空き地調査とは|遊休地のリストを現地で作る方法と費用の目安

空き地調査とは|遊休地のリストを現地で作る方法と費用の目安

空き家であれば、統計で数がわかります。住宅・土地統計調査が5年ごとに実施され、市区町村単位の空き家数が公表されているためです。

ところが空き地には、それに相当する全国調査がありません。「どこに、どれだけの空き地があるか」を示す公的なデータは存在しないのです。分かるのは「土地を所有している世帯が全国で11.8%」といった世帯側の割合まで。地図の上でどこが空いているかは、まったく別の話になります。

つまり空き地は、統計で当たりをつけることすらできない対象です。この記事では、空き地調査で何を記録するのか、どう使えるのか、費用はどう決まるのかを整理します。

この記事の結論

  • 空き地には全国的な悉皆統計がない。所在を把握するには現地を歩くしかない
  • 調査では位置・形状・接道・利用状況を記録し、地図と地番リストの形で納品する
  • 費用は空き家調査と同じ10,000㎡あたり1,000円(税別)の従量制。空き家と同時指定なら1項目200円の追加
  • 低未利用地の譲渡には100万円の特別控除があり、令和10年末まで延長された
  • 所有者が同じ市区町村内にいる比率は全国平均70.9%。空き家より接触しやすい

空き地調査とは

調査員が対象エリアを歩き、建物が建っていない土地を一件ずつ確認・記録する調査です。弊社の土地調査サービスでは「空き地(更地)」を調査項目として指定できます。

記録する内容は目的によって調整できますが、基本となるのは次の項目です。

記録項目 内容 使いどころ
位置 地図上の位置を特定し、色分けして転記 エリア全体の分布を把握する
おおよその形状・規模 間口や奥行きの目安、隣接地との関係 用地として使えるかの一次判断
接道の状況 前面道路の有無、車両が進入できるか 建築可否や価格に直結する
利用の実態 資材置場、家庭菜園、駐車のみなど 完全な未利用かどうかの区別
地番 調査結果をもとに割り出す 登記情報の取得につなげる

調査後、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得し、DMの発送まで一括で対応できます。

「空き地」の定義は依頼ごとに決める

空き家であれば「人が住んでいない住宅」という共通認識がありますが、空き地はそうはいきません。資材置場として使われている土地、家庭菜園になっている土地、砂利敷きで数台が停まっている土地。これらを含めるかどうかで、拾える件数が大きく変わります

そのため、調査を依頼する段階で「何を空き地とみなすか」を決めておく必要があります。用地の確保が目的なら建物が建てられる状態の土地に絞る、土地活用の提案が目的なら低利用の土地も含める、といった調整です。ヒアリングの際にご相談ください。

なぜ統計では把握できないのか

空き家と空き地では、公的データの整備状況がまったく違います。

項目 空き家 空き地
全国調査 住宅・土地統計調査(5年ごと) 相当する悉皆調査はない
公表される粒度 市区町村単位の戸数
種類別の内訳 賃貸用・売却用・二次的住宅・その他
分かること どの市町村に何戸あるか 土地を所有する世帯の割合のみ

住宅・土地統計調査には土地に関する集計もありますが、そこで分かるのは「世帯が土地を持っているかどうか」です。現住居の敷地以外に土地を所有している世帯は全国で11.8%、宅地に限れば8.0%。県によっては鳥取県25.3%、福井県15.5%(宅地)と全国を大きく上回ります。

ただしこれは世帯側から見た数字であって、その土地が地図上のどこにあるかは示されません。空き家であれば「A市に何戸」から絞り込みを始められますが、空き地にはその出発点がないということです。

所有されているのに使われていない土地は多い

手がかりがないわけではありません。県によっては、所有されている宅地の利用状況が公表されています。

宮崎県の例では、世帯が所有している宅地などのうち「利用していない(空き地)」が15.5%を占めました。「主に建物の敷地として利用」が69.0%、「主に建物の敷地以外に利用」が15.5%という内訳です。

つまり所有されている宅地の6分の1程度は、使われないまま保有されている計算になります。これが地図のどこに散らばっているかは、歩いて確かめるしかありません

空き家より、現地調査の相対的な価値が高い

空き家調査であれば、統計でエリアの当たりをつけ、絞り込んだ範囲を歩くという二段構えが取れます。前半をデータで済ませられるぶん、調査費用も抑えられます。

空き地にはその前半がありません。統計による絞り込みができないぶん、現地調査が果たす役割は空き家以上に大きくなります。逆にいえば、リストを持っている事業者が少ない領域でもあります。

目的によって、見るべき条件が変わる

立場 主な目的 優先して見る条件 調査で指定するとよい条件
不動産会社 用地の確保、買取・仲介につながる土地の発掘 接道、規模、隣接地との関係 建築可能な規模の土地に限定する
土地活用の提案会社 駐車場・太陽光・資材置場などの提案先 前面道路、日照、周辺の需要 低利用の土地(資材置場・砂利敷き等)も含める
自治体 低未利用地の把握、管理不全な土地の特定 雑草・不法投棄の有無、周辺への影響 町丁目単位で全域を対象にし、状態別の分類を依頼する

※リフォーム・外壁塗装が目的の場合、対象になるのは空き地ではなく居住中の築古住宅です。この場合は「古家(居住中)」を調査項目として指定してください。

空き家と同時に指定すると効率が上がる

同じ範囲を歩くのであれば、空き家と空き地を同時に調査したほうが面積あたりの成果は上がります。調査項目の追加は1項目につき200円(税別)です。

納品時は調査項目ごとに色分けして地図に転記するため、後から用途別に分けて使えます。仕入れは空き家、用地は空き地、というように社内で担当を分けている場合にも対応できます。

取り壊しが進んでいる地域では、この組み合わせがさらに効きます。数年前の空き家リストに載っていた物件が、すでに更地になっていることがあるためです。空き家と空き地を同時に押さえておけば、その変化も地図の上で追えます。

空き地のリスト、現地調査でお作りします。

空き家と同時に調べれば、1回の調査で両方を地図に落とせます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

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所有者が動く理由がある

空き地の所有者にアプローチするうえで、押さえておきたい制度が2つあります。

低未利用土地の100万円特別控除

令和2年度税制改正で創設された特例措置です。個人が都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を譲渡した場合、長期譲渡所得の金額から最大100万円を控除できます。

項目 内容
控除額 長期譲渡所得から最大100万円
対象 都市計画区域内にある一定の低未利用土地等
譲渡価額 500万円以下(市街化区域等にある場合は800万円以下)
所有期間 譲渡した年の1月1日時点で5年超
必要書類 市区町村が発行する「低未利用土地等確認書」
適用期限 令和8年度税制改正により令和10年12月31日まで延長

ここでいう低未利用土地には、空き地のほか、駐車場や資材置場など利用の程度が著しく劣っている土地も含まれます。制度の目的は、低額な土地の譲渡を促し、新たな所有者不明土地の発生を防ぐことにあります。

実務上の意味は明確です。「売りたくても価格がつかない」と考えている所有者にとって、税制上の後押しがあるということ。ただし所有者本人がこの制度を知っているとは限りません。

相続登記の申請義務化

2024年4月からは、相続登記の申請が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から一定期間内に登記申請を行うことが求められ、過去に発生した相続についても対象となります。

使っていない土地を相続したまま登記もしていない、という状態は制度上の対応が必要になります。この機会に手放すことを検討する所有者は今後増えると考えられます。

なお制度の適用や手続きの詳細は個別の状況によって判断が分かれます。控除の要件や確認書の取得方法については、所管する市区町村の窓口や税理士・司法書士などの専門家への確認をご案内ください。

所有者は近くにいることが多い

接触のしやすさという点でも、空き地には有利な条件があります。住宅・土地統計調査によると、世帯が現住居の敷地以外に持っている土地のうち、同じ市区町村内にあるものは全国平均で70.9%。県によっては福井県87.1%、鳥取県86.4%、和歌山県83.1%と、さらに高い水準です。

調査で所有者を特定できれば、その多くは同じ市町村内にいるということになります。所有者が遠方にいることの多い空き家と比べ、話が進みやすい条件だといえます。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。空き地単独で調査する場合も、空き家と同時に指定する場合も、基本料金の考え方は同じです。調査期間も対象面積と調査項目数によって変わるため、範囲をうかがったうえで費用とあわせてスケジュールをご提示します。

調査項目は、空き地のほか、空き家(戸建て)、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。目的に合わせて組み合わせてください。

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。所有者情報を取得したうえで、DMの印刷・封入・発送まで一括してご依頼いただくことも可能です。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません。

依頼から納品までの流れ

目的と調査範囲のヒアリング
何のためのリストか(用地の確保/土地活用の提案/実態把握)を確認し、何を空き地とみなすかも含めて条件を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。町丁目や集落の単位での区切りにも対応します。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、一件ずつ位置・接道・利用状況を確認・記録します。WEB上のデータでは把握できない現況を押さえる工程です。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

空き地調査を進めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 「空き地」の定義を決めずに発注する/資材置場や家庭菜園を含めるかで件数が大きく変わります。先に条件を決めてください
  • 統計で当たりをつけようとする/空き地には全国的な悉皆調査がありません。所在は現地でしか分かりません
  • 接道を確認せずにリスト化する/前面道路の有無は建築可否と価格に直結します。記録項目に含めてください
  • 空き家と別々に発注する/同じ範囲なら同時指定のほうが安く済みます。追加は1項目200円です
  • リストを受け取った後の担当と件数を決めていない/誰がいつまでに何件処理するかを先に決めておかないと、リストが動かないまま古くなります

よくあるご質問

どこまでを空き地として調査してもらえますか?

ご指定いただいた条件に沿って調査します。完全な更地に限定することも、資材置場や砂利敷きの駐車スペースなど利用の程度が低い土地を含めることも可能です。目的をお伺いしたうえでご提案します。

空き家と同時に調査できますか?

できます。調査項目として両方を指定していただければ、同じ範囲を1回歩いて両方を記録し、地図上で色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。

接道や車両の進入可否も記録してもらえますか?

ご相談ください。外観から確認できる範囲で、必要な項目を調査条件に組み込みます。地図では判断できない条件のため、現地調査の価値が出やすい部分です。

調べた土地の所有者にDMを送るところまで頼めますか?

対応しています。調査で特定した地番から登記情報を取得し、そのままDMの印刷・封入・発送まで一括でご依頼いただけます。件数と内容を伺ったうえでご提案します。

複数の都道府県をまたいで依頼できますか?

対応しています。47都道府県に自社ネットワークがあるため、県境をまたぐ範囲でも同一の基準・フォーマットで実施できます。

まとめ

空き地には、空き家における住宅・土地統計調査に相当する全国調査がありません。分かるのは「土地を所有している世帯が全国で11.8%」といった世帯側の割合まで。どこに、どれだけあるかは、歩いて確かめるしかない対象です。

裏を返せば、リストを持っている事業者が少ない領域でもあります。所有されている宅地の一定割合が使われないまま保有されており、低未利用地の譲渡には100万円の特別控除も用意されています。所有者の7割は同じ市区町村内にいます。

費用は空き家調査と同じ従量制で、同時に指定すれば1項目200円の追加で済みます。同じ範囲を歩くなら、両方を押さえたほうが面積あたりの成果は上がります。まずは1〜2地区で実施し、中身を確認してから範囲を広げてください。

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