茨城県の空き家調査|放置型の86%が戸建てという県での絞り込み方

茨城県の空き家率は14.1%。前回調査の14.8%から0.7ポイント下がり、空き家数も1,000戸減りました。全国の空き家が過去最多を更新するなかで、減少に転じた数少ない県です。
ただし内訳は逆を向いています。賃貸にも売却にも出ておらず別荘でもない放置型は、7万8,200戸から9万3,200戸へ1万5,000戸増加。増加率は19.2%です。減ったのは賃貸用の空き家(1万4,700戸減)でした。
そして茨城県の最大の特徴は、その中身です。放置型9万3,200戸のうち8万200戸、実に86%が一戸建て。同じ首都圏でも東京都の一戸建て比率は26.3%ですが、茨城県は70.1%。構造がまったく違います。この記事では、不動産会社・リフォーム会社・自治体それぞれが茨城県で範囲をどう決めるべきかを整理します。
この記事の結論
- 茨城県の空き家率は14.1%へ低下。だが放置型は19.2%増の9万3,200戸(令和5年)
- 放置型の86%が一戸建て。一戸建ての空き家に限れば81.2%が放置型で、戸建て戦略が最も効く県
- 逆に共同住宅の空き家は85.1%が賃貸用。範囲に含めると歩留まりが大きく落ちる
- 1住宅当たりの敷地面積は394.15㎡で全国1位。全国平均の約1.5倍で、面積あたりの軒数は少ない
- 費用は10,000㎡あたり1,000円(税別)〜の従量制。敷地が広いぶん範囲の切り方が費用を左右する
記事の目次
茨城県の空き家を数字で確認する
茨城県統計課がまとめた令和5年住宅・土地統計調査の県内結果による数値です。
| 項目 | 茨城県 | 全国 |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 139万900戸(+4.7%) | 6,504万7,000戸(+4.2%) |
| 空き家数 | 19万6,200戸(▲1,000戸) | 900万2,000戸(+51万戸) |
| 空き家率 | 14.1%(前回14.8%) | 13.8% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 9万3,200戸(6.7%・+19.2%) | 385万6,000戸(5.9%) |
| 同上が空き家に占める割合 | 47.5%(前回39.7%) | 42.8% |
| 住宅に占める一戸建ての割合 | 70.1% | 52.7% |
| 持ち家住宅率 | 69.4% | 60.9% |
| 1住宅当たりの敷地面積 | 394.15㎡(全国1位) | 261.01㎡ |
出典:茨城県政策企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査の結果の概要」(2025年3月更新)。
空き家率は下がったのに、放置型は19.2%増えた
空き家19万6,200戸の内訳は、放置型が9万3,200戸(47.5%)、賃貸用が9万700戸(46.2%)、二次的住宅6,800戸、売却用5,400戸です。
この5年で賃貸用は1万4,700戸減り、二次的住宅も2,200戸減りました。増えたのは放置型だけで、1万5,000戸の増加です。空き家に占める放置型の割合は39.7%から47.5%へ、7.8ポイント上昇しました。空き家全体が減ったというニュースは、賃貸市場の空室が埋まった話にすぎません。
放置型の86%が一戸建て
建て方別に見ると、空き家の50.4%にあたる9万8,800戸が一戸建てです。全国では39.1%なので、11ポイント以上高い水準になります。
| 建て方 | 空き家数 | うち放置型 | 放置型の割合 |
|---|---|---|---|
| 一戸建て | 9万8,800戸 | 8万200戸 | 81.2% |
| 長屋建 | 6,800戸 | 1,200戸 | 17.6% |
| 共同住宅 | 8万9,900戸 | 1万1,300戸 | 12.6% |
共同住宅の空き家は85.1%が賃貸用で、募集中の部屋がほとんどです。対して一戸建ての空き家は81.2%が放置型。放置型9万3,200戸のうち8万200戸、86%が一戸建てという計算になります。
つまり茨城県では、調査対象を戸建てに限定するだけで、拾った空き家のほぼすべてが営業対象になりうるということです。外観から使用状況を判断しやすいのも一戸建てで、実地調査との相性がよい構造です。
同じ首都圏でも、東京都とは正反対
茨城県は東京都心への通勤圏を抱える首都圏の県ですが、住宅の構成は東京都とほぼ逆になっています。
| 項目 | 茨城県 | 東京都 |
|---|---|---|
| 住宅に占める一戸建て | 70.1% | 26.3% |
| 持ち家住宅率 | 69.4% | 44.7% |
| 空き家に占める一戸建て | 50.4% | ― |
| 1住宅当たり敷地面積 | 394.15㎡(全国1位) | 全国下位 |
| 現住居の敷地を所有する世帯 | 58.4% | ― |
東京都では一戸建てが4戸に1戸しかないため、戸建てに絞ると母数が細くなります。茨城県はその逆で、絞れば絞るほど歩留まりが上がる県です。首都圏という括りで同じ発注条件を使うと、結果が大きく変わります。
敷地が全国一広いことの、実務上の意味
茨城県の1住宅当たり敷地面積は394.15㎡で全国1位。全国平均261.01㎡のおよそ1.5倍です。一戸建てに限っても394.80㎡で、こちらも全国1位でした。
土地調査の料金は調査面積に対する従量制です。つまり同じ1平方キロメートルを歩いても、拾える軒数は都市部より少なくなります。歩留まりの高さと、面積あたりの軒数の少なさ。この2つを踏まえると、範囲は行政区分ではなく住宅の集まり方で切るのが合理的です。
一方で、現住居の敷地以外の土地を所有している世帯は17.8%(全国11.8%)。空き地を調査項目に加えると拾える件数が増える県でもあります。
目的によって、見るべき数字と調査項目が変わる
| 立場 | 主な目的 | 優先して見る数字 | 調査で指定するとよい条件 |
|---|---|---|---|
| 不動産会社 | 売却・買取につながる物件の発掘 | 放置型の実数と一戸建ての分布 | 戸建てに限定し、空き地も対象に含める |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 施工需要のある住宅の発掘 | 1971〜1990年築の持ち家 | 「古家(居住中)」を調査項目に追加する |
| 自治体 | 実態把握、防災・防犯の重点地区の選定 | 放置型の分布と建物の状態 | 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する |
リフォームは1980年代の住宅が動いている
2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家は23万1,200戸で、持ち家全体の28.1%。内訳では水回りの改修が15.8%、屋根・外壁等の改修が12.6%(10万4,100戸)でした。
建築時期別に見ると、動いているのは1981〜1990年築が38.2%で最も高く、次いで1971〜1980年築が37.1%、1991〜2000年築が34.7%。2000年以前に建てられた持ち家の3割以上が、この5年で工事を行っています。裏を返せば、同じ年代の未施工層が6割以上残っているということです。持ち家82万3,500戸のうち、1980年以前に建てられたものは19万1,100戸あります。
自治体は高齢者のいる世帯の持ち家率に注目
県内で65歳以上の世帯員がいる世帯は55万3,200世帯、主世帯の46.6%です。全国の42.7%を上回ります。そのうち89.9%が持ち家に住んでおり、全国の81.6%を8ポイント以上上回ります。
高齢単身世帯は14万2,400世帯で、借家の割合は22.9%(全国32.2%)にとどまります。つまり高齢世帯のほとんどが、広い敷地の持ち家一戸建てに住んでいるということです。今後の空き家の発生源が、どこに分布しているかを示す数字として使えます。
戸建てに絞った茨城県のリスト、お出しできます。
共同住宅を除外し、戸建てと空き地に限定した調査にも対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
0120-107-209
受付 10:00〜20:00/年中無休
2023年の法改正で所有者の状況が変わった
空家等対策の推進に関する特別措置法は2023年に改正され、同年12月に施行されました。
従来は倒壊の危険があるなど深刻な状態の空き家を「特定空家等」として扱っていましたが、その手前の段階として「管理不全空家等」の区分が新設されています。市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。
茨城県では、現住居以外に空き家を所有している世帯が3万3,500世帯(主世帯の2.8%)あり、全国の2.5%を上回ります。敷地が広いぶん、住宅用地特例の有無が固定資産税に与える影響も大きくなります。ただし所有者本人が改正内容を把握しているとは限らないため、伝える役割はこちら側にあります。
なお制度の適用は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な課税や勧告の可否については、所管する市町村の窓口や専門家への確認をご案内ください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。
調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。茨城県では戸建てと空き地を組み合わせて指定すると、1回の調査で拾える件数が増えます。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅を除外した設定にも対応します。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一軒ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
調査結果をもとに対象物件の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
茨城県で空き家調査を進めるときの注意点
よくあるつまずき
- 「空き家率が下がったから対象も減った」と読む/減ったのは賃貸用です。放置型は19.2%増えています
- 共同住宅を含めて発注する/共同住宅の空き家は85.1%が賃貸用です。戸建てに絞れば81.2%が放置型になります
- 首都圏の感覚で条件を決める/一戸建ての割合は東京都26.3%に対し茨城県70.1%です。同じ条件は使えません
- 市全域をまとめて発注する/敷地面積が全国1位のため、面積あたりの軒数は少なくなります。範囲は住宅の集まり方で切ってください
- リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります
茨城県の対応エリア
県内は全32市を中心に対応しています。町村についても、隣接する市とあわせた範囲でご相談ください。
水戸市/日立市/土浦市/古河市/石岡市/結城市/龍ケ崎市/下妻市/常総市/常陸太田市/高萩市/北茨城市/笠間市/取手市/牛久市/つくば市/ひたちなか市/鹿嶋市/潮来市/守谷市/常陸大宮市/那珂市/筑西市/坂東市/稲敷市/かすみがうら市/桜川市/神栖市/行方市/鉾田市/つくばみらい市/小美玉市
よくあるご質問
調査対象を戸建てだけに限定できますか?
できます。茨城県は一戸建ての空き家の81.2%が放置型のため、仕入れが目的の場合は戸建てに限定したほうが歩留まりが上がります。条件はヒアリング時にお伺いします。
空き地も同時に調査できますか?
できます。「空き地(更地)」を調査項目として指定いただければ、戸建ての空き家と同時に調査し、地図上で色分けして納品できます。
つくば市や水戸市の一部エリアだけでも依頼できますか?
可能です。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。まず1地区で実施し、結果を見て広げる進め方をおすすめしています。
居住中の古い戸建ても調査対象にできますか?
できます。「古家(居住中)」を調査項目として指定いただければ、築年数相当の居住中戸建てを調査・報告します。リフォームや外壁塗装のご提案先を探す場合はこちらが中心になります。
千葉県や栃木県とまたいで調査できますか?
対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。
まとめ
茨城県の空き家率は14.1%へ下がりましたが、減ったのは賃貸用の空き家です。放置型は19.2%増えて9万3,200戸となり、空き家に占める割合も39.7%から47.5%へ上昇しました。
重要なのは中身です。放置型の86%が一戸建てで、一戸建ての空き家に限れば81.2%が放置型。戸建てに絞るだけで歩留まりが跳ね上がる、全国でも有数の条件が揃っています。ただし1住宅当たりの敷地面積は394.15㎡で全国1位。面積あたりの軒数は少ないため、範囲は行政区分ではなく住宅の集まり方で切ってください。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから広げる進め方をおすすめします。
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