空き家調査の項目はどう組み合わせるか|1回の調査で拾える範囲

空き家調査を依頼するとき、調査項目は1つだけである必要はありません。
同じ範囲を歩くのであれば、複数の項目を同時に指定できます。追加は1項目につき200円(税別)。基本料金は面積で決まるため、項目を増やしても歩く距離は変わりません。
そして後から追加すると、同じ範囲を再度歩くことになります。最初に決めておくかどうかで、費用も期間も変わります。この記事では、組み合わせの考え方を整理します。
この記事の結論
- 同じ範囲を歩くなら、複数項目の同時指定が効率的
- 追加は1項目200円(税別)。基本料金は面積で決まる
- 後から追加すると同じ範囲を再度歩くことになる
- 納品時は項目ごとに色分けされるため、用途別に使える
- 組み合わせによって単独では見えないものが見える
記事の目次
指定できる調査項目
| 調査項目 | 対象 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 空き家(戸建て) | 人が住んでいない戸建て住宅 | 仕入れ、買取、実態把握 |
| 空き地(更地) | 建物が建っていない土地 | 用地の確保、土地活用の提案 |
| 古家(居住中) | 人が住んでいる築古の戸建て | 施工の提案、将来の仕入れ |
| 古アパート | 築年数の経過した共同住宅 | 一棟買取、建替え、管理受託 |
| 駐車場 | 月極・コインパーキングなど | 土地活用の提案 |
| 倉庫・工場 | 使われていない事業用建物 | 遊休不動産の活用 |
| 太陽光未設置住宅 | 設置されていない一戸建て | 設置の提案 |
目的に応じて組み合わせられます。以下、代表的なパターンを整理します。
①空き家+空き地
最も基本的な組み合わせです。その地域で解体がどれだけ進んでいるかが分かります。
| 分かること | 使い道 |
|---|---|
| 現在の空き家の分布 | 仕入れの対象 |
| 解体後の更地の分布 | 用地の候補、地域の変化 |
| 両者の位置関係 | 隣接していれば一体で検討できる |
総住宅数が減少している地域では、取り壊しが新築の供給を上回っています。高知県は5年間で総住宅数が1.0%減、長崎県も0.7%減。こうした地域では更地が増えています。
また、継続調査では前回の物件が更地になっていることがあります。空き地を同時に指定しておけば、この変化も追えます。
②空き家+古家(居住中)
今の対象と、将来の対象を同時に押さえる組み合わせです。
| 対象 | 今の用途 | 将来の用途 |
|---|---|---|
| 空き家(戸建て) | 仕入れ・買取 | — |
| 古家(居住中) | 施工の提案 | 数年後の仕入れ対象 |
空き家になった原因の約7割は死亡・施設入居によるものです。いま高齢の方が住んでいる持ち家が、数年後の空き家になりうるという構造があります。
ただし現地調査で誰が住んでいるかは分かりません。分かるのは、人が住んでいる築古の戸建てがどこにあるかまでです。
1回の調査で複数の担当が使える
納品時は、調査項目ごとに色分けして地図に転記します。そのため、後から用途別に分けて使えます。
- 仕入れ担当は空き家を見る
- 施工の営業は古家(居住中)を見る
- 用地担当は空き地・駐車場を見る
社内で担当が分かれている場合、1回の発注で複数部門に配れます。それぞれが別に発注するより、費用も期間も抑えられます。
③空き地+駐車場+倉庫工場
用地を探す場合の基本的な組み合わせです。
開発用地として成立するかどうかは、1筆ごとではなくまとまりで決まります。単独では規模が足りなくても、隣接する土地と合わせれば成立することがあります。
| 組み合わせ | 見えてくること |
|---|---|
| 空き地+駐車場 | 隣接していれば一体での検討が可能 |
| 空き家+空き地 | 解体を前提としたまとまった敷地 |
| 倉庫工場+空き地 | 事業用地としての規模 |
この可能性は、複数の類型を同じ地図に落として初めて見えます。1項目だけを調べていては分かりません。
統計にない対象が3つ
空き地には世帯の所有状況しか分からず、駐車場と倉庫・工場には全国調査そのものがありません。
用地として使える4類型のうち、統計で把握できるのは空き家だけです。残り3つは現地を歩くしかありません。
④古家+太陽光未設置住宅
施工の提案先を探す場合の組み合わせです。
全国の一戸建て持ち家のうち、太陽光発電機器を設置しているのは9.0%。9割以上が未設置です。ただし「未設置」だけでは絞り込めません。
| 組み合わせ | できること |
|---|---|
| 古家(居住中)+太陽光未設置 | 屋根工事と設置提案の両方に使える |
| 古家(居住中)+外壁・屋根の状態 | 塗り替えの提案先を優先順位づけできる |
屋根工事を提案できる住宅は、太陽光の提案先でもあります。設置の際、屋根の状態によっては先に葺き替えや補修が必要になるためです。
いきなり太陽光の話をするより、屋根の状態を起点にしたほうが話が進みやすい場面があります。
⑤古アパート+空き地
一棟買取や建替えを検討する場合の組み合わせです。
築年数の経過した共同住宅と、周辺の空き地。建替え用地の候補もあわせて把握できます。
なお統計は空き家を戸(室)単位で数えますが、一棟買取や管理受託の提案相手は建物のオーナーです。話は棟単位で進みます。
統計をどれだけ読み込んでも、棟単位のリストにはなりません。現地を歩いて記録するしかない情報です。
同じ範囲を1回歩いて、複数の対象を記録します。
項目ごとに色分けして納品するため、用途別に分けて使えます。
目的とエリアを伺ったうえで、調査項目と範囲をご提案します。
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費用への影響
料金の構造を確認しておきます。
| 項目 | 料金(税別) | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 基本料金 | 10,000㎡あたり 1,000円 | 面積 |
| 追加調査(1項目) | 200円 | 項目数 |
| 登記情報取得 | 750円/件 | 件数 |
| DM印刷・封入・発送 | 180円/通 | 件数 |
基本料金は面積で決まるため、項目を増やしても歩く距離は変わりません。同じ範囲を1回歩いて、複数の対象を記録することになります。
後から追加すると再度歩くことになる
調査が終わってから「駐車場も知りたかった」となれば、同じ範囲をもう一度歩く必要があります。
基本料金も再度かかりますし、期間も改めて必要になります。最初に決めておくほうが、費用も期間も抑えられます。
件数に比例する部分は増える
一方、登記情報の取得とDMの発送は件数に比例します。項目を増やせば拾える件数も増えるため、この部分の金額は上がります。
まず調査を実施し、件数を確認してから後工程を判断していただく形も可能です。
目的別の組み合わせ
| 目的 | 推奨する組み合わせ |
|---|---|
| 戸建ての仕入れ | 空き家+空き地 |
| 施工の提案 | 古家(居住中)+太陽光未設置 |
| 用地の確保 | 空き地+駐車場+倉庫工場 |
| 一棟買取・建替え | 古アパート+空き地 |
| 管理の受託 | 空き家+敷地の状態の記録 |
| 自治体の実態把握 | 空き家+空き地+古アパート |
自治体は幅を持たせる
実態調査では、対象とする空家等の種類を計画で定めます。空家法にいう空家等は建築物等であり、住宅に限られません。
使われていない倉庫や工場も、状態によっては対象になりえます。実態調査を住宅だけに設計すると、この層は拾えません。
あわせて空き地を記録しておけば、解体後の跡地の状況も把握できます。空家等対策計画には「空家等及び除却した空家等に係る跡地の活用の促進に関する事項」も記載事項に含まれます。
リフォームは空き家を外す
リフォームや外壁塗装の提案先は、人が住んでいる築古住宅です。空き家は対象になりません。
「古家(居住中)」を主軸に、太陽光未設置や外壁・屋根の状態を組み合わせる。空き家を指定する必要はありません。
記録項目もあわせて決める
調査項目とは別に、何を記録するかも決められます。
| 記録項目 | 使いどころ |
|---|---|
| 建物の状態 | 流通・改修・解体の判断 |
| 敷地の管理状況 | 管理の提案、周辺への影響の把握 |
| 接道の状況 | 建替えの可否、工事車両の進入 |
| 建て方 | 集計時に使える |
| 管理表示の有無 | 自主管理かどうかの手がかり |
これらは調査項目の追加とは別の話です。ヒアリングの段階でご相談ください。
依頼から納品までの流れ
何のためのリストかを確認したうえで、指定する調査項目と記録項目を決めます。社内で複数の担当が使う場合も、あわせてお聞かせください。
指定条件に該当する建物・土地を選定し、調査員が使用する地図に落とし込みます。
調査員が対象エリアを歩き、指定されたすべての項目について確認・記録します。同じ範囲を1回歩いて、複数の対象を押さえます。
調査結果をもとに対象の地番を割り出し、必要に応じて登記情報から所有者事項を取得します。
項目ごとに色分けした地図とリストで納品します。用途別に分けてお使いいただけます。
組み合わせるときの注意点
よくあるつまずき
- 後から項目を追加する/同じ範囲を再度歩くことになります
- 目的に合わない項目を入れる/件数が増え、後工程の費用も上がります
- リフォーム目的で空き家を指定する/対象は居住中の住宅です
- 件数の増加を見込まない/登記情報とDMは件数に比例します
- 記録項目を決めない/調査項目とは別に指定できます
よくあるご質問
複数の項目を同時に指定できますか?
できます。同じ範囲を1回歩いてすべてを記録し、地図上で色分けして納品します。追加は1項目につき200円(税別)です。基本料金は面積で決まるため、項目を増やしても歩く距離は変わりません。
後から項目を追加できますか?
可能ですが、同じ範囲をもう一度歩くことになります。基本料金も再度かかり、期間も改めて必要です。最初に決めておくことをおすすめしています。
社内の複数部門で使えますか?
使えます。項目ごとに色分けして納品するため、仕入れ担当は空き家、施工の営業は古家、用地担当は空き地といった形で分けてお使いいただけます。
項目を増やすと費用はどれくらい上がりますか?
基本料金は変わりません。追加は1項目につき200円(税別)です。ただし拾える件数が増えるため、登記情報の取得やDMの発送を依頼される場合は、その部分の金額が上がります。
記録項目も指定できますか?
できます。建物の状態、敷地の管理状況、接道の状況、建て方などを記録項目に含められます。調査項目の追加とは別の話ですので、ヒアリング時にご相談ください。
まとめ
調査項目は1つだけである必要はありません。同じ範囲を歩くのであれば、複数を同時に指定するほうが効率的です。基本料金は面積で決まるため、項目を増やしても歩く距離は変わりません。
代表的な組み合わせは5つ。空き家+空き地、空き家+古家、空き地+駐車場+倉庫工場、古家+太陽光未設置、古アパート+空き地です。
とくに用地を探す場合、単独では見えないものが見えます。空き地と駐車場が隣り合っている、空き家を解体すれば隣の空き地とつながる。この可能性は、複数の類型を同じ地図に落として初めて分かります。
そして後から追加すると、同じ範囲を再度歩くことになります。基本料金も期間も改めて必要です。最初に決めておいてください。
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