福岡県の空き家調査|九州で最も空き家が少ない県での範囲の決め方

福岡県の空き家率は12.4%で全国39位。放置型の空き家も総住宅数の4.6%にとどまり、全国40位です。どちらも全国平均を下回ります。
これは九州の中では例外的な数字です。同じ九州でも鹿児島県は放置型が13.6%で全国1位、大分県19.1%、長崎県17.3%と空き家率も高い県が並びます。福岡県だけが、まったく別の市場として動いています。
ただし実数で見れば放置型は12万5,500戸あり、全国9位の規模です。九州で営業エリアを持つ企業にとっては、福岡の数字を基準に九州全体を考えると判断を誤ります。この記事では、福岡県の位置づけを九州の中で整理したうえで、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが何を対象にすべきかを解説します。
この記事の結論
- 福岡県の空き家率は12.4%で全国39位、放置型も4.6%で全国40位。ともに全国平均以下(令和5年)
- ただし放置型の実数は12万5,500戸で全国9位。率が低いのは母数が大きいため
- 九州7県のうち、福岡だけが全国平均を下回る。住宅数では九州の4割を占めるが、放置型では約24%
- 持ち家住宅率は52.7%で全国45位。高齢単身世帯の41.1%が借家で、他県の「高齢持ち家=予備軍」が当てはまりにくい
- 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。県をまたぐ調査も同一基準で実施できる
記事の目次
福岡県の空き家を数字で確認する
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数値です。
| 項目 | 福岡県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 270万3,300戸 | 6,504万6,700戸 |
| 2018年からの増減率 | +4.7% | +4.2% |
| 総世帯数の増減率 | +5.3% | +4.1% |
| 空き家数 | 33万5,300戸(+2.0%) | 900万1,600戸(+6.0%) |
| 空き家率 | 12.4%(全国39位) | 13.8% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 12万5,500戸(4.6%・全国40位) | 385万6,000戸(5.9%) |
| 住宅に占める共同住宅の割合 | 54.8%(全国5位) | 44.9% |
| 持ち家住宅率 | 52.7%(全国45位) | 60.9% |
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024年9月公表)。
九州7県の中で、福岡だけ数字の性格が違う
九州各県の数字を並べると、福岡の位置づけがはっきりします。
| 県 | 空き家率 | 放置型の割合 | 放置型の実数 |
|---|---|---|---|
| 福岡県 | 12.4% | 4.6% | 12万5,500戸 |
| 佐賀県 | 14.5% | 7.7% | 2万8,300戸 |
| 熊本県 | 14.9% | 7.6% | 6万5,000戸 |
| 宮崎県 | 16.3% | 9.9% | 5万5,000戸 |
| 長崎県 | 17.3% | 9.9% | 6万4,900戸 |
| 大分県 | 19.1% | 9.6% | 5万8,000戸 |
| 鹿児島県 | 20.5% | 13.6%(全国1位) | 12万2,200戸 |
福岡県の放置型4.6%に対し、鹿児島県は13.6%。同じ九州で3倍近い開きがあります。空き家率でも福岡12.4%と鹿児島20.5%で8ポイント差です。
住宅数では4割、放置型では約24%
九州7県の総住宅数のうち、福岡県が占める割合はおよそ4割です。ところが放置型の空き家で見ると、7県合計約51万9千戸に対して福岡は12万5,500戸、シェアは約24%にとどまります。
逆に鹿児島県は、住宅数のシェアが1割台であるのに対し、放置型では2割強を占めます。住宅の分布と放置型の分布が、九州内で大きくずれているということです。
九州で展開するなら、県をまたいで設計する
福岡に本社を置き、九州全域に営業エリアを持つ企業は少なくありません。しかし福岡県内の感覚で他県の件数を見積もると、実際とは合いません。放置型の密度が2倍から3倍違うためです。
弊社は47都道府県に自社ネットワークを持ち、県をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。福岡県内で1地区、他県で1地区といった形で並行して実施し、件数と中身を比較したうえで配分を決める進め方も可能です。
福岡県内で、対象になるのは何か
県全体では率が低くても、県内には差があります。同調査の市区町村別データによると、放置型の比率が最も高いのは川崎町で約24%。県平均4.6%の5倍以上です。筑豊地域や県南部には、県平均とはまったく違う数字の市町があります。
| 立場 | 主な目的 | 優先して見る数字 | 調査で指定するとよい条件 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件の発掘 | 放置型の比率が高い市町 | 戸建てに限定し、共同住宅を範囲から外す |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工需要のある住宅の発掘 | 持ち家の築年数と設備の設置状況 | 「古家(居住中)」「古アパート」を調査項目に追加 |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 放置型の比率が高い地区の分布 | 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する |
高齢単身世帯の41.1%が借家
福岡県では65歳以上の単身世帯が34万200世帯あり、5年間で5万6,700世帯増えました。ただし、そのうち41.1%は借家に住んでいます。全国平均の32.2%を大きく上回り、沖縄・大阪・東京に次ぐ全国4位の水準です。
これは実務上、重要な差です。他県で通用する「高齢世帯の持ち家=将来の空き家予備軍」という読み方が、福岡では半分程度しか当てはまりません。高齢化の進行がそのまま放置型の増加につながる県ではない、ということです。空き家率の増加率が2.0%と全国38位にとどまっているのも、この構造と整合します。
断熱・開口部の未施工層が全国最下位クラス
リフォーム関連では、逆の意味で数字が際立ちます。二重サッシまたは複層ガラスの窓がある住宅は51万7,300戸で、住宅全体に占める割合は22.0%。全国平均31.9%を10ポイント近く下回り、全国41位です。
持ち家は123万8,700戸あり、太陽光発電機器の設置割合も4.9%と全国平均並み。設備の実数は多いのに、断熱・開口部については未施工の住宅が厚く残っているという構図です。統計では市区町村単位までしか分からないため、築年数相当の住宅を町丁目単位で押さえる調査が有効な領域になります。
福岡県と近隣県、同じ基準で比較できます。
九州全域に営業エリアがある場合、県ごとの件数と中身を同一フォーマットで比較できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
2023年の法改正で所有者の状況が変わった
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。
従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
福岡県は県全体では放置型の比率が低い一方、筑豊地域など比率の高い市町を抱えています。制度の影響が出やすいのは、こうした県内でも数字の違う地区です。所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。
なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅を除外した設定にも対応します。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
福岡県で空き家調査を進めるときの注意点
よくあるつまずき
- 福岡県の数字で九州全体を見積もる/放置型の比率は他県の半分以下です。県ごとに条件が違うことを前提に配分してください
- 県平均4.6%でエリアを判断する/筑豊地域など県内には5倍以上の比率の市町があります。市町単位で確認してください
- 共同住宅を含めて発注する/共同住宅の割合が54.8%と全国5位です。仕入れが目的なら戸建てに絞ってください
- 高齢化の進行から件数を推測する/高齢単身世帯の41.1%が借家です。他県と同じ換算は当てはまりません
- リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
福岡県の対応エリア
県内は全29市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。
北九州市/福岡市/大牟田市/久留米市/直方市/飯塚市/田川市/柳川市/八女市/筑後市/大川市/行橋市/豊前市/中間市/小郡市/筑紫野市/春日市/大野城市/宗像市/太宰府市/古賀市/福津市/うきは市/宮若市/嘉麻市/朝倉市/みやま市/糸島市/那珂川市
よくあるご質問
福岡市や北九州市の一部の区だけでも依頼できますか?
可能です。区単位はもちろん、町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。
九州の複数県をまたいで調査できますか?
対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。県ごとの件数と中身を比較したい場合にもご利用いただけます。
共同住宅を除いて調査できますか?
できます。福岡県は共同住宅の割合が全国5位のため、仕入れが目的の場合は戸建てに限定したほうが歩留まりが上がります。条件はヒアリング時にお伺いします。
居住中の古い戸建てや古アパートも対象にできますか?
できます。「古家(居住中)」「古アパート」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の建物を調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。
自治体の実態把握にも使えますか?
ご利用いただいています。町丁目単位で調査し、状態別に分類したうえで地図上に可視化する形での納品に対応しています。
まとめ
福岡県は空き家率12.4%、放置型4.6%と、いずれも全国平均を下回ります。九州7県のなかで唯一の位置づけであり、鹿児島県とは放置型の比率で3倍近い差があります。持ち家住宅率52.7%、高齢単身世帯の借家率41.1%という構造も、他県とは異なります。
ただし実数では放置型が12万5,500戸あり、全国9位。率が低いのは母数が大きいからであって、対象がないわけではありません。県内でも筑豊地域などには県平均の5倍以上の比率を示す市町があります。九州全域に営業エリアを持つ場合は、福岡の数字を基準にせず、県ごとに条件を確認したうえで配分を決めてください。
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