新潟県の空き家調査|放置型が2割増えた県で見るべき3つの数字

新潟県の空き家調査|放置型が2割増えた県で見るべき3つの数字

新潟県の空き家率は15.3%。全国平均13.8%を1.5ポイント上回りますが、47都道府県で見れば中位です。この数字だけを見て「新潟は特に深刻というほどではない」と判断すると、実態を取り逃がします。

注目すべきは率ではなく、中身の変化のスピードです。賃貸にも売却にも出ていない放置型の空き家は、5年間で19.6%増えました。同じ期間の全国の増加率は10.6%ですから、およそ2倍のペースで積み上がっている計算になります。総住宅数は2.1%しか増えていないなかでの数字です。

この記事では、令和5年住宅・土地統計調査をもとに新潟県で見るべき3つの数字を整理し、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが調査範囲をどう決めるかまでを解説します。

この記事の結論

  • 新潟県の空き家率は15.3%で過去最高。ただし全国順位は中位で、率だけでは特徴が見えない(令和5年)
  • 放置型の空き家は7万7,500戸、5年で19.6%増。全国の増加率10.6%の約2倍のペース
  • 空き家に占める放置型の割合は49.9%とほぼ半分。全国平均の42.8%を上回る
  • 空き家の51.7%が一戸建てで、外観からの判定が効きやすい構造にある
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

新潟県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査(住宅及び世帯に関する基本集計・確報集計)」による数値です。

項目 新潟県 全国
総住宅数 101万5,200戸 約6,504万7千戸
2018年からの増減率 +2.1% +4.2%
空き家数 約15万5,300戸 約900万2千戸
空き家率 15.3% 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 7万7,500戸(7.6%) 約385万戸(5.9%)
同上の2018年からの増加率 +19.6% +10.6%
空き家に占める一戸建ての割合 51.7% 39.1%

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024年9月公表)、および新潟県統計課による同調査の県内結果。

空き家の内訳は、ほぼ半分が放置型

県内の空き家15万5,300戸の内訳は、放置型が7万7,500戸(49.9%)、賃貸用が5万4,500戸(35.1%)、別荘などの二次的住宅が1万9,400戸(12.5%)、売却用が4,000戸(2.6%)です。

全国では空き家に占める放置型の割合が42.8%ですから、新潟県はこれを7ポイント上回ります。空き家の半分は、市場にも別荘としても出てこない住宅だということです。ポータルサイトや登記情報だけを追っていても、この層には行き着きません。

新潟県で見るべき3つの数字

空き家率だけでは判断材料になりません。新潟県で調査エリアを検討するなら、次の3つを順に見てください。

①放置型の増加率19.6%

5年間で1万2,700戸増えました。全国の増加率10.6%に対しておよそ2倍です。総住宅数の伸びが2.1%にとどまるなかでこの増え方をしているため、新築の供給が原因ではなく、既存の住宅が使われなくなる速度が上がっていると読めます。

この速度は、調査データの扱い方に直結します。5年前の資料や、数年前に作った営業リストは、この間の変化を反映していません。前回の調査時点で空き家でなかった住宅が、すでに放置型に移っている可能性が高い県だということです。

②空き家に占める放置型の割合49.9%

この数字は、調査の歩留まりに影響します。空き家率が同じ15%でも、その内訳が賃貸の空室ばかりの地域と、放置型が半分を占める地域では、現地を歩いて得られるリストの中身がまったく変わります。

新潟県は後者にあたります。調査で見つかった空き家のうち、営業対象になりうる割合が相対的に高い県だと考えてよいでしょう。

③総住宅数と総世帯数の差15万4,900戸

令和5年の新潟県は、総住宅数101万5,200戸に対し総世帯数が86万300世帯。差は15万4,900戸あり、1世帯当たりの住宅数は1.18戸です。世帯数の伸び(1.4%)を住宅数の伸び(2.1%)が上回り続けており、この差は今後も開く方向にあります。

住宅が世帯より多い状態が構造として固定している以上、放置型の空き家が自然に解消する見込みは薄いと考えるのが現実的です。調査対象の母数は当面減りません。

もう一つ、増減の向きが逆になっている

新潟市の数値を見ると、平成30年からの5年間で賃貸用の空き家は約1,700戸減り、放置型は約3,300戸増えています。空き家の総数はほぼ横ばいでも、中身は市場に出る在庫から出ない在庫へ入れ替わっているということです。

「空き家が増えていないから対象も増えていない」という読み方は、この県では成り立ちません。総数ではなく内訳の変化を見てください。

一戸建てが空き家の過半を占めるという条件

新潟県の空き家を建て方別に見ると、一戸建てが8万300戸で51.7%、共同住宅が6万9,600戸で44.8%、長屋建てが5,000戸で3.2%です。

全国では空き家に占める一戸建ての割合が39.1%なので、新潟県はこれを12ポイント以上上回ります。これは実地調査にとって有利な条件です。一戸建ては外観から使用状況を判断しやすく、共同住宅のように「どの部屋が空いているか」を建物の外から特定する難しさがありません

加えて、全国では一戸建ての空き家の約8割が放置型に分類されます。一戸建ての比率が高いことと、放置型の比率が高いことは連動しています。新潟県で戸建てを対象に調査すると、成果につながる件数が出やすいのはこのためです。

目的によって、見るべき数字と調査条件は変わる

同じ新潟県内でも、何のためのリストかによって選ぶエリアも指定すべき条件も変わります。

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の実数と増加率 戸建ての空き家に加え、空き地も対象に含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 居住中の住宅の築年数と外観の傷み 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 腐朽・破損のある空き家の分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォームや外壁塗装が目的の場合、本命は空き家ではなく人が住んでいる築古の戸建てです。この場合、空き家率の高さはエリア選定の根拠になりません。居住中の住宅を対象にした調査項目を組む形になります。

自治体の場合は網羅性が前提になります。営業効率のために絞るのではなく、町丁目単位で全域を押さえ、長期・短期や腐朽の有無で分類して地図に落とす形が実務に合います。

新潟県の空き家データ、1地区からお出しできます。

目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
まずは費用感だけ知りたい、というご相談でも構いません。

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2023年の法改正で所有者の状況が変わった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

放置型が短期間で増えている県では、この改正の影響を受ける物件も同じ速度で増えていきます。所有者が「まだ先の話」と考えていた期間が、制度の側から縮められたという見方ができます。ただし所有者本人が改正内容を知っているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

新潟県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率の全国順位でエリアを判断する/新潟県は率では中位です。判断材料になるのは放置型の実数と増加率のほうです
  • 数年前のリストを使い回す/放置型が5年で約2割増えている県では、古いリストほど取りこぼしが大きくなります
  • 冬囲いの時期に初回調査を入れる/雪囲いや積雪で外観から得られる情報が減ります。初回は雪のない時期をおすすめしています
  • 市全体をまとめて発注する/従量制のため範囲が広がるほど費用が増えます。1〜2地区で実施し、結果を見て広げるほうが判断しやすくなります
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

新潟県の対応エリア

県内は全20市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

新潟市/長岡市/三条市/柏崎市/新発田市/小千谷市/加茂市/十日町市/見附市/村上市/燕市/糸魚川市/妙高市/五泉市/上越市/阿賀野市/佐渡市/魚沼市/南魚沼市/胎内市

よくあるご質問

新潟市内の一部の区だけでも依頼できますか?

可能です。区単位はもちろん、町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

積雪期でも調査は実施できますか?

実施自体は可能ですが、雪囲いや積雪により外観から判断できる情報が減ります。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。

離島や中山間地域も対象にできますか?

対応しています。移動を伴うエリアについては、範囲と件数を伺ったうえで実施方法をご提案します。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。

まとめ

新潟県の空き家率15.3%という数字は、全国順位で見れば中位です。しかし放置型の空き家は5年で19.6%増え、空き家全体の半分を占めるまでになりました。総住宅数の伸びが2.1%にとどまるなかでの増加であり、既存の住宅が使われなくなる速度が上がっていることを示しています。

空き家の過半が一戸建てであるため、外観からの実地調査が効きやすい条件も揃っています。判断材料になるのは率の順位ではなく、放置型の増加率、空き家に占める放置型の割合、そして住宅数と世帯数の差の3つです。まずは1〜2地区に絞って実施し、出てきたリストの中身を見てから範囲を広げる進め方をおすすめします。

どの地区から調べるべきか、ご相談ください。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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