空き家調査で調査員は何を見ているか|1軒あたりの判断の材料

空き家調査で調査員は何を見ているか|1軒あたりの判断の材料

空き家調査は、調査員が対象エリアを歩き、1軒ずつ外観を確認して記録する作業です。ではその調査員は、1軒の前で何を見ているのか

「空き家かどうか」を判断する材料は、ひとつではありません。郵便受けだけを見ても、カーテンだけを見ても、誤ります。複数の材料を組み合わせて、初めて判断できます

この記事では、実際に何を見て、どう記録しているのかを整理します。調査の中身が分かれば、指定すべき条件も決めやすくなります

この記事の結論

  • 単一の材料では判断できない。複数を組み合わせる
  • 主に見るのは郵便受け・窓・庭木・駐車場所・建物・メーターの6点
  • 迷う物件は必ず出る。保留として記録するほうが精度は上がる
  • 判断のばらつきは基準を文書化することで抑えられる
  • 記録の粒度はその後の使い道に合わせて決める

単一の材料では判断できない

それぞれの材料には、例外があります。

材料 空き家に見えるが違う例 居住中に見えるが違う例
郵便受け 長期入院・長期出張で溜まっている 所有者が定期的に回収している
カーテン 使っていない部屋のみ開いている 前の居住者のカーテンが残っている
庭木 高齢で手入れができていない 近隣や業者が管理している
駐車場所 車を持っていない世帯 所有者が時々来ている

どれかひとつに頼れば、必ず一定の割合で間違えます。とくに高齢の単身世帯では、居住中でも空き家に見える状態になりやすくなります。

だから複数を突き合わせます。郵便受けが溢れていて、カーテンがなく、庭木が伸び放題で、駐車場所も使われていない。ここまで揃えば、判断の確度は上がります。

見ている6つの材料

①郵便受け

最も分かりやすい材料です。投函物の滞留、あふれ出し、テープでの封鎖。封鎖されている場合は、所有者が意図的に投函を止めた可能性があります

逆に整理されていれば、誰かが定期的に来ています。所有者本人か、管理を委託しているかまでは分かりません。

②窓・カーテン

カーテンの有無、雨戸の閉鎖、窓ガラスの汚れ。すべての窓に雨戸が閉まったままの状態は、居住中では起こりにくい状況です。

ただし前の居住者のカーテンが残っていることもあります。単独では決め手になりません。

③庭木・雑草

手入れの状況は、放置期間の長さを推測する材料になります。雑草が伸び放題、樹木が越境している、落ち葉が積もったまま

これは建物の状態より早く表面化します。近隣からの苦情も、まずここから出ます。

④駐車場所

敷地内に駐車スペースがあるか、使われているか。車の有無だけでなく、タイヤ痕、落ち葉の積もり方、雑草の生え方も材料になります。

長く使われていなければ、駐車スペースにも草が生えます。

⑤建物の状態

屋根材のずれや欠損、外壁のひび割れや剥落、雨樋の破損、建具の破損。放置が長いほど、これらは進行します

ただし居住中でも傷んでいる住宅はあります。空き家の判定材料というより、その後の扱いを決めるための情報という位置づけです。

⑥電気・ガスメーター

メーターが設置されているか、撤去されているか。撤去されていれば、契約が解除されている可能性が高くなります

ただし外から見えない位置にあることも多く、常に確認できるとは限りません。

迷ったら「保留」として記録する

どれだけ材料を揃えても、判断がつかない物件は必ず出ます。ここで無理に「空き家」と決めると、リストの精度が下がります

迷った物件は、保留や要確認として別に記録するほうが実用的です。判断がつかない理由もあわせて残しておけば、あとから扱いを決められます。

「空き家か否か」の2区分しか用意しないと、迷った物件がどちらかに押し込まれます。判定の区分を設計する段階で、この受け皿を作っておいてください。

判断のばらつきをどう抑えるか

複数の調査員が動けば、判断の基準は必ずずれます。これは避けられませんが、抑えることはできます

やること 効果
判定基準を文書化する 何をもって空き家とするかを共有できる
材料の優先順位を決める 迷ったときの判断が揃う
保留の受け皿を作る 無理な判定を減らせる
記録の粒度を統一する 集計と比較ができる

とくに文書化は、次回調査との比較に直結します。基準が変わっていれば、件数が増減しても実態が変わったのか基準が変わったのか区別できません。

自治体の実態調査では、この点が特に重要になります。委託先が変わっても再現できる仕様であることが望ましい形です

記録の粒度をどう決めるか

どこまで細かく記録するかは、その後の使い道で決まります。

記録の仕方 特徴 向いている用途
有無だけ(該当する/しない) 判断がぶれにくい。集計しやすい 件数の把握、分布の確認
程度を段階で(軽微/中程度/著しい) 優先順位はつけやすいが基準の明文化が必要 訪問の順番を決める
該当箇所を項目で(屋根/外壁/建具) どこが傷んでいるか分かる。記録量は増える 修繕・解体の提案

細かくするほど良いわけではありません。段階を増やすほど調査員の判断はぶれやすくなり、運用でもまとめ直すことになります。

その後の対応が3通りしかないなら、記録も3段階で十分です

目的によって、見るべき材料が変わる

立場 主な目的 重視する材料
不動産会社 売却・買取につながる物件の発掘 使用状況、建物の状態、接道
リフォーム・外壁塗装会社 施工の提案先を探す 居住しているか、外壁・屋根の劣化
空き家管理会社 管理の受託 敷地の管理状況、管理されていないこと
自治体 実態把握、重点地区の選定 建物・敷地・周辺への影響の3系統

リフォームは判定の向きが逆

リフォームや外壁塗装が目的の場合、探すのは空き家ではなく居住中の築古住宅です。同じ材料を見ますが、判断の向きが逆になります。

郵便受けが使われていて、カーテンがあり、庭木が手入れされている。そのうえで外壁が傷んでいる住宅が対象です。

管理サービスは「管理の有無」を見る

空き家管理サービスの場合、傷みの程度より管理されているかどうかが重要になります。すでに手入れが行き届いていれば、提案先になりません。

逆に手遅れの物件も対象外です。庭木が伸び始めた、郵便物が溜まり始めたという段階が狙い目になります。

判定基準からご相談いただけます。

何を見て、どの粒度で記録するか。目的に合わせて設計します。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。

0120-107-209

受付 10:00〜20:00/年中無休

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できないこと

調査は道路から外観を確認する形で行います。したがって、次のことはできません。

できないこと 理由
敷地への立ち入り 所有者の許可なく入ることはできない
建物内部の確認 同上
建物の裏側の確認 道路から見えない面は記録できない
チョーキングの確認 外壁に手を触れる必要がある
築年数の断定 外観からは仕様や傷み具合の判断まで
構造の安全性の判定 専門の調査が必要

敷地に立ち入らないことは、調査の前提です。郵便受けの中を見る、窓から中をのぞくといった行為も行いません。

記録できるのは、公道から見える範囲の情報に限られます。この制約のうえで、どこまで判断できるかを設計することになります。

季節の影響

積雪期には、屋根も敷地も雪に覆われます。庭木の状態も、駐車場所の使われ方も分かりません

判断材料が一斉に減るため、初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。調査の時期そのものが、結果の精度を左右します。

費用・期間・納品物

弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。

項目 料金(税別)
基本料金 10,000㎡あたり 1,000円
追加調査(1項目) 200円
登記情報取得(所有者事項) 750円/件
DM印刷・封入・発送代行 180円/通

面積に対する従量制のため、調査費用は範囲の切り方でほぼ決まります。記録の粒度を細かくすると工数は増えますが、範囲ほどの影響はありません。

調査項目は、空き家(戸建て)のほか、空き地、古アパート、古家(居住中)、駐車場、倉庫・工場などから選べます。判定基準や記録項目は、ヒアリングの段階で決められます

納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。

弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。エリアによって調査の粒度が変わることはありません

依頼から納品までの流れ

目的と判定基準のヒアリング
何のためのリストかを確認したうえで、何を見て何を記録するか、どの粒度で分類するかを決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
調査候補の抽出と調査地図の作成
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
現地での実地調査
調査員が対象エリアを歩き、公道から確認できる範囲で複数の材料を突き合わせて判断し、記録します。
地番と所有者の特定
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
納品とアプローチ支援
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。

基準を決めるときの注意点

よくあるつまずき

  • 単一の材料で判定する条件にする/郵便受けだけ、カーテンだけでは誤ります
  • 「空き家か否か」の2区分しか用意しない/迷った物件がどちらかに押し込まれます
  • 段階を細かく分けすぎる/判断がぶれ、運用でもまとめ直すことになります
  • 判定基準を文書化しない/調査員によってばらつき、次回との比較もできません
  • 敷地内の情報を期待する/立ち入りは行いません。公道から見える範囲が限界です

よくあるご質問

敷地の中には入らないのですか?

入りません。所有者の許可なく敷地に立ち入ることはできないため、公道から確認できる範囲での調査となります。郵便受けの中を見る、窓から中をのぞくといった行為も行いません。

判定基準はこちらで決められますか?

できます。何を材料とするか、どの粒度で記録するか、迷った物件をどう扱うかについてご相談いただけます。決めた内容は記録として残し、次回調査でも同じ基準で実施できるようにします。

迷った物件はどう扱われますか?

ご指定いただければ、保留や要確認として別に記録します。判断がつかない理由もあわせて残せます。2区分しか用意しないと迷った物件がどちらかに入ってしまうため、この受け皿をおすすめしています。

建物の裏側も見てもらえますか?

道路から見える面に限られます。隣家との間や奥まった位置は記録できません。外壁の劣化が裏側で進んでいる場合、その情報は含まれない点をご了承ください。

積雪期でも調査できますか?

実施自体は可能ですが、屋根も敷地も雪に覆われるため判断材料が大きく減ります。初回の調査は雪のない時期をおすすめしています。

まとめ

調査員が1軒の前で見ているのは、郵便受け、窓とカーテン、庭木と雑草、駐車場所、建物の状態、メーター。この6つが主な材料です。

そしてどれかひとつでは判断できません。郵便受けが溜まっていても長期入院かもしれず、カーテンがあっても前の居住者のものかもしれない。複数を突き合わせて初めて、確度が上がります。

それでも迷う物件は必ず出ます。「空き家か否か」の2区分しか用意しないと、迷った物件がどちらかに押し込まれます。保留の受け皿を作っておくほうが、リストの精度は上がります。

調査は公道から見える範囲に限られます。敷地には立ち入らず、内部も裏側も見えません。この制約のうえで、何を見てどう記録するかを設計する。そこが決まっていれば、調査員が変わっても同じ基準で記録できます。

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