空き家が集中する場所の特徴|範囲を絞るときに見る4つの条件

空き家が集中する場所の特徴|範囲を絞るときに見る4つの条件

空き家は、地域内に均等に散らばっているわけではありません。集まっている場所と、ほとんどない場所があります

同じ市内でも差は大きく、広島市では中区14.6%に対し安佐南区7.4%。大阪市では西成区25.9%に対し北区11.1%。2倍以上の開きがあります

ではどこに集まるのか。いくつかの条件が重なった場所に偏る傾向があります。この記事では、範囲を絞るときに見るべき条件を整理します。

この記事の結論

  • 見るべき条件は造成年代・接道・建て方・地形の4つ
  • 造成年代がそろった住宅団地は一斉に築古になる
  • 京都市の資料は接道が狭いほど空き家率が高いと明記している
  • 建て方の構成で戸建て戦略が成立するかが決まる
  • 地形の影響は現地で確かめるしかない

①造成年代がそろっている

同じ時期に一斉に開発された住宅地では、住宅の築年数も、入居した世帯の年齢層もそろいます

結果として、数十年後に同じ時期を迎えます。建物が築古になり、世帯の構成が変わる。この変化が地区全体で同時に起きます

該当しやすい場所 特徴
住宅団地 造成年代と建物の仕様がそろっている
区画整理が行われた地区 区画の大きさと道路の形が均一
旧市街地 建築基準法以前からの建物が残る

地図と航空写真で見当がつく

造成年代のそろった地区は、上から見れば分かります。区画の大きさが均一で、道路の形が規則的。建物の配置も似ています。

航空写真や地図サービスで、この特徴を持つ地区を探す。ここまでは現地に行かずにできます

費用は面積に対する従量制なので、この段階で範囲を絞れば費用は下がります

建物の状態も似る

造成年代がそろっているということは、建物の劣化の進み方も似るということです。

屋根や外壁の塗り替え周期は10〜15年とされます。同じ時期に建てられた住宅なら、手を入れるべき時期も重なります。

これはリフォーム・外壁塗装にとって有利な条件です。1軒に提案が通れば、周辺の住宅も同じ状態にある可能性が高くなります

一方で、すでに施工が進んでいる地区では未施工層が薄くなっています。自社の施工実績を地図に落としておけば、どの地区が残っているかが分かります

②接道が狭い

これは公的な資料でも確認できる条件です。

京都市の資料は、接道している道の幅員が狭いほど空き家率が高い傾向にあることが実際のデータで確認できるとしています。

神戸市でも、空き家の種類別に道路状況が集計されています。

空き家の種類 幅員4メートル未満の道路のみ
放置型 36%
売却用 28%
賃貸用 28%

放置型だけが高くなっています。建替えができず車も入らないため流通に乗らず、そのまま残る。この構図が数字に表れています。

細街路の多い地区を探す

旧市街地や、古くからの住宅地には細街路が残っています。建築基準法が定められる前から建物が建っていた地域です。

大阪市の長屋建(生野区6.5%、西成区5.8%)や、京都市の細街路沿いの住宅は、この典型にあたります。

ただし地図や航空写真では正確な幅員は分かりません。俯瞰では測れず、電柱や擁壁の有無も判断できません。現地で確認するしかない条件です

③建て方の構成

その地区が戸建て中心か、共同住宅中心か。これによって、拾えるものが変わります

都市 建て方の差
大阪市 一戸建の割合が生野区45.0%、浪速区3.7%
広島市 中区は空き家の82.3%が賃貸用の共同住宅、安佐北区は48.2%が放置型の戸建て
全国 共同住宅の割合が東京都71.6%、一戸建の割合が秋田県79.4%

共同住宅が9割を超える地区では、戸建ての調査はほぼ成立しません。逆に一戸建が中心の地区では、条件指定の意味が小さくなります。

目的によって選ぶ地区が逆になる

目的 選ぶべき地区
戸建ての仕入れ 一戸建の比率が高い地区
一棟買取・管理受託 共同住宅が集積する地区
リフォーム・外壁塗装 持ち家の戸建てが残る地区

同じ市内でも、目的が違えば選ぶ地区が正反対になります

④地形

坂の多い地区、高低差のある造成地。こうした場所では、住み続ける負担が大きくなります

ただしこの点について、全国的な統計データはありません。地形と空き家率の関係を示す公的な集計は見当たりません。

したがって仮説として持っておき、現地で確かめるのが現実的です。丘陵地に造成された住宅団地であれば、地図の等高線からある程度の見当はつきます。

玄関までの階段も確認できる

現地調査では、道路から玄関までの階段の有無や段数も記録できます。高低差のある造成地では、この条件が住み続けやすさに影響します。

また車が敷地内に入れるかどうかも、実務上の判断材料になります。解体工事では工法が変わり、売却では条件に影響します

4つを重ねて見る

それぞれ単独でも判断材料になりますが、重なった場所ほど集中する傾向があります

組み合わせ 想定される状況
造成年代がそろう+戸建て中心 築古の戸建てが面で残る
接道が狭い+旧市街地 建替えが難しく、流通しにくい
高低差がある+造成年代がそろう 住み続ける負担が地区全体で生じる

これらは統計では確認できません。統計で分かるのは市区町村単位の集計までで、町丁目ごとの空き家数は公表されていないためです。

地図で候補を絞り、現地で確かめる。この順序でしか、面としての把握はできません

地図で絞った範囲を、現地で確かめます。

接道や高低差まで記録するため、地図では分からない条件を押さえられます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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統計で当たりをつける手順

4つの条件を見る前に、市区町村を絞る段階があります

段階 使うもの 分かること
1. 都道府県の選定 住宅・土地統計調査 放置型の割合、二次的住宅の混入
2. 市区町村の選定 市区町村別データ、自治体の資料 市町村ごとの空き家率と実数
3. 町丁目の選定 地図・航空写真 造成年代、道路の形、建て方の傾向
4. 対象の確定 現地調査 使用状況、状態、接道、現存の有無

3までで絞り込むほど、4の費用は下がります。費用は面積に対する従量制のためです。

政令市は区で判断する

政令市では、市単位の数字が粗すぎます。空き家率も建て方の構成も、区によってまったく違うためです。

区を選び、さらに町丁目まで下げる。これが基本になります。ただし区別のデータを公表している市は限られるため、公表資料の有無から確認してください。

目的によって、見る条件の優先順位が変わる

立場 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社(仕入れ) 建て方、接道、造成年代 戸建てに限定し、接道と状態を記録
リフォーム・外壁塗装会社 造成年代、持ち家の集積 「古家(居住中)」+外壁・屋根の状態
解体会社 接道、建物の状態 接道と隣家との距離を記録
自治体 4つすべて 町丁目単位で全域を対象にし、状態別に分類

自治体は重点地区の選定に使う

限られた人員と予算で対応するには、優先順位が必要です。4つの条件が重なる地区は、重点的に見る価値があります

また空家等活用促進区域を検討する場合、接道の状況が把握できていなければ効果も見積もれません。区域内で接道規制を合理化できる制度のため、対象となる物件がどれだけあるかが前提になります。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。造成年代のそろった地区に絞り込むほど、費用あたりの成果は上がります。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。接道の状況や高低差は、記録項目としてご指定いただけます

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。面としての分布を見るなら、地図が中心になります

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。範囲の絞り込みからのご相談も承ります。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。造成年代のそろった地区を指定した範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。接道や高低差もこの工程で確認します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

範囲を絞るときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率だけで地区を選ぶ/町丁目単位の空き家率は公表されていません
  • 地図で接道の幅を判断する/俯瞰では正確に測れません。現地で確認してください
  • 建て方の構成を確認しない/共同住宅が9割の地区では戸建て調査は成立しません
  • 地形の影響を断定する/全国的なデータはありません。仮説として現地で確かめてください
  • 市単位で発注する/同じ市内で空き家率が2倍以上違うことがあります

よくあるご質問

造成年代のそろった地区を指定できますか?

できます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。地図や航空写真から候補を絞る段階からのご相談も承ります。

接道の状況も記録してもらえますか?

ご相談ください。外観から確認できる範囲で、前面道路の状況を記録項目に組み込めます。ただし正確な幅員の測定や道路種別の確認は行いません。

高低差や階段の有無も分かりますか?

記録できます。道路から玄関までの階段、車両が敷地内に入れるかといった項目を含めることが可能です。解体工事や売却の条件に関わる部分です。

町丁目ごとの空き家数は公表されていますか?

公表されていません。住宅・土地統計調査で表章されるのは市区および人口1万5千人以上の町村までです。町丁目単位の実数は、現地調査で確認する形になります。

範囲の絞り込みから相談できますか?

できます。目的と対象エリアをお伺いしたうえで、どの範囲を含めるか、どこを外すかをご提案します。処理できる件数をお聞かせいただければ、それに見合う規模で設計します。

まとめ

空き家は均等に散らばっていません。集中する場所には、共通する条件があります

見るべきは4つ。造成年代・接道・建て方・地形です。

造成年代がそろった地区では、建物の築年数も世帯の構成も同時に変化します。接道については、京都市の資料が「幅員が狭いほど空き家率が高い」と明記しており、神戸市でも放置型の36%が幅員4メートル未満でした。建て方の構成は、戸建て戦略が成立するかどうかを決めます。

地形については、全国的なデータがありません。仮説として持っておき、現地で確かめる形になります。

そしてこれらの条件は、統計では確認できません。町丁目ごとの空き家数は公表されていないためです。地図で候補を絞り、現地で確かめる。この順序でしか、面としての把握はできません。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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