再建築不可の空き家をどう扱うか|接道の条件を現地で確認する

再建築不可の空き家をどう扱うか|接道の条件を現地で確認する

安く手に入りそうな空き家を見つけて調べてみたら、再建築不可だった。仕入れの現場では珍しくない話です。

建築基準法では、建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないとされています。これを満たさない敷地では、原則として建替えができません。

そしてこの条件は、空き家に偏って現れます。京都市の資料は「接道している道の幅員が狭いほど空き家率が高い傾向にある」と明記しており、神戸市でも放置型の36%が幅員4メートル未満の道路にしか接していません。この記事では、接道の条件をどう扱うかを整理します。

この記事の結論

  • 建築基準法上、敷地は道路に2メートル以上接する必要があるとされている
  • 幅員4メートル未満でも2項道路ならセットバックで建替えできる場合がある
  • 例外的な認定・許可の制度もあるが、判断は特定行政庁が行う
  • 接道は統計にも登記にも記載されない。現地でしか分からない
  • 空家等活用促進区域では規制が合理化される可能性がある

接道義務とは

建築基準法では、建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないとされています。ここでいう道路は、原則として幅員4メートル以上のものです。

条件 内容
道路の幅員 原則として4メートル以上
接する長さ 2メートル以上

これを満たさない敷地では、原則として建替えができません。既存の建物を使い続けることはできますが、取り壊して新しく建てることは認められないという状態です。

なぜこうした敷地があるのか

建築基準法が定められる前から建物が建っていた地域では、現在の基準を満たさない敷地が残っています。旧市街地や、古くからの住宅地に多く見られます

大阪市の長屋建や、京都市の細街路に面した住宅は、この典型です。建物が建った当時は問題がなく、後から基準ができたという経緯です。

「幅員4メートル未満=再建築不可」ではない

ここは誤解されやすい部分です。幅員4メートル未満でも、建替えができる場合があります

建築基準法には2項道路(みなし道路)という区分があります。基準法が適用された時点ですでに建物が建ち並んでいた幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が指定したものです。

2項道路であれば、道路の中心線から2メートル後退した線を道路の境界とみなすことで、建替えが可能になります。これがセットバックです。

つまり幅員だけを見て判断はできません。その道が2項道路として指定されているかどうかが分かれ目になります。

例外的な認定・許可もある

接道義務を満たさない敷地でも、建築が認められる場合があります。

制度 概要
認定 敷地が農道等に2メートル以上接する建築物のうち、特定行政庁が認めるもの
許可 敷地の周囲に広い空地を有する建築物等で、特定行政庁が交通・安全・防火・衛生上支障がないと認めて許可したもの

いずれも特定行政庁の判断によります。基準は自治体ごとに定められており、事前の相談が必要です。

また、2023年12月施行の改正空家法で創設された空家等活用促進区域では、区域内で接道規制を合理化できるとされています。安全確保等を前提とした要件を満たせば、建替えが可能になる場合があります

制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、特定行政庁や専門家への確認をご案内ください

接道は現地でしか分からない

実務上の問題は、接道の状況がどこにも記載されていないことです。

情報源 接道について分かるか
住宅・土地統計調査 市区町村単位の集計のみ。個別の建物は分からない
登記情報 記載されない
地図データ 道路の存在は分かるが、正確な幅員は分からない
航空写真 俯瞰では幅を測れない
現地調査 おおよその状況を確認できる

正確な幅員や道路の種別を確定するには、役所での調査が必要です。ただし、その手前で候補を絞る段階では現地調査が使えます。

現地で確認できること

確認できること 確認できないこと
前面道路がおおよそ何メートルか 正確な幅員
車両が進入できるか 2項道路かどうかの種別
接する道路の数 セットバックの要否
玄関までの階段の有無 認定・許可の可否
隣地との位置関係 敷地の正確な形状

「明らかに狭い」「車が入れない」という判断はできます。これだけでも、訪問の優先順位づけには十分です。

そのうえで、有望な物件について役所で道路種別を確認する。この順序であれば、無駄な調査を減らせます

接道が悪い物件をどう扱うか

再建築不可、あるいはその可能性がある物件は、対象から外すべきでしょうか。

目的 扱い
買取再販(そのまま流通) 売却価格に影響。慎重な判断が必要
用地としての取得 建替えができなければ成立しにくい
解体工事 重機が入らず工法が変わる。費用に反映
リフォーム・改修 既存建物の改修であれば実施できる場合がある
空き家管理 接道の影響はほとんどない

目的によって、影響の大きさが変わります。用地取得では致命的でも、管理サービスにはほとんど関係ありません。

改修という選択肢は残る

建替えができなくても、既存の建物を改修して使うことはできる場合があります。工事の内容によって扱いが変わるため、事前の確認が必要です。

相続空き家の3,000万円特別控除でも、令和6年1月1日以後は譲渡後に買主が除却工事や耐震改修を行った場合も対象となりました。買取再販の観点では、この改正の影響があります。

隣接地との一体化

接道が悪い敷地でも、隣接する土地と合わせれば条件を満たす場合があります

隣が空き地であれば、両方を取得して一体で扱う。この可能性は、複数の調査項目を同じ地図に落として初めて見えます

「空き家(戸建て)」と「空き地」を同時に指定すれば、項目ごとに色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。

接道の状況まで記録できます。

役所で調べる前に、現地で候補を絞り込めます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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安い物件ほど条件が悪い可能性がある

データを見ると、接道の悪さと空き家は重なりやすいことが分かります。

データ
京都市 接道の幅員が狭いほど空き家率が高い傾向にあると資料に明記
神戸市 放置型の36%が幅員4メートル未満の道路のみに接道

神戸市の資料では、賃貸用の空き家は28%、売却用も28%。放置型だけが36%と高くなっています

建替えができず、車も入らない。だから流通に乗らず、放置されたまま残る。この構図が数字に表れています。

安く手に入りそうな物件ほど、接道が悪い可能性があります。価格だけを見て判断しないでください。

目的によって、見る条件が変わる

立場 接道の重要度 調査で指定するとよい条件
不動産会社(仕入れ) 高い。売却価格に直結する 接道の状況を記録項目に含める
不動産会社(用地) 最も高い。成否を左右する 接道+隣接する空き地も同時に指定
解体会社 高い。工法と費用が変わる 接道+隣家との距離
リフォーム・改修会社 中程度。工事車両の進入に影響 接道+建物の状態
自治体 高い。活用促進区域の検討に関わる 接道+建物・敷地の状態

自治体は活用促進区域の検討に使う

空家等活用促進区域を定めれば、接道規制を合理化できるとされています。ただしその効果は、区域内に接道の悪い物件がどれだけあるかによって変わります。

接道の状況を把握していなければ、区域を定める効果も見積もれません。実態調査の段階で記録しておく意味があります。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

接道の状況は、記録項目としてご指定いただけます。ただし記録できるのは外観から確認できる範囲です。正確な幅員の測定や、道路種別の確認は行いません。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、接道の記録方法を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。旧市街地や細街路の多い地区に絞った範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。前面道路の状況もこの工程で確認します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

接道を扱うときの注意点

よくあるつまずき

  • 幅員4メートル未満=再建築不可と考える/2項道路であればセットバックで建替えできる場合があります
  • 現地調査で道路種別が分かると期待する/種別の確認は役所で行う必要があります
  • 価格の安さだけで判断する/安い物件ほど接道が悪い可能性があります
  • 「建替えできます」「できません」と断定する/判断は特定行政庁が行います
  • 隣接地を見ない/一体化すれば条件を満たす場合があります

よくあるご質問

接道の状況も記録してもらえますか?

ご相談ください。外観から確認できる範囲で、前面道路の状況を記録項目に組み込めます。ただし正確な幅員の測定や道路種別の確認は行いません。役所での調査の手前で候補を絞る用途としてご活用ください。

再建築不可かどうか判定してもらえますか?

判定はできません。接道義務を満たすかどうか、2項道路に該当するかどうかは、特定行政庁の判断や役所での調査が必要です。現地調査でお伝えできるのは、外観から見た道路の状況までです。

車が入れるかどうかは分かりますか?

外観から確認できる範囲でお伝えできます。解体工事や改修工事で車両の進入可否が問題になる場合、判断の材料としてご活用いただけます。

隣接する空き地も同時に調べられますか?

できます。「空き地(更地)」を同時に指定していただければ、空き家と周辺の土地を同じ地図に色分けして納品します。一体での取得を検討する際の材料になります。

細街路の多い地区を指定できますか?

できます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。旧市街地など、接道条件の厳しい物件が多いと想定される地区に絞ることも可能です。

まとめ

建築基準法上、敷地は道路に2メートル以上接する必要があるとされています。これを満たさなければ、原則として建替えができません。

ただし幅員4メートル未満=再建築不可ではありません。2項道路であればセットバックによって建替えできる場合がありますし、例外的な認定・許可の制度もあります。空家等活用促進区域を定めた自治体では、規制が合理化される可能性もあります。

問題は、接道の状況がどこにも記載されていないことです。統計にも登記情報にもありません。地図でも航空写真でも、正確な幅は測れません。

現地調査で分かるのは「明らかに狭い」「車が入れない」という水準までですが、訪問の優先順位づけには十分です。有望な物件について役所で道路種別を確認する。この順序なら、無駄な調査を減らせます。

そして安く手に入りそうな物件ほど、接道が悪い可能性があります。神戸市では放置型の36%が幅員4メートル未満。建替えができず流通に乗らないから、放置されたまま残る。価格だけを見て判断しないでください。

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