空き家の買取仕入れが伸びない理由|3つの原因の切り分け方

空き家の仕入れに取り組んでいるものの、思うように件数が伸びない。この状態が続いているとき、原因は3か所のどこかにあります。
リストの精度、接触の量、初動の速さ。どれも「仕入れが伸びない」という同じ症状に見えますが、対処法はまったく違います。リストを作り直すべき状況で人員を増やしても改善しませんし、その逆も同じです。
この記事では、3つの原因をどう切り分けるかを整理します。自社の数字を見れば、どこが詰まっているかは判断できます。
この記事の結論
- 原因はリストの精度・接触の量・初動の速さの3つに切り分けられる
- 切り分けの指標は有効件数率・一巡率・初回接触までの日数
- 共同住宅を含めたリストは、約8割が募集中の賃貸物件になる
- 一戸建てに絞れば約8割が放置型。条件の指定だけで精度は変わる
- 接触できていない件数が多いなら、リストを増やしても改善しない
記事の目次
3つの原因を数字で切り分ける
まず、自社の直近の取り組みについて次の3つを出してください。
| 指標 | 計算方法 | 何を示すか |
|---|---|---|
| 有効件数率 | 実際に接触できた件数 ÷ リストの件数 | リストの精度 |
| 一巡率 | 接触した件数 ÷ リストの件数 | 接触の量 |
| 初回接触までの日数 | 納品日から最初の接触までの日数 | 初動の速さ |
この3つのうち、最も低い数字が出たところが原因です。順に見ていきます。
原因①リストの精度
リストに載っているのに、実際には対象にならない物件が混ざっている状態です。
混ざりやすい4つのパターン
| 混入するもの | なぜ混ざるか |
|---|---|
| 募集中の賃貸物件 | 共同住宅を範囲に含めているため |
| 居住中の住宅 | 地図やデータだけで空き家と判断しているため |
| すでに取り壊された物件 | 調査から時間が経っているため |
| 別荘・セカンドハウス | 別荘地を範囲から外していないため |
最も大きいのが共同住宅の混入です。全国の空き家900万1,600戸のうち、賃貸用の空き家は443万5,800戸。共同住宅の空き家に限れば、その約8割が募集中の賃貸物件です。
一方、一戸建ての空き家は約8割が賃貸・売却用や別荘を除く空き家、つまり放置型にあたります。調査の段階で戸建てに限定するだけで、リストの中身は大きく変わります。
別荘が混ざる地域がある
もうひとつ見落とされやすいのが別荘です。住宅・土地統計調査は、普段人が住んでいない住宅をすべて空き家として数えます。管理された別荘も統計上は空き家です。
| 県 | 二次的住宅が総住宅数に占める割合 |
|---|---|
| 長野県 | 5.4% |
| 山梨県 | 4.0% |
| 静岡県 | 2.2% |
| 全国平均 | 0.6% |
こうした地域を対象にする場合、範囲の設定段階で別荘地を外しておかないと、管理された住宅を大量に拾います。
有効件数率が低いなら、件数を増やしても無駄
1,000件のリストで、実際に対象だったのが400件。この状態でリストを2,000件に増やしても、対象は800件にしかなりません。600件分の確認作業が、そのまま2倍になります。
先にやるべきは、条件の見直しです。共同住宅を外す、別荘地を範囲から外す、現地で使用状況を確認する。これだけで有効件数率は変わります。
原因②接触の量
リストの精度に問題がないのに件数が伸びない場合、単純に接触できていないことがあります。
一巡できているか
500件のリストがあって、接触したのが150件。この状態では、残り350件がどうだったかは分かりません。リストの評価すらできていないことになります。
週に何件処理できるかを決め、そこから逆算してリストの規模を設定してください。週20件なら、500件を一巡するのに25週間かかります。半年近く経てば、最初に調べた物件の状況は変わっています。
1件あたりに時間をかけすぎていないか
1件ずつ登記情報を取り、資料を作り込んでから当たろうとすると、進みが遅くなります。
最初の一巡は粗くてかまいません。DMを送る、電話をかける、現地を見る。どれか1つの動作を全件に対して行い、反応があったものだけ深掘りする。この順番のほうが、結果的に接触件数は増えます。
原因③初動の速さ
リストの精度も接触の量も問題ないのに伸びない場合、反応があってからの動きに原因があります。
納品から動き出すまでの日数
リストが届いてから最初の接触までに1か月かかっているなら、それだけで情報は古くなっています。受け取ってから運用を考えるのでは遅いということです。
納品前に、担当・週あたりの件数・一巡の期限を決めておいてください。この3つが決まっていれば、届いた翌日から動けます。
問い合わせへの対応
DMを送って問い合わせがあったとき、誰がどう対応するかが決まっていないと、折り返しが遅れます。
空き家の所有者は、一度断ってしまうと次に応じてくれるとは限りません。世帯が所有する空き家の61.6%は相続・贈与によるものです。相続の整理をしている最中に連絡してきた相手を待たせれば、その機会は失われます。
原因別の対処
| 原因 | 症状 | 対処 |
|---|---|---|
| リストの精度 | 有効件数率が低い | 調査条件を見直す。戸建てに限定し、別荘地を範囲から外す |
| 接触の量 | 一巡率が低い | リストの規模を処理能力に合わせる。1件あたりの作業を軽くする |
| 初動の速さ | 納品から接触までが長い | 担当・件数・期限を納品前に決める |
複数が同時に起きていることもあります。その場合は、リストの精度から順に手をつけてください。精度が低いまま量を増やしても、無駄な作業が増えるだけだからです。
調査の条件でリストの精度は変わる
弊社の土地調査では、次のような条件指定に対応しています。
| 条件 | 効果 |
|---|---|
| 戸建てに限定する | 募集中の賃貸物件の混入を減らせる |
| 別荘地を範囲から外す | 管理された二次的住宅を拾わない |
| 建物の状態を記録する | すぐ動く物件と時間がかかる物件を分けられる |
| 空き地も同時に指定する | 取り壊し済みの区画も把握できる |
| 範囲を町丁目単位で切る | 費用を抑えつつ密度を上げられる |
調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。条件を細かく指定しても、費用への影響は限定的です。
現地で確認するから精度が出る
居住中かどうか、まだ建っているか。これらは地図やデータでは判断できません。郵便受けの状態、カーテンの有無、庭木の伸び方といった判断材料は、現地で近づいて初めて分かります。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ確認・記録します。この工程があるかどうかで、有効件数率は変わります。
処理できる件数に合わせて、精度の高いリストをお出しします。
戸建てに限定、別荘地を除外、状態別の記録など、条件を指定していただけます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
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数字を残しておくと、次が変わる
3つの原因を切り分けるには、記録が必要です。次の4つを残しておいてください。
| 記録すること | 次に使えること |
|---|---|
| リストの件数と有効件数 | 調査条件の見直しに使える |
| 接触できた件数 | 処理能力に見合ったリスト規模の設定 |
| エリア別の反応数 | 次にどの地区を調査するか |
| 断られた理由 | 提案内容やタイミングの見直し |
これは統計データからは出てこない、自社だけが持つ情報です。2回目以降の調査は、この記録をもとに設計できます。反応率の高かったエリアの周辺を次の対象にする、といった判断が数字でできるようになります。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。処理できる件数が決まっていれば、それに見合う範囲を設定できます。
登記情報の取得は、調査で特定した地番をもとに行います。地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含む金額です。そのままDMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただけるため、社内の作業時間を接触そのものに充てられます。
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。
依頼から納品までの流れ
仕入れの目的と、週にどれくらい処理できるかを確認します。処理能力に見合った調査範囲をご提案します。
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。共同住宅や別荘地を除外した設定にも対応します。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。居住中の住宅や取り壊し済みの区画を除く工程です。
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
仕入れを立て直すときの注意点
よくあるつまずき
- 原因を切り分けずにリストを増やす/精度が低いまま量を増やすと、無駄な作業が2倍になります
- 共同住宅を含めたまま発注する/共同住宅の空き家は約8割が募集中の賃貸物件です
- 一巡していないのに新しいリストを発注する/前のリストの評価ができないまま件数だけ増えます
- 1件ずつ作り込んでから当たる/最初の一巡は粗くてかまいません。反応があったものを深掘りしてください
- 数字を記録していない/記録がないと、どこが原因かを切り分けられません
よくあるご質問
共同住宅を除いて調査できますか?
できます。調査項目を戸建てに限定していただければ、募集中の賃貸物件を拾う量を大きく減らせます。仕入れが目的であれば、この指定をおすすめしています。
別荘を除いて調査することはできますか?
可能です。調査範囲の設定段階で別荘地を外す、あるいは調査項目を戸建ての空き家に限定するといった形で調整します。二次的住宅の多い地域では特におすすめしています。
すでに取り壊された物件は除けますか?
現地を歩いて確認するため、建物が現存しているかどうかを含めて記録します。取り壊し後の区画を把握したい場合は、「空き地(更地)」を調査項目に追加していただくと地図上で区別できます。
どれくらいの件数から始めるとよいですか?
週にどれくらい処理できるかによります。週20件で3か月かけて一巡させるなら、およそ240件が目安です。処理体制をお聞かせいただければ、それに見合う調査範囲をご提案します。
建物の状態も記録してもらえますか?
外観から確認できる範囲で記録します。すぐ流通に乗せられる物件と、解体を前提に話をする物件を分けて扱えるようになります。どの粒度が必要かはヒアリング時にお伺いします。
まとめ
仕入れが伸びない原因は、リストの精度・接触の量・初動の速さのどれかにあります。同じ症状に見えても、対処法は違います。
切り分けるには数字が必要です。有効件数率、一巡率、納品から最初の接触までの日数。この3つを出せば、どこが詰まっているかは判断できます。
精度に問題があるなら、調査の条件を見直してください。共同住宅の空き家は約8割が募集中の賃貸物件ですが、一戸建てに絞れば約8割が放置型になります。条件の指定だけで、リストの中身は変わります。
接触の量に問題があるなら、処理できる件数からリストの規模を逆算してください。精度が低いまま量を増やしても、無駄な作業が増えるだけです。順序を間違えないことが、立て直しの近道になります。
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