島根県の空き家調査|改修が進んでも空き家が増える県での絞り方

島根県は、住宅に手を入れて住み続けることが最も進んだ県です。2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家の割合は32.6%で全国1位。高齢者のいる世帯の一定のバリアフリー化率53.2%も全国1位です。
それでも空き家は増えています。5年間で6,300戸増えて5万4,600戸、増加率13.0%。空き家率も15.4%から17.0%へ1.68ポイント上昇しました。全国の増加率は6.0%ですから、2倍以上のペースです。
ここから読み取れることは一つです。改修は、その住宅に住んでいる世帯が住み続けるための工事であって、世帯がいなくなれば空き家になります。どれだけ手が入っていても、空き家化そのものは止まりません。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが島根県で何を対象にすべきかを整理します。
この記事の結論
- 島根県の持ち家の改修実施率32.6%は全国1位。バリアフリー化率53.2%も全国1位(令和5年)
- それでも空き家は13.0%増の5万4,600戸。空き家率も17.0%へ1.68ポイント上昇
- 放置型は総住宅数の11.3%で全国6位、戸数にすると約3万6,200戸
- 空き家の約66%が放置型。全国平均42.8%を大きく上回る
- 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる
記事の目次
島根県の空き家を数字で確認する
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数値です。
| 項目 | 島根県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 32万300戸(+1.9%) | 6,504万7,000戸(+4.2%) |
| 空き家数 | 5万4,600戸(+6,300戸・+13.0%) | 900万2,000戸(+6.0%) |
| 空き家率 | 17.0%(全国13位・前回15.4%) | 13.8% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率 | 11.3%(全国6位) | 5.9% |
| 同上の戸数(推計) | 約3万6,200戸 | 385万6,000戸 |
| 持ち家の改修実施率 | 32.6%(全国1位) | 28.8% |
| 高齢者のいる世帯の一定のバリアフリー化率 | 53.2%(全国1位) | 45.5% |
| 1住宅当たり延べ面積 | 121.60㎡(全国6位) | 90.86㎡ |
出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計・住宅の構造等に関する集計(確報集計)結果」。放置型の戸数は総住宅数と割合から算出した概数です。
改修とバリアフリー化がともに全国1位
2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家は、島根県では32.6%。全国平均28.8%を3.8ポイント上回り、47都道府県で最も高い数字です。高齢者のいる世帯が一定のバリアフリー化住宅に住んでいる割合53.2%も全国1位でした。
1住宅当たりの延べ面積121.60㎡は全国6位、居住室数5.36室は全国8位。大きな持ち家に手を入れながら住み続けるという住まい方が、県全体に定着していることがうかがえます。
それでも空き家は13.0%増えた
一方、空き家は5年間で6,300戸増えました。増加率13.0%は全国の6.0%の2倍以上です。放置型に絞ると総住宅数の11.3%で全国6位、空き家全体に占める割合は約66%にのぼります。
総住宅数の伸びは1.9%にとどまりますから、新築の供給ではなく、既存の住宅が使われなくなった結果だと読めます。
改修は、空き家化を止めない
この2つの数字は矛盾しているように見えますが、扱っている対象が違います。
| 指標 | 対象 | 示していること |
|---|---|---|
| 改修実施率32.6% | いま人が住んでいる持ち家 | 住み続けるための投資が行われている |
| 空き家率17.0% | 人が住んでいない住宅 | 世帯がいなくなった住宅が積み上がっている |
改修工事は、その住宅に住んでいる世帯が快適に住み続けるために行うものです。手すりを付け、水回りを直し、屋根や外壁を塗り替える。しかし世帯そのものがいなくなれば、どれだけ手が入っていても住宅は空き家になります。
実務上の意味は明確です。リフォーム提案が届いた住宅であっても、数年後には調査対象になりうる。逆に、いま空き家になっている住宅のなかには、直前まで手が入っていたものも含まれます。
状態は現地でしか分からない
改修が行き届いた県では、空き家の状態にも幅が出ます。長く放置されて傷んだ住宅と、直前まで人が住んでいて手入れも行き届いていた住宅。統計上はどちらも同じ「空き家」です。
この違いは、外観を見なければ判断できません。土地調査では、調査員が対象エリアを歩いて一軒ずつ状態を記録します。状態別に分けたリストがあれば、すぐ流通に乗せられる物件と、解体を前提に話をする物件を最初から分けて扱えます。
目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる
| 立場 | 主な目的 | 優先して見る数字 | 調査で指定するとよい条件 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件の発掘 | 放置型の分布と建物の状態 | 戸建てに限定し、状態別の記録を依頼する |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工需要のある住宅の発掘 | 前回工事からの経過年数 | 「古家(居住中)」を調査項目に追加する |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 放置型の割合が高い市町 | 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する |
リフォームは「未施工層」ではなく「次の周期」を狙う
改修実施率が全国1位ということは、未施工の住宅を探す戦略が最も効きにくい県だということでもあります。他県では「まだ手が入っていない住宅」を探せば済みましたが、島根県では母数が薄くなります。
ただし見方を変えれば、改修が当たり前になっている県では、提案そのものが受け入れられやすいということです。屋根や外壁の塗装は10年から15年程度の周期で再度必要になります。2019年前後に工事を行った住宅は、これから次の周期に入ります。「古家(居住中)」を調査項目として指定し、外観の状態を記録しておけば、時期が来た住宅から順に当たれます。
県内の差は大きい
県平均は17.0%ですが、同調査の市区町村別データによると、県内で空き家率が最も高いのは江津市で約28%。県平均の1.6倍以上です。松江市や出雲市を中心とする東部と、県西部・中山間地区では数字が変わります。
県平均でエリアを選ぶことはできません。中山間地区を対象にする場合は市全域ではなく集落単位まで、都市部なら町丁目単位まで範囲を絞り込むほうが、面積あたりの費用対効果が上がります。
状態別に分けたリストをお出しします。
外観から確認できる傷みの状況を記録し、扱いを分けられる形で納品します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
制度の変化が所有者に届いているか
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。
島根県では放置型が約3万6,200戸、空き家全体の約66%を占めます。手入れが行き届いた住宅であっても、所有者が管理を続けなければ状態は変わっていきます。制度の変化を所有者が把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。
なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町村の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。島根県では空き家と古家を同時に指定しておくと、現在と将来の両方を一度の調査で押さえられます。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
島根県で空き家調査を進めるときの注意点
よくあるつまずき
- 未施工の住宅を探す前提で計画する/改修実施率は全国1位です。未施工層は他県より薄くなります
- 空き家の状態を一律に想定する/改修が行き届いた県では空き家の状態にも幅があります。現地で分けてください
- 県平均でエリアを判断する/県内には約28%の市もあります。市の指定だけでは足りません
- 市全域をまとめて発注する/中山間地区は面積あたりの住宅数が少なくなります。集落単位で切ってください
- リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
島根県の対応エリア
県内は全8市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。離島部も対応可能です。
松江市/浜田市/出雲市/益田市/大田市/安来市/江津市/雲南市
よくあるご質問
建物の傷み具合まで記録してもらえますか?
外観から確認できる範囲で状態を記録します。屋根や外壁の劣化といった項目に分けて記録することも可能です。どの粒度が必要かはヒアリング時にお伺いします。
居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?
できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。空き家と同時に指定すれば、両方を色分けした地図で納品できます。
集落単位でも依頼できますか?
可能です。市全域ではなく町丁目や字の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。中山間地区を対象にする場合は、この切り方をおすすめしています。
離島も調査対象にできますか?
対応しています。渡航を伴うため日程の組み方が本土とは異なります。対象範囲と件数を伺ったうえで実施方法をご提案します。
所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?
調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。
まとめ
島根県は、持ち家の改修実施率32.6%とバリアフリー化率53.2%がともに全国1位。住宅に手を入れて住み続けることが、最も定着した県です。それでも空き家は5年で13.0%増え、放置型は総住宅数の11.3%で全国6位。空き家の約66%が放置型です。
改修は住んでいる世帯のための投資であり、世帯がいなくなれば住宅は空き家になります。この2つは別の軸で動いています。だからこそ、いまの空き家と、これから空き家になる築古の持ち家を、同じ調査で押さえておく意味があります。そして改修が行き届いた県では、空き家の状態にも幅が出ます。状態別に分けたリストがあるかどうかで、その後の扱いが変わります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。
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