空き家を貸すという選択肢|賃貸活用が成立する地域としない地域

空き家を貸すという選択肢|賃貸活用が成立する地域としない地域

空き家の出口は、売却と解体だけではありません。貸すという選択肢もあります

実際、直近1年間で空き家でなくなった物件の理由を見ると、「貸した」が15.5%で2位です。1位の除却22.7%に次ぐ規模で、所有者や親族が居住した15.5%と並びます。

ただし、どこでも成立するわけではありません。家賃水準が改修費に見合わなければ、貸す動機は働きません。この記事では、賃貸活用が成立する条件を整理します。

この記事の結論

  • 空き家でなくなった理由の2位は「貸した」15.5%
  • 成立するかは家賃水準で決まる。地域差が大きい
  • 和歌山県は1畳当たり2,152円で全国44位、奈良県は5万1,996円で全国9位
  • 所有者は改修費と手間で止まる
  • 売却より心理的な負担が小さい場合がある

実際に貸されている

国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査によれば、直近1年間で使用目的のない空き家の14.8%が空き家でなくなりました

順位 理由 割合
1位 除却した 22.7%
2位 貸した 15.5%
2位 所有者や親族が居住した 15.5%

賃貸は、除却に次ぐ解消の経路です。売却だけを提案していると、この層を取りこぼします。

意向としては少数

一方、今後の利用意向を見ると賃貸を選ぶ層は多くありません。使用目的のない空き家では、所有継続40.6%、除却19.2%、売却18.3%が上位です。

意向として賃貸を選ぶ人は少ないのに、実際には15.5%が貸している。この差は、状況が変われば選択肢が変わることを示しています。

家賃水準が成否を分ける

賃貸に出すかどうかは、採算で決まります。改修費を家賃で回収できなければ、貸す動機は働きません

家賃水準 空き家への影響
和歌山県 1畳当たり2,152円で全国44位 貸す動機が働きにくく、放置型に流れやすい
奈良県 1か月5万1,996円で全国9位 賃貸市場が空き家を吸収しやすい
大阪市 1か月6万1,704円(前回比5.9%上昇) 賃貸として成立しやすい

同じ近畿でも、構造が正反対になります。和歌山県では貸しても回収できず、奈良県では賃貸市場が空き家を吸収する。

「貸せない地域」がある

これは所有者の意欲の問題ではありません。市場そのものが成立しない地域があります

改修に数百万円かかっても、家賃が月3万円であれば回収に何年もかかります。しかも借り手が見つかる保証はありません。合理的に判断すれば、貸さないという結論になります

この地域で賃貸を提案しても、話は進みません。売却か解体、あるいは管理という選択肢を示すほうが現実的です

逆に家賃が取れる地域であれば、賃貸は有力な選択肢になります。地域の家賃水準を確認してから提案してください

所有者が止まる理由

家賃水準が足りていても、進まないことがあります。

理由 内容
改修費 水回りや内装に費用がかかる
家財 片付けが済んでいない
手間 入居者の管理、修繕の対応
責任 貸主としての義務が生じる
将来の使用 いずれ自分や親族が使うかもしれない

手間の問題は管理で解決できる

所有者が遠方に住んでいれば、入居者への対応は負担です。世帯が持つ敷地以外の土地のうち、他県にあるものは全国平均で14.1%。神奈川県では33.8%にのぼります。

賃貸管理を委託すれば、この負担は減ります。「貸すのは大変」という認識が止めているなら、管理会社の関与が選択肢になります

「いずれ使うかもしれない」は定期借家という手もある

将来自分や親族が使う可能性を残したい。この理由で貸せない所有者は少なくありません

期間を定めて貸す方法もありますが、制度の内容や契約の形式については専門家への確認をご案内ください。この記事は選択肢の存在を示すもので、契約の判断を代わりに行うものではありません。

売却より心理的な負担が小さいことがある

空き家の57.9%は相続によって取得したものです。そして空き家になった原因の58.3%は所有者の死亡でした。

つまり多くの場合、その家は亡くなった家族の家です。手放すことへの抵抗が働きます。

賃貸であれば、所有権は残ります。「売る」という決断より、受け入れやすい場合があります。

選択肢 所有権 心理的な負担
売却 手放す 大きいことがある
賃貸 残る 比較的小さい
解体 建物は失われる 大きいことがある

売却を断られた所有者に、賃貸の選択肢を示す。この順序で話が進むことがあります。

建物の状態が判断を左右する

貸すには、住める状態にする必要があります。ここで改修費が問題になります

令和6年の調査によれば、相続空き家の状態は次のとおりです。

状態 割合
室内外に部分的な腐朽・破損あり 47.1%
構造上の不具合あり 21.2%
室内外に全体的な腐朽・破損あり 3.5%
構造上の不具合や腐朽・破損なし 28.2%

不具合がないのは28.2%です。この層であれば、改修費を抑えて貸せる可能性があります。

ただしこれは所有者の自己申告による回答です。実際の状態は現地で確認するしかありません

状態の良い空き家を見つける

賃貸活用の提案先として意味があるのは、状態が良い空き家です。傷みが激しい物件では、改修費が回収できません。

ところが実務では、傷みが激しい物件ばかりに目が向きがちです。神戸市の兵庫区は空き家が5年で80.3%増えましたが、腐朽・破損があるのは4.3%だけ。新しく空き家になった住宅が多く、状態はまだ良い。

こうした地区は、賃貸活用の提案先として有望です

状態の良い空き家を、分けて抽出できます。

改修して使える物件と、解体前提の物件を最初から区別できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

制度の後押しもある

賃貸活用に関わる制度がいくつかあります。

制度 概要
改修の補助 自治体が空き家の改修費用の一部を補助する例がある
空き家バンク 賃貸物件として登録できる自治体がある
住宅セーフティネット制度 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
空家等活用促進区域 区域内で用途規制の合理化が可能になる

制度の有無も要件も自治体によって異なります。また改修の補助では、多くの制度で工事着手前の申請が必要です。

制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する市区町村の窓口への確認をご案内ください

目的によって、関わり方が変わる

立場 賃貸活用との関わり 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却の代替案として示せる 状態の良い空き家を区別する
賃貸管理会社 管理受託につながる 状態+立地条件
リフォーム・改修会社 改修工事の受注 状態別の分類
自治体 活用促進の対象 状態の良い空き家の把握

自治体は活用の候補を把握する

実態調査を措置のためだけに設計すると、状態の良い空き家が拾えません。活用促進を計画に掲げているなら、この層の把握が必要です。

空き家バンクへの登録を働きかける候補、移住定住施策の対象、地域の活動拠点。いずれも「まだ使える空き家」が前提です

不動産会社は選択肢を並べる

売却を提案して断られたとき、そこで終わりにしないでください。賃貸、管理、あるいは当面の保有。選択肢を並べたうえで判断してもらう形が適切です。

そして1回の接触で結論が出なくても、記録を残しておいてください。1年で14.8%が動いています。状況は変わります。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

調査では、建物の状態を記録項目に含めることができます。劣化の程度を段階に分けて分類すれば、改修して使える物件と解体前提の物件を分けて扱えます。

なお建物内部の状態は分かりません。公道から外観を確認する形のため、水回りや内装の状況は接触して確認する工程になります。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、記録する状態の区分を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。劣化の程度を段階に分けた記録にも対応します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

賃貸を提案するときの注意点

よくあるつまずき

  • 家賃水準を確認せずに提案する/改修費を回収できない地域があります
  • 傷みが激しい物件に賃貸を提案する/改修費が回収できません
  • 売却を断られたら終わりにする/賃貸なら所有権が残ります。抵抗が小さいことがあります
  • 手間の問題を軽視する/遠方の所有者にとって入居者対応は負担です
  • 補助制度を断定する/制度の有無も要件も自治体によって違います

よくあるご質問

状態の良い空き家だけを抽出できますか?

できます。建物の状態を記録項目に含めていただければ、劣化の程度で分類したリストを納品します。改修して使える物件と、解体前提の物件を分けて扱えるようになります。

建物の内部も確認してもらえますか?

できません。所有者の許可なく敷地に立ち入ることはできないため、公道から確認できる範囲での調査となります。水回りや内装の状況は、接触して内見の許可を得る工程が必要です。

家賃相場はどこで調べられますか?

住宅・土地統計調査で、都道府県別・市区町村別の1か月当たり家賃や1畳当たり家賃が公表されています。地域の水準を確認したうえで提案されることをおすすめします。

賃貸に出せそうな物件を探せますか?

外観から確認できる範囲で状態を記録するため、候補の絞り込みには使えます。ただし実際に貸せるかどうかは、内部の状態や改修費、地域の需要によって決まります。

賃貸管理の受託先を探す用途にも使えますか?

ご相談ください。空き家の戸建てのほか、「古アパート」を指定していただければ築年数の経過した共同住宅を棟単位で調査・報告します。

まとめ

空き家の出口は、売却と解体だけではありません。直近1年間で空き家でなくなった理由を見ると、「貸した」が15.5%で2位。除却22.7%に次ぐ規模です。

ただし成否を分けるのは家賃水準です。和歌山県は1畳当たり2,152円で全国44位。改修費を回収できなければ、貸す動機は働きません。一方、奈良県は1か月5万1,996円で全国9位で、賃貸市場が空き家を吸収します。

「貸せない地域」があるのは、所有者の意欲の問題ではありません。市場そのものが成立していないためです。地域の家賃水準を確認してから提案してください。

そして賃貸には、売却にない利点があります。所有権が残るため、心理的な負担が小さい場合があります。空き家の57.9%は相続によるもので、多くは亡くなった家族の家。「売る」という決断より受け入れやすいことがあります。

売却を断られたら、賃貸の選択肢を示す。選択肢を並べたうえで判断してもらう形が適切です

関連記事

まず1地区から、現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、賃貸管理の受託、改修の提案、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

反響を生む配布設計をプロがご提案します

反響を生む配布設計

プロがご提案します

お気軽にご相談ください

お気軽にどうぞ 無料見積もり相談