賃貸管理の受託先をどう探すか|自主管理の一棟物件を見つける

賃貸管理の受託先をどう探すか|自主管理の一棟物件を見つける

賃貸管理会社にとって、管理戸数を増やす方法は限られています。新築物件はハウスメーカーや建設会社との関係で決まることが多く、後から入る余地は多くありません

残る道は、既存物件の管理を切り替えてもらうか、自主管理のオーナーに委託してもらうかです。とくに後者は、他社との競合が発生しません。まだ誰も管理していないためです。

問題は、どの物件が自主管理かを見分けることです。これは登記情報にも統計にも出てきません。この記事では、外観から何が分かるのか、どう絞り込むのかを整理します。

この記事の結論

  • 自主管理かどうかは管理会社の表示があるかで判断できることが多い
  • 統計は室単位。管理受託の提案は棟単位で行う
  • 全国の賃貸用の空き家は443万5,800戸。空き家の約半分を占める
  • 空室が多い棟は管理が機能していない可能性がある
  • オーナーは遠方にいることもある。登記情報から特定する

自主管理の物件は外から見分けられる

管理会社が入っている物件には、多くの場合その表示があります。

見る場所 管理会社が入っている 自主管理の可能性
建物の入口・掲示板 管理会社名の表示、緊急連絡先 表示がない、オーナー個人の連絡先のみ
ゴミ置き場 管理会社名入りの掲示 手書きの貼り紙、掲示なし
募集看板 不動産会社名が入っている 看板がない、電話番号のみ
共用部の清掃 定期的に行われている 落ち葉やゴミが残っている
掲示物 管理規約や連絡事項が整理されている 古い掲示が残ったまま

これらは道路から確認できる範囲の情報です。ただし表示がないからといって必ず自主管理とは限りません。あくまで提案する価値のある候補を絞り込むための材料です。

共用部の状態は管理の質を示す

管理会社が入っていても、対応が行き届いていない物件はあります。共用部の清掃状態、掲示物の更新、放置された自転車や粗大ごみ。これらは管理の質が表れる部分です。

オーナーが現状に不満を持っていれば、切り替えの提案が通る余地があります。ただし他社との競合になるため、自主管理の物件とは提案の難易度が変わります

統計は室単位、提案は棟単位

住宅・土地統計調査では、全国の賃貸用の空き家が443万5,800戸と集計されています。空き家全体900万1,600戸の約半分です。

ただしこれは室単位の数字です。1棟のアパートに空室が3つあれば3戸として数えられます。

一方、管理受託の提案相手は建物のオーナーです。「この棟をどうするか」という単位で話が進みます。統計をどれだけ読み込んでも、棟単位のリストにはなりません

空室の多さは何を示すか

外観から空室の多さを推測することはできます。

見る場所 分かること
郵便受け 名札のない区画の数、投函物の滞留
窓・ベランダ カーテンの有無、生活の気配
駐車場・駐輪場 使用されている台数から入居率を推測
電気メーター 設置状況(撤去されている区画の有無)

空室が慢性的に埋まらない棟は、募集の方法や条件に問題がある可能性があります。管理会社にとっては、提案の入口になります。

ただし推測であって実数ではありません。正確な入居率はオーナーへの確認が必要です。調査で得られるのは、話を聞きに行く価値のある候補までです。

築年数も判断材料になる

築年数が経過した物件ほど、空室率は上がりやすくなります。設備の陳腐化、競合物件との条件差、修繕の必要性。いずれも管理会社が提案できる領域です

外観から築年数を断定することはできませんが、建物の仕様や外壁・外階段の状態から築古と判断できる物件を対象にすることは可能です。

オーナーをどう特定するか

自主管理の物件では、看板に連絡先が出ていることもあります。ただしそれが確実にオーナー本人とは限りません

確実なのは登記情報です。調査で建物の地番を特定すれば、そこから所有者事項を取得できます。

工程 やること
1 現地調査で対象の棟を確定し、地番を割り出す
2 登記情報から所有者事項を取得する
3 DMを送る、または訪問する

登記情報を請求するには地番が必要で、普段使っている住所(住居表示)では取得できません。地番の割り出しは1件ずつ変換する作業になるため、件数が増えるほど負担になります。

弊社の土地調査では、現地で対象を確認したうえで地番の割り出しまで行います。納品されるリストには地番が含まれるため、そのまま登記情報の取得に進めます。

法人所有のことがある

賃貸物件は法人が所有しているケースもあります。この場合、登記上の住所は本店所在地です。

項目 個人所有 法人所有
登記上の名義 個人名 法人名
判断の主体 本人 社内の意思決定を経る
反応までの時間 比較的短い 時間がかかることがある

法人の場合、1回の反応で打ち切らないほうが実務に合います。社内で検討されている可能性があります。

棟単位のリスト、現地調査でお作りします。

管理会社の表示や共用部の状態まで記録するため、自主管理の候補を絞れます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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提案できる内容は複数ある

管理受託だけが出口ではありません。オーナーの状況によって、提案の内容は変わります。

オーナーの状況 提案できること 判断材料
自主管理に負担を感じている 管理の受託 共用部の状態、オーナーの所在
空室が埋まらない 募集条件の見直し、リフォーム 外観から見た空室の多さ
建物の老朽化が進んでいる 大規模修繕、建替え 外壁・外階段の劣化
手放したい 売却の仲介 オーナーへの確認が必要

1件の調査結果を、複数の提案に使えます。管理を断られても、修繕や売却の話に移れる。この幅があることが、一棟物件を対象にする実務上の利点です。

建物の状態も記録しておく

外壁のひび割れ、外階段の錆や腐食、屋根の破損。とくに外階段の状態は、古い木造・鉄骨造アパートで重要な判断材料になります

修繕の必要性が高ければ、オーナーが管理会社に相談する動機にもなります。状態を記録しておけば、どの提案から入るかを事前に決められます

エリアの選び方

賃貸物件は地域内に均等に分布していません。駅周辺、幹線道路沿い、大学や工場の近くに集中します。

調査費用は面積に対する従量制です。賃貸物件が集積している範囲に絞り込むほど、費用あたりの成果は上がります。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

共同住宅の比率は地域で大きく違う

参考として、住宅に占める共同住宅の割合は地域によって大きく変わります。大阪市では75.1%を占め、全国平均44.9%を30ポイント以上上回ります。

大阪市内でも区によって差があり、浪速区96.1%、中央区95.3%に対し、生野区では一戸建てが45.0%を占めます。「この市で」という指定では範囲が定まりません。区、できれば町丁目まで下げてください。

目的によって、見る条件が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
賃貸管理会社 管理の受託 管理会社の表示の有無、共用部の状態 「古アパート」を指定し、管理表示を記録項目に含める
不動産会社 一棟買取、売却の仲介 規模、敷地の広さ、空室の多さ 周辺の空き地も同時に指定する
建設・リフォーム会社 大規模修繕、建替えの提案 外壁・外階段の劣化 状態別の記録を依頼する

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。賃貸物件が集積している範囲に絞り込むほど、費用あたりの成果は上がります。

調査項目は、古アパートのほか、空き家(戸建て)、空き地、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。周辺の空き地を同時に指定すれば、建替え用地の候補もあわせて把握できます

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(管理受託/一棟買取/修繕提案)を確認し、どの程度の築年数・規模を想定するか、何を記録するかも含めて決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一棟ずつ状態を確認・記録します。管理表示や共用部の状態もこの工程で記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。法人所有の場合も対応します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 統計の戸数をそのまま対象数と考える/統計は室単位です。提案の単位は棟なので意味が違います
  • 看板の連絡先をオーナーだと考える/管理会社や仲介業者の場合があります。登記情報で確認してください
  • 空室率を確定値として扱う/外観からの推測です。オーナーへの確認が必要です
  • 市単位で発注する/共同住宅の比率は区や町丁目で大きく違います
  • 法人所有の反応を個人と同じ基準で見る/社内の意思決定を経るため時間がかかります

よくあるご質問

管理会社の表示があるかどうかも記録できますか?

ご相談ください。外観から確認できる範囲で、掲示物や看板の状況を記録項目に組み込めます。自主管理の候補を絞り込むための材料としてご活用いただけます。

空室の多さは分かりますか?

外観から推測できる範囲で記録します。郵便受けの状態、カーテンの有無、駐車場の使用状況などが判断材料になります。ただし実数ではないため、正確な入居率はオーナーへの確認が必要です。

築年数を条件にした調査はできますか?

外観から築年数そのものを断定することはできませんが、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる建物を対象として調査・報告します。どの程度の年代を想定するかはヒアリング時にお伺いします。

オーナーが法人でも特定できますか?

できます。調査で特定した地番をもとに登記情報を取得するため、法人所有であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

周辺の空き地も同時に調べられますか?

できます。「空き地(更地)」を同時に指定していただければ、建替え用地の候補も同じ地図に落とせます。追加は1項目につき200円(税別)です。

まとめ

賃貸管理の受託先として競合が発生しないのは、自主管理の物件です。まだ誰も管理していないためです。

そして自主管理かどうかは、外から見て判断できる部分があります。管理会社の表示、ゴミ置き場の掲示、募集看板、共用部の清掃状態。これらは登記情報にも統計にも出てきません。

加えて重要なのが単位の問題です。統計は室単位で443万5,800戸と数えますが、管理受託の提案相手は建物のオーナーです。棟単位の情報は、現地を歩いて記録するしかありません。

そして出口は1つではありません。管理を断られても、修繕や建替え、売却の話に移れる。状態を記録しておけば、どの提案から入るかを事前に決められます。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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