空き家調査で使う地図の種類|住宅地図・ブルーマップ・公図の違い

空き家調査では、いくつかの地図を工程ごとに使い分けます。1種類の地図ですべてが分かるわけではありません。
範囲を決めるとき、現地を歩くとき、地番を割り出すとき、納品するとき。それぞれで必要な情報が違うためです。
とくにつまずきやすいのが地番の割り出しです。普段使っている住所と、登記で使う地番は別のもの。この変換には専用の地図が必要になります。この記事では、地図の種類と使い分けを整理します。
この記事の結論
- 使う地図は主に住宅地図・ブルーマップ・公図・航空写真の4種類
- 住所(住居表示)と地番は別のもの。登記情報の請求には地番が必要
- 変換にはブルーマップか公図が必要になる
- 航空写真は範囲を絞る段階で使う。判定には使えない
- 納品では住宅地図への転記が現場で使いやすい
記事の目次
4種類の地図
| 地図 | 主に分かること | 使う工程 |
|---|---|---|
| 住宅地図 | 建物の形と配置、居住者名 | 現地調査、納品 |
| ブルーマップ | 住居表示と地番の対応 | 地番の割り出し |
| 公図 | 土地の形状と地番、隣接関係 | 地番の確認、隣接地の把握 |
| 航空写真・地図サービス | 住宅の集まり方、道路の形 | 範囲の絞り込み |
それぞれ役割が違います。工程に応じて使い分けることになります。
①住宅地図
建物の形と配置が細かく描かれた地図です。建物名や、表札等から確認された居住者名が記載されます。
現地を歩くときの基本になります。どの建物を確認したか、どういう状態だったかを書き込んでいく形です。
納品形式としても使う
弊社の土地調査では、ゼンリン地図への転記を納品形式のひとつとしています。調査項目ごとに色分けして記録するため、分布が一目で分かります。
| 用途 | 使いどころ |
|---|---|
| 現場を回る | ルートを組む、担当エリアを割り振る |
| 分布を見る | 集中している地区を把握する |
| 社内で共有する | 説明の材料になる |
リストだけでは位置関係が分かりません。地図とリストの両方を受け取り、地図で全体を把握しながらリストで個別に当たっていく使い方が一般的です。
②ブルーマップ
住宅地図に、公図の地番を重ねて表示した地図です。青色で地番が記載されているため、この呼び名で知られています。
これがあれば、住居表示から地番を調べられます。登記情報を請求するには地番が必要なので、この変換が欠かせません。
住所と地番は別のもの
意外に知られていませんが、普段使っている住所(住居表示)と、登記で使う地番は別の体系です。
「〇〇町3丁目5番12号」という住所で登記情報を請求しても、取得できません。「〇〇町3丁目125番地1」といった地番が必要です。
そして両者は対応表があるわけではなく、1件ずつ変換する作業になります。数件なら問題ありませんが、数百件になると相当な時間がかかります。
弊社の土地調査では、現地で対象を確認したうえで地番の割り出しまで行います。納品されるリストには地番が含まれるため、そのまま登記情報の取得に進めます。
どこで見られるか
ブルーマップは、法務局や公立図書館で閲覧できることがあります。すべての地域について整備されているわけではなく、対象外の地域もあります。
整備されていない地域では、法務局で地番検索用の地図を確認する、あるいは公図を取得するといった方法になります。
③公図
土地の形状と地番を示した図面です。法務局で取得できるほか、登記情報提供サービスでも確認できます。
| 分かること | 内容 |
|---|---|
| 土地の形状 | おおよその形と位置関係 |
| 地番 | その土地の地番 |
| 隣接関係 | 隣の土地の地番 |
| 分筆の状況 | 1つの敷地が複数の筆に分かれているか |
隣接する土地の地番が分かる点が実務では有用です。空き家と隣の空き地を一体で検討する場合、両方の地番が必要になります。
正確な形状ではないことがある
公図には注意点があります。作成された時期によっては、現況と形状が一致しない場合があります。
境界の位置を確定する用途には使えません。正確な境界を確認するには測量が必要です。公図は、地番と隣接関係を把握するための資料だとお考えください。
④航空写真・地図サービス
上空からの画像や、道路からの画像を提供するサービスです。範囲を絞る段階で使います。
| 分かること | 分からないこと |
|---|---|
| 住宅の集まり方 | 人が住んでいるか |
| 造成年代のそろった地区 | 正確な接道の幅 |
| 建て方の傾向 | 建物の裏側の状態 |
| 山林・農地の範囲 | 撮影後の変化 |
判定には使えません。撮影時点の情報であり、上から見ても住んでいるかは分からないためです。
ただし範囲を絞る道具としては有効です。費用は面積に対する従量制なので、山林や農地を除外できれば金額に直接効きます。
工程ごとの使い分け
| 工程 | 使う地図 | やること |
|---|---|---|
| 1. 範囲を決める | 航空写真・地図サービス | 住宅が集まる範囲を特定し、山林等を外す |
| 2. 現地を歩く | 住宅地図 | 建物ごとに確認し、記録する |
| 3. 地番を割り出す | ブルーマップ・公図 | 住居表示から地番に変換する |
| 4. 所有者を調べる | —(登記情報) | 地番から所有者事項を取得する |
| 5. 納品・運用 | 住宅地図 | 色分けして転記し、現場で使う |
3の工程が最も手間がかかります。件数に比例して増えるため、数百件になると別作業になります。
地番の割り出しまで含めて対応します。
納品されるリストには地番が入るため、そのまま登記情報の取得に進めます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
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受付 10:00〜20:00/年中無休
自社で行う場合の準備
調査を自社で実施する場合、次のものを用意することになります。
| 準備するもの | 用途 |
|---|---|
| 調査範囲を示した住宅地図 | 歩く範囲を確定し、記録する |
| ブルーマップ等 | 地番を調べる場合に使用する |
| 記録様式 | 現地で書き込む用紙 |
| 判定基準の文書 | 何をもって空き家とするかを統一する |
数十件・1回きり・近隣だけであれば、自社実施で十分成立します。発注の手間もなく、条件を途中で変えることもできます。
分岐点は、所有者まで調べるかどうかです。現地を歩いて記録するだけなら範囲を絞れば1日で終わりますが、地番の割り出しが件数分だけ発生すると負担が変わります。
一部だけの外注もできる
現地調査は自社で行い、地番の割り出しと登記情報の取得だけを依頼するという形にも対応します。
登記情報の取得は1件750円(税別)。地番の割り出しから取得、リストへの反映までを含む金額です。
目的によって、必要な地図が変わる
| 立場 | 必要な地図 | 理由 |
|---|---|---|
| 不動産会社 | 4種類すべて | 所有者の特定まで行うため |
| リフォーム・外壁塗装会社 | 住宅地図と航空写真 | ポスティングなら地番は不要 |
| 解体会社 | 住宅地図、公図 | 隣接関係の確認が必要 |
| 士業 | ブルーマップ、公図 | 登記情報の確認が中心 |
| 自治体 | 住宅地図が中心 | 庁内の地図情報も併用できる |
リフォーム目的なら地番は不要
リフォームや外壁塗装の提案先は、人が住んでいる築古住宅です。居住者に届けばよいため、ポスティングや訪問で接触できます。
地番の割り出しと登記情報の取得が不要になるぶん、準備も工程も少なくなります。住宅地図と航空写真があれば運用できます。
自治体は庁内の地図も使える
自治体の場合、庁内で保有している地図情報を併用できます。固定資産税の課税に関する図面や、都市計画の情報などです。
ただし目的の範囲を超えた利用はできません。庁内の規定にもとづいて運用してください。
費用・期間・納品物
弊社の土地調査サービスの料金は、調査面積に応じた従量制です。基本料金は10,000㎡あたり1,000円(税別)、調査項目を追加する場合は1項目につき200円(税別)が加算されます。町丁目単位まで絞り込んだ範囲指定に対応しています。
| 項目 | 料金(税別) |
|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 |
| 追加調査(1項目) | 200円 |
| 登記情報取得(所有者事項) | 750円/件 |
| DM印刷・封入・発送代行 | 180円/通 |
納品形式は、ゼンリン地図への転記(調査項目ごとに色分け)、住所・地番リスト(PDF形式/追加料金)、Excel件数リスト(地区別・分類別集計)からお選びいただけます。
| 納品形式 | 向いている用途 |
|---|---|
| ゼンリン地図への転記 | 現場を回る、分布を見る、社内で共有する |
| 住所・地番リスト | 登記情報の取得、DM発送 |
| Excel件数リスト | エリアの比較、社内報告 |
用途に応じて組み合わせられます。現場を回る前提であれば地図が中心、DMを送るなら地番リストが必要になります。
弊社は47都道府県をカバーする自社ネットワークを持ち、県境をまたぐ調査も同一の基準・フォーマットで実施できます。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストかを確認したうえで、対象の市区町村・町丁目と調査項目、納品形式を決めます。面積に応じた見積りをご提示します。
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
調査員が対象エリアを歩き、外観から一件ずつ状態を確認・記録します。
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
地図・リスト・集計表の形で納品します。そのままDMの印刷・封入・発送までご依頼いただくこともできます。
地図を使うときの注意点
よくあるつまずき
- 住所で登記情報を請求しようとする/地番が必要です。住居表示では取得できません
- 公図で境界を確定しようとする/作成時期によっては現況と一致しません。測量が必要です
- 航空写真で接道の幅を判断する/俯瞰では正確に測れません
- 地番の割り出しを軽く見る/件数に比例します。数百件なら別作業になります
- 納品形式を1つに絞る/地図・リスト・集計で用途が違います
よくあるご質問
納品されるリストに地番は含まれますか?
住所・地番リストをご選択いただいた場合、地番が含まれます。登記情報の請求には地番が必要なため、そのまま取得に進めます。
地番の割り出しだけ頼めますか?
ご相談ください。対象の住所リストをお持ちであれば、そこからの対応が可能かを含めてご案内します。件数によって進め方が変わります。
地図はどの形式で納品されますか?
ゼンリン地図への転記で、調査項目ごとに色分けした形になります。現場を回る用途や、分布を把握する用途に適しています。
公図の取得も依頼できますか?
ご相談ください。登記情報の取得は所有者事項を1件750円(税別)で承っています。公図が必要な場合は、範囲と件数を伺ったうえでご案内します。
隣接する土地の地番も分かりますか?
公図で確認できます。空き家と隣の空き地を一体で検討する場合など、隣接関係の把握が必要な場面ではご相談ください。
まとめ
空き家調査では、工程ごとに使う地図が変わります。住宅地図・ブルーマップ・公図・航空写真の4種類が主なものです。
範囲を絞るのは航空写真、現地を歩くのは住宅地図、地番を割り出すのはブルーマップか公図、納品は住宅地図。1種類ですべてが分かるわけではありません。
最もつまずきやすいのが地番の割り出しです。普段使っている住所(住居表示)と、登記で使う地番は別の体系。対応表があるわけではなく、1件ずつ変換する作業になります。数百件になると、この作業だけで数日から数週間かかります。
なおリフォームや外壁塗装が目的であれば、地番は不要です。居住者に届けばよいため、住宅地図と航空写真があれば運用できます。目的によって必要な地図は変わります。
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