なぜ所有者は空き家を手放さないのか|国の実態調査から読む

なぜ所有者は空き家を手放さないのか|国の実態調査から読む

空き家の所有者にDMを送っても、反応が返ってこない。この状態が続くと「需要がないのでは」と考えたくなります。

国土交通省が2025年8月に公表した「令和6年空き家所有者実態調査」を見ると、実態が見えてきます。使用目的のない空き家について、今後の利用意向で最も多いのは「空き家として所有しておく」で40.6%。除却する19.2%、売却する18.3%を大きく上回ります。

つまり4割は、手放す意思がありません。一方で、除却または売却の意向がある層も4割弱います。この記事では、所有者の意向をデータから整理し、どこに向けて提案すべきかを考えます。

この記事の結論

  • 使用目的のない空き家の40.6%が「所有しておく」意向。除却19.2%、売却18.3%
  • 空き家の約6割が相続によるもの。うち約6割は所有者の死亡が契機
  • 相続空き家の7割超が1980年以前の建築
  • 相続前に対策をしていない空き家は、した空き家より放置される割合が約1.5倍
  • 直近1年で14.8%が空き家でなくなった。動く層は確実に存在する

所有者の意向は4つに分かれる

使用目的のない空き家について、今後の利用意向は次のとおりです。

順位 意向 割合
1位 空き家として所有しておく(物置含む) 40.6%
2位 除却する 19.2%
3位 売却する 18.3%

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査 結果のポイント」(2025年8月29日公表)。

除却19.2%と売却18.3%を合わせると37.5%。4割弱には手放す意向があります。

種類によって意向がまったく違う

同じ空き家でも、種類が変われば意向は逆転します。

空き家の種類 意向の1位 割合
使用目的のない空き家 空き家として所有しておく 40.6%
売却用の空き家 売却する 70.4%
貸家用の空き家 賃貸する 34.6%
二次的住宅・別荘用 別荘やセカンドハウスとして利用 47.2%

売却用の空き家は70.4%が売却の意向を持っています。当然といえば当然ですが、この層はすでに市場に出ているため、競合も多くなります。

一方、使用目的のない空き家は40.6%が保有継続。ここが最も母数が大きく、かつ最も動きにくい層です

4割が「動かない」を、どう読むか

40.6%が保有を続ける意向だということは、裏を返せば6割は別の意向を持っているということです。

そして実際に動いています。直近1年間で、使用目的のない空き家の14.8%が空き家でなくなりました。理由の1位は除却22.7%、2位は貸した15.5%と所有者や親族が居住した15.5%です。

1年で15%が動くということは、接触のタイミングが合えば話が進む層が一定数いるということです。1回の反応率が低くても、打ち切らないほうがよい理由がここにあります。

相続が空き家を生んでいる

空き家の取得方法を見ると、構造がはっきりします。

取得方法 割合
相続 57.9%
新築・建て替え 17.1%
既存住宅を購入 14.2%
新築住宅を購入 4.6%
贈与 2.3%

約6割が相続によるものです。自分で買った家ではなく、引き継いだ家だということになります。

空き家になった原因

原因 割合
死亡 58.3%
転居 26.9%
老人ホームなどの施設へ入居 11.3%

約6割は所有者の死亡が契機です。施設入居の11.3%を加えれば、約7割が高齢期の変化によって空き家になっています。

相続空き家は古い

相続された空き家の建築時期は、次のとおりです。

建築時期 割合
1950年以前 20.4%
1951〜1970年 26.4%
1971〜1980年 26.4%
1981〜2000年 17.5%
2001年以降 4.5%

7割超が1980年以前の建築です。相続空き家の3,000万円特別控除の対象が「昭和56年5月31日以前に建築された家屋」であることを考えると、相当数が要件に該当する可能性があります。

7割超に腐朽・破損がある

相続空き家の状態を見ると、次のようになっています。

状態 割合
室内外に部分的な腐朽・破損あり 47.1%
構造上の不具合あり 21.2%
室内外に全体的な腐朽・破損あり 3.5%
構造上の不具合や腐朽・破損なし 28.2%

何らかの腐朽・破損があるのは7割超です。逆にいえば、28.2%は不具合がありません。この層は改修・活用の対象になりえます。

ただしこれは所有者の自己申告による回答です。実際の状態は現地で確認するしかありません。所有者が遠方にいれば、現況を把握していないこともあります。

相続前の対策が結果を変えている

今回の調査で新たに加わったのが、相続前の対策に関する項目です。

相続前の対策 割合
対策あり 23.0%
対策なし 77.0%

対策の内容は、被相続人との話し合いが16.7%で最多。次いでその他の対策4.3%、遺言の作成支援1.8%、後見制度や家族信託の活用1.3%です。

差は約1.5倍

相続前の対策の有無で、その後の状況が変わっています。

相続前の対策 空き家のまま所有
対策なし 45.1%
対策あり 29.4%

対策をしていない空き家は、した空き家と比べて放置される割合が約1.5倍です

国土交通省の資料では、この「空き家のまま所有」を建物の活用(売却・賃貸・居住等)や解体意向なく、空き家として所有していた割合と定義しています。

実務的な意味は明確です。相続前に話し合いがあった家は、相続後も動きやすい。逆に何の準備もなく相続された家は、そのまま止まる可能性が高くなります。

提案をどこに向けるか

データを踏まえると、対象は次のように整理できます。

規模の目安 提案の方向
除却の意向がある 19.2% 解体、解体後の土地活用
売却の意向がある 18.3% 買取、仲介
保有を続ける意向 40.6% 管理サービス、将来に向けた関係づくり

保有を続ける層を「見込みなし」と切ってしまうのは早計です。空き家管理サービスの顧客はこの層ですし、数年後に状況が変われば売却や解体を検討することもあります。

1年で15%が動いている

直近1年間で、使用目的のない空き家の14.8%が空き家でなくなりました。解消の理由は次のとおりです。

順位 理由 割合
1位 除却した 22.7%
2位 貸した 15.5%
2位 所有者や親族が居住した 15.5%

意向調査で「所有しておく」と答えた人も、状況が変われば動きます。だからこそ、1回の接触で結論が出なくても記録を残しておく意味があります。

状態別に分類したリストをお出しします。

解体前提の物件と、まだ使える物件を分けて扱えます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

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目的によって、狙う層が変わる

立場 狙う層 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却の意向がある層 戸建てに限定し、状態の良い物件を区別する
解体会社 除却の意向がある層 腐朽・破損の程度を記録項目に含める
空き家管理会社 保有を続ける層 管理されていない、かつ傷みが軽微な物件
士業 相続前の対策をしていない層 戸建てに限定し、地番を含むリストを依頼する

意向は外からは分からない

所有者がどの意向を持っているかは、外観からは判断できません。傷んでいるから除却の意向がある、とは限りません。

現地調査で分かるのは、使われていない住宅がどこにあるか、どういう状態かまでです。意向は接触して確かめる工程になります。

ただし状態が分かっていれば、どの提案から入るかは決められます。腐朽・破損が進んだ物件なら解体を含む話から、状態が良ければ売却や賃貸の話から。この判断が事前にできます。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

調査では、建物の状態を記録項目に含めることができます。屋根や外壁の劣化、破損の程度といった項目に分けることも、段階に分けて分類することも可能です。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、記録する状態の区分を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。所有者の自己申告ではない、実際の状態を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

接触するときの注意点

よくあるつまずき

  • 1回の反応率で見込みを判断する/1年で14.8%が動いています。時間差で動く層がいます
  • 保有継続の層を切り捨てる/管理サービスの顧客であり、将来の仕入れ先でもあります
  • 傷んでいるから解体意向があると考える/意向は外観からは分かりません
  • 売却用の空き家ばかり狙う/70.4%が売却意向ですが、すでに市場に出ており競合も多くなります
  • 所有者の自己申告を実態と考える/遠方にいれば現況を把握していないことがあります

よくあるご質問

所有者の意向は調査で分かりますか?

分かりません。外観から確認できるのは、使われていない住宅がどこにあるか、どういう状態かまでです。意向は接触して確かめる工程になります。ただし状態が分かっていれば、どの提案から入るかを事前に決められます。

状態の良い空き家だけを抽出できますか?

できます。建物の状態を記録項目に含めていただければ、劣化の程度で分類したリストを納品します。売却や賃貸の提案先と、解体前提の物件を分けて扱えるようになります。

相続された空き家だけを調べられますか?

外観から相続の有無は判断できません。現地調査で使われていない住宅を確定し、登記情報から所有権移転の経緯を確認する流れになります。

築年数を条件にできますか?

外観から築年数そのものを断定することはできませんが、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる住宅を対象として調査・報告します。どの程度の年代を想定するかはヒアリング時にお伺いします。

何度も接触してよいものでしょうか?

短期間に繰り返すのは避けたほうがよいものの、一定期間をおいての再接触には意味があります。1年で14.8%が空き家でなくなっているように、状況は変わります。発送数・返送数・反応数を記録しておけば、次回の判断材料になります。

まとめ

使用目的のない空き家について、40.6%の所有者が「空き家として所有しておく」意向を持っています。除却19.2%、売却18.3%を大きく上回る数字です。

ただし裏を返せば、4割弱には手放す意向があります。そして実際に動いている。直近1年間で14.8%が空き家でなくなり、理由の1位は除却、2位は賃貸と親族の居住でした。

構造としては、空き家の約6割が相続によるもので、そのうち約6割は所有者の死亡が契機。相続空き家の7割超が1980年以前の建築で、7割超に腐朽・破損があります。

興味深いのは、相続前に対策をしていない空き家は、した空き家より放置される割合が約1.5倍という点です。準備なく相続された家ほど、そのまま止まりやすい。

そして意向は外からは分かりません。現地で分かるのは、どこにどういう状態の空き家があるかまで。ただしそれが分かっていれば、どの提案から入るかは決められます。

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