倉庫・工場の調査とは|統計にない遊休不動産を地図に落とす方法

倉庫・工場の調査とは|統計にない遊休不動産を地図に落とす方法

空き家という言葉から想像されるのは、たいてい住宅です。統計もそうなっています。住宅・土地統計調査が数えるのは住宅であって、使われなくなった倉庫や工場は、この調査の対象外です。

つまり全国にどれだけあるのか、公的なデータが存在しません。空き家であれば市区町村単位の戸数が5年ごとに公表されますが、遊休化した事業用建物にはそれがない。誰も数えていない対象だということです。

一方で、需要はあります。倉庫・物流施設への転用、資材置場、太陽光、そして解体して用地にする。使われていない事業用の建物と土地は、複数の出口を持っています。この記事では、倉庫・工場の調査で何を記録するのかを整理します。

この記事の結論

  • 倉庫・工場は住宅・土地統計調査の対象外。全国の遊休化した棟数を示すデータはない
  • 把握するには現地を歩くしかない。空き地・古アパートと同じ構図
  • 1件あたりの敷地が広く、取引の規模も大きい。件数は少なくても成果につながりやすい
  • 出口は転用・賃貸・解体して用地化と複数ある
  • 費用は空き家調査と同じ従量制。同時指定なら1項目200円の追加

倉庫・工場の調査とは

調査員が対象エリアを歩き、使われていない、または稼働が落ちていると見られる倉庫・工場を確認・記録する調査です。弊社の土地調査では「倉庫・工場」を調査項目として指定できます。

記録項目 内容 使いどころ
位置 地図上の位置を特定し、色分けして転記 エリア内の分布を把握する
おおよその規模 建物の大きさ、敷地の広さの目安 転用や建替えの一次判断
稼働の状況 外観から見た使用の形跡 遊休化しているかの推測
建物の状態 外壁、屋根、シャッターの状態 そのまま使えるか、解体前提か
接道・搬入路 前面道路の幅、大型車が入れるか 物流用途への転用可否
地番 調査結果をもとに割り出す 登記情報の取得につなげる

外観から判断できること

住宅と同じく、使われているかどうかは外から見て分かる部分があります。

見る場所 分かること
シャッター・出入口 長期間閉まったままか、開閉の形跡があるか
敷地内 車両やフォークリフトの有無、資材の置かれ方
雑草・舗装 敷地の手入れ状況。放置期間の長さが表れる
看板・社名表示 撤去されているか、色あせているか
外壁・屋根 錆、破損、波板の剥がれ。修繕の必要性
電気設備 引込線やメーターの状況

事業用の建物は、住宅より状態が外から見えやすいという特徴があります。窓が少なく、敷地が広く、シャッターや駐車スペースの使われ方がそのまま稼働状況を示すためです。

統計に出てこない対象

ここが倉庫・工場を扱ううえで最も重要な点です。

対象 全国調査の有無 把握できる粒度
空き家(住宅) 住宅・土地統計調査(5年ごと) 市区町村単位の戸数
空き地 相当する悉皆調査はない 世帯の土地所有割合のみ
倉庫・工場 住宅・土地統計調査の対象外

空き家であれば「A市に何戸ある」から絞り込みを始められます。空き地には所有世帯の割合というデータがありますが、倉庫・工場にはその出発点すらありません

統計で当たりをつけることができない以上、所在を知るには現地を歩くしかありません。逆にいえば、リストを持っている事業者が少ない領域だということでもあります。

件数は少ないが、1件が大きい

倉庫・工場は住宅ほど数がありません。同じ範囲を歩いても、拾える件数は空き家より少なくなります。

ただし1件あたりの敷地面積が大きく、取引の規模も違います。住宅を10件当たるのと、倉庫を1件当たるのとで、成果が同程度になることもあります。

調査費用は面積に対する従量制です。件数で費用対効果を測ると割高に見えますが、1件あたりの規模で見れば評価は変わります。この点は、住宅を対象にした調査とは判断基準が異なります。

出口が複数ある

使われていない倉庫・工場には、いくつかの活用方向があります。

出口 提案する相手 判断材料になる情報
そのまま賃貸・売却 建物を使いたい事業者 建物の状態、天井高、接道、搬入路
用途を変えて転用 倉庫・作業場を探す事業者 規模、構造、電気容量の目安
解体して用地化 開発事業者、建設会社 敷地の広さ、形状、接道
敷地の一部活用 資材置場、駐車場などを探す事業者 敷地の余剰、出入口の位置

建物が使える状態なら賃貸や転用、傷んでいれば解体して用地に。状態を記録しておけば、1件の調査結果を複数の提案に振り分けられます

目的によって、見る条件が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 事業用地・収益物件の発掘 敷地の広さ、接道、遊休の度合い 規模の下限を指定し、空き地も同時に含める
建設・解体会社 解体・建替えの提案 建物の劣化、構造、周辺の状況 状態別の記録を依頼する
自治体 低未利用地の把握、防災上の確認 老朽化した建物の分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

工業系の地区に絞ると効率が上がる

倉庫や工場は、地域内に均等に分布しているわけではありません。工業系の用途地域、幹線道路沿い、旧来の産業集積地にまとまっています

市全域を対象にすると、住宅地を歩く時間がそのまま費用になります。用途地域や道路の状況をもとに範囲を絞り込むほうが、面積あたりの成果は上がります。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

空き地との組み合わせが効く

解体して用地化する提案であれば、周辺の空き地もあわせて把握しておくと検討の幅が広がります。隣接している場合は一体で扱える可能性もあります

駐車場・空き地・倉庫工場を同時に指定すれば、そのエリアの低利用な土地を一度の調査で押さえられます。調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。

誰も数えていない対象を、地図に落とせます。

統計にない倉庫・工場も、現地調査であればリスト化できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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所有者は法人であることが多い

事業用の建物は、法人が所有しているケースが少なくありません。この場合、住宅とは接触の条件が変わります。

項目 個人所有の場合 法人所有の場合
登記上の名義 個人名 法人名
登記上の住所 登記時点の住所。転居で古くなる 本店所在地。移転していれば古くなる
DMの宛先 個人宛 法人宛。担当部署が不明
判断の主体 本人と親族 社内の意思決定を経る

法人の場合、判断に時間がかかることを前提に接触する必要があります。すぐに返答がなくても、社内で検討されている可能性があります。1回の反応で打ち切らないほうが実務に合います。

なお、法人が解散していたり、事業を停止していたりすると、登記上の住所に連絡が届かないこともあります。一定の返送は避けられないと考えておいてください

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。倉庫・工場は分布に偏りがあるため、範囲の絞り込みが特に効きます。

調査項目は、倉庫・工場のほか、空き地、駐車場、空き家(戸建て)、古アパート、古家(居住中)などから選べます。用地を探す目的であれば、倉庫工場・空き地・駐車場の組み合わせが有効です

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(用地の確保/解体・建替えの提案/実態把握)を確認し、対象とする規模の下限なども含めて条件を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。工業系の地区に絞った範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、一件ずつ規模・稼働状況・建物の状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。法人所有の場合も対応します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

倉庫・工場の調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 件数の多さで費用対効果を判断する/住宅より件数は少なくなります。1件あたりの規模で評価してください
  • 市全域を対象にする/倉庫・工場は工業系の地区に偏在します。範囲を絞り込んでください
  • 規模の条件を決めずに発注する/小規模な作業場まで拾うと件数が膨らみます。下限を指定してください
  • 法人所有の反応を個人と同じ基準で見る/社内の意思決定を経るため時間がかかります。1回で打ち切らないでください
  • 建物の状態を記録項目に入れない/賃貸・転用・解体のどれを提案するかは、状態で分かれます

よくあるご質問

使われているかどうか、どう判断するのですか?

外観から確認できる情報をもとに判断します。シャッターの開閉の形跡、敷地内の車両や資材、雑草の状況、看板の有無などが材料になります。ただし推測であり、稼働の有無を確定するものではありません。

一定の規模以上に絞れますか?

できます。建物や敷地のおおよその広さで下限を指定していただければ、それに該当する物件を対象として調査します。条件はヒアリング時にお伺いします。

工業団地や特定の地区だけを対象にできますか?

できます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。倉庫・工場は分布に偏りがあるため、この切り方をおすすめしています。

所有者が法人でも特定できますか?

できます。調査で特定した地番をもとに登記情報を取得するため、法人所有であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

空き地や駐車場と同時に調査できますか?

できます。調査項目として複数を指定していただければ、同じ範囲を1回歩いてすべてを記録し、地図上で色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。

まとめ

住宅・土地統計調査は住宅を数える調査です。使われなくなった倉庫や工場は、この調査の対象に含まれていません。全国にどれだけあるのかを示す公的なデータは存在しません。

空き家なら市区町村単位の戸数から絞り込みを始められますが、倉庫・工場にはその出発点がありません。所在を知るには、現地を歩くしかない対象です。裏を返せば、リストを持っている事業者が少ない領域でもあります。

件数は住宅より少なくなります。ただし1件あたりの敷地が広く、取引の規模も違います。件数ではなく1件あたりの規模で評価すべき対象です。そして出口は、賃貸・転用・解体して用地化と複数あります。状態を記録しておけば、1件の調査結果を複数の提案に振り分けられます。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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