買取再販のエリア選定|出口から逆算して仕入れ先を決める方法

買取再販のエリア選定|出口から逆算して仕入れ先を決める方法

買取再販は、仕入れた物件を改修して売却する事業です。仕入れ値と改修費、そして売却価格の差が利益になります。この3つのうち、エリア選定で決まるのは売却価格です。

いくら安く仕入れても、改修後に売れなければ在庫が残ります。逆に売却が見込める地域であれば、多少高く仕入れても成立します。

ところが空き家の記事の多くは、仕入れの話しかしていません。「空き家が多い地域」は、必ずしも「売れる地域」ではないのです。この記事では、買取再販という事業の性格に合わせたエリアの見方を整理します。

この記事の結論

  • 買取再販では出口(売却)から逆算してエリアを選ぶ
  • 中古住宅の取得が多い地域は再販が成立しやすい。大阪市27.5%前後、京都市27.5%
  • 建物の状態で改修費が変わる。腐朽・破損の有無は現地でしか分からない
  • 接道が狭い物件は改修費も売却価格も不利になる
  • 空き家が多い地域と売れる地域は一致しないことがある

出口から逆算する

買取再販の事業構造は単純です。

要素 決まるタイミング エリアとの関係
仕入れ値 交渉時 空き家が多い地域ほど選択肢が増える
改修費 物件の状態次第 建物の傷み具合による
売却価格 市場が決める その地域で中古住宅が動いているか

最も動かせないのが売却価格です。仕入れ値は交渉できますし、改修費は仕様で調整できます。しかし市場が形成されていない地域では、いくら手を入れても買い手が見つかりません。

中古住宅がどれだけ動いているか

住宅・土地統計調査では、持ち家の取得方法を集計しています。中古住宅の購入が多い地域は、既存住宅の市場が機能していると読めます。

地域 持ち家に占める中古購入の割合
京都市 27.5%(政令市で2番目)
大阪府 26.4%
全国 16.2%

京都市では持ち家38万1,800戸のうち10万5,100戸が中古購入です。相続・贈与の4万300戸(10.6%)と合わせると、既存住宅の取得が約4割を占めます

全国平均16.2%と比べると、地域によって既存住宅市場の厚みが違うことが分かります。

空き家が多い地域と売れる地域は違う

空き家率が高いということは、住宅が余っているということでもあります。仕入れの選択肢は増えますが、売却の競合も多くなります。

逆に空き家率が低い都市部では、仕入れの難易度は上がりますが、売却は成立しやすくなります。

たとえば埼玉県は空き家率9.3%で全国最低ですが、放置型は13万5,800戸あります。率が低くても実数は残っているということです。買取再販であれば、こうした地域のほうが出口を見込みやすくなります。

改修費は建物の状態で決まる

仕入れ後にいくらかかるかは、物件を見なければ分かりません。ただし外観からある程度の見当はつきます

外観から分かること 改修費への影響
屋根の破損、ずれ 雨漏りがあれば下地まで及ぶ可能性
外壁のひび割れ、剥落 塗装で済むか、張り替えが必要か
建物の傾き 基礎や構造に関わる。費用が大きく変わる
雨樋の破損、外れ 放置期間の長さの手がかり
敷地の管理状況 建物内部の状態も推測できる

腐朽・破損の有無は統計に出てきません。公表されるのは集計値だけで、個別の建物がどの状態かは分かりません。

建て方によって傷み方が違う

京都市の資料では、放置型の空き家について建て方別の腐朽・破損率が示されています。

建て方 腐朽・破損あり
一戸建 28%
長屋建 52%
共同住宅 11%

長屋建は半数以上に腐朽・破損があります。買取再販の対象として検討する場合、改修費が想定より膨らむ可能性を織り込む必要があります。

接道は両方に効く

前面道路の幅は、改修費と売却価格の両方に影響します

接道が狭い場合 影響
工事車両が入れない 資材搬入と廃材搬出の手間が増える
建替えに制限がかかる 買主にとっての選択肢が狭まる
駐車スペースが取れない 売却時の条件が不利になる

幅員4メートル未満の道路のみに接する建築物は、建替えの際に制限がかかります。とくに幅員1.8メートル未満では、建替えや大きな修繕が困難になります

そして接道の状況は、統計にも登記情報にも記載されません。地図でも正確な幅員は分かりません。現地で確認するしかない条件です

京都市の資料は「接道している道の幅員が狭いほど空き家率が高い傾向にある」と明記しています。神戸市でも放置型の36%が幅員4メートル未満です。安く仕入れられる物件ほど、接道が悪い可能性があるということです。

目的によって、見る条件が変わる

段階 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
エリアの選定 中古住宅の取得割合、放置型の実数 —(統計で判断する)
候補の抽出 戸建て、築古、敷地の規模 戸建てに限定し、共同住宅を範囲から外す
優先順位づけ 建物の状態、接道 状態と接道を記録項目に含める
接触 所有者の所在 登記情報の取得とDM発送を依頼する

調査で分からないこと

正直に書いておきます。建物の内部は分かりません

分からないこと 知るには
内部の状態、水回りの劣化 所有者の同意を得て内見する
正確な築年数 登記情報を取得する
構造の安全性 専門の調査を行う
正確な改修費 現地で見積りを行う

調査で得られるのは「見に行く価値のある候補」までです。ここから先は接触して確かめる工程になります。

ただし、外観の状態が分かっていれば訪問する順番を決められます。明らかに傷みが激しい物件を後回しにする、あるいは解体前提として扱う。この判断が事前にできるかどうかで、動ける件数が変わります。

状態と接道まで記録したリストをお出しします。

再販できる物件と、解体前提の物件を最初から分けて扱えます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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所有者に接触するときの材料

買取を提案するとき、所有者にとっての判断材料は3つあります。

①相続空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家を売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。要件は次のとおりです。

項目 内容
建築時期 昭和56年5月31日以前(区分所有建物を除く)
譲渡の期限 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
売却代金 1億円以下
耐震 家屋付き譲渡は現行基準に適合。または除却

令和6年1月1日以後は、譲渡後に買主が除却工事や耐震改修を行った場合も対象となりました。買取再販事業者にとっては、この改正の影響が大きい部分です。

制度の適用期限は令和9年12月31日まで。適用の可否は個別の状況によって判断が分かれるため、詳しくは市区町村の窓口や税理士への確認をご案内ください

②維持管理の負担

空き家を持ち続ければ、固定資産税、管理、近隣への配慮といった負担が続きます。とくに遠方に住んでいる所有者にとっては、現地に行くこと自体が負担です

③制度の変化

2023年12月施行の改正空家法で管理不全空家等の区分が新設され、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例から外れます。ただし空き家であれば自動的にそうなるわけではありません。助言・指導の段階では特例は継続します。

「放置すると税金が6倍になる」という説明は不正確です。負担調整措置により課税標準額の上限は評価額の70%で、固定資産税で最大約4.2倍という計算になります

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。処理できる件数が決まっていれば、それに見合う範囲を設定できます。

登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含む金額です。そのままDMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただけます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
再販の対象とする物件像を確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、記録する状態の区分を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。接道の状況もこの工程で確認します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

エリアを選ぶときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率の高さだけでエリアを選ぶ/仕入れの選択肢は増えますが、売却の競合も増えます
  • 出口を確認せずに仕入れる/改修後に売れなければ在庫が残ります
  • 接道を確認しない/改修費と売却価格の両方に影響します
  • 安い物件ほど有利だと考える/安く仕入れられる物件ほど接道や状態が悪い可能性があります
  • 長屋建の改修費を戸建てと同じに見積もる/腐朽・破損率が大きく違います

よくあるご質問

建物の傷み具合まで記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で記録します。屋根や外壁の劣化、破損の程度といった項目に分けることも可能です。ただし建物内部の状態は分かりません。

接道の状況も記録してもらえますか?

ご相談ください。外観から確認できる範囲で、前面道路の状況を記録項目に組み込めます。改修費と売却価格の両方に関わる条件のため、現地調査の価値が出やすい部分です。

敷地の規模も分かりますか?

外観からおおよその目安を記録できます。正確な面積は登記情報でご確認いただく形になります。

再販できる物件と解体前提の物件を分けられますか?

できます。建物の状態を記録項目に含めていただければ、劣化の程度で分類したリストを納品します。訪問の優先順位づけにそのまま使えます。

所有者が県外に住んでいる場合も特定できますか?

できます。調査で特定した地番をもとに登記情報を取得するため、居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

まとめ

買取再販では、最も動かせないのが売却価格です。仕入れ値は交渉でき、改修費は仕様で調整できますが、市場が形成されていない地域では買い手が見つかりません。

だからこそ、エリアは出口から逆算します。中古住宅の取得が多い地域は、既存住宅の市場が機能していると読めます。全国平均16.2%に対し、大阪府26.4%、京都市27.5%。地域によって市場の厚みは違います。

そして空き家が多い地域と売れる地域は一致しないことがあります。空き家率が高ければ仕入れの選択肢は増えますが、売却の競合も増えます。埼玉県のように率が低くても実数が残っている地域のほうが、出口を見込みやすい場合があります。

候補を絞ったら、建物の状態と接道を確認してください。どちらも統計には出てこず、現地でしか分かりません。安く仕入れられる物件ほど、これらの条件が悪い可能性があります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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