奈良県の空き家調査|賃貸が空き家を吸収する県での絞り込み方

奈良県の空き家調査|賃貸が空き家を吸収する県での絞り込み方

奈良県の空き家率は14.6%で全国32位。全国平均13.8%をわずかに上回る程度で、上位県とは大きく離れています。

同じ近畿でも、和歌山県は21.2%で全国1位。7ポイント近い差があります。この違いを説明する数字の一つが家賃です。奈良県の1か月当たり家賃は5万1,996円で全国9位。和歌山県の4万2,110円(全国40位)と比べて1.2倍以上の水準にあります。

貸せば借り手がつく県では、空き家は賃貸市場に吸収されます。逆にいえば、調査で空き家を拾うと募集中の賃貸物件が相当数混ざるということでもあります。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが奈良県で対象をどう絞るべきかを整理します。

この記事の結論

  • 奈良県の空き家率は14.6%で全国32位。同じ近畿の和歌山県21.2%とは7ポイント近い差(令和5年)
  • 1か月当たり家賃は5万1,996円で全国9位。賃貸市場が機能している
  • 二次的住宅を除く空き家は9万1,600戸で9.0%増。空き家全体(7.3%増)より速い
  • 持ち家の改修実施率は32.2%で全国5位。手を入れて住み続ける県でもある
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。戸建てへの限定が特に効く

奈良県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数値です。

項目 奈良県 全国
総住宅数 63万9,500戸(+3.6%) 6,504万7,000戸(+4.2%)
空き家数 9万3,600戸(+6,400戸・+7.3%) 900万2,000戸(+6.0%)
空き家率 14.6%(全国32位・前回14.1%) 13.8%
二次的住宅を除く空き家 9万1,600戸(14.3%・+9.0%) 13.2%
二次的住宅(別荘など) 2,000戸(前回3,200戸・▲37.5%) 38万3,500戸
1か月当たり家賃・間代 5万1,996円(全国9位) 5万9,656円
1住宅当たり延べ面積 109.05㎡(全国17位) 90.86㎡
1住宅当たり居住室数 5.20室(全国9位) 4.26室

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計・住宅の構造等に関する集計・土地集計(確報集計)結果」。

近畿の中でも位置づけが違う

近畿2府4県の家賃と空き家率を並べると、関係がはっきりします。

府県 1か月当たり家賃 空き家率
大阪府 5万9,209円(全国5位) 14.2%
兵庫県 5万7,838円(全国6位) 13.8%
京都府 5万7,217円(全国7位) 13.1%
奈良県 5万1,996円(全国9位) 14.6%
滋賀県 5万668円(全国14位) 12.3%
和歌山県 4万2,110円(全国40位) 21.2%

和歌山県だけが家賃で大きく離れ、空き家率でも突出しています。奈良県は家賃の面では大阪・兵庫・京都と同じグループに属します。県としての位置づけは、地方県ではなく大阪都市圏の住宅地です。

住宅は大きく、手も入っている

1住宅当たりの延べ面積は109.05㎡で全国17位、居住室数5.20室は全国9位。全国平均を大きく上回る規模です。都市圏でありながら、住宅の広さは地方県に近い水準を保っています。

さらに2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家の割合は32.2%で全国5位。広い持ち家に手を入れて住み続けるという住まい方が定着しています

賃貸が空き家を吸収する県では、絞り込みが効く

家賃水準が高いということは、空き家を賃貸に出す動機が働くということです。改修費用をかけても回収の見込みが立ちます。その結果、空き家の一定割合は賃貸市場に流れます。

全国の傾向として、共同住宅の空き家は約8割が賃貸用、一戸建ての空き家は約8割が賃貸・売却用や別荘を除く空き家です。奈良県のように賃貸市場が機能している県では、この差がさらに開くと考えられます。

調査条件 拾えるもの 歩留まり
条件を付けずに空き家を調査 募集中の賃貸物件が相当数混ざる 低い
戸建てに限定して調査 放置型が中心になる 高い

奈良県では、調査項目を戸建てに限定するかどうかで結果が大きく変わります。仕入れが目的であれば、共同住宅は範囲から外してください。

空き家全体より、除いた後のほうが速く増えている

空き家は5年間で7.3%増えましたが、別荘などの二次的住宅を除いた空き家は9.0%増えています。二次的住宅そのものが3,200戸から2,000戸へ37.5%減ったためです。

つまり減ったのは別荘、増えたのは実質的な空き家という構図です。空き家率14.6%という数字が全国32位にとどまっていても、中身は着実に積み上がっています。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 戸建ての空き家の分布 戸建てに限定し、共同住宅を範囲から外す
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 前回工事からの経過年数 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 建物の状態と地域差 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォームは「次の周期」を狙う

改修実施率32.2%が全国5位ということは、未施工の住宅を探す戦略が効きにくい県だということでもあります。他県では「まだ手が入っていない住宅」を探せば済みましたが、奈良県では母数が薄くなります。

ただし住宅が大きいぶん、1件あたりの施工面積は大きくなります。延べ面積109.05㎡は全国17位。屋根や外壁の塗装は10年から15年程度の周期で再度必要になるため、2019年前後に工事を行った住宅はこれから次の周期に入ります。「古家(居住中)」を調査項目として指定し、外観の状態を記録しておけば、時期が来た住宅から順に当たれます。

所有者は県外にいることがある

奈良県の世帯が現住居の敷地以外に持っている宅地のうち、17.2%は他県にあります。全国平均14.1%を上回り、全国8位の水準です。同じ市区町村内にあるのは71.9%で全国34位にとどまります。

大阪都市圏に属する県では、県境をまたいだ不動産の所有が起こりやすくなります。逆に、奈良県内の空き家の所有者が府県外に住んでいる可能性も同様に高いということです。所有者情報を取得したうえで、DMなど確実に届く手段を用意しておく必要があります。

戸建てに絞った奈良県のリスト、お出しできます。

共同住宅を除外した調査から、所有者情報の取得、DM発送まで一括で対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

奈良県では所有地の17.2%が他県にあります。府県をまたいだ所有が多い地域では、現地の状況も市町村からの通知も所有者に届きにくくなります。伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。奈良県では戸建てへの限定が特に効きます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、府県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。所有者の居住地が府県外でも対応します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

奈良県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 共同住宅を含めて発注する/家賃水準が高く賃貸市場が機能しています。募集中の物件を大量に拾うことになります
  • 空き家率14.6%で対象が薄いと判断する/別荘を除いた空き家は9.0%増と、空き家全体より速く増えています
  • 未施工の住宅を探す前提で計画する/改修実施率は全国5位です。次の改修周期を狙うほうが現実的です
  • 訪問前提でアプローチを設計する/所有地の17.2%は他県にあります。DMなど確実に届く手段を用意してください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

奈良県の対応エリア

県内は全12市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

奈良市/大和高田市/大和郡山市/天理市/橿原市/桜井市/五條市/御所市/生駒市/香芝市/葛城市/宇陀市

よくあるご質問

共同住宅を除いて調査できますか?

できます。奈良県は賃貸市場が機能しているため、条件を付けずに調査すると募集中の物件が多く含まれます。仕入れが目的の場合は戸建てに限定したほうが歩留まりが上がります。

所有者が大阪府など県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が府県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

奈良市内の一部エリアだけでも依頼できますか?

可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。外観の状態も記録できるため、改修時期の判断材料として使えます。

大阪府や京都府とまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、府県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。

まとめ

奈良県の空き家率14.6%は全国32位。同じ近畿の和歌山県21.2%とは大きく離れています。その差を説明する要素の一つが家賃で、奈良県は5万1,996円で全国9位。大阪・兵庫・京都と同じグループに属します。

賃貸市場が機能している県では、空き家は賃貸に流れます。だからこそ、条件を付けずに調査すると募集中の物件を大量に拾うことになります。戸建てに限定するかどうかで、リストの中身が変わります。

加えて、別荘を除いた空き家は9.0%増と空き家全体より速く増えており、所有地の17.2%は他県にあります。戸建てに絞り、所有者情報の取得からDM発送までを一本の流れにする。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、奈良県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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