古アパート調査とは|一棟買取・建替えの提案先を見つける方法

古アパート調査とは|一棟買取・建替えの提案先を見つける方法

空き家調査を依頼する際、「共同住宅は範囲から外してください」とお伝えすることがあります。仕入れが目的の場合、共同住宅の空き家は約8割が募集中の賃貸物件で、拾っても対象にならないためです。

ただしこれは、目的が戸建ての仕入れである場合の話です。一棟買取や建替えの提案が目的なら、共同住宅そのものが対象になります

問題は、統計との噛み合わせです。住宅・土地統計調査では空き家が「戸」単位で数えられます。1棟のアパートに空室が3つあれば3戸としてカウントされる。しかし実務で必要なのは「棟」単位の情報です。どの建物が、どの程度傷んでいて、どれくらい空いているか。この記事では、古アパート調査で何を記録するのかを整理します。

この記事の結論

  • 統計は戸(室)単位で数えるが、実務で必要なのは棟単位の情報
  • 全国の空き家のうち55.9%が共同住宅。賃貸用の空き家は443万5,800戸ある
  • 外観から分かるのは空室の多さ、外階段や外壁の劣化、駐車場の使われ方
  • 出口は一棟買取・建替え・大規模修繕・用途転換と複数ある
  • 費用は空き家調査と同じ従量制。同時指定なら1項目200円の追加

古アパート調査とは

調査員が対象エリアを歩き、築年数の経過した共同住宅を棟単位で確認・記録する調査です。弊社の土地調査では「古アパート」を調査項目として指定できます。

記録項目 内容 使いどころ
位置 地図上の位置を特定し、色分けして転記 エリア内の分布を把握する
おおよその規模 階数、戸数の目安 買取や建替えの検討材料
建物の外観 外壁、外階段、屋根の状態 修繕の必要性、築年数の見立て
入居の状況 外観から見た空室の多さ 収益性と交渉余地の推測
敷地の様子 駐車場の使用状況、共用部の管理状態 管理の行き届き具合
地番 調査結果をもとに割り出す 登記情報の取得につなげる

調査後、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得し、DMの発送まで一括で対応できます。

統計は「戸」、実務は「棟」

ここが古アパートを扱ううえで最も重要な点です。

住宅・土地統計調査では、全国の空き家900万1,600戸のうち55.9%が共同住宅です。賃貸用の空き家は443万5,800戸あります。数字としては膨大ですが、これは室単位の集計です。

知りたいこと 統計で分かるか
市区町村に賃貸用の空き家が何戸あるか 分かる
どの建物に空室が集中しているか 分からない
その建物が何棟あるか 分からない
建物ごとの老朽度 分からない

一棟買取や建替えを提案する相手は、建物の所有者(オーナー)です。1室ずつの空室情報ではなく、「この棟をどうするか」という単位で話が進みます。

つまり、統計をどれだけ読み込んでも、提案先のリストにはなりません。棟単位の情報は、現地を歩いて記録するしかないということです。

募集中の空室と、埋まらない建物は違う

賃貸用の空き家443万5,800戸のなかには、単に募集中というだけの部屋が大量に含まれます。新築でも入居前なら空き家です。

提案先として意味があるのは、建物ごと稼働が落ちている棟です。空室が慢性的に埋まらない、外観の劣化が進んでいる、共用部の管理が行き届いていない。こうした状態は外から見れば分かります。

統計の数字は「どこかに大量にある」ことしか示しません。どの棟がその状態にあるかを特定するのが、この調査の役割です

外観から何が分かるか

建物の内部には入れませんが、外から確認できる情報は少なくありません。

見る場所 分かること
郵便受け 空室の多さ、投函物の滞留
窓・ベランダ カーテンの有無、生活の気配
外階段・手すり 錆や腐食の程度。鉄骨造の劣化が最も出やすい
外壁 ひび割れ、塗装の劣化、目地の状態
駐車場・駐輪場 使用されている台数から入居率を推測できる
共用部 清掃の状態、放置物の有無。管理の質が表れる

特に外階段の状態は、古い木造・鉄骨造アパートで重要な判断材料になります。修繕の必要性が高ければ、オーナーが売却や建替えを検討する動機にもなるためです。

ただし断定はできません

正直に書いておくと、外観から築年数や構造を確定することはできません。入居率も推測であって実数ではありません。

調査で記録するのは、外観から判断できる範囲の状態です。そこから先は、登記情報で建築時期を確認したり、接触して状況を聞いたりする工程になります。どの程度の粒度で記録するかは、ヒアリングの段階でご相談ください。

目的によって、見る条件が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 一棟買取、売却の提案 規模、敷地の広さ、空室の多さ 古アパートに加えて周辺の空き地も含める
建設・リフォーム会社 建替え、大規模修繕の提案 外壁・外階段の劣化、共用部の管理状態 状態別の記録を依頼する
自治体 管理不全な建物の把握 腐朽・破損の程度、周辺への影響 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

出口が複数あることが強み

戸建ての空き家と違い、古アパートには複数の出口があります。

出口 提案する相手 判断材料になる情報
一棟買取 売却を検討するオーナー 空室率、修繕負担、敷地の規模
建替え 保有を続けたいオーナー 建物の老朽度、立地条件
大規模修繕 まだ使えると判断するオーナー 外壁・外階段の劣化状況
用途転換 賃貸以外を検討するオーナー 周辺の需要、敷地の形状

1件の調査結果を、複数の提案に使えます。買取を断られても、修繕や建替えの話に移れる。この幅があることが、古アパートを対象にする実務上の利点です。

自治体にとっての意味

2023年の法改正で「管理不全空家等」の区分が新設されましたが、共同住宅も対象となりえます。入居者が残っている建物と、完全に空になった建物では、対応の順序が変わります

外観から状態を記録し、町丁目単位で分類しておけば、優先度の判断材料になります。継続的に同じ範囲を調査すれば、前回との比較もできます。

棟単位のリスト、現地調査でお作りします。

外観の状態まで記録するため、買取・建替え・修繕を分けて提案できます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

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オーナーは近くにいるとは限らない

古アパートの所有者は、賃貸経営をしている個人や法人です。物件の近くに住んでいることもあれば、遠方にいることもあります。

住宅・土地統計調査によると、世帯が現住居の敷地以外に持っている土地のうち、同じ市区町村内にあるものは全国平均で70.9%。ただし神奈川県では51.8%にとどまり、他県にあるものが33.8%を占めます。都市圏では、県境をまたいだ所有が起こりやすくなります

調査で地番を特定すれば、登記情報から所有者を割り出せます。所有者が遠方でも、DMであれば届きます。調査から接触までを一本の流れにしておけば、所在地に左右されずに件数を処理できます

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。古アパート単独で調査する場合も、他の項目と同時に指定する場合も、基本料金の考え方は同じです。

調査項目は、古アパートのほか、空き家(戸建て)、空き地、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。古アパートと空き地を同時に指定すると、建替え用地の候補もあわせて把握できます

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(一棟買取/建替え・修繕の提案/実態把握)を確認し、どの程度の築年数・規模を想定するかも含めて条件を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、外観から一棟ずつ状態を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

古アパート調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 統計の戸数をそのまま対象数と考える/統計は室単位です。提案の単位は棟なので、数字の意味が違います
  • 募集中の空室と稼働が落ちた建物を混同する/新築でも入居前なら空き家です。建物ごとの状態で判断してください
  • 想定する築年数や規模を伝えずに発注する/外観から築年数は断定できません。条件を先に決めてください
  • 外観の状態を記録項目に入れない/買取・建替え・修繕のどれを提案するかは、状態で分かれます
  • オーナーが近隣にいる前提で計画する/都市圏では県境をまたいだ所有が起こります。DMなど確実に届く手段を用意してください

よくあるご質問

入居率まで分かりますか?

外観から推測できる範囲で記録します。郵便受けの状態、カーテンの有無、駐車場の使用状況などが判断材料になります。ただし実数ではないため、正確な入居率は所有者への確認が必要です。

築年数を条件にした調査はできますか?

外観から築年数そのものを断定することはできませんが、建物の仕様や傷み具合から築古と判断できる建物を対象として調査・報告します。どの程度の年代を想定するかはヒアリング時にお伺いします。

戸建ての空き家と同時に調査できますか?

できます。調査項目として両方を指定していただければ、同じ範囲を1回歩いて両方を記録し、地図上で色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。

オーナーが県外に住んでいる場合も特定できますか?

できます。調査で特定した地番をもとに登記情報を取得するため、所有者の居住地が県外であっても対応します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくことも可能です。

建替え用地の候補もあわせて調べられますか?

できます。「空き地(更地)」を同時に指定していただければ、周辺の土地の状況も同じ地図に落とせます。

まとめ

全国の空き家の55.9%は共同住宅で、賃貸用の空き家は443万5,800戸あります。ただしこれは室単位の集計です。一棟買取や建替えを提案する相手は建物の所有者であり、必要なのは棟単位の情報です。

どの棟に空室が集中しているか、外壁や外階段がどの程度傷んでいるか、共用部の管理は行き届いているか。これらは統計には出てこず、現地を歩いて記録するしかありません

そして古アパートには、買取・建替え・大規模修繕・用途転換と複数の出口があります。外観の状態を記録しておけば、1件の調査結果を複数の提案に使えます。買取を断られても、修繕や建替えの話に移れる。この幅が、戸建ての空き家との違いです。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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