相続で発生した空き家をどう見つけるか|3年という期限と接触の順番

相続で発生した空き家をどう見つけるか|3年という期限と接触の順番

全国で世帯が所有する空き家のうち、61.6%は相続・贈与によって取得したものです。空き家の仕入れを考えるなら、相続で発生した物件が主戦場になります。

そして相続空き家には、期限があります。相続した空き家を売却した際に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例は、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が要件です。

つまり相続が発生してからおよそ3年から4年のあいだに動かなければ、所有者はこの控除を使えなくなります。接触が早すぎれば反発され、遅すぎれば相手にとっての利点が消える。この記事では、タイミングをどう見極め、どう見つけるかを整理します。

この記事の結論

  • 世帯所有空き家の61.6%が相続・贈与による取得。相続空き家が主戦場になる
  • 3,000万円特別控除は相続開始から3年経過する年の12月31日までの譲渡が要件
  • 対象は昭和56年5月31日以前に建築された家屋。築45年以上が目安になる
  • 相続の発生時期は登記の所有権移転から確認できる
  • 外観だけで相続直後かは判断できない。現地調査と登記情報を組み合わせる

相続空き家には3年の期限がある

「空き家の発生を抑制するための特例措置」、いわゆる空き家の3,000万円特別控除です。要件は次のとおりです。

項目 内容
控除額 譲渡所得から最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円)
譲渡の期限 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
制度の適用期限 令和9年12月31日まで
建築時期 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物を除く)
居住の状況 相続開始の直前まで被相続人が一人で居住していたこと
相続後の利用 相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住に供されていないこと
売却代金 1億円以下
必要書類 市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」

家屋付きで譲渡する場合は現行の耐震基準に適合していることが必要ですが、令和6年1月1日以後は、譲渡後に買主が除却工事や耐震改修を行った場合も対象となりました。

なお適用の可否は個別の状況によって判断が分かれます。詳細については、所管する市区町村の窓口や税理士などの専門家への確認をご案内ください。

3年経過は「4回目の年末」まで

期限の数え方には注意が必要です。相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までなので、相続が1月に発生した場合と12月に発生した場合では、実質的な猶予期間が1年近く違います。

いずれにせよ、相続発生から3年から4年で期限が来るということです。この間に売却の判断が必要になります。

期限から逆算すると、接触のタイミングが決まる

売却には、遺産分割の完了、名義の変更、物件の片付け、査定、買主探しといった工程があります。これらに数か月から1年以上かかることも珍しくありません。

期限が3年から4年で、そこから逆算すると、接触に適した時期は相続発生から1年から2年程度と考えられます。それより早ければ遺産分割の最中で、話が進まないどころか反発を招きます。遅ければ、特例を使える時間が残っていません。

ただしこれは目安です。相続人の事情によって、動ける時期は大きく変わります。

相続の発生時期はどう調べるか

接触のタイミングを判断するには、いつ相続が発生したかを知る必要があります。

登記情報から読み取る

登記事項証明書には、所有権の移転登記が行われた時期と原因が記載されます。原因が「相続」であれば、その時期が分かります

所有者事項のみであれば1件140円(登記情報提供サービス)で取得できますが、移転の経緯まで確認するなら全部事項が必要です。件数が多い場合は、まず現地調査で対象を絞ってから取得するほうが効率的です。

相続登記の義務化で読みやすくなる

2024年4月から、相続登記の申請が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

従来は相続登記に期限がなかったため、名義が故人のまま何年も放置される例が珍しくありませんでした。今後は登記の時期と相続の発生時期が近づくため、登記情報から状況を読み取りやすくなります

外観から相続直後かは分からない

正直に書いておくと、外観を見ただけで相続直後かどうかを判断することはできません

庭木の手入れが急に止まった、郵便物が溜まり始めた、表札はそのままだが人の気配がない。こうした状態は手がかりにはなりますが、転居や施設入居でも同じことが起こります。原因までは特定できません。

現地調査で分かるのは「今、使われていない」ということまでです。そこから先は登記情報で確認する工程になります。

築年数が絞り込みの条件になる

3,000万円控除の対象は昭和56年5月31日以前に建築された家屋です。2026年時点で築45年以上にあたります。

これは調査の条件としてそのまま使えます。土地調査では「空き家(戸建て)」を指定したうえで、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる住宅を対象にできます。

ただし外観から築年数を断定することはできません。どの程度の年代を想定するかは、ヒアリングの段階でご相談ください。調査で候補を絞り、登記情報で建築時期を確認するという順序になります。

区分所有建物は対象外

控除の対象は区分所有建物を除いた家屋です。マンションは対象になりません。仕入れの条件としても、戸建てに絞ることになります。

目的によって、見る条件が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取の提案 築年数、所有権移転の時期、建物の状態 戸建てに限定し、築古と判断できる住宅を対象にする
リフォーム・外壁塗装会社 耐震改修・修繕の提案 耐震基準適合の有無、外壁の状態 状態別の記録を依頼する
自治体 制度の周知、実態把握 旧耐震の空き家の分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォーム会社にも関係する

家屋付きで譲渡する場合、現行の耐震基準に適合していることが要件になります。昭和56年5月31日以前の建物であれば、耐震改修が必要になる可能性があります

令和6年からは買主側が譲渡後に工事を行う場合も対象となったため、売主・買主のどちらから依頼が来るかは状況によります。いずれにせよ、旧耐震の空き家は工事の発生源になりうるということです。

築古の戸建てに絞ったリスト、お出しできます。

現地調査で対象を確定し、登記情報の取得からDM発送まで一括で対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

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接触するときに気をつけること

相続空き家へのアプローチは、他の物件とは前提が違います。相手にとって、その家は亡くなった家族の家です

避けたいこと 理由
期限を強調して急かす 判断を迫られていると受け取られる
制度を不正確に説明する 適用の可否は個別の要件で決まる。断定できない
遺産分割の状況を詮索する 親族間の事情に踏み込むことになる
金額を先に提示する 現地や権利関係を確認せずに出した数字は根拠がない
短期間に何度も送る 受け取る側には重なって見える

伝えるべきは、そういう制度があるという事実と、詳しくは市区町村の窓口や税理士に確認してほしいという案内です。控除の適用には市区町村が発行する確認書が必要になるため、この案内自体が実用的な情報になります。

連絡先は登記情報から

相続人が物件から離れて住んでいることは少なくありません。登記情報に記載された住所へDMを送るのが現実的な手段になります。

ただし登記簿の住所は登記した時点のものです。相続登記が済んでいれば新しい住所ですが、済んでいなければ故人の住所のままです。一定の返送は避けられないと考えておいてください。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含む金額です。所有者の居住地が県外であっても対応します。

そのままDMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくこともできます。相続空き家は所有者が遠方にいることが多いため、この流れが有効です。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか、どの程度の築年数を想定するかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。造成年代のそろった住宅地を指定した範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。居住中の住宅を除く工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、登記情報から所有者事項を取得します。所有権移転の経緯まで確認する場合は全部事項での取得となります。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

相続空き家に取り組むときの注意点

よくあるつまずき

  • 外観だけで相続直後と判断する/転居や施設入居でも同じ状態になります。登記情報で確認してください
  • 期限を煽り文句に使う/急かされると相手は身構えます。制度の説明にとどめてください
  • 制度の適用を断定する/要件は複数あり、個別に判断されます。専門家への確認を案内してください
  • マンションを対象に含める/区分所有建物は控除の対象外です。戸建てに絞ってください
  • 相続登記が済んでいる前提で計画する/未登記なら名義は故人のままで、DMが届かないことがあります

よくあるご質問

相続が発生した物件だけを調査してもらえますか?

現地調査では、外観から相続の有無を判断することはできません。空き家であることを確認したうえで、登記情報から所有権移転の経緯を確認する流れになります。調査で候補を絞り、登記で確認するという順序をおすすめしています。

築年数を条件にした調査はできますか?

外観から築年数そのものを断定することはできませんが、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる住宅を対象として調査・報告します。どの程度の年代を想定するかはヒアリング時にお伺いします。

登記情報の取得まで頼めますか?

できます。調査で特定した地番をもとに所有者事項を取得します。1件750円(税別)で、地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含みます。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

できます。登記情報に記載された住所をそのまま取得するため、居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

建物の状態も記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で記録します。耐震改修や解体が必要になりそうな物件を、あらかじめ分けて扱えるようになります。

まとめ

世帯が所有する空き家の61.6%は相続・贈与によるものです。そして相続空き家には期限があります。3,000万円特別控除の要件は、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡。制度そのものの適用期限も令和9年12月31日までです。

売却には遺産分割から名義変更、片付け、査定と工程があります。期限から逆算すると、接触に適した時期は相続発生から1年から2年程度。早すぎれば反発され、遅すぎれば相手にとっての利点が消えます。

ただし外観から相続直後かは分かりません。庭木が伸び始めた、郵便物が溜まっている。こうした状態は転居や施設入居でも起こります。現地調査で「使われていない住宅」を確定し、登記情報で経緯を確認する。この2段階が必要です。

対象は昭和56年5月31日以前の戸建て。築年数と建て方という2つの条件は、調査の指定にそのまま使えます。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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