農地や山林が付いてくる空き家|調査でわかる範囲と確認の順序

農地や山林が付いてくる空き家|調査でわかる範囲と確認の順序

地方で空き家を仕入れようとすると、建物と敷地だけでは話が終わらないことがあります。所有者が農地や山林も一緒に持っているケースです。

相続で引き継いだ場合、まとめて名義が移っています。所有者にとっては「実家と、その周りの土地」がひとかたまり。家だけ買いたいと言っても、全部引き取ってほしいと返されることがあります

そして農地は、宅地とは扱いが違います。売買にも転用にも許可が必要で、買える人も限られます。この記事では、調査でわかる範囲と、確認すべき順序を整理します。

この記事の結論

  • 地方では空き家に農地や山林が付随することが少なくない
  • 農地の売買・転用には農業委員会等の許可が必要。宅地とは扱いが違う
  • 調査でわかるのは未利用地が隣接しているかまで。地目は分からない
  • 地目は登記情報で確認する。ただし現況と一致しないことがある
  • 県によっては土地を持つ世帯の割合が25.3%にのぼる

土地を持つ世帯は宅地だけではない

住宅・土地統計調査の土地集計では、世帯の土地所有状況が分かります。

項目 全国 鳥取県 福井県
現住居の敷地以外の土地を所有する世帯 11.8% 25.3%(全国1位)
うち宅地などを所有する世帯 8.0% 15.2%(全国2位) 15.5%(全国1位)

全国では、土地を持つ世帯11.8%に対し、宅地を持つ世帯は8.0%です。差の3.8ポイントは、宅地以外の土地を持つ世帯にあたります。

鳥取県では25.3%に対し宅地15.2%で、差は10.1ポイント。4世帯に1世帯が敷地以外の土地を持ち、その相当部分が宅地ではありません

統計上、この差に含まれるのは農地や山林などです。地方ほど、この傾向は強くなります

相続でまとめて引き継がれる

全国で世帯が所有する空き家の61.6%は、相続・贈与によって取得したものです。自分で買った家ではなく、引き継いだ家だということです。

相続では、実家の建物と敷地だけが移るわけではありません。親が持っていた農地や山林も、まとめて名義が移ります

所有者にとっては、これらが一体です。「実家を手放したい」という相談の裏に、農地や山林の処分も含まれていることがあります。

「家だけ」が通らないことがある

買う側からすれば、建物と敷地だけを取得したい場面があります。しかし所有者からすると、残った農地や山林の管理が続くことになります。

草刈りや境界の維持、固定資産税。遠方に住んでいれば、これらはすべて負担です。「全部引き取ってくれるなら」という条件が出てくるのは、この事情によります

この場合、農地を扱えるかどうかが交渉の前提になります。扱えないなら、最初から対象から外す判断も必要です

農地は宅地と扱いが違う

農地には、農地法による制限があります。

行為 必要な手続き
農地のまま売買・貸借する 農業委員会の許可
自ら農地以外に転用する 都道府県知事等の許可
転用目的で売買する 都道府県知事等の許可

市街化区域内の農地については、許可ではなく農業委員会への届出で足りるとされています。地域によって手続きが変わるということです。

なお2023年4月から、農地を取得する際の下限面積要件は廃止されています。ただし許可が不要になったわけではありません

制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。具体的な内容については、所管する農業委員会や専門家への確認をご案内ください

山林は境界が不明なことがある

山林には農地法のような取引制限はありませんが、別の問題があります。境界が不明確なことが多いという点です。

問題 内容
境界が現地で確認できない 杭がない、木が茂って入れない
登記面積と実測が違う 公簿面積が実態と乖離していることがある
隣接所有者が不明 境界確定の協議ができない

これらは測量や境界確定の作業が必要になる領域です。現地調査で分かる範囲を超えています。

調査でわかること・わからないこと

正直に整理しておきます。

わかること わからないこと
空き家に隣接する未利用地の存在 その土地の地目
おおよその規模 正確な面積
使われている様子があるか 農地かどうか
接道の状況 境界の位置
建物との位置関係 所有者が同一かどうか

外観からは、地目まで判断できません。草地に見えても登記上は畑かもしれませんし、逆に宅地の可能性もあります。

調査で得られるのは、「この空き家の周りに、使われていない土地がある」という事実までです。

地目は登記情報で確認する

地目は登記情報に記載されています。調査で地番を特定すれば、そこから確認できます。

ただし登記上の地目と現況が一致しないことがあります。何十年も前に登記されたまま、実際の利用が変わっているケースです。

農地法上の農地かどうかは、登記地目ではなく現況で判断されるとされています。登記が「畑」でも実際に耕作されていなければ扱いが変わる可能性があり、逆もありえます。

判断が必要な場面では、農業委員会への確認が確実です

どう進めるか

実務的な順序は次のようになります。

段階 やること 使う手段
1 空き家と、隣接する未利用地の存在を把握する 現地調査
2 地番を割り出す 現地調査
3 地目と所有者を確認する 登記情報
4 農地であれば手続きを確認する 農業委員会
5 所有者に接触する DM等

1と2は現地調査でしかできません。統計では市区町村単位の集計までしか分からず、どの空き家にどんな土地が隣接しているかは示されないためです。

空き地も同時に調査する

「空き家(戸建て)」と「空き地」を同時に指定すれば、建物とその周辺の土地を同じ地図に落とせます。項目ごとに色分けされるため、位置関係が一目で分かります。

調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。同じ範囲を歩くのであれば、複数を同時に指定したほうが面積あたりの成果は上がります

空き家と周辺の土地を、同じ地図に落とせます。

地番の割り出しまで行うため、そのまま地目と所有者の確認に進めます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

目的によって、扱いが変わる

立場 農地・山林の扱い 判断のポイント
不動産会社(仕入れ) 扱えるかどうかで対象が変わる 農地を扱う体制があるか
不動産会社(用地) 転用の可否が前提になる 市街化区域か調整区域か
リフォーム・外壁塗装会社 ほぼ影響しない 対象は居住中の住宅
自治体 耕作放棄地の把握と連動する 空き家対策と農地対策の連携

扱えないなら最初から外す

農地を扱う体制がなければ、付随する土地がある物件は最初から対象から外すという判断もあります

交渉が進んでから「農地は引き取れません」となれば、そこまでの時間が無駄になります。調査の段階で隣接地の有無が分かっていれば、優先順位を先につけられます

自治体は農地対策と連動する

自治体の場合、空き家対策と農地の管理は別の部署が担当していることが多いと思います。ただし現地では一体です

空き家の実態調査で隣接地の状況も記録しておけば、耕作放棄地の把握にも使えるデータになります。調査は町丁目単位で実施でき、状態別の分類にも対応します。

所有者への接触

空き家の所有者は、その建物に住んでいません。訪問しても会えないのが前提です。

登記情報から取得できるのは氏名と住所で、電話番号は含まれません。公開情報だけで接触するなら、郵送が実質的な手段になります。

弊社では、調査で特定した地番をもとに登記情報を1件750円(税別)で取得し、そのままDMの印刷・封入・発送まで1通180円(税別)で代行できます。

所有者は近くにいることが多い

土地の所有については、接触しやすい条件があります。住宅・土地統計調査によると、世帯が現住居の敷地以外に持っている土地のうち、同じ市区町村内にあるものは全国平均で70.9%です。

県によっては福井県87.1%、鳥取県86.4%とさらに高くなります。農地や山林を持つ世帯は、その地域に住み続けていることが多いという傾向です。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。農地や山林が広がる地域では、住宅が集まっている集落単位で範囲を切るほうが費用対効果が上がります。

なお測量や境界確定には対応していません。土地家屋調査士等の専門家へのご依頼となります。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか、隣接地も対象に含めるかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。集落単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。隣接する未利用地の有無もこの工程で記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。地目もあわせて確認できます。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 外観から地目を判断する/草地に見えても登記上は畑のことがあります。登記情報で確認してください
  • 登記地目を現況と同じだと考える/農地法上の判断は現況によるとされています
  • 農地を扱えないまま交渉を進める/後から引き取れないとなれば、それまでの時間が無駄になります
  • 山林の面積を公簿で確定する/実測と乖離していることがあります
  • 建物だけを見て範囲を決める/隣接地の有無が交渉の前提になることがあります

よくあるご質問

隣接する土地も調査してもらえますか?

できます。「空き地(更地)」を同時に指定していただければ、空き家と周辺の土地を同じ地図に色分けして納品します。位置関係が一目で分かる形になります。

その土地が農地かどうか分かりますか?

外観からは判断できません。地番を割り出して登記情報を確認する形になります。ただし登記上の地目と現況が一致しないことがあるため、確実な判断は農業委員会へのご確認をおすすめします。

正確な面積は分かりますか?

外観からはおおよその目安までです。登記情報で公簿面積を確認できますが、実測と乖離していることがあります。正確な面積が必要な場合は測量が必要です。

境界の確認までお願いできますか?

対応していません。測量や境界確定は土地家屋調査士等の専門家へのご依頼となります。弊社では外観から確認できる範囲の記録までを提供しています。

集落単位でも依頼できますか?

できます。町丁目や字の単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。農地や山林が広がる地域では、住宅が集まっている範囲で切るほうが費用対効果が上がります。

まとめ

地方の空き家には、農地や山林が付随することが少なくありません。相続でまとめて引き継がれているためです。全国で土地を持つ世帯11.8%に対し宅地を持つ世帯は8.0%。鳥取県では25.3%と15.2%で、差は10.1ポイントあります。

所有者にとっては、これらが一体です。「実家を手放したい」という相談の裏に、農地や山林の処分も含まれていることがあります

そして農地は宅地とは扱いが違います。売買にも転用にも許可が必要で、買える人も限られる。扱う体制がなければ、最初から対象から外す判断も必要です

調査でわかるのは、「この空き家の周りに使われていない土地がある」という事実まで。地目は登記情報で確認し、農地かどうかの判断は農業委員会へ。この順序であれば、交渉が進んでから引き返す事態を避けられます。

関連記事

まず1地区から、現地データをお出しします。

不動産の仕入れ、用地の確保、自治体の実態把握、それぞれに合わせた調査項目をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

無料見積り相談はこちら

反響を生む配布設計をプロがご提案します

反響を生む配布設計

プロがご提案します

お気軽にご相談ください

お気軽にどうぞ 無料見積もり相談