鹿児島県の空き家調査|放置型が全国1位の県で対象を決める基準

鹿児島県の空き家調査|放置型が全国1位の県で対象を決める基準

鹿児島県の空き家率は20.5%。全国平均13.8%を大きく上回りますが、注目すべきはその中身です。県内の空き家18万4,200戸のうち、賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型が12万2,200戸。空き家全体の66.3%を占めます。

総住宅数に対する放置型の割合は13.6%で、これは47都道府県で最も高い数字です。全国平均は5.9%ですから、2倍以上の水準になります。つまり鹿児島県では、「空き家」と「調査で見つけたい対象」がほぼ重なります

対象が多いこと自体は良い条件ですが、そのぶん「どこを調べるか」より「何を対象にするか」で成果が分かれます。この記事では、令和5年住宅・土地統計調査の県内結果をもとに、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが対象を決めるための基準を整理します。

この記事の結論

  • 鹿児島県の空き家率は20.5%。空き家の66.3%が放置型で、全国平均42.8%を大きく上回る(令和5年)
  • 総住宅数に対する放置型の割合は13.6%で全国1位。全国平均5.9%の2倍以上
  • 放置型の空き家を所有する世帯は1万9,300世帯。主世帯に占める割合2.7%は全国1.4%の約2倍で、所有者が県内にいる可能性が相対的に高い
  • 持ち家の30.2%が2019年以降に改修工事を実施済み。屋根・外壁等の改修は12.9%にのぼる
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

鹿児島県の空き家を数字で確認する

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」の鹿児島県結果による数値です。

項目 鹿児島県 全国
総住宅数 89万9,600戸 6,504万6,700戸
2018年からの増減率 +2.3% +4.2%
1世帯当たりの住宅数 1.25戸 1.16戸
空き家数 18万4,200戸 900万1,600戸
空き家率 20.5% 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 12万2,200戸(13.6%) 約385万6千戸(5.9%)
空き家に占める上記の割合 66.3% 42.8%
住宅に占める一戸建ての割合 66.1% 52.7%

出典:鹿児島県総合政策部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 鹿児島県結果概要」(2025年3月公表)、および総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」。

空き家の3分の2は放置型

県内の空き家18万4,200戸の内訳は、放置型が12万2,200戸(66.3%)、賃貸用が5万3,800戸(29.2%)、別荘などの二次的住宅が4,500戸(2.4%)、売却用が3,700戸(2.0%)です。

全国では空き家に占める放置型の割合が42.8%にとどまります。鹿児島県はこれを23ポイント以上上回り、空き家の大半が市場にも別荘としても出てこない住宅だという構造になっています。賃貸の空室が空き家の過半を占める都市部とは、調査で得られるリストの性格が根本的に違います。

1世帯当たりの住宅数1.25戸が示すもの

総住宅数89万9,600戸に対し、総世帯数は72万1,200世帯。1世帯当たりの住宅数は1.25戸で、全国の1.16戸を上回ります。この5年間で総住宅数は2.3%増えた一方、総世帯数の伸びは0.8%にとどまりました。

住宅が世帯を上回る状態は昭和43年以降続いており、その差は開き続けています。放置型の空き家が自然に解消する見込みは薄く、調査対象の母数は当面減りません

所有者が県内にいる可能性が高い

県内で放置型の空き家を所有している世帯は1万9,300世帯。主世帯に占める割合は2.7%で、全国の1.4%のおよそ2倍です。平成30年の1万7,100世帯からも増えています。

空き家の所有者が遠方に住んでいるケースは全国的に多いのですが、鹿児島県は県内に住みながら別の空き家を持っている世帯の比率が高い県です。所有者に接触できたときの動きやすさという点では、有利な条件だといえます。

目的によって、調査する対象そのものが変わる

放置型が全国一多い県では、「空き家を探す」だけでは対象が絞れません。何のためのリストかによって、見るべき数字も指定すべき調査項目も変わります。

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の実数と分布 戸建ての空き家に加え、空き地も対象に含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 持ち家の築年数と外観の傷み 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 建築時期と腐朽・破損の分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォーム・外壁塗装なら、空き家ではなく持ち家を見る

施工需要を探す場合、対象は空き家ではありません。人が住んでいる築古の戸建てが本命であり、空き家率の高さはエリア選定の根拠になりません。

鹿児島県の持ち家45万300戸のうち、2019年以降に増改築・改修工事を行った住宅は13万6,000戸、30.2%にのぼります。全国平均は28.8%なので、これを上回る水準です。内訳では屋根・外壁等の改修が5万8,200戸(12.9%)、台所・トイレ・浴室などの水回りが7万500戸(15.7%)でした。

すでに3戸に1戸が動いている市場だと考えると、残りの未改修層をどう見つけるかが課題になります。ここは統計では特定できないため、外観の傷みを現地で確認する調査が有効な領域です。なお断熱・結露防止工事は1.5%(全国2.6%)にとどまっており、この分野は他県に比べて手つかずの住宅が多いことがうかがえます。

自治体なら、建築時期と腐朽・破損を見る

県内の住宅のうち、昭和45年以前に建てられたものが6万7,000戸(9.4%)、昭和46年から55年までが9万8,300戸(13.8%)。合わせて23.2%が、現行の耐震基準が導入される前の住宅です。全国平均は19.8%なので、こちらも上回ります。

加えて、木造住宅は5年間で2万2,900戸減り、非木造が2万4,900戸増えました。古い木造ストックが失われる一方で、残っているものは相対的に古さが際立っていく流れにあります。防災・防犯の重点地区を選ぶなら、空き家の分布に加えて建築時期と腐朽・破損の有無を重ねて見る必要があります。

鹿児島県の調査、目的からご相談ください。

仕入れ、施工提案、実態把握。目的が変われば調査項目も変わります。
何を集めたいかを伺ったうえで、範囲と費用感をご提案します。

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2023年の法改正で所有者の状況が変わった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

放置型が全国で最も多い鹿児島県では、この改正の対象になりうる物件の絶対数も相応にあります。所有者が県内に住んでいる比率が高いぶん、情報が届けば判断につながりやすいという見方もできます。ただし所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

鹿児島県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 「空き家を調べる」とだけ決めて発注する/放置型が全国一多い県では対象が絞れません。目的から調査項目を決めてください
  • 空き家率の高い地区を無条件に優先する/件数は出ますが、目的に合う物件かどうかは別の話です。建物の状態や築年数の条件を先に決めておくと精度が上がります
  • 市全体をまとめて発注する/従量制のため範囲が広がるほど費用が増えます。1〜2地区で実施し、結果を見て広げるほうが判断しやすくなります
  • 離島部を本土と同じ感覚で見積もる/実施は可能ですが、渡航や日程の組み方が変わります。範囲に含める場合は早めにご相談ください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

鹿児島県の対応エリア

県内は全19市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。離島部も対応可能です。

鹿児島市/鹿屋市/枕崎市/阿久根市/出水市/指宿市/西之表市/垂水市/薩摩川内市/日置市/曽於市/霧島市/いちき串木野市/南さつま市/志布志市/奄美市/南九州市/伊佐市/姶良市

よくあるご質問

鹿児島市内の一部エリアだけでも依頼できますか?

可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

離島も調査対象にできますか?

対応しています。渡航を伴うため日程の組み方が本土とは異なります。対象範囲と件数を伺ったうえで実施方法をご提案します。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

建物の傷み具合まで記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で状態を記録します。どの程度の粒度が必要かはヒアリング時にお伺いし、調査項目に反映します。

自治体の実態把握にも使えますか?

ご利用いただいています。町丁目単位で調査し、状態別に分類したうえで地図上に可視化する形での納品に対応しています。

まとめ

鹿児島県は、総住宅数に対する放置型の空き家の割合が13.6%で全国1位です。空き家の66.3%が放置型であり、「空き家を探す」ことと「対象を探す」ことがほぼ一致する県だといえます。所有者が県内に住んでいる比率も全国平均の約2倍で、接触後に話が進みやすい条件も揃っています。

一方で、対象が多いぶん絞り込みの基準が必要になります。仕入れなら放置型の戸建てと空き地、施工提案なら居住中の築古住宅、実態把握なら建築時期と腐朽・破損。目的によって調査項目そのものが変わります。まずは目的をはっきりさせ、1〜2地区で実施して中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、鹿児島県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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