二次的住宅が空き家統計をゆがめる|別荘を引き算する読み方

二次的住宅が空き家統計をゆがめる|別荘を引き算する読み方

住宅・土地統計調査では、普段人が住んでいない住宅をすべて空き家として数えます。別荘も、セカンドハウスも、統計上は空き家です

これが「二次的住宅」という区分です。全国では38万3,500戸、総住宅数の0.6%にすぎません。全国の数字を見ている限り、無視できる規模です

ところが県別に見ると、話が変わります。長野県では総住宅数の5.4%、空き家の26.9%を二次的住宅が占めます。空き家の4戸に1戸が別荘という状態です。この記事では、二次的住宅が統計をどうゆがめるのか、どう引き算するのかを整理します。

この記事の結論

  • 二次的住宅は全国で38万3,500戸、総住宅数の0.6%。全国値では影響が小さい
  • 県別では長野5.4%、山梨4.0%と大きな差がある
  • 引き算すると順位が入れ替わる。長野は6位から27位へ21位下落
  • 逆に順位が上がる県もある。高知は5位から3位へ
  • 調査では範囲の設定段階で別荘地を外すか、戸建てに限定する

二次的住宅とは何か

住宅・土地統計調査では、空き家を4つに区分しています。

区分 内容 全国の戸数
賃貸用の住宅 新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっているもの 443万5,800戸
売却用の住宅 新築・中古を問わず、売却のために空き家になっているもの 32万6,300戸
二次的住宅 別荘、たまに寝泊まりする人がいる住宅 38万3,500戸
その他の住宅 上記以外。転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅など 385万6,000戸

合計900万1,600戸が全国の空き家です。二次的住宅はそのうち4.3%にあたります

「たまに寝泊まりする住宅」も含まれる

二次的住宅には、別荘のほかに「たまに寝泊まりする人がいる住宅」も含まれます。ふだんは住んでいないが、残業で遅くなったときに寝泊まりする、といった使われ方をしている住宅です。

つまり必ずしもリゾート地の別荘だけではありません。都市部にも一定数存在します

県によって影響が大きく違う

全国では0.6%にすぎませんが、県別に見ると差が出ます。

総住宅数に占める割合 特徴
長野県 5.4% 全国最多。空き家の26.9%を占める
山梨県 4.0% 5年間で600戸増加
静岡県 2.2%
栃木県 1.9% 空き家の増加分3,000戸のうち2,600戸が二次的住宅
群馬県 1.7% 5年間で1,200戸増加
全国平均 0.6%
山口県 0.4% ほとんど存在しない
佐賀県 0.3%

長野県と佐賀県では18倍の差があります。同じ「空き家率」という指標を使っていても、中身の意味がまったく違うということです。

引き算すると順位が入れ替わる

二次的住宅を除いて空き家率を計算し直すと、都道府県の順位は大きく動きます。

空き家率(順位) 二次的住宅を除く(順位) 変化
長野県 20.1%(6位) 14.7%(27位) 21位下落
山梨県 20.4%(4位) 16.4%(12位) 8位下落
静岡県 16.7%(15位) 14.5%(28位) 13位下落
高知県 20.3%(5位) 19.6%(3位) 2位上昇
山口県 19.4%(8位) 19.0%(6位) 2位上昇

引き算をしても順位が落ちない県こそ、実質的な空き家が厚い県です。空き家率のランキングだけを見ていると、この違いが見えません。

増減の読み方も変わる

影響は順位だけではありません。増減の内訳を見誤ることがあります

栃木県の例

栃木県の空き家は5年間で3,000戸増えました。ところが内訳を見ると、そのうち2,600戸が二次的住宅です。

二次的住宅を除いた空き家は14万4,400戸から14万4,800戸へ、400戸の増加にとどまります。実質的にはほぼ横ばいです。

「空き家が3,000戸増えた」という数字だけを見て調査対象が増えたと判断すると、実態とずれます。

山梨県の例

逆のパターンもあります。山梨県では空き家が2,800戸減りました。ところが二次的住宅は1万6,500戸から1万7,100戸へ600戸増えています。

つまり減ったのは別荘以外の空き家で、その減少幅は3,400戸。「別荘が減ったから空き家率が下がった」という推測は、事実と逆です

調査ではどう扱うか

統計の読み方を整えても、実際の調査で別荘を拾ってしまえば同じことです。管理された別荘は、営業の対象になりません

対処 内容
範囲から別荘地を外す 調査範囲の設定段階で除外する
戸建ての空き家に限定する 調査項目の指定で絞る
建物の状態を記録する 管理されている建物を区別できる

最も確実なのは、範囲の設定段階で外すことです。別荘地は特定の地域にまとまっていることが多いため、町丁目単位で範囲を切れば除外できます。

外観からは区別しにくい

正直に書いておくと、外観だけで別荘かどうかを判断するのは容易ではありません。管理された別荘は、庭も建物も手入れされています。普段人が住んでいる住宅と見分けがつきにくい状態です。

逆に、管理されていない別荘は放置型の空き家と区別がつきません。だからこそ、範囲の設定で外すほうが確実です

目的によって、扱いが変わる

立場 二次的住宅の扱い 調査での対応
不動産会社 営業の対象にならない 範囲から別荘地を外す、戸建てに限定する
リフォーム・外壁塗装会社 対象になりうるが優先度は低い 「古家(居住中)」で居住実態のある住宅を狙う
自治体 実態把握では区別が必要 管理状況を記録項目に含める

自治体は区別しておく必要がある

実態調査では、二次的住宅も空き家として数えるかどうかで集計結果が変わります。管理されている別荘と、放置されて危険な状態の建物を同じ「空き家」として扱えば、実態を表さない数字になります

建物の状態や管理状況を記録項目に含めておけば、集計の段階で区別できます。二次的住宅が多い地域では、この区別が計画の精度を左右します

リフォームは別の見方がある

別荘であっても、屋根や外壁の維持管理は必要です。提案先として完全に外れるわけではありません

ただし所有者が遠方にいることが多く、判断にも時間がかかります。優先度としては、居住実態のある築古住宅のほうが高くなります

別荘地を外した調査、承ります。

範囲の設定段階で除外するため、管理された別荘を拾いません。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

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統計を読むときの手順

二次的住宅の影響を踏まえると、統計を読む手順は次のようになります。

段階 見る数字 分かること
1 空き家率 全体の水準。ただし別荘を含む
2 二次的住宅の割合 引き算が必要かどうか
3 二次的住宅を除く空き家率 県をまたいだ比較に使える
4 その他の住宅(放置型)の実数と割合 調査対象になりうる規模

1で止まると判断を誤ります。とくに県をまたいで比較する場合、二次的住宅の割合が違えば同じ空き家率でも意味が変わります。

市区町村単位でも確認する

県の数字で二次的住宅が少なくても、県内の特定の市町村に集中していることがあります。高原地帯、温泉地、海沿いのリゾート地など。

市区町村別のデータは総務省統計局および自治体の公表資料で確認できます。調査範囲を決める前に、その市町村の二次的住宅の割合を見ておいてください

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。別荘地を範囲から外せば、そのぶん費用も下がります。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(仕入れ/施工提案/実態把握)を確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目を決めます。別荘地を除外するかもこの段階で決めます。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。別荘地を範囲から外す設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。管理状況も記録項目に含められます。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

統計を使うときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率のランキングをそのまま使う/別荘を除くと21位下がる県もあります
  • 全国値の0.6%で判断する/県別では長野5.4%から佐賀0.3%まで18倍の差があります
  • 増加分をすべて調査対象と考える/栃木県では増加3,000戸のうち2,600戸が二次的住宅でした
  • 外観で別荘を見分けようとする/管理された別荘は居住中の住宅と区別しにくい状態です
  • 県の数字だけで市町村を判断する/県内の特定地域に集中していることがあります

よくあるご質問

別荘を除いて調査することはできますか?

可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。長野県・山梨県・静岡県・栃木県・群馬県など二次的住宅の多い地域では特におすすめしています。

外観から別荘かどうか分かりますか?

管理された別荘は庭も建物も手入れされているため、居住中の住宅と区別しにくい状態です。確実に外すには、範囲の設定段階で別荘地を除外する方法をおすすめしています。

建物の管理状況も記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で記録します。庭木の手入れ、敷地の管理状況といった項目を含めることができます。自治体の実態調査で区別が必要な場合はご相談ください。

二次的住宅の割合はどこで確認できますか?

総務省統計局の住宅・土地統計調査で、都道府県別・市区町村別に公表されています。自治体が独自に資料をまとめている場合もあります。調査範囲を決める前にご確認ください。

別荘もリフォームの提案先になりますか?

屋根や外壁の維持管理は必要なため、対象から完全に外れるわけではありません。ただし所有者が遠方にいることが多く判断にも時間がかかるため、優先度としては居住実態のある築古住宅のほうが高くなります。

まとめ

二次的住宅は全国で38万3,500戸、総住宅数の0.6%。全国の数字を見ている限り、無視できる規模です

ところが県別に見ると、長野5.4%から佐賀0.3%まで18倍の差があります。長野県では空き家の26.9%、4戸に1戸が別荘です。

引き算すると順位は大きく動きます。長野は6位から27位へ21位下落する一方、高知や山口は順位が上がります。引き算をしても順位が落ちない県こそ、実質的な空き家が厚い県です。

そして増減の読み方も変わります。栃木県では空き家が3,000戸増えましたが、うち2,600戸は二次的住宅。実質的にはほぼ横ばいでした。

調査では、範囲の設定段階で別荘地を外すのが最も確実です。外観から別荘を見分けるのは容易ではありません。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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