秋田県の空き家調査|これから空き家になる住宅を先に押さえる基準

秋田県の空き家率は15.8%。全国22位で、上位県と比べると目立つ数字ではありません。この順位だけを見て調査の優先度を下げていないでしょうか。
秋田県で見るべきなのは、今ある空き家の数ではありません。県内の主世帯の57.5%には65歳以上の世帯員がいて、そのうち93.3%が一戸建てに、92.5%が持ち家に住んでいます。さらに高齢単身世帯の28.8%、高齢夫婦のみ世帯の38.6%は、子が片道1時間以上離れた場所に住んでいます。
つまり秋田県は、今ある空き家より、これから空き家になる住宅のほうが多い県です。この記事では、令和5年住宅・土地統計調査の県内結果をもとに、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが何を対象に押さえるべきかを整理します。
この記事の結論
- 秋田県の空き家率は15.8%で全国22位。ただし放置型に絞ると10.0%で全国8位に上がる(令和5年)
- 総住宅数は5年間で1.1%減少。減少率は47都道府県で最も大きい
- 主世帯の57.5%に高齢者がいる(全国42.7%)。その93.3%が一戸建て、92.5%が持ち家
- 高齢単身世帯の28.8%、高齢夫婦のみ世帯の38.6%は子が片道1時間以上の場所にいる
- 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる
記事の目次
秋田県の空き家を数字で確認する
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」の秋田県結果による数値です。
| 項目 | 秋田県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 44万600戸 | 6,504万7千戸 |
| 2018年からの増減率 | ▲1.1%(全国47位) | +4.2% |
| 空き家数 | 6万9,500戸 | 900万2千戸 |
| 空き家率 | 15.8%(全国22位) | 13.8% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 4万3,900戸(10.0%・全国8位) | 約385万6千戸(5.9%) |
| 住宅に占める一戸建ての割合 | 79.4%(全国1位) | 52.7% |
| 持ち家住宅率 | 77.1%(全国1位) | 60.9% |
| 木造率 | 88.8%(全国1位) | 54.0% |
出典:秋田県企画振興部調査統計課「令和5(2023)年住宅・土地統計調査-秋田県の概要-」(2025年7月公表)。
空き家率の順位と、放置型の順位が違う
空き家率15.8%は全国22位ですが、賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型に絞ると、総住宅数に対する割合は10.0%で全国8位に上がります。空き家の内訳を見ると放置型が63.2%を占め、賃貸用34.0%、売却用と二次的住宅がそれぞれ1.4%です。
空き家率のランキングで秋田県を判断すると、実態より低く見積もることになります。県内の空き家は、そのほとんどが市場に出てこない住宅です。
総住宅数が全国で最も減っている県
秋田県の総住宅数は5年間で5,100戸減り、増減率は▲1.1%。これは47都道府県で最も大きい減少率です。平成30年調査から2回連続の減少で、全国が4.2%増えているなかでの動きになります。
住宅そのものが減っているということは、取り壊しや除却が進んでいることを意味します。一方で総世帯数は3.2%減と、住宅の減少ペースを上回って減っています。住宅が減っても、それ以上に世帯が減っているため、空き家率は上がり続けます。1世帯当たりの住宅数は1.18戸で、全国の1.16戸を上回りました。
今ある空き家より、これから空き家になる住宅のほうが多い
秋田県の特徴が最も出ているのは、空き家の数字ではなく高齢者世帯の数字です。
| 項目 | 秋田県 | 全国 |
|---|---|---|
| 主世帯に占める高齢者のいる世帯 | 57.5%(21万2,500世帯) | 42.7% |
| 主世帯に占める75歳以上世帯員のいる世帯 | 34.2%(12万6,300世帯) | 22.8% |
| 高齢者のいる世帯のうち一戸建てに居住 | 93.3% | ― |
| 高齢者のいる世帯のうち持ち家に居住 | 92.5% | ― |
県内の主世帯37万世帯のうち、21万2,500世帯に65歳以上の世帯員がいます。全国平均を14.8ポイント上回る水準です。そしてその大半が、持ち家の一戸建てに住んでいます。
高齢単身世帯は5万5,300世帯で5年間に1,800世帯増え、高齢夫婦のみの世帯は5万3,000世帯で2,000世帯増えました。高齢者のいる世帯の総数は減っているのに、単身と夫婦のみの世帯だけが増えています。同居の子や孫がいない世帯が、持ち家の一戸建てに残っている構図です。
子の居住地が示すもの
高齢単身世帯のうち、子が片道1時間以上離れた場所に住んでいる世帯は28.8%。高齢夫婦のみの世帯では38.6%にのぼります。全国平均はそれぞれ22.2%、28.8%なので、いずれも10ポイント近く高い数字です。
相続が発生したとき、その住宅を引き継ぐ人は県外や遠方にいる可能性が高いということです。遠方の相続人は、現地の状況も制度の変化も把握していないのが普通です。放置型の空き家が生まれる典型的な経路が、統計にそのまま出ています。
目的によって、押さえるべき対象が変わる
この構造を踏まえると、秋田県では「今の空き家」だけを調査対象にするのは片手落ちになります。目的別に整理します。
| 立場 | 主な目的 | 優先して見る数字 | 調査で指定するとよい条件 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件の発掘 | 放置型の実数と、高齢世帯の分布 | 空き家に加えて「古家(居住中)」も対象に含める |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工需要のある住宅の発掘 | 築40年以上の持ち家と外観の傷み | 「古家(居住中)」を主軸に、屋根・外壁の状態を記録 |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 建築時期と腐朽・破損の分布 | 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する |
不動産会社にとっての「予備軍」
秋田県で仕入れを考えるなら、空き家だけを追うと母数が小さくなります。放置型は4万3,900戸ですが、その手前にある高齢世帯の持ち家一戸建ては、桁がひとつ違う規模で存在します。
もちろん、居住中の住宅にいきなり売却の話を持ちかけることはできません。しかしどのエリアに築古の持ち家一戸建てが集中しているかを先に地図で押さえておけば、相続や施設入居が起きたときに動ける状態になります。競合が今の空き家を追っている間に、その前段を押さえるという考え方です。
リフォーム・外壁塗装にとっての母数
県内の住宅のうち、昭和55年以前に建築されたものは10万2,600戸で28.7%。約4分の1が建築後40年以上を経過しています。昭和45年以前に限っても3万8,700戸(10.8%)あり、全国の7.4%を上回ります。
一方、令和元年以降に増改築・改修工事を行った持ち家は8万6,700戸で、持ち家全体の30.4%。屋根・外壁等の改修は4万1,900戸(14.7%)でした。築40年以上の住宅が10万戸あるのに対し、この5年で屋根・外壁に手を入れた住宅は4万戸強という関係になります。木造率88.8%が全国1位である点も踏まえると、外観の傷みを現地で確認する調査が効きやすい県だといえます。
空き家と「古家」、両方を地図に落とせます。
今の空き家だけでなく、居住中の築古住宅も同じ調査で押さえられます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
2023年の法改正で所有者の状況が変わった
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。
従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
秋田県のように相続人が遠方にいるケースが多い地域では、制度が変わったこと自体が所有者に届いていない可能性が高くなります。実家を相続したものの帰る予定がなく、そのままにしている。この状態が続くと保有コストが変わりうる、という情報を伝える役割は、こちら側にあります。
なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。秋田県の場合、空き家と古家を同時に指定しておくと、現在と将来の両方を一度の調査で押さえられます。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
秋田県で空き家調査を進めるときの注意点
よくあるつまずき
- 空き家率の全国順位で優先度を決める/秋田県は22位ですが、放置型に絞ると8位です。どちらの数字を見ているか確認してください
- 今ある空き家だけを対象にする/高齢世帯の持ち家一戸建てという予備軍を外すと、母数を小さく見積もることになります
- 居住中の住宅に売却の話を持ち込む/古家の調査はあくまで地図上の把握が目的です。アプローチの内容は対象に合わせて変えてください
- 市全体をまとめて発注する/従量制のため範囲が広がるほど費用が増えます。1〜2地区で実施し、結果を見て広げるほうが判断しやすくなります
- リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
秋田県の対応エリア
県内は全13市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。
秋田市/能代市/横手市/大館市/男鹿市/湯沢市/鹿角市/由利本荘市/潟上市/大仙市/北秋田市/にかほ市/仙北市
よくあるご質問
居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?
できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。空き家と同時に指定すれば、両方を色分けした地図で納品できます。
積雪期でも調査は実施できますか?
実施自体は可能ですが、積雪により外観から判断できる情報が大きく減ります。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。時期についてもご相談ください。
秋田市内の一部エリアだけでも依頼できますか?
可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。
所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?
調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。
自治体の実態把握にも使えますか?
ご利用いただいています。町丁目単位で調査し、状態別に分類したうえで地図上に可視化する形での納品に対応しています。
まとめ
秋田県の空き家率15.8%は全国22位ですが、放置型に絞れば全国8位。空き家の63.2%が市場に出てこない住宅です。加えて総住宅数の減少率は全国で最も大きく、住宅そのものが減りながら空き家率が上がり続けています。
ただし秋田県で本当に押さえるべきは、その手前です。主世帯の57.5%に高齢者がいて、その9割以上が持ち家の一戸建てに住み、相続する子の多くは遠方にいます。今ある空き家と、これから空き家になる住宅。この両方を同じ調査で地図に落とせるかどうかが、数年後の差になります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。
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