長崎県の空き家調査|空き家が11.3%増に転じた県の範囲の決め方

長崎県の空き家調査|空き家が11.3%増に転じた県の範囲の決め方

長崎県の総住宅数は65万5,000戸。前回調査から4,500戸減り、増減率▲0.7%は47都道府県で45番目です。全国が4.2%増えているなかで、住宅そのものが減っている数少ない県にあたります。

普通に考えれば、住宅が減れば空き家も減ります。ところが長崎県の空き家は11万3,000戸へ、5年間で11.3%増えました。前回調査では空き家が0.3%減って全国38位だったものが、今回は増加率で全国12位まで上がっています。局面が変わったということです。

さらに建て方別に見ると、減っているのは長屋建と低層の共同住宅、増えているのは6階以上の建物。ストックの入れ替わりが進む一方で、残されたものが空き家になっています。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが長崎県で範囲をどう決めるべきかを整理します。

この記事の結論

  • 長崎県の総住宅数は5年で0.7%減。増減率は全国45位で、住宅そのものが減っている(令和5年)
  • それでも空き家は11.3%増の11万3,000戸。増加率の順位は全国38位から12位へ急上昇した
  • 空き家率17.3%のうち、賃貸用36.9%・売却用2.9%を除く約57%が放置型(6万4,900戸)
  • 長屋建は15.0%減、低層の共同住宅も減少。一方で6階以上は18.5%増と、ストックが入れ替わっている
  • 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。離島を含む調査にも対応

長崎県の空き家を数字で確認する

長崎県統計課がまとめた令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。

項目 長崎県 全国
総住宅数 65万5,000戸 6,504万6,700戸
2018年からの増減率 ▲0.7%(全国45位) +4.2%
総世帯数の増減率 ▲3.0% 増加
空き家数 11万3,000戸(+11.3%) 900万1,600戸(+6.0%)
空き家率 17.3%(全国12位) 13.8%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 約6万4,900戸(9.9%) 385万6,000戸(5.9%)
住宅に占める一戸建ての割合 64.1% 52.7%
持ち家住宅率 64.7%(全国32位) 60.9%

出典:長崎県県民生活環境部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 集計結果 長崎県分」(2026年3月公表)、および総務省統計局の全国結果。

住宅が減っているのに、空き家は増えた

総住宅数は4,500戸減りましたが、総世帯数はそれを上回る1万6,500世帯(3.0%)減少しました。住宅の減り方より、世帯の減り方のほうが速いということです。その結果、総住宅数が総世帯数を11万2,500戸上回る状態になっています。

取り壊しや除却は進んでいます。それでも空き家が増えるということは、住宅が使われなくなる速度が、取り壊される速度を上回っていることを意味します。

増加率の順位が38位から12位へ

注目すべきは順位の動きです。平成25年から平成30年にかけて、長崎県の空き家は0.3%減少しており、増減率は全国38位でした。ところが平成30年から令和5年では11.3%増となり、全国12位まで上がっています。

5年前のデータや当時の肌感覚は、この県ではもう使えません。空き家が増えていなかった県から、増加率で上位に入る県へ、この5年で切り替わりました。

消えているのは低層、増えているのは6階以上

建て方別の増減を見ると、何が起きているかがはっきりします。

建て方 戸数(令和5年) 2018年からの増減率
一戸建て 34万4,600戸(64.1%) ▲3.7%
長屋建 1万4,700戸(2.7%) ▲15.0%
共同住宅(1〜2階) 5万4,900戸 ▲5.8%
共同住宅(3〜5階) 6万5,400戸 ▲7.8%
共同住宅(6階以上) 5万6,400戸 +18.5%

低層のストックが軒並み減るなかで、6階以上だけが18.5%増えています。増加率の順位は全国11位。建て替えや除却が進んでいるのは低層側で、新しく供給されているのは高層側という入れ替わりです。

木造も5.7%減り、非木造は2.2%増えました。ただし木造の割合は66.0%と、全国の54.0%を12ポイント上回ったままです。

敷地面積が広がったことの意味

一戸建て1住宅当たりの敷地面積は270.38㎡で、平成30年から25.67㎡広がりました。長屋建も98.33㎡へ36.35㎡増えています。

1軒ごとの敷地が急に広くなったわけではありません。敷地の狭い住宅が統計から抜けた結果、平均値が押し上げられたと読むのが自然です。つまり、条件の悪い狭小な住宅から先に消えている。裏を返せば、残っているもののなかに条件の厳しい物件が積み上がっているということでもあります。

目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる

立場 主な目的 優先して見る数字 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の実数と、接道・車両進入の可否 戸建てに限定し、現地でアクセス条件も記録してもらう
リフォーム・外壁塗装会社 施工需要のある住宅の発掘 1980年以前の持ち家と断熱の未施工層 「古家(居住中)」を調査項目に追加する
自治体 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 放置型の比率が高い地区と離島部 町丁目・集落単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

不動産会社は、統計に出ない条件を押さえる

長崎県で物件の扱いやすさを分けるのは、築年数や面積だけではありません。前面道路の幅、車両が進入できるか、玄関まで階段が何段あるか。こうした条件は登記情報にも統計にも表れませんが、売却の可否や価格に直結します。

県内で車いすで道路から玄関まで通行できる住宅は12.1%。全国12位と比較的高い数字ですが、裏を返せば9割近くの住宅は該当しません。地図上では同じように見える2軒が、現地では扱いがまったく違うことがある県です。調査を依頼する際は、外観の状態だけでなくアクセス条件も記録項目に含めておくと、リストの精度が上がります。

断熱の未施工層が全国最下位クラス

二重サッシまたは複層ガラスの窓がすべての窓にある住宅は5万4,200戸で10.1%。全国16.8%に対して大きく下回り、全国44位です。一部の窓にある住宅を含めても11.6%で全国40位でした。

一方、太陽熱を利用した温水機器がある住宅は6.8%で全国8位と高い水準にあります。省エネ設備の普及が、分野によって極端に偏っている県です。持ち家34万8,100戸のうち、1980年以前に建てられたものは10万8,100戸。開口部まわりの施工提案先は、まとまった規模で残っています。

現地でしか分からない条件まで、記録できます。

外観の状態に加え、接道や車両進入の可否といった条件も調査項目に組み込めます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査範囲と費用感をご提案します。

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2023年の法改正で所有者の状況が変わった

空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。

従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。

長崎県のように空き家が増加に転じた県では、この改正の対象になりうる物件も同じ速度で増えていきます。所有者が県外に出ているケースでは、建物の現況も制度の変化も把握されていないのが普通です。伝える役割はこちら側にあります。

なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町の窓口や専門家への確認をご案内ください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、離島を含む調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

長崎県で空き家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 数年前の感覚で件数を見積もる/前回調査まで空き家は減っていました。この5年で11.3%増に転じています
  • 住宅が減っている=対象も減っていると考える/総住宅数は0.7%減ですが、空き家は増えています。動きが逆方向です
  • 地図だけで物件を選別する/接道や車両進入の可否は地図では分かりません。現地で確認する項目に含めてください
  • 離島部を本土と同じ感覚で見積もる/実施は可能ですが、渡航や日程の組み方が変わります。範囲に含める場合は早めにご相談ください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

長崎県の対応エリア

県内は全13市を中心に対応しています。町についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。離島部も対応可能です。

長崎市/佐世保市/島原市/諫早市/大村市/平戸市/松浦市/対馬市/壱岐市/五島市/西海市/雲仙市/南島原市

よくあるご質問

離島も調査対象にできますか?

対応しています。渡航を伴うため日程の組み方が本土とは異なります。対象範囲と件数を伺ったうえで実施方法をご提案します。

接道や車両進入の可否も記録してもらえますか?

ご相談ください。外観から確認できる範囲で、必要な項目を調査条件に組み込みます。どの粒度で記録するかはヒアリング時にお伺いします。

長崎市や佐世保市の一部エリアだけでも依頼できますか?

可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。

居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?

できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

調査で特定した地番をもとに所有者情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。

まとめ

長崎県は総住宅数が0.7%減り、増減率は全国45位。住宅そのものが減っている県です。それでも空き家は11.3%増えて11万3,000戸となり、増加率の順位は全国38位から12位へ上がりました。放置型は約6万4,900戸で、総住宅数に対する割合は9.9%。全国平均5.9%を大きく上回ります。

ストックの入れ替わりも進んでいます。長屋建は15.0%減、低層の共同住宅も減る一方、6階以上は18.5%増。一戸建ての平均敷地面積が広がったことからも、条件の悪い住宅から先に消えていることがうかがえます。残っているものを見極めるには、地図と統計だけでは足りません。まずは1〜2地区で実施し、現地の条件を含めた中身を確認してから範囲を広げてください。

まず1地区から、長崎県の現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、施工提案先の発掘、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

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