山口県の空き家調査|数字をそのまま読める県での対象の絞り方

山口県の空き家調査|数字をそのまま読める県での対象の絞り方

山口県の空き家率は19.4%で全国8位。平成30年の17.6%から1.8ポイント上昇しました。空き家数は14万700戸です。

この記事のシリーズでは、空き家率という数字をそのまま使わないよう繰り返し書いてきました。別荘が混ざる県、新築の供給で分母が膨らむ県、賃貸の空室が大半を占める県。それぞれ引き算や確認が必要になるからです。

山口県は、そのどれにも当てはまりません。別荘などの二次的住宅は総住宅数の0.4%、総住宅数の伸びも0.9%で全国41位。賃貸・売却用及び二次的住宅を除いた放置型の割合は11.1%で全国7位と、空き家率の順位(8位)よりむしろ上がります。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが山口県でどう範囲を決めるべきかを整理します。

この記事の結論

  • 山口県の空き家率は19.4%で全国8位、5年で1.8ポイント上昇(令和5年)
  • 放置型の割合は11.1%で全国7位。空き家率より順位が上がる
  • 二次的住宅は0.4%、総住宅数の伸びも0.9%。別荘の引き算も分母の確認も要らない
  • 空き家14万700戸のうち約57%が放置型。約8万600戸が調査対象になりうる
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。調査項目は目的に応じて追加できる

山口県の空き家を数字で確認する

山口県が公表した令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。

項目 山口県 全国
総住宅数 72万6,400戸(+0.9%・全国41位) 6,504万7,000戸(+4.2%)
空き家数 14万700戸 900万2,000戸
空き家率 19.4%(全国8位・前回17.6%) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率 11.1%(全国7位) 5.9%
同上の戸数(推計) 約8万600戸 385万6,000戸
二次的住宅(別荘など)の割合 0.4% 0.6%
持ち家住宅率 67.0% 60.9%
共同住宅の割合 29.0%(全国26位) 44.9%

出典:山口県「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果について」、総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」。放置型の戸数は総住宅数と割合から算出した概数です。

別荘がほとんどない

山口県の二次的住宅は約2,900戸、総住宅数に占める割合は0.4%です。長野県5.4%、山梨県4.0%、静岡県2.2%といった県と比べると、ほとんど存在しないに等しい水準になります。

この差は実務に直結します。別荘が多い県では、調査で拾った空き家に管理された別荘が混ざるため、範囲設定の段階で除外する必要がありました。山口県ではその工程が要りません。

住宅がほぼ増えていない

総住宅数は72万6,400戸で、5年間の増加率は0.9%。全国41位の低さです。県内13市では10市で増加した一方、柳井市・下関市・岩国市の3市では減少しました。

空き家率は「空き家数 ÷ 総住宅数」で計算します。分母がほぼ動いていないということは、率の上昇がそのまま空き家の増加を意味するということです。新築の供給で率が薄まる県とは、読み方が変わります。

だから、空き家率をそのまま使える

他県と並べると、山口県の位置づけがはっきりします。

空き家率 二次的住宅の割合 総住宅数の増減率 率の読み方
山口県 19.4% 0.4% +0.9% そのまま使える
山梨県 20.4% 4.0% +1.2% 別荘を引く必要がある
静岡県 16.7% 2.2% +3.5% 別荘と賃貸を引くと全国平均
栃木県 16.9% 1.9% +4.8% 分母が増えて率が薄まった

山口県では、空き家率19.4%から放置型11.1%まで、順位が8位から7位へ上がります。引き算をしても実態が薄まらない、むしろ濃くなる県だということです。

市町村別のランキングをそのまま使える

実務上いちばん効くのはここです。別荘の影響が小さいため、市町村別の空き家率ランキングを、そのまま調査エリアの優先順位に使えます

県内で空き家率が最も高いのは柳井市。県が公表している結果でも、空き家率と放置型の割合の両方で柳井市が県内最高となっています。他県では「率が高いのは別荘地だから」という但し書きが必要でしたが、山口県ではその確認を省けます。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 市別の放置型の割合 戸建てに限定し、空き地も対象に含める
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 高齢世帯の持ち家と外観の傷み 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の割合が高い市町 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

県内は二極化している

総住宅数が増えた市が10、減った市が3。共同住宅の割合が3割を超えるのは下関市・山口市・周南市・下松市の4市で、残る9市は戸建て中心です。

同じ県内に、住宅が増えている都市部と、減っている地域が同居しています。都市部では共同住宅が混ざるため戸建てへの限定が必要ですが、それ以外の市では条件を付けなくても戸建てが中心になります。範囲の切り方を市によって変えるほうが、費用対効果は上がります。

高齢世帯の持ち家率84.9%が示すもの

県内で65歳以上の世帯員がいる世帯のうち、持ち家に住んでいる割合は84.9%。主世帯全体の持ち家率67.0%と比べて17.9ポイント高くなっています。

この差は、今後の空き家の発生源がどこにあるかを示しています。高齢世帯のほとんどが持ち家に住んでいるということは、相続や住み替えが起きたときに、その住宅が空き家になる可能性が高いということです。リフォーム目的であればこの層が施工提案先であり、仕入れ目的であれば数年後の対象になります。「古家(居住中)」を調査項目として指定すれば、両方を同じ調査で地図に落とせます。

市を指定して、1地区からお出しできます。

空き家と居住中の築古住宅を同時に調査し、地図上で色分けして納品できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の変化が所有者に届いているか

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。倒壊の危険がある「特定空家等」の手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

あわせて、2024年4月からは相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

山口県では放置型が約8万600戸、総住宅数の11.1%にのぼります。全国平均5.9%のほぼ2倍にあたる規模です。所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市町の窓口や司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

山口県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 都市部と地方部で同じ条件を使う/共同住宅が3割を超える市が4つあります。都市部では戸建てへの限定が必要です
  • 市全域をまとめて発注する/従量制のため範囲が広がるほど費用が増えます。1〜2地区で実施し、結果を見て広げるほうが判断しやすくなります
  • 今ある空き家だけを対象にする/高齢世帯の84.9%が持ち家です。数年後の対象を先に地図に落とす選択肢もあります
  • 数年前のリストを使い回す/空き家率は5年で1.8ポイント上昇しています。分母が動いていないぶん、実数の増加がそのまま表れています
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

山口県の対応エリア

県内は全13市を中心に対応しています。町についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。

下関市/宇部市/山口市/萩市/防府市/下松市/岩国市/光市/長門市/柳井市/美祢市/周南市/山陽小野田市

よくあるご質問

市を指定して依頼できますか?

可能です。市単位はもちろん、町丁目や集落の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

共同住宅を除いて調査できますか?

できます。下関市・山口市・周南市・下松市は共同住宅の割合が3割を超えるため、仕入れが目的の場合は戸建てに限定したほうが歩留まりが上がります。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。空き家と同時に指定すれば、両方を色分けした地図で納品できます。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

広島県や福岡県とまたいで調査できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。

まとめ

山口県の空き家率19.4%は全国8位。放置型に絞ると11.1%で全国7位と、順位が上がります。二次的住宅は0.4%しかなく、総住宅数の伸びも0.9%で全国41位。別荘の引き算も、分母の確認も要りません

他県では「率が高いのは別荘地だから」「率が下がったのは住宅が増えたから」といった確認が必要でした。山口県ではその工程を省けます。市町村別のランキングをそのまま優先順位に使え、空き家率が最も高い柳井市は放置型の割合でも県内最高です。あとは都市部で戸建てに限定するかどうかを決めるだけ。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、山口県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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