建替えの提案先をどう見つけるか|築古住宅と接道から絞り込む

建替えの提案先をどう見つけるか|築古住宅と接道から絞り込む

建替えの提案先は、大きく2つに分かれます。人が住んでいる築古住宅と、空き家になった老朽住宅です。

前者は所有者本人に提案でき、後者は解体して新築という形になります。対象も接触の方法も違います

そして両方に共通する条件があります。接道です。建築基準法上の要件を満たさなければ、建替えそのものができません。この記事では、提案先の絞り込み方を整理します。

この記事の結論

  • 提案先は居住中の築古住宅空き家の2つ
  • どちらも接道が前提条件になる
  • 相続空き家の73.2%が1980年以前の建築
  • 接道は統計にも登記にも記載されない
  • 空家等活用促進区域では規制が合理化される可能性がある

2つの提案先

対象 提案の形 接触の方法
居住中の築古住宅 建替え ポスティング、訪問
空き家(老朽住宅) 解体して新築、または用地として取得 DM(所有者は住んでいない)

必要な情報が変わります。居住中であれば住所だけで足りますが、空き家では所有者の特定が必要になります。

居住中なら工程が少ない

人が住んでいれば、ポスティングや訪問で接触できます。宛名が不要なため、地番の割り出しと登記情報の取得が省けます。

弊社の調査では「古家(居住中)」を調査項目として指定できます。人が住んでいる築古の戸建てを対象とした調査です。

空き家は所有者を追う必要がある

空き家には人が住んでいません。訪問しても会えないのが前提です。

登記情報に電話番号は記載されないため、公開情報だけで接触するなら郵送が実質的な手段になります。地番の割り出しから登記情報の取得という工程が必要です。

接道が成否を分ける

建築基準法では、建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないとされています。ここでいう道路は、原則として幅員4メートル以上のものです。

これを満たさなければ、原則として建替えができません。どれだけ有望に見える物件でも、この条件で止まります

ただし幅員4メートル未満=再建築不可ではありません。2項道路であれば、道路の中心線から2メートル後退することで建替えが可能になる場合があります。

判断は特定行政庁が行います。現地で分かるのは「明らかに狭い」「車が入れない」という水準までですが、優先順位づけには十分です。

接道は現地でしか分からない

情報源 接道について分かるか
住宅・土地統計調査 市区町村単位の集計のみ
登記情報 記載されない
地図データ 道路の存在は分かるが幅員は分からない
航空写真 俯瞰では測れない
現地調査 おおよその状況を確認できる

正確な幅員や道路種別を確定するには、役所での調査が必要です。ただし、その手前で候補を絞る段階では現地調査が使えます。

接道が悪い物件は空き家に偏る

京都市の資料は、接道している道の幅員が狭いほど空き家率が高い傾向にあるとしています。

神戸市でも、空き家の種類別に道路状況が集計されています。

空き家の種類 幅員4メートル未満の道路のみ
放置型 36%
売却用 28%
賃貸用 28%

建替えができないから流通に乗らず、そのまま残る。この構図が数字に表れています。

安く手に入りそうな物件ほど、接道が悪い可能性があります

築年数の条件

建替えの提案先は、一定の築年数が経過した住宅になります。

相続された空き家の建築時期を見ると、1980年以前が73.2%を占めます。1981年6月に導入された新耐震基準より前の建物ということになります。

建築時期 割合
1950年以前 20.4%
1951〜1970年 26.4%
1971〜1980年 26.4%
1981〜2000年 17.5%
2001年以降 4.5%

外観から築年数は断定できない

ただし調査で築年数そのものを確定することはできません

記録できるのは、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる住宅までです。どの程度の年代を想定するかは、ヒアリングの段階でご相談ください。

造成年代のそろった地区を狙う

同じ時期に一斉に開発された住宅地では、住宅の築年数もそろいます。数十年後に同じ時期を迎えるため、建替えの検討時期も重なります。

造成年代のそろった地区は、地図や航空写真からある程度見当がつきます。区画の大きさが均一で、道路の形が規則的。

費用は面積に対する従量制なので、この段階で範囲を絞れば費用は下がります

敷地の条件も見る

確認すること 影響
接道の幅と接する長さ 建替えの可否
車両の進入 工事の可否、工法
敷地のおおよその広さ 提案できる建物の規模
隣家との距離 施工条件
高低差・階段 造成の要否

これらは外観から確認できます。ただし正確な面積は登記情報での確認が必要で、境界の確定には測量が必要です。

築古住宅と接道を、あわせて記録できます。

建替えが成立しない物件を、訪問前に外しておけます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度が後押しする場合がある

2023年12月施行の改正空家法で創設された空家等活用促進区域では、区域内で接道規制を合理化できるとされています。

市区町村が特定行政庁と協議したうえで基準を設定します。安全確保等の要件を満たせば、建替えが可能になる場合があります

確認すること 確認先
区域に指定されているか 市区町村の窓口
指定を検討しているか 同上
要件と手続き 特定行政庁

指定していない自治体も多くあります。営業エリアの状況を確認する価値があります。

制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、特定行政庁や専門家への確認をご案内ください

補助制度も確認する

解体を伴う場合、自治体の補助制度が使えることがあります。補助率は解体費の1/3〜1/2程度、上限は50万〜100万円が中心です。

ただしほとんどの制度で工事着手前の申請が必要です。また市内の登録業者による施工を条件とする例もあります。登録していなければ、補助を使う工事は受注できません。

営業エリアに複数の自治体が含まれる場合、それぞれで要件を確認しておいてください

目的によって、狙う対象が変わる

立場 主な対象 調査で指定するとよい条件
ハウスメーカー 居住中の築古住宅 「古家(居住中)」+接道
工務店 居住中の築古住宅、空き家 両方を同時に指定
買取再販 空き家 「空き家(戸建て)」+状態+接道
解体会社 空き家、老朽住宅 状態+接道+隣家との距離
不動産会社(用地) 空き家+空き地 複数項目を同時に指定

両方を同時に指定できる

「空き家(戸建て)」と「古家(居住中)」を同時に指定すれば、両方を色分けした地図で納品します

追加は1項目につき200円(税別)。同じ範囲を1回歩くため、別々に発注するより費用は抑えられます

納品時は項目ごとに色分けされるため、担当が分かれていても用途別に使えます

解体とセットで考える

空き家を対象にする場合、解体が前提になります。建物の状態を記録しておけば、解体費用の見当もつきやすくなります。

京都市の資料では、放置型の空き家について腐朽・破損率が一戸建28%、長屋建52%、共同住宅11%と示されています。長屋建は状態が悪い割合が高く、解体や建替えの対象として扱われることが多い建て方です

将来の需要も押さえる

建替えは、すぐに決まるものではありません。数年単位で検討される場合があります

空き家になった原因の約7割は死亡・施設入居によるものです。いま高齢の方が住んでいる持ち家が、数年後に空き家になりうるという構造があります。

ただし現地調査で誰が住んでいるかは分かりません。記録できるのは、人が住んでいる築古の戸建てがどこにあるかまでです。

接触には配慮が必要

避けたいこと 理由
将来の相続を前提にした話をする 居住者本人に向ける内容として適切でない
年齢や世帯構成を推測して伝える 調査では分からないことを断定することになる
繰り返し接触する 居住中の住宅であり、迷惑になりうる

居住中の住宅に対しては、その住宅に住んでいる方に向けた内容であるべきです。住まいの維持や安全といった、いま役に立つ話から始めてください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

接道の状況は記録項目としてご指定いただけます。ただし記録できるのは外観から確認できる範囲です。正確な幅員の測定や道路種別の確認は行いません。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
建替えの提案先として何を想定するかを確認したうえで、対象範囲・調査項目・記録する条件を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。造成年代のそろった地区を指定した範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。接道の状況もこの工程で確認します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 接道を確認せずに提案を進める/建替えができなければ成立しません
  • 幅員4メートル未満=再建築不可と考える/2項道路であれば建替えできる場合があります
  • 「建替えできます」と断定する/判断は特定行政庁が行います
  • 外観から築年数を断定する/仕様や傷み具合からの判断にとどまります
  • 居住中の住宅に相続前提の内容で接触する/いま役に立つ話から始めてください

よくあるご質問

接道の状況も記録してもらえますか?

ご相談ください。外観から確認できる範囲で、前面道路の状況を記録項目に組み込めます。ただし正確な幅員の測定や道路種別の確認は行いません。役所での調査の手前で候補を絞る用途としてご活用ください。

築年数を条件にした調査はできますか?

外観から築年数そのものを断定することはできませんが、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる住宅を対象として調査・報告します。どの程度の年代を想定するかはヒアリング時にお伺いします。

空き家と居住中の住宅を同時に調べられますか?

できます。「空き家(戸建て)」と「古家(居住中)」を同時に指定していただければ、両方を色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。

敷地の広さは分かりますか?

外観からはおおよその目安までです。正確な面積は登記情報でご確認いただく形になります。地番を含むリストを納品しますので、そのまま取得に進めます。

造成年代のそろった地区を指定できますか?

できます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。地図や航空写真から候補を絞る段階からのご相談も承ります。

まとめ

建替えの提案先は2つ。居住中の築古住宅と、空き家になった老朽住宅です。前者はポスティングや訪問で接触でき、後者は所有者の特定が必要になります。

そして両方に共通する条件が接道です。建築基準法上の要件を満たさなければ、建替えそのものができません。どれだけ有望に見える物件でも、この条件で止まります

ただし幅員4メートル未満=再建築不可ではありません。2項道路であればセットバックによって建替えできる場合がありますし、空家等活用促進区域を定めた自治体では規制が合理化される可能性もあります。

接道は統計にも登記情報にも記載されません。地図でも航空写真でも正確な幅は測れない。現地で確認するしかない条件です。

そして接道が悪い物件は空き家に偏ります。神戸市では放置型の36%が幅員4メートル未満。安く手に入りそうな物件ほど、この条件に注意してください。

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