調査し、地図上で色分けして納品できます。山梨県は敷地以外の土地を所有する世帯が多いため、この組み合わせが有効です。

甲府市内の一部エリアだけでも依頼できますか?

可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

まとめ

山梨県の空き家率20.4%は全国4位。平成30年の21.3%・全国1位から下がり、空き家数そのものも3.1%減りました。全国が6.0%増えるなかでの減少です。「空き家率日本一の県」という認識は、すでに1回分の調査だけ古くなっています。

ただし減ったのは別荘以外の空き家であり、二次的住宅はむしろ600戸増えて全国2位の水準です。そして放置型は3万7,200戸、総住宅数の8.7%で全国平均のおよそ1.5倍。率の順位は下がっても、対象そのものは厚いままです。別荘地を範囲から外し、古い住宅が集まる地区で戸建てに絞る。この2つを先に決めておけば、リストの中身は変わります。まずは1〜2地区で実施し、結果を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、山梨県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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