空き家の仕入れで競合と当たらないエリアの選び方|差がつくのは粒度

空き家の仕入れで競合と当たらないエリアの選び方|差がつくのは粒度

空き家の仕入れで、同じ物件に複数社が接触していることがあります。所有者から「他社さんからも連絡が来ています」と言われる。この状態では、条件面の勝負になりやすくなります。

なぜ重なるのか。理由は単純で、同じ情報源を見ているからです。空き家バンク、統計で空き家率が高いとされる市町村、報道で取り上げられた地域。公開されている情報から選べば、他社と同じ結論になります。

この記事では、公開情報の外側にある物件をどう見つけるか、そして数字でエリアを選ぶときに他社と差がつく見方を整理します。

この記事の結論

  • 重なるのは同じ情報源を見ているから。公開情報から選べば結論も同じになる
  • 空き家バンクの掲載は1万1,117件。放置型385万6,000戸のごく一部
  • 空き家率のランキングは別荘を除くと順位が入れ替わる。長野は6位から27位へ
  • 率が低い都府県でも実数は多い。埼玉の放置型は13万5,800戸
  • 差がつくのは町丁目まで下げた粒度。市単位では他社と同じ判断になる

なぜ同じ物件に集まるのか

公開されている情報は、当然ながら誰でも見られます。同じ地域の他社も、同じ情報を見ています

情報源 誰が見られるか 結果
空き家バンク 誰でも無料 掲載物件に複数社が接触する
都道府県別の空き家率 誰でも 上位県に注目が集まる
報道で取り上げられた地域 誰でも 一時的に競合が増える
不動産ポータルサイト 誰でも すでに市場に出ている物件のみ

これらを否定しているのではありません。相場感の把握や、すでに動いている所有者の確認には有効です。ただし、ここだけを見ていると他社と同じ場所に行き着きます。

公開情報の外側にある物件

空き家バンクに載っているのは、所有者が自ら「売りたい」と登録した物件だけです。全国版空き家・空き地バンクの掲載件数は、アットホーム版で1万1,117件。

一方、全国の放置型(賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家)は385万6,000戸です。桁が3つ違います

状態 所有者の状況 競合の有無
バンクに掲載されている すでに手放す判断をしている 複数社が見ている
掲載されていない まだ判断していない 誰も接触していないことがある

掲載されていない物件の所有者は、制度を知らない、遠方にいる、価値がないと思っている、判断を保留しているといった状態です。自分から動かないため、公開情報には現れません。

時間はかかりますが、競合と当たる可能性は下がります

「まだ判断していない相手」を前提にする

バンクに登録している所有者は、すでに手放す判断をしています。話は早く進みますが、条件で比較されます。

載っていない物件の所有者は、まだ判断していません。1回の接触で結論が出ることは少なく、時間差で動くことのほうが多くなります

だからこそ、1回の反応率だけで打ち切らないことが重要です。発送数・返送数・反応数を記録しておけば、数か月後に動いた相手も追えます。

数字でエリアを選ぶときの3つの見方

公開されている統計を使う場合でも、見方を変えれば他社と違う結論になります。

①別荘を除いて順位を見る

住宅・土地統計調査は、普段人が住んでいない住宅をすべて空き家として数えます。管理された別荘も統計上は空き家です

二次的住宅を除いて順位をつけ直すと、顔ぶれが変わります。

空き家率(順位) 二次的住宅を除く空き家率(順位)
長野県 20.1%(6位) 14.7%(27位)
山梨県 20.4%(4位) 16.4%(12位)
静岡県 16.7%(15位) 14.5%(28位)
高知県 20.3%(5位) 19.6%(3位)
山口県 19.4%(8位) 19.0%(6位)

長野県は21位も下がります。逆に高知県や山口県は順位が上がる。引き算をしても順位が落ちない県こそ、実質的な空き家が厚い県です。

空き家率の表面的なランキングだけを見ている競合とは、この時点で判断が分かれます

②率が低い都府県の実数を見る

空き家率が低いと「対象が少ない」と判断されがちですが、母数が大きい都府県では実数が残ります

空き家率 放置型の実数
埼玉県 9.3%(全国最低) 13万5,800戸
神奈川県 9.8%(全国45位) 15万戸台

埼玉県は空き家率が全国最低ですが、放置型は13万5,800戸あります。率で候補から外している競合がいるなら、そこは狙い目になります

③市町村の格差を見る

県平均は、県内のどの市町村の実態も表していません。格差の大きい県では、県の数字を見ているだけでは対象を絞れません

県内の差
熊本県 放置型の割合が上天草市22.2%、菊陽町0.93%で約24倍
埼玉県 市町で12倍の差
兵庫県 地域10区分で10.5%〜23.8%、市町では5.5倍差

市町村別のデータまで見ている競合は多くありません。県の数字で判断を止めている相手とは、ここで差がつきます。

最終的に差がつくのは粒度

ただし、統計で見られるのは市区町村単位までです。町丁目ごとの空き家数は公表されていません

つまり統計をどれだけ丁寧に読んでも、同じ市を選んだ他社とは同じ土俵に立つことになります。差がつくのはその先です。

粒度 使う手段 他社との差
都道府県 統計 つきにくい。誰でも見られる
市区町村 統計・自治体資料 やや差がつく
町丁目 地図・現地調査 差がつく
個別の建物 現地調査 最も差がつく

町丁目まで下げれば、そのリストは自社だけのものになります。同じ市で営業している他社が、同じ町丁目を同じ条件で調査している可能性は高くありません。

政令市では区でも足りない

政令市の場合、区によって空き家の性格がまったく違います。広島市では中区の空き家の82.3%が賃貸用の共同住宅である一方、安佐北区は48.2%が放置型の戸建てです。

大阪市では一戸建ての割合が生野区45.0%、浪速区3.7%と12倍以上の差があります。「大阪市で」という発注は、範囲としてほとんど意味を持ちません

町丁目単位のリストは、自社だけのものになります。

現地調査で対象を確定し、登記情報の取得からDM発送まで一括で対応します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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自社の実績が最良の判断材料になる

もうひとつ、他社が絶対に持っていない情報があります。自社の営業実績です。

記録すること 次に使えること
エリア別の反応数 反応率の高い地区の周辺を次の対象にする
成約した物件の特徴 次回の調査条件を絞り込む
断られた理由 提案内容やタイミングの見直し
返送率 その地域の所有者の居住状況を推測する

これは統計データからは出てこない、自社だけが持つ情報です。A地区の反応率がB地区より明らかに高ければ、次はA地区の周辺を調査する。この判断は他社にはできません。

2回目以降の調査は、この記録をもとに設計できます。回数を重ねるほど、他社との差は開いていきます

目的によって、選ぶ条件が変わる

立場 主な目的 優先すべき条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 放置型の実数、戸建ての集積 戸建てに限定し、共同住宅と別荘地を範囲から外す
不動産会社(用地) 開発用地の確保 空き地・駐車場・倉庫工場の分布 複数の調査項目を同時に指定する
リフォーム・外壁塗装会社 施工の提案先を探す 造成年代のそろった住宅団地 「古家(居住中)」を調査項目に追加する

調査項目を組み合わせる

同じ範囲を歩くのであれば、複数の項目を同時に指定したほうが面積あたりの成果は上がります。追加は1項目につき200円(税別)です。

空き家に加えて空き地を記録しておけば、取り壊し後の区画も把握できます。古アパートを含めれば一棟買取の候補も拾えます。他社が空き家だけを見ている間に、同じ範囲から複数の商材を拾えることになります。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。処理できる件数が決まっていれば、それに見合う範囲を設定できます。

登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含む金額です。そのままDMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただけます。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と処理体制のヒアリング
仕入れの目的と、週にどれくらい処理できるかを確認します。処理能力に見合った調査範囲をご提案します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。公開情報にはない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

エリアを選ぶときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率のランキング順に着手する/別荘を除くと順位が21位下がる県もあります
  • 率が低い都府県を候補から外す/埼玉県は率が全国最低でも放置型は13万5,800戸あります
  • 県平均でエリアを決める/県内の市町村で数倍から数十倍の差がつきます
  • 市単位で発注する/同じ市を選んだ他社と同じ土俵に立つことになります
  • 1回の反応率で打ち切る/判断していない所有者は、時間差で動きます

よくあるご質問

他社が調査していない地区が分かりますか?

どの会社がどこを調査したかは分かりません。ただし町丁目単位まで下げた条件で調査すれば、同じ範囲を同じ条件で他社が調べている可能性は低くなります。範囲の設計からご相談いただけます。

空き家バンクに載っていない物件を調べられますか?

調べられます。現地調査で使われていない住宅を確定し、地番から登記情報を取得して所有者を特定します。所有者が意思表示していない物件も対象になります。

別荘を除いて調査することはできますか?

可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。二次的住宅の多い地域では特におすすめしています。

複数の調査項目を同時に指定できますか?

できます。同じ範囲を1回歩いて、空き家・空き地・古アパートなどを記録し、地図上で色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。

前回と同じ条件で調査を繰り返せますか?

できます。前回の調査条件をお示しいただければ、同じ基準で実施します。反応率の高かったエリアの周辺を次の対象にする、といった設計にも対応します。

まとめ

同じ物件に複数社が集まるのは、同じ情報源を見ているからです。空き家バンク、空き家率のランキング、報道された地域。公開情報から選べば、他社と同じ結論になります。

統計を使う場合でも、見方を変えれば判断は分かれます。別荘を除いて順位を見る、率が低い都府県の実数を見る、市町村の格差を見る。この3つを踏まえるだけで、表面的なランキングを見ている競合とは違う候補が出てきます。

ただし統計で見られるのは市区町村単位まで。同じ市を選んだ他社とは、同じ土俵に立つことになります

差がつくのはその先です。町丁目まで下げて現地で対象を確定すれば、そのリストは自社だけのものになります。そして自社の営業実績を記録しておけば、2回目以降はさらに他社が持たない判断材料が積み上がります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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