古家(居住中)調査とは|空き家になる前の住宅を押さえる方法

古家(居住中)調査とは|空き家になる前の住宅を押さえる方法

空き家調査を依頼される方の目的は、大きく2つに分かれます。今ある空き家を仕入れたいか、施工の提案先を探したいか。

後者の場合、実は空き家は対象ではありません。リフォームや外壁塗装を提案する相手は、そこに住んでいる人だからです。誰も住んでいない家に工事の提案をしても、話が進むことはまずありません。

本命は、人が住んでいる築古の戸建てです。弊社ではこれを「古家(居住中)」という調査項目として指定できるようにしています。空き家調査とは対象がちょうど逆になる調査です。この記事では、何を調べるのか、どう使えるのかを整理します。

この記事の結論

  • 古家(居住中)調査は人が住んでいる築古の戸建てを対象にする。空き家とは逆
  • リフォーム・外壁塗装の提案先は空き家ではなくこちら。空き家率はエリア選定の根拠にならない
  • 統計で分かるのは市区町村単位の持ち家数まで。どの家が築古かは現地でしか分からない
  • 不動産会社にとっては数年後に空き家になる住宅を先に押さえる意味がある
  • 費用は空き家調査と同じ従量制。同時指定なら1項目200円の追加

古家(居住中)調査とは

調査員が対象エリアを歩き、人が住んでいる築古の戸建てを一件ずつ確認・記録する調査です。空き家調査と同じ現地調査ですが、拾う対象が正反対になります。

項目 空き家調査 古家(居住中)調査
対象 人が住んでいない住宅 人が住んでいる築古の住宅
主な用途 仕入れ、買取、実態把握 施工の提案、将来の仕入れ
接触の相手 登記上の所有者(多くは遠方) その家に住んでいる人
接触の手段 登記情報を取得してDM ポスティング、訪問、DM
反応までの期間 相続や売却の判断待ちで長い 工事の時期が来れば動く

大きな違いは接触のしやすさです。空き家の所有者は遠方にいることが多く、登記情報を取得しなければ連絡先が分かりません。一方、古家には人が住んでいます。ポスティングでも訪問でも届きます。

記録する内容

目的に応じて調整できますが、基本となるのは次の項目です。

記録項目 内容 使いどころ
位置 地図上の位置を特定し、色分けして転記 担当エリアの割り振り、ルート設計
建物の外観 仕様や傷み具合から築古と判断できるもの 提案の優先順位づけ
屋根・外壁の状態 外観から確認できる劣化の程度 施工時期の見立て
居住の実態 実際に人が住んでいるかの確認 空き家との区別
建て方 戸建てか、共同住宅か 対象の限定

築年数は「判断」であって「確定」ではない

正直に申し上げておくと、外観から築年数を断定することはできません。登記情報を取得すれば建築時期は分かりますが、居住中の住宅すべてについて取得するのは現実的ではありません。

調査で記録するのは、建物の仕様や傷み具合から「築古と判断できる住宅」です。どの程度の年代を想定するかは、ヒアリングの段階でご相談いただく形になります。この点をあいまいにしたまま発注すると、期待とずれたリストになります

なぜ統計では把握できないのか

持ち家の数も、建築時期別の内訳も、住宅・土地統計調査で公表されています。全国の持ち家住宅率は60.9%、2019年以降に増改築・改修工事を行った持ち家は28.8%。こうした数字は誰でも見られます。

ただし公表される粒度は市区町村単位です。「A市に1980年以前の持ち家が何戸ある」までは分かっても、それが市内のどこに集まっているかは示されません。

知りたいこと 統計で分かるか
A市に築古の持ち家がどれくらいあるか 分かる(市区町村単位)
A市のどの地区に集まっているか 分からない
その家に今も人が住んでいるか 分からない
外壁がどの程度傷んでいるか 分からない

提案に必要なのは、下の3つです。市の平均値では営業ルートは組めません。

造成の時期がそろった住宅地を狙う

築古の住宅は、地図上に均等に散らばっているわけではありません。まとまって建っている地区があります。同じ時期に造成された住宅団地、区画整理が行われた地区、旧市街地などです。

この性質は、調査範囲を決めるときに直接使えます。空き家率の高い地区を漠然と選ぶより、造成年代のそろった住宅地を町丁目単位で切るほうが、拾える件数は変わります。調査費用は面積に対する従量制なので、範囲の切り方がそのまま費用対効果になります

目的によって、見る条件が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
リフォーム・外壁塗装会社 施工の提案先を探す 屋根・外壁の劣化、前回工事からの経過 古家(居住中)に限定し、状態別の記録を依頼する
不動産会社 数年後の仕入れにつながる住宅を押さえる 築年数、敷地の規模、周辺の取引状況 空き家と古家を同時に指定する
自治体 今後空き家になりうる住宅の把握 建物の状態、地区ごとの分布 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

リフォーム・外壁塗装は「次の周期」で考える

屋根や外壁の塗装は、10年から15年程度の周期で再度必要になります。つまり一度施工された住宅も、時期が来れば再び対象になります

全国で改修工事を行った持ち家は28.8%。この数字は県によって差があり、島根県32.6%のように全国上位の県では未施工層が薄くなります。一方、全国平均を下回る県では未施工層が厚く残っています。

いずれの場合も、外観の状態を記録しておけば時期が来た住宅から順に当たれます。未施工層が薄い地域では、前回工事からの経過年数で優先順位をつける形になります。

不動産会社は「空き家になる前」に接点を持つ

空き家になってからでは、所有者は遠方にいて、相続の整理も済んでいないことが少なくありません。話が進みにくい状態です。

一方、まだ人が住んでいる段階であれば、本人と直接話せます。全国で65歳以上の世帯員がいる世帯のうち、81.6%が持ち家に住んでいます。県によってはこの比率がさらに高くなります。

数年後に動く可能性がある住宅を、今のうちに地図に落としておく。空き家と古家を同時に調査すれば、現在と将来の両方を1回で押さえられます。調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。

自治体は予防的な把握に使える

空き家対策は、発生してから対応するより、発生する前に把握しておくほうが選択肢が広がります。高齢世帯が住む築古住宅の分布が分かれば、重点地区の想定に使えます。

統計では市区町村単位までしか分かりませんが、現地調査であれば町丁目単位で状態別に分類できます。継続的に同じ範囲を調査すれば、前回との比較もできます

住んでいる家の外観まで、記録できます。

屋根や外壁の状態を記録したリストで、提案の優先順位をつけられます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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空き家と同時に調べる意味

同じ範囲を歩くのであれば、空き家と古家を同時に指定したほうが面積あたりの成果は上がります。納品時は調査項目ごとに色分けして地図に転記するため、後から用途別に分けて使えます

組み合わせ できること
空き家+古家(居住中) 今の仕入れ対象と、数年後の対象を同じ地図で把握する
古家(居住中)+空き地 施工提案先と、周辺の土地の状況を同時に見る
空き家+古家+空き地 エリア全体の状況を1回の調査で押さえる

社内で担当が分かれている場合にも対応できます。仕入れは空き家、施工提案は古家というように、同じリストを部署ごとに使い分けられます

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。古家単独で調査する場合も、空き家と同時に指定する場合も、基本料金の考え方は同じです。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、古家(居住中)のほか、空き家(戸建て)、空き地、古アパート、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(施工提案/将来の仕入れ/実態把握)を確認し、どの程度の築年数を想定するかも含めて条件を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。造成年代のそろった住宅地を指定した範囲設定にも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。居住しているかどうかもこの工程で確認します。
地番の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出します。必要に応じて登記情報から所有者事項を取得することもできます。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。ポスティングやDMの発送までご依頼いただくこともできます。

古家調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 空き家率の高いエリアを選ぶ/対象は住んでいる家です。空き家率はこの用途では判断材料になりません
  • 築年数の想定を伝えずに発注する/外観から築年数は断定できません。どの程度の年代を想定するか先に決めてください
  • 広い範囲をまとめて発注する/築古住宅は造成年代のそろった地区に集まります。町丁目単位で切ってください
  • 状態の記録を依頼しない/屋根や外壁の劣化が分からないと、提案の優先順位がつけられません
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

よくあるご質問

築年数を条件にした調査はできますか?

外観から築年数そのものを断定することはできませんが、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる住宅を対象として調査・報告します。どの程度の年代を想定するかはヒアリング時にお伺いします。

屋根や外壁の状態も記録してもらえますか?

外観から確認できる範囲で状態を記録します。劣化の程度を項目に分けて記録することも可能です。どの粒度が必要かはヒアリング時にお伺いします。

空き家と同時に調査できますか?

できます。調査項目として両方を指定していただければ、同じ範囲を1回歩いて両方を記録し、地図上で色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。

ポスティングまで依頼できますか?

ご相談ください。調査結果をもとにした配布についても対応しています。件数とエリアを伺ったうえでご提案します。

居住しているかどうかは、どう判断するのですか?

外観から確認できる情報をもとに判断します。郵便受けの状態、カーテンの有無、庭木の手入れの様子などが判断材料になります。地図やデータでは分からない部分のため、現地調査の価値が出やすい領域です。

まとめ

リフォームや外壁塗装の提案先は、空き家ではありません。人が住んでいる築古の戸建てです。空き家率の高い地域を選んでも、この用途では意味がありません。

ところが、どの家が築古で、今も人が住んでいて、外壁がどの程度傷んでいるか。この3つは統計では分かりません。公表されるのは市区町村単位の集計までで、市の平均値から営業ルートは組めないためです。

古家(居住中)調査は、この空白を埋める調査です。造成年代のそろった住宅地を町丁目単位で切り、外観の状態まで記録しておけば、時期が来た住宅から順に当たれます。空き家と同時に指定すれば、現在と将来の両方を1回の調査で地図に落とせます。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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