太陽光未設置住宅の調査とは|屋根の条件で提案先を絞る方法

太陽光未設置住宅の調査とは|屋根の条件で提案先を絞る方法

太陽光発電の営業先を探すとき、「まだ設置していない家」を条件にすると、対象はほとんど絞れません。全国の一戸建て持ち家のうち、設置済みは9.0%。つまり9割以上が未設置です。

母数が大きすぎるということは、リストとして機能しないということでもあります。片っ端から訪問しても、そのうち相当数はそもそも設置に向かない屋根です。北向きの屋根、面積が足りない屋根、隣の建物の影がかかる屋根。訪問して初めて分かるのでは、移動時間が無駄になります。

この記事では、「太陽光未設置住宅」を調査項目として指定したときに何が記録されるのか、そして屋根の条件で提案先を絞るという考え方を整理します。

この記事の結論

  • 太陽光発電機器がある住宅は全国で270万戸、住宅全体の4.9%。一戸建て持ち家でも9.0%にとどまる
  • 未設置住宅を見つけるのは簡単。難しいのは設置に適した屋根を持つ未設置住宅を見つけること
  • 統計に屋根の情報はない。形状・向き・面積・周辺の影は現地でしか分からない
  • 設置済み住宅の約9割が一戸建ての持ち家。共同住宅や借家は対象になりにくい
  • 費用は空き家調査と同じ従量制。同時指定なら1項目200円の追加

まず、未設置住宅はどれだけあるか

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」による数字です。

項目 数値
太陽光を利用した発電機器がある住宅 全国で270万戸
住宅全体に占める割合 4.9%
一戸建て(持ち家)に占める割合 9.0%
設置済み住宅のうち一戸建て持ち家 245万戸(約9割)
平成20年からの推移 52万戸→157万戸→270万戸(15年で約5.2倍)

15年で5倍以上に増えましたが、それでも一戸建て持ち家の91.0%は未設置です。数の上では、対象は尽きていません。

対象は一戸建ての持ち家に集中する

設置済み270万戸のうち245万戸、約9割が一戸建ての持ち家です。共同住宅や借家では、屋根の権利関係や意思決定の仕組みから、設置が進みにくい構造があります。

つまり提案先を探すなら、最初から一戸建ての持ち家に絞るのが前提になります。共同住宅を含めた調査では、対象にならない建物を大量に拾うことになります。

難しいのは「屋根」の条件

ここがこの記事の中心です。未設置住宅は9割あるので、見つけること自体は難しくありません。問題は、そのうちどれが設置に適した屋根を持っているかです。

屋根の条件 提案への影響
向き 南向きが有利。北向き中心では発電量が落ちる
形状 切妻・寄棟など。複雑な形状ほど設置面積が取りにくい
面積 必要な容量を載せられるだけの広さがあるか
周辺の影 隣接する建物や樹木が日照を遮っていないか
屋根材と劣化 設置前に葺き替えや補修が必要になる場合がある
既設の有無 すでに設置されていれば対象外。太陽熱温水器との区別も必要

これらはすべて、統計には出てきません。住宅・土地統計調査で分かるのは市区町村単位の設置戸数までで、個々の建物の屋根がどうなっているかは示されません。

「訪問して断られる」を、訪問前に減らす

屋根の条件が合わない住宅を訪問しても、提案は成立しません。移動と訪問の時間がそのまま失われます。

現地調査であれば、外観から屋根の状況を確認して記録できます。向き、おおよその形状、周辺に日照を遮る建物があるか。これらを事前に把握しておけば、条件の合わない住宅を訪問リストから外せます。

調査費用は面積に対する従量制です。訪問1件あたりにかかる人件費と比べれば、先に絞り込むほうが総コストは下がります

調査で記録できること

弊社の土地調査では「太陽光未設置住宅」を調査項目として指定できます。記録する内容は目的に応じて調整できますが、基本は次のとおりです。

記録項目 内容
位置 地図上の位置を特定し、色分けして転記
設置の有無 外観から確認できる範囲で、既設パネルがないこと
建て方 一戸建てか、共同住宅か
屋根の状況 外観から確認できる形状、向き、劣化の程度
周辺の状況 日照を遮る建物や樹木の有無
地番 調査結果をもとに割り出す

断定できないことも書いておきます

外観からの調査には限界があります。屋根の正確な面積、勾配、屋根材の種類、下地の状態までは分かりません。これらは実際に見積りの段階で確認する項目です。

また、太陽熱を利用した温水機器と太陽光発電機器は外観が異なりますが、判別が難しい場合もあります。どの程度の粒度で記録するかは、ヒアリングの段階でご相談ください。

調査で得られるのは「訪問する価値のある候補」までです。ここから先は現地で確認する工程になります。

目的によって、見る条件が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
太陽光・蓄電池の販売施工会社 設置の提案先を探す 屋根の向き、面積、周辺の影 一戸建てに限定し、屋根の状況を記録項目に含める
屋根・外壁塗装会社 塗装と設置の同時提案 屋根材の劣化、外壁の状態 「古家(居住中)」と同時に指定する
自治体 再生可能エネルギーの導入状況の把握 地区ごとの設置率、住宅の構成 町丁目単位で全域を対象にし、集計形式で納品を依頼する

屋根・外壁塗装との組み合わせが効く

太陽光パネルを設置する際、屋根の状態によっては先に葺き替えや補修が必要になります。逆にいえば、屋根の塗装や葺き替えを検討している住宅は、太陽光の提案先でもあるということです。

「古家(居住中)」と「太陽光未設置住宅」を同時に指定すれば、両方の条件を満たす住宅を地図上で重ねて見られます。調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。

1回の調査で、2つの提案の材料が手に入ることになります。屋根工事の提案から入り、そのまま太陽光の話につなげるという流れも組めます。

設置率は県によって大きく違う

都道府県別に見ると、設置の進み方には差があります。西日本や太平洋側で高く、それ以外で低い傾向です。

参考として、静岡県は設置割合8.9%で全国6位、実数でも13万戸と上位にあります。一方、大阪府は2.6%と全国平均を下回ります。埼玉県は実数15万100戸で全国2位ですが、設置割合は4.7%で全国33位。実数が多いのは母数が大きいからであって、未設置層の厚さとは別の話です。

営業エリアを検討する際は、実数ではなく設置割合で見てください。割合が低い県ほど、未設置層が厚く残っています。

屋根の条件まで記録したリスト、お作りします。

訪問前に条件の合わない住宅を外せるため、1件あたりの移動コストが下がります。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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制度の状況も踏まえておく

太陽光発電をめぐる制度は動いています。東京都では2025年4月から、一定規模以上の住宅供給事業者に対して新築住宅への設置を求める制度が始まりました。川崎市でも同様の制度が施行されています。

これらは新築住宅を対象とした事業者単位の制度です。今後、新築については設置が進んでいくと見込まれます。

裏を返せば、既存住宅の未設置層は、制度によって自動的に減るわけではありません。一戸建て持ち家の91.0%という母数は、当面残り続けることになります。

なお、補助金の内容や要件は年度によって変わります。買取制度の条件も改定されています。提案の際に制度の話をする場合は、その時点の最新情報を確認したうえで、詳しくは所管の窓口や専門家へと案内する形をおすすめします。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、太陽光未設置住宅のほか、空き家(戸建て)、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(設置提案/屋根工事との同時提案/実態把握)を確認し、屋根のどの条件を記録するかも含めて決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。屋根の状況や周辺の影も、この工程で確認します。
地番の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出します。必要に応じて登記情報から所有者事項を取得することもできます。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。ポスティングやDMの発送までご依頼いただくこともできます。

調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 「未設置」だけを条件にする/一戸建て持ち家の9割が未設置です。それだけでは絞り込めません
  • 共同住宅を含めて発注する/設置済みの約9割は一戸建て持ち家です。共同住宅は対象になりにくい建物です
  • 屋根の条件を記録項目に入れない/向きや周辺の影が分からないと、訪問して断られる件数が減りません
  • 実数の多い県を選ぶ/実数が多いのは母数が大きいためです。未設置層の厚さは設置割合で見てください
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

よくあるご質問

屋根の向きや形状も記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で記録します。ただし正確な面積や勾配、屋根材の種類までは分かりません。どの粒度が必要かはヒアリング時にお伺いします。

すでに設置されている住宅は除いてもらえますか?

外観から確認できる範囲で、既設のパネルがない住宅を対象として記録します。太陽熱温水器との判別が難しい場合もあるため、判断基準は事前にご相談ください。

屋根や外壁の劣化も同時に記録できますか?

できます。「古家(居住中)」を同時に指定していただければ、築古住宅の外観状態もあわせて記録します。屋根工事と太陽光の両方を提案する場合に有効です。

一戸建てだけに限定できますか?

できます。設置済み住宅の約9割は一戸建ての持ち家です。提案先を探す目的であれば、一戸建てに限定することをおすすめしています。

ポスティングまで依頼できますか?

ご相談ください。調査結果をもとにした配布についても対応しています。件数とエリアを伺ったうえでご提案します。

まとめ

太陽光発電機器がある住宅は全国で270万戸、住宅全体の4.9%です。一戸建て持ち家に限っても9.0%にとどまり、9割以上が未設置のまま残っています。母数という点では、対象は尽きていません。

難しいのは絞り込みです。未設置というだけでは対象が広すぎて、リストとして機能しません。設置に適した屋根を持っているかどうかで、提案の成否は大きく変わります

そして屋根の情報は、統計には出てきません。向き、形状、周辺の影。これらは現地で外観を見て初めて分かるものです。訪問して断られる件数を、訪問する前に減らせるかどうか。それが1件あたりの営業コストを決めます。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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