岐阜県の空き家調査|市の指定では範囲が決まらない県での切り方

岐阜県の空き家調査|市の指定では範囲が決まらない県での切り方

岐阜県の空き家率は16.1%。前回の15.6%から0.5ポイント上昇し、空き家数も13万9,800戸から14万8,400戸へ8,600戸増えました。全国平均13.8%を2.3ポイント上回ります。

ただし岐阜県で最初に押さえるべきは、空き家の数字ではなく面積です。県の面積は約1万621平方キロメートルで全国7位。県内で最も広い高山市は約2,178平方キロメートルあり、香川県全体(約1,877平方キロメートル)より広いという規模です。

土地調査の費用は調査面積に対する従量制です。つまり岐阜県では、「高山市で調査を」という指定だけでは範囲が決まりません。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが岐阜県で範囲をどう切るべきかを整理します。

この記事の結論

  • 岐阜県の空き家率は16.1%、空き家は8,600戸増えて14万8,400戸(令和5年)
  • 県面積は約1万621㎢で全国7位。高山市1市だけで香川県より広い
  • 面積あたりの住宅数は約87戸/㎢で全国平均の約半分。市の指定では範囲が決まらない
  • 1住宅当たりの居住室数5.47室は全国4位。住宅そのものは大きい
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。何を含めないかが費用を決める

岐阜県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数値です。

項目 岐阜県 全国
総住宅数 92万4,100戸(+3.38%) 6,504万7,000戸(+4.2%)
空き家数 14万8,400戸(+8,600戸・+6.2%) 900万2,000戸(+6.0%)
空き家率 16.1%(前回15.6%) 13.8%
二次的住宅を除く空き家 14万戸(15.1%・+6.5%) 13.2%
二次的住宅(別荘など) 8,400戸(前回と同数) 38万3,500戸
1住宅当たり居住室数 5.47室(全国4位) 4.26室
1住宅当たり延べ面積 119.33㎡(全国10位) 90.86㎡
現住居の敷地を所有している世帯 62.9%(全国5位) 47.1%

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計・住宅の構造等に関する集計・土地集計(確報集計)結果」。面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」による。

空き家は増えたが、順位は下がった

空き家率は0.5ポイント上昇しましたが、全国順位は15位から21位へ下がりました。他県のほうが速く上昇したため、相対的な位置は後退したということです。

別荘などの二次的住宅は8,400戸で、5年間まったく変化していません。そのため二次的住宅を除いた空き家は8,600戸増え、増加率6.5%は空き家全体の6.2%を上回ります。

住宅は大きい

1住宅当たりの居住室数5.47室は全国4位、居住室の畳数41.72畳は全国6位、延べ面積119.33㎡は全国10位。いずれも全国平均を大きく上回ります。

現住居の敷地を所有している世帯も62.9%で全国5位。広い敷地に部屋数の多い持ち家という住まい方が定着している県です。空き家になった場合、解体費用も改修面積も全国平均より大きくなります。

市の指定では、範囲が決まらない

岐阜県の面積は約1万621平方キロメートルで全国7位。総住宅数92万4,100戸を単純に割ると、1平方キロメートルあたり約87戸になります。全国平均は約172戸ですから、およそ半分の水準です。

さらに問題なのは、県内での偏りです。

比較対象 面積 備考
高山市 約2,178㎢ 県内最大。県面積のおよそ2割を占める
香川県(全体) 約1,877㎢ 高山市より狭い
岐阜県(全体) 約1万621㎢ 全国7位

1つの市が1つの県より広いということは、「高山市で」という指定が、香川県全域を調査するより広い範囲を意味しうるということです。市を指定しただけでは、見積りの前提が定まりません。

「どこを含めるか」より「どこを含めないか」

面積に対する従量制では、範囲に含めた分だけ費用が積み上がります。住宅が密集している地区も、住宅がほとんどない山林も、面積としては同じ扱いです。

岐阜県のように可住地が限られる県では、調査範囲を決める作業の中心が「除外」になります。土地調査は町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しているため、住宅が集まっている範囲だけを指定できます。市全域ではなく、市街地や集落の単位で切ってください。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 住宅が集まる市街地・旧集落 戸建てに限定し、町丁目・集落単位で範囲を切る
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 持ち家の築年数と施工面積 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 集落単位の分布と建物の状態 集落単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォームは1件あたりの規模が大きい

居住室数が全国4位、延べ面積が全国10位ということは、屋根や外壁の施工面積も全国平均より大きいということです。1件あたりの受注規模で見れば有利な市場だといえます。

2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家の割合は30.2%で全国20位、高齢者が住む住宅の一定のバリアフリー化率は48.3%で全国11位。いずれも全国平均をやや上回る水準です。未施工層が極端に厚いわけではありませんが、住宅の規模が大きいぶん1件あたりの単価で補えます。

所有地は同じ市町村内にある

現住居の敷地以外に土地を持っている世帯は19.9%で全国15位、宅地に限れば12.3%で全国13位。いずれも全国平均を上回ります。

そしてその所有地の85.7%は、自分が住んでいる市区町村内にあります。全国平均70.9%に対して全国5位の高さです。自県内の別の市区町村にあるものは8.7%で全国44位。調査で所有者を特定できれば、その人は同じ市町村内にいる可能性が高いということになります。空き地を調査項目に加えると、拾える件数が増えます。

市街地・集落の単位で、範囲を切れます。

山林を含む広い市でも、住宅が集まっている範囲だけを指定できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査範囲と費用感をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

岐阜県では現住居の敷地を所有している世帯が62.9%と全国5位、敷地以外の土地を持つ世帯も19.9%あります。相続で動く不動産の件数も、それに比例して多くなります。所有者本人が制度の変化を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。岐阜県のように面積の広い市を含む県では、市全域か市街地のみかで見積りが大きく変わります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。市街地や集落の単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

岐阜県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 市の名前だけで発注する/高山市1市で香川県より広い面積があります。市街地か市全域かで見積りが大きく変わります
  • 空き家率16.1%をそのまま期待値にする/面積あたりの住宅数は全国平均の約半分です。率と面積効率は別の話です
  • 山林を含む範囲をそのまま指定する/従量制では住宅のない面積も費用に乗ります。住宅が集まる範囲だけを切ってください
  • 積雪期に初回調査を入れる/飛騨地方などでは積雪により外観から得られる情報が減ります。初回は雪のない時期をおすすめしています
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

岐阜県の対応エリア

県内は全21市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

岐阜市/大垣市/高山市/多治見市/関市/中津川市/美濃市/瑞浪市/羽島市/恵那市/美濃加茂市/土岐市/各務原市/可児市/山県市/瑞穂市/飛騨市/本巣市/郡上市/下呂市/海津市

よくあるご質問

市の一部だけを指定して依頼できますか?

可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。面積の広い市では、市街地や集落の範囲だけを指定していただくほうが費用対効果が上がります。

山林を含む市でも調査できますか?

対応しています。ただし費用は面積に応じた従量制のため、住宅がほとんどない範囲を含めると費用が増えます。住宅が集まっている範囲を指定していただくことをおすすめしています。

積雪期でも調査は実施できますか?

地域によります。飛騨地方などでは積雪により外観から判断できる情報が減るため、初回は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。

空き地も同時に調査できますか?

できます。「空き地(更地)」を調査項目として指定いただければ、空き家と同時に調査し、地図上で色分けして納品します。岐阜県は土地を所有する世帯が全国平均を上回るため、この組み合わせが有効です。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

まとめ

岐阜県の空き家率16.1%は全国平均を2.3ポイント上回り、空き家も8,600戸増えました。1住宅当たりの居住室数5.47室は全国4位、延べ面積119.33㎡は全国10位で、住宅そのものは大きい県です。

ただし調査を発注するうえで最初に効いてくるのは面積です。県面積は全国7位、高山市1市だけで香川県より広く、面積あたりの住宅数は全国平均の約半分。市の名前だけで発注すると、見積りの前提が定まりません。

面積に対する従量制では、範囲を決める作業の中心は「どこを含めるか」ではなく「どこを含めないか」になります。市街地や集落の単位で切り、住宅が集まっている範囲だけを指定してください。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げる進め方をおすすめします。

まず1地区から、岐阜県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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